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最前線  作者: TF
730/733

Fine 音は終わりを告げる 1

─ 農場の一角にある住宅街、その近く、太陽の光に包まれた農園

朝露が輝く自慢の農園

遠くにはご飯はまだかーっと呑気な声を出す動物たち


自慢の農園に動物たち、そいつらに囲まれて、お日様あびりゃ元気いっぱい!

今日も元気に鍬をもって田畑を耕し、戦士長から頂いたご自慢の斧をもって農地を広げるために木を伐採する!


お日様の光あびりゃ嫌なことなんてみーんな忘れちまうさぁね!


元気に両腕あげて!明日の為に!一本切ってくらぁ!!

ってね…


…そんなときもあったねぇ。


眩しい程に輝いてあたいたちに何時だって元気をわけてくれるお日様

でも

今日ばかりはお日様の事を憎んじまいそうだよ


「ゆっくりと休めたかい?」

お日様を全身に浴びていると、こんなあたいを愛してくれた変わり者が後ろから挨拶してくれる

「ああ、あたいの隣にアンタがいりゃ、何時だってあたいは元気いっぱいさ」

胸を張って虚勢を張る


本当は元気じゃねぇ

本当は行きたくねぇ

本当は…家族と一緒によ、いつもみてぇに、平穏に暮らしてぇよ


今も昔もよ、この先だってずっと、こうやって登っていくお日様を眺め続けていてぇよ…

眩しく輝くお日様…なんでかねぇ、ふと思い出しちまったよ。古い古い言い伝え。

あたい達の村にはある伝承を思い出しちまったよ



果ての空が光輝いた

何事かと使いを出した

戻ってきた使いの言葉に驚いた


大地が裂け地形が変わっていた


我らはその光に触れるのを拒んだ

我らはその光が落ちた大地が怖い



だったかねぇ

それで、あたいらの村は滅多なことが無い限り王都の方へと出向くことはなかったらしいんだけど

あたいが産まれた時にはそんな古い言い伝えも忘れられて王都はいい取引先だって喜んでたけどね


古い言い伝え何てあてになりゃしねぇよ、地形が変わるほどの光なんてよあるわけねぇよ…

でもよ、もしあるのなら、またよぉ、そんな光がさ、この大地に降り注いで…敵をみーんな、潰してくれねぇかな?


はは、なんつってなぁ、あたいらしくもねぇ

有り得ないことを願っちまう、らしくもないねぇ。

それに…その願いは…


あたいは知っている、それをやってのけた人物を


…いや、ダメだ、あたいはみたじゃねぇか、奇跡を


姫様が見せてくれたじゃねぇか、救いの奇跡を

こんなこと、願っちゃいけねぇ、願っちまうと



あの小さくて華奢で抱きしめたら折れちまいそうな…

あたいの親友の子供が無茶しちまう



あたいはもう、いや、あたいたちはもう、あいつのあんな顔を見たくねぇ

あたいたちを後ろからずっと支え続け、あたいたちじゃ出来なかったことをやってのけた、その為によ、必死に必死にあちこちを駆け回ってくれた


あたいたちの…心を支え続けてくれたあいつを、これ以上悲しませたくねぇな


らしくないあたいを

お日様があたいを励ますように照らし続けてくれる

お日様はあったけぇなぁ、いつだって変わらねぇ…


眩しい眩しい光だよったく、あたいがちいせぇころから変わらねぇ光があたいを包み込んでくれる

このあったけぇかんじは、そうだね…そう、あたいの愛する旦那と変わらねぇなぁ。


太陽は登ってもあたいはもう

その温もりに包まれることがねぇ


あたいは

愛する旦那と


もう

あえない


愛する家族と

もう


あえない


視界が歪み地面を濡らす


いけねぇ、最後の最後

愛する旦那には、太陽の輝きをみてたときみてぇに瞼の裏に焼き付けて貰わねぇと

こんなあたいを、旦那が惚れた…惚れてもらった雄々しき、勇敢なる戦士の姿で見治めてもらわねぇとよ


だというのにあたいは…

なさけねぇなぁ…

涙がとまんねぇよ…


「大丈夫、君が返ってくるのを信じてる」

旦那の優しい手があたいの腰に添えられる、ゴツゴツと岩のように鍛え上げられた腰を優しく撫でてくれる

「大丈夫、皆を飢えさせたりしない」

やさしくやさしく

「帰ってきた君が、お腹いっぱい食べられるように僕がこの町を支える」

やさしく、やさ、しく

「君たちが僕たちの未来を守ってくれるのなら僕は、君たちの未来を支える」


「愛してるよ、僕の勇敢なりし戦士、君の背中が僕の誇りだ、君の後ろを支えるのが僕の誇りだ」

ドンっと小さな衝撃が腰から伝わってくる

振り返らねぇ


戦士として


あたいは


振り返らねぇ


「いってらっしゃい…」

「応!!」

今持てる全ての力を使ってあたいは応える

一歩前に進むと農作業で鍛えられた硬い手のひらが…腰に触れられていた温もりが離れていく


弱くてどうしようもない力だけしか無いあたいを、いつだって支え抱きしめ、愛してくれた、あの作業者の、頑張ることをやめない


立派な手のひらが離れて行く


でも

そのぬくもりは


あたいのなかに響き渡ったよ


その温もりが、戦士としてあたいの中で燃え広がっていく


旦那と添い遂げ、農家となるために捨てた名!

