sinθ≒0.342
ニャーと鳴くそいつは、俺に抱きかかえられても、大人しくしている。人にとても慣れていることが分かる。
「その子は、いつもうちにご飯を貰いに来る猫じゃないか。そんなところに住んでいたのか。」
山野さんは、驚いていた。それもそうだろう。山に住む野良猫がご飯を貰いに来るのと、自分たちがすごしている施設に住んでいるのとでは、全く話が違う。
「この子は10年以上前にイタズラをしていた猫の子供の1匹だろう。世代交代したのもあるし、あの少女が遊んであげていたのだろうことから、10年ほど前までの荷物の紛失などはなくなっていたんだ。少女が現れなくなってからも、この施設の人達にご飯を貰ったりしながら生活していた。しかし、あの少女が持っていたぬいぐるみと同じものを、しかも違う少女が"多種の猫の毛"が大量についたものを見つけたら猫はどうすると思う?自分の縄張りを侵害されただけでなく、闘争心が煽られる事もあるだろう。琴葉の家では猫を飼っていたな?」
琴葉は頷く。部屋にも入ってきてよく一緒に寝ていることも知っている。猫の毛がそのぬいぐるみに付いていてもおかしくはないだろう。
「そんなっ…。この猫ちゃんが…?こんなに可愛いのに。うーん可愛いから許しちゃう!」
琴葉は猫に近づき、遠慮なくなでる。さすが、猫を飼っているだけあって猫の扱いは慣れているんだろう。気持ちよさそうに猫が喉を鳴らす。
「ところで何でぬいぐるみなんか持ってきたんだ?」
「たつ兄の変わり身!会えないと寂しいからね!」
こいつは本当に…。呆れる俺を置いて、琴葉だけではなく他の生徒や山野さんも猫をかわいがっていた。
無事事件も解決し、最終日の林間学校は快晴だった。みなが研修を終え、帰りのバスに乗る。
「猫ちゃんまたね〜。」
琴葉よ。どうやってまた会いに来るつもりだ?留年でもするのか?まぁいい。後日談ではあるが、あの猫は施設で正式に飼うことになったらしい。壁裏では可哀想だからな。これで壁からの物音も聞こえなくなるだろう。
林間学校が終わると何が待っているか。もちろん、研修に対する大量のレポートもある。しかし、先生たちは優しいので夏休みの宿題の1つとして提出期限は長い。つまり、長い長い夏休みへと入るのだった。
林間学校編終わり!!
今後の予定は
・夏休み編
・文化祭編
・後期体育祭編
・冬休み編
・卒業式編
大きくくくるとこんな感じになりそうです。
幕間とか番外編とかも挟むと思うけど。




