sinθ≒0.423
これは、たつ兄を尋問しなければいけない。
琴葉が描いてきたデザイン案は、いや下手という訳では無い。たしかに、目的である蛇が描かれており注文通りではある。たしかに、あの爬虫類バーで経験したことも踏まえている。
「これは、100%たつ兄が悪いんだからな!」
「俺だってこうなるとは思ってなかったんだよぉ…」
そんな悲しそうな目をしたってダメです。本心じゃないと知ってるし。
そう、琴葉のデザインはたつ兄にも似た男性が、ダビデ像のようなアダムのような布1枚だけを腰に巻き、全身に複数の蛇をからませ、挙句の果てにはその蛇の1匹と愛し合うような目で見つめ合うという、前時代的なデザインであったのだ。
「ワタシガンバッタ」
そのセリフを最後に生徒会室のソファで眠り始めてしまった琴葉を横に、俺とたつ兄を含む生徒会員で会議を行う。果たしてこれを文化祭の看板として飾って良いのか。まぁ、琴葉の頑張りを評価するならせめて上半身に服を着せるという修正で良いのではないかという案もあったのだが。
「俺の責任でいい。これそのまま使うぞ。」
生徒会長のセリフだから、誰も文句は言えまい。まぁ言ったからにはあなたには全力で頑張ってもらいますよ?どう見たってあなたがモデルなんですから!たつ兄は目立ちたがり屋ではある。こんな目立ち方でいいのか分からないが、文化祭期間中は校門にこれが飾られる。相当目立つだろうから、たつ兄としては良いのだろう。
「よし、このデザインを看板、ポスター。あと今年から文化祭のうちわも作るのでそれにも使いますよ。」
いやいや、えぇ…。誰がこんなうちわ使うんだよ。
「俺のファンなんか無限にいるだろ。学内にも学外にも。人が集まるのが学校としても1番いいだろ。」
たしかに、文化祭での各出し物の売上は1部生徒会が回収し、運営費にまわしたり、余った分は寄付をする。それ以外で売り上げた分は、各クラスで打ち上げに回したり自由にできる。人が集まるならその収益も見込めるので、各クラスの出し物にも気合いが入りレベルが上がるだろう。まぁいいや。難しいこと考えるの諦めた。生徒会長がいいと言ってるんだ。俺は大きな問題が起きないように運営することを目標としよう。
お盆休みが開けたら、文化祭準備はより忙しくなる。夏休みあけてから、2週間ほどで文化祭なので生徒会だけでなく、一部クラスは夏休み期間から準備を行うのだ。つつがなく問題なく生徒会としての運営をしていたのだが。
夏休みもあと1週間というところで、俺が回避したがっている問題が起こることとなる。
夏休みの話書いてるけどさ、
寒すぎて暑さを表現する描写が全く浮かばないせいでそういう描写消えちゃってるのよね〜
まぁ蛇足だから思いついても書くかは知らないけど




