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最前線  作者: TF


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絶望の中にも希望はある 4

いつものような笑顔で、自分が絶対に誰にも真似できない偉業を成し遂げているのだと知っていても、それを表に出そうと自己顕示欲なんてなく淡々と語る。

「なので、魔力残量は気にしなくてもいいかな~アレが届く範囲であれば特に問題は無いよ」

アレっていうのが、最前線の街から放たれる魔力だと思われる、つまり、届く範囲外での作業が魔力残量に気を付けてやらないと、手詰まりになる恐れがあるってことになるのね


っということは、届かない場所があるってことだよね?事前に届かない距離が解っているのであれば、把握しておきたいので射程について質問をする

「正確な距離は測定していないけれど、計算上ではもう少し先まで届くはずで、えっとね、詳しく説明するとね」

説明してくれた内容は姫様自身も机上の空論状態で念入りに実験が出来なかったので色々と不安が残る内容だった。


凡その内容はこんな感じ

長距離での照射実験はしていない、なので、理論上届く距離だと今回は判断したので実験なしでぶっつけ本番でしてみた。

その為、実験したことがないので本当に届くのか、本当にその出力の魔力波を故障なく、技術者不足の中で不備なく照射できるのか、照射した魔力波をどの程度までロスエネルギーなしで現場まで送れるのか、また、それをどれだけロス無く受け止めれるのか、実験も計測もしてない程の長距離だったので不安だった


現時点で成功したので、次も同じ条件下で行うことで無難に魔力波長距離転送を成功させるためには、再現性を確保し、確実性を高める事。

一か八かの届くか届かない場所目掛けての照射をしないように念入りに作戦手順を決めていく事。

どうしても、前回と違う場所で照射しないといけないような事態になってしまっても、魔力波の照射はしない、賭けは良くない、照射が失敗した場合は、照射した魔力波が虚空に消えて大気中に何年もかけて集めた魔力を一部とはいえ霧散し完全に無駄になることになる。


無駄な行為に繋がるような迂闊な状況にしないようし、無駄を絶対に避けるべき。

ある程度の備蓄はあるけれども、今後の激戦を考えると心許無い、魔力波を受け取る魔道具は、極力、今の位置から動かしたくない


作戦の要となる最前線の街から、魔力波を照射してもらって、魔力を受け取り、魔石をチャージする台座とつなげて受け取った魔力を使って、空っぽになった魔石をチャージする。


チャージが終わったら、魔石を台座から外して運んでもらう、運ぶ先は、壁を始祖様の秘術によって創る現場に持ってきてもらう。

持ってきてもらったら、現場にある空っぽの魔石をまた、この砦に運んでもらうっていう、マンパワーで魔石をピストン方式で運ぶのを想定している。

人数に関しては、これから来る騎士団を当てにしている。


この一連の流れを常に無駄なくロス無く、完璧に行うのが勝利への大前提。


作戦の流れもついでに説明をしてくれたので、概ねの流れを理解したのだけれど、疑問がある。

それは、魔石の数が足りない気がする。普通では考えられない程の大きな魔石が多く、だけれど、これから行う始祖様秘術を連発する際に必要な魔力量を考察すると、今ある魔石全て満タンにしたとしても…一度が限界じゃないのかな?

一度発動する

 ↓

魔石が空っぽになる

 ↓

魔石をチャージするために砦に持っていく

 ↓

その間、現場では何をするの?チャージされた魔石が無いけれど?陽動とか?


一番、重要で気になるのが、人の手によって魔石に魔力を込めることはできても、魔石から魔力を吸収する術は確立されてないけど?

何かしらの魔道具を使って秘術を発動するのだと思うのだけれど、その魔道具の所在は?


その事を確認しようと手を上げようとしたら、女将が先に手を挙げたので、挙げようとした手を下ろす。

「資材や道具の補填とか、その、大丈夫なのかい?」

女将のもっともな質問で、私も気になっている部分、その質問に対し姫様は冷静に

「第二陣の補給部隊が来る予定になっているから~、それに大量の魔石を積んでいるし、他にも欲しい魔道具に、資材も~準備して運んでくれる、はずだよ?」

冷静に答えてくれるけれど、少々歯切れが悪いのが、最前線の街と連絡が取れないので向こうで何かトラブルが発生している可能性も考慮しているのだろう。


「たぶん、何事も無ければ、今日の夕暮れには届く、はず、それに今回の敵が予想通りの相手であれば獣の軍勢が一度で終わるとは思っていないから、短くても一週間、長くても三か月くらいで事態を収束できると予想しているの、だからね、それに合わせて必要な資材を取り合えず、3回に分けて輸送してもらう様に伝えてあるから、向こうで何もなければ、なんだけどね、問題ないと…思うけれど、常に最悪は想定しておかないとね」

なるほど、長期戦も見据えて行動していたんだね、今後に備える時間を稼ぐためにも、第一陣を手早く仕留めないといけない状況だったのかな?