今ここにあたいは宣言する!!


戦士!マリンパライバ!!!

偉大なりし戦士長が弟子!!

どんなことが有ろうと!愛する人の明日を…


笑顔を勝ち取ってみせらぁ!!!



天高く拳を振り上げ

一歩一歩、戦場へと足を進めていく


「おかーさーーーん!!」

「いってらっしゃーい!!」

「ぜったいにーー!!」



「「「帰ってきてねー!!!」」」



愛する家族の声を背負い

捨てた名を胸に宿し

大陸最強の戦士が戦場へと帰還する。


決して後ろを振り返らずに…

擦れるような音が僅かに聞こえたとしても決して振り返ることなく

彼女の人生は母ではなく戦士として、最後の幕を下ろしに突き進む。







─ 人類を、獣共から未来を守るため、闘うために作られし始祖様の壁を起点として作られし最前線の街

戦士達が死の大地へと出撃する、その支度をするために用意された昔からある広場


そこの一角に、戦士とは思えぬ少女のような見た目の女性が車椅子に乗り

空を…遠い遠い何処かを見つめている。



「…」

幸いにして天気は良好、雲一つなし。

寒くなってきてたし、古い書物にはここらは雪が降る地域だって書かれていた。

この戦いの最中に雪でも振られたらたまったもんじゃなかった。

防寒対策何て今更突貫作業をしたとしても間に合わない。

寒い環境で戦うことになれていない戦士達の体が冷えてしまったら、当然、動きが鈍くなってしまう。

そんな理由で負けるなんてね。やってらんないっつーの。


だから、そういうどうしようもない避けようのない不運だけは避けたかった。


まさに僥倖、天は私達に微笑んでくれている。

大丈夫っと囁いてくれるかのごとし

空は曇りすらなし!


太陽が昇ろうとし、空から月が消えていく

太陽の光が暖かく、冷たい風もやんでいる

天は私達を味方している。


天は、私達を祝福している。

最後の戦いを見守ってくれている。


こんな些細なことでも私達にとっては大きなこと。

月と太陽の祝福が私達を満たしてくれる。


「準備は万端である」

後ろの空から声が降ってくる

「配置も?」

後ろに向かって返事を返す、車椅子じゃなかったらきちんと振り返って相手の目を見るんだけどね

「無論である、先ほど、転送の陣を設営に出た者から連絡が届いたのである」

先行部隊は滞りなく死の大地の奥へとたどり着いたか。

作戦の胆である第一段階は問題なしってところかな

「それじゃ確認の為に、状況報告、お願いできる?」

「わかったのである」


戦士達を取りまとめるベテランさんから作戦の進行具合を確認する


第一段階として

昨夜からある目的の場所へと戦士一団を向かわせてもらっている


場所は、沼地の更に奥

あの忌まわしき岩が見えてもおかしくなほど…デッドラインの近くまで近寄ってもらっている。


そんな危険な場所に向かわせるのだから当然、装備も人員も出し惜しみはしない。

この街が誇る最強クラスの戦士や騎士達で任務に望んでもらっている。

私達の体力を温存するために、少しでも奥へと中継地点として築いてもらう為に敵から奪った危険な魔道具である転送の陣を用いる。


転送の陣を安全に使えるように、死の大地で陣地を築いてもらっている

っていっても、私のときみたいに簡易的な砦とかではなく、直ぐにでも退避できるように建物なんて立てたりしない、隠密行動で動いてもらっている。

隠密で動いてもらうのだから当然、持てる限り最新式の認識阻害の術式が刻み込んだ魔道具を装備してもらっている。

それだけじゃなく、行動に必要な強力な魔道具一式もしっかりと揃えて装備して任務にあたってもらっている。


敵に見つかることなく戦闘を避け慎重に事を運んでもらう。

戦士達が目的の場所に到着し、現地にいる戦士達の準備が整い次第、転送の陣を起動させ誰かを此方の街に帰還させる。

私達は帰還した戦士から現場の情報を得る。

死の大地がどういう状況なのか、現地は問題ないのか、詳細の報告などを行ってもらってから私達を転送するのが第一段階。


勿論、報告を受けている時間も無駄にはしない。

状況報告をして貰っている間に現地で必要な消耗品や魔道具などの大きな荷物を順次運んでもらっている。


こんな戦況で大した威力の無い魔道具なんてね、運ぶ意味があるのかって?

今代の私がどうしようもない程に、クレイジーだって、この私が認めてあげる。


私が導入を躊躇った品々を用意していた、それも非常に多くの数をね…


まず、人なんて一瞬で暗殺することが出来てしまう魔道具

そう、光りの術式が込められた魔道具


それも私が作った物よりも改良が施されている、狙いを定めにくいっていう難点が改良され狙いを定めやすくしている改良型



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