sinθ≒0.326
そういえば、ひとつ聞かなければいけないことがあった。事務所から立ち去る前に山野さんを呼び止め。あることを確認した。
「そういえばそうだったな。それも不思議なことの1つだ。」
これで確信した。
先生に許可を取り、夕飯後に琴葉の部屋に当事者たちを集めてもらった。因みに今日の夕飯はBBQである。昨日のカレーで培った火起こしを活用するという建前らしい。うちの学校はイベントに対する予算はどうしているんだろう。
琴葉たちの部屋は思っていたより整理整頓されていた。いや、まぁ昨日先生がここに泊まっているからされてない方がおかしいか。
「皆さん集まってもらいすみません。犯人が分かったので。結論から言いましょう。この中に犯人がいます。」
皆一様にびっくりする。いや、琴葉以外。琴葉は何故かスマホのカメラを向けている。撮るなばか。
「まず、琴葉に確認だ。被害にあったのは琴葉の"くま"のぬいぐるみで間違いないな。」
うん。と頷く。
「それは、こんなくまじゃなかったか?」
そこに示したのは、以前ここによく来ていたという少女の写真だ。その少女は、くまのぬいぐるみを持っていた。
「そう!まさにこれ!でもなんで同じくま?」
何故かどうかは今は関係ない。山野さんにも聞く。
「この少女は常にこのぬいぐるみを持ち歩いていたんじゃないか?」
そうだ。と返事を貰った。
「この写真の少女は10年ほど前までこの施設によく来ていたらしい。そしてさっき確かめた。この少女はここに遊びに来ると、時折姿を消すことがあった。必ず夕飯までには姿を現すから心配はしてなかったようだけど。山に遊びに行っていたと思っているだろうが、その少女はこの施設の中で遊んでいたんだ。」
山野さんの顔が驚愕の表情にかわる。
「そしてどこにいたかと言うと、ここだ。」
俺は、押し入れを指した。
「でもそんなとこでどうやって遊ぶの?」
いい質問だ。今のが誰の声か分からなかったが。
「押し入れでは無い、ここだ。」
押し入れを空け、その奥の壁を手探りで押してみる。するとガタッとズレるところがあった。そしてそこには、少しスペースがあり、古いバッグなどが出てきた。
「それは!10年以上前に紛失していたものたちじゃないか!」
山野さんはさらに驚いた。
「そして、ここには他の住人もいるんだよ。ほらっ!」
餌で引き付けたそいつを俺は抱きかかえた。
一体誰が犯ニャンだと言うのだ…!