この砦が、落とされる可能性が極めて高かったと私でも感じ取れるくらい切羽詰まった状況みたいだったし、だからこその強行作戦ってことかな?


それらを確認しようかと思ったけれど、姫様が間髪入れず言葉を続けていくので、喉を通りそうになった言葉を肺に戻す


「みんなもここの兵士や司令官を見て正直どう思った?」唐突な現場批判?何か意図があると思うので、ここに来てから素直に感じたことを報告していく

この質問に対して全員がしっかりと包み隠さず、感じたことをありのままに告げていく


・練度が低すぎる、一般人に毛が生えた程度

・兵装が脆すぎる、王都にいる各屋敷の門番である個人兵団以下の武装

・司令官っていたの?

・通信手段が古すぎる

・武器を見せてもらったが刃こぼれだらけに、錆びちまってる、手入れも怠る怠惰で杜撰な管理


でるわでるわの、至らない点、意外とみんなもチェックしていたことに驚きだった。

最前線の街がどんなにしっかりと練習もしていて、各々の連携も高めあって練度が物凄く高く、整備も施設も道具も何もかもが整っているのだと実感できる


度重なる愚痴の数々を、嫌な顔をせずに耳を傾け続けた姫様も、だよね~っと同意するが、同意だけじゃなく、ちゃんとフォローもする


この辺りの治安は、大陸の中でもダントツで平穏無事。戦火っという言葉から最も遠い場所


砦よりも南にあるのは、昔から王都とは関係がないような古い農村ばかりで稼ぎも無く、皆で協力し合って生きていく為に野菜や畜産で自分たちだけの食糧を生産するだけのいざこざや、覇権争いなどからも遠い場所、故に、悪さをするようなやつは王都に行く、王都で一旗揚げるのだと出ていくことが多い。

そんな喉かで牧歌的な村しかない。


この南の砦は、比較的、王都から近いので、三か月に一度くらい騎士団が巡回に来てくれたりするので

砦の兵士では対処できないようなことがあれば巡回騎士にお願いすることが多い


南の砦を運営する予算は、しっかりと領主からがっぽりと貰っているらしいのだが、見ての通り装備や施設が古くてぼろい、とても予算通りに運用されているとは思えない。

考えられるのが、砦を仕切る人が懐のポケットに入れてしまっているご様子だと直ぐにでもわかってしまう。


そもそも砦の司令官がここの領主の家系って時点でお察しください。

領主の仕事は下々に任せて、自分はこの砦を守護する名目で領の予算をこの砦にまわす、そして自分のポケットに入れて好き放題するって流れじゃないかな~。


はぁ~やれやれ、どうしようもないよね~っと呆れた顔で締めくくられた。


この話を聞いても出てくる感想は、最後の方はフォローなのかどうか悩む内容だけれど、地方領主に良くある腐った領経営

何処にでもあるような話なので、平民の私からしたら、特に気にしていないが…戦乙女ちゃん達は怒りを顕わにしている


戦士部隊にいる戦乙女ちゃん達の殆どが貴族や領主の家系出身の子が多いから、こういった腐敗した政治が許せなくて家を飛び出たって人も多くいると聞いたことがあるので、それかな?

街に帰ったら何かしら労ってあげないとね、戦士部隊を管理預かりしているティーチャーに一声かけておくのもいいし、ベテランさんにって思ったけれど、あの人に相談するとこれ幸いに戦乙女ちゃん達に手を出しそうだからやめておこう、前科ありだし。


そんなことを考えていたら質問するタイミングが合わず、姫様が話し続けていく

「なので、ここの兵士さんたちは正直に申し上げると邪魔で要らないお荷物要因、魔石を運ぶ仕事を任せるにしても不測の事態に対処できなさそうなので、頼める仕事は魔力を込めるだけかな?なので、現時点で任せれる仕事として魔石に魔力をチャージしてもらう様にお願いしているけれど、それすら危うそうなの、魔力保有量が少ないみたいなんだよね~」

やれやれっと両手の手のひらを上に向けて困ったもんだと、これがほんとのお手上げってやつ?っと小粋にジャークを挟んでくる辺り、いつも通りの姫様のペースが続くので安心して話を聞いていられる。


長いこと話し続けた為か、軽い酸欠になったみたいで、ふぅっと一呼吸し、深呼吸を軽く行った後、真面目な顔になり

「なので、騎士団が到着次第、砦の皆様に任せたい、とある任務についてもらおうと思っています」

砦勤めの兵士の皆さんにお願いする任務の内容はある意味、非情であり有情な内容だった。


この砦が今後の流れとして、第二の最前線の街となるくらい壮絶な戦いが予想される。

その為、危険な場所に村人たちを常駐させるのは得策ではないし、仕事が無いと不安になると思う、なので、砦の兵士、並びに、無能な指揮官連中もこの先の戦いで正直なところ足手まといなので、ぶっちゃけると、要らない。


なので、村人たちや、無能な指揮官連中を護衛名目で兵士諸君に仕事をお願いし、目的の場所である、北へ向かって退避してもらう予定


この砦から見て北にある、第一目的地である、王都に向かってもらって、王都の中に住む人達と繋がりがあるであろう、連中はそのまま、王都に避難民として受け入れてもらう予定

ここの領主である彼と取り巻きくらいは何かしら伝手あるでしょ?…興味がないから知らんけど


っで、村人の殆どが王都では出来る仕事が無いと思われるので、常に人手不足である女将の旦那にご協力いただく手筈になっています。

もしもの時、不測の事態によって土地や村を追われてしまい、仕事がなく明日を生きるのも辛くなってしまう難民になってしまった農村出身の人達を旦那が管理する農村や畜産などの職場に雇い入れて欲しいってお願いしています。


旦那さんも、笑顔で快く「常に人手不足なのでいつでもいいよ。」っと、許可を頂いているので、役に立ちそうもない兵士を護衛につけて第二目的地である最前線の街手前にある旦那管理の農村エリアに移動してもらう予定


女将の旦那の話題が出たので横目で女将を見ると

その言葉に女将が瞳を潤せながら「あの人って、人はもうっ」と言葉が漏れ出てしまうくらい感極まっている。べた惚れだねぇ…


旦那のカッコいいセリフに惚れ直している女将から視線を外して、姫様に戻し、会話に集中する。


第二目的地まで到着した兵士の皆様には最後の選択肢を用意してあります。


武器を捨て、鎧を脱いで、命が軽い戦場から離れ、農民になるか。

武器を持ち、鎧を磨き、命が軽い戦場で命を賭して戦い抜くために、最前線の街で見習い兵士となって生きるか。

王都に行って第三の選択肢を探すか…

どれでも好きなように選択肢を用意してあるので問題はない、最前線の街ではどんな部署でも常に人手不足だからね、彼らに仕事を与えることなんて造作もないの。


先の戦いを経験し生き残った兵士の皆様は心の底から感じているはずだよ、

この砦に居る、無駄に踏ん反り返って偉そうにしていた人達、部隊長を含め、指揮官連中、その全員が無能だと、心の底で嘆いているでしょうね。

なので、お願いした任務が終わってからも、一兵卒の兵士として、再度、この砦で、無能な彼らの手駒となって、働き、いざというときは、無能な作戦で、命を投げ出したいとは普通であれば、思わないよね?だから、ここに帰りたいって言う人はいないんじゃないかなー?


説明が一区切りしたみたいで、ゴクゴクと戦乙女ちゃんから手渡しでもらった水を飲んでいる。


非情で、無慈悲な決断が、司令官である領主様は、冷徹に冷酷に無能だから王都で遊んでろ

有情で、未来ある決断を兵士や村人たちに提示して選んでもらう、共に人類の為に歩もうと、此方から歩み寄る姿勢って感じだね。


ゴクゴクと気持ちのいい音が出る飲み方で水を飲み干した後も話し続ける

「現状での予定はこんな感じになってるかな?特に緊急事態とか不測の事態になってないし問題ないかな?砦の司令官には、これらを昨日の内に伝えてあるから~、外に出る仕度をするように伝えていると思うよ?本人たちも、移動するための支度をしていると思うよ?変なこと考えてない限りね」

考えられるのが手柄欲しさに居座ろうとしたりとか、かな~?


「騎士団もいい加減、この砦に到着すると思うし、到着するまでの間は、敵の動きを監視するために、たぶん、第二陣はまだ、遠くにいると仮定しているけれど、念のために見晴らし良い場所で見張りを10名以上用意してもらって常に敵の進軍が無いか見張っててもらっているからね、それだけじゃないよ、こちらの遠見の術式を施した望遠鏡を渡しているからね?なので、万全の体制を取ってもらってます」

明らかに見張りの数が多いのも、少ない人数だと見落としが生まれかねないから多めに配置している辺り、この砦に居る兵士達を信用してないのだろう。


「ほかに質問あるかな?私も何処まで話したのかだんだん、わからなくなってきちゃった、いつもなら、議題を紙とかに書いて一つずつ進行するし、司会進行の人がいないと、ね?」

そうなのよね、普段ならこういった大規模会議をする際はティーチャーが司会進行とかしてくれるおかげで、議題の漏れがなく、しっかりと話を詰めるのだけれど、姫様が進行を担当するときは何かしら伝え漏れが出ることがある、絶対に漏れてはいけない作戦の要だけはしっかりと伝えてくれるのだけれど、質疑応答に関してはよく伝わすれや説明漏れが出てくることが多い。


全員が腕を組んだり頭を撫でて何か質問忘れが無いか探している…私も、一つ一つ気になることを再度考え直してみよう


①使用した毒を散布した為、人体にとって影響のある大地の上で戦えるのか?

答えはNO、聞くまでもないよね。


使用した毒は人体にとっても将来にも悪影響が生まれる可能性が高い、危険も危険。

なので、あの毒を散布したエリアでの戦闘は避けるべき、毒対策の装備がない状態で戦闘はしてほしくない。

装備がない状態での、毒対策として、1歩どこから10歩くらいは砦の方まで下がって対処するのが正解かな?


②始祖様の秘術であるストーンウォールをどうやって実現するのか?

大地を隆起させる程の術式、相当な魔力量が必要となるが、手順は比較的楽

長く時間をかけることは出来ないが、少しずつであれば作れるし、魔力残量も余裕があるみたいなので問題は無く

砦から遠いエリアの場所に関しては魔石を運んで術式を発動する…

ん?…あれ?


疑問が湧いてくる

土を盛り上げるの?それとも用意した土や石などを使用して作るのどっちだろう?

解らないことはすぐにでも質問しよう、手を上げると姫様がこちらに視線を向けてくるので


「姫様質問!壁の材料は?」

質問をすると答えが返ってくる、なるほどね。まぁそれなら大丈夫そうかな?


どうやら、壁を起点とする場所の周囲から術式を使って、大地をくりぬく様にして現地で材料を確保して作成予定。

ある程度、高い壁を創ったら騎士団の人にでも土木作業をしてもらう予定


現地で材料を確保するため、どうしても、壁の前後は大きな窪みが出来るが、それもきっちりと利用する、深い穴は、掘としても機能してもらう予定

後は、材料が土、石だけだったら脆くて崩れやすいと思われるが、始祖様の術式であれば、ただの土も鉄のごとき硬さへと硬質化するので、やすやすと突破はされない。


完全に納得できた、薄い壁なんて創ったところで突破されてしまっては意味をなさないが、敵の猛攻に耐えうるだけの強度があり、尚且つ、堀を作ることで突進系主体の敵の攻撃を防ぎやすいし、強度的に不安を感じる部分には、後で騎士団に補強させればいいっということね。


気になっていた質問の答えに、納得していると、誰からも質問が出てこないので

「これでいいかな?ほかに質問あるかな?」会議を閉めるための確認を姫様がし始める。


私も思いつく限りの疑問に思っていた内容のほとんどを聞いたし、視線を女将にちらちらと向けていたのだけれど、だんだん、上の空になっている、たぶん、理解しようとして頑張ったけれど、やっぱりだめで頭が付いてこなくなってきて上の空になりつつあるっていうか、なってるね。

視線を戦乙女ちゃん達に向けると、話を聞いているけれど、理解はしていなさそうな感じで、ちょっと上の空気味。

戦士部隊の皆さんは、言われたことを忠実にこなすタイプの子達ばかりだから、あまり質問をしない人が多い。


この上の空ばかりのメンバーの状況をみて、姫様も、私も、これ以上の質問は出てこないと判断したので、会議を終える。


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