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最前線  作者: TF
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Cadenza 想いを背負って空気に熱を 7

伝えて、無かった、かも?つってもなぁ…

全ての情報ねぇ~…つってもな~私もそれ程、知ってるわけじゃないし測定してるわけじゃないからなぁ~、何を伝えろって言うのかな?

っま、とりあえず、知り得ている脅威に関しては全て共有するべきだよね。


私が全てを知っているわけじゃないという部分を踏まえてから、この場に居る人達に私の知りうる限りの敵の情報を伝えた。


死霊使いや、ドラゴン、そして、私が倒してきた人型の情報を


…そして、死者を弄ぶ魔道具についても説明をすると、女将とNo2の顔つきが豹変した。


「っとまぁ、概ねこんな感じかな?質問ある?」

誰も挙手しようとしない、寧ろ…女将に関してはいつ噴火してもおかしくないほどに殺気が溢れかえっている。

No2は…ぁ、目を合わせるのはやめよう、あれ叔母様も怒り心頭だ。

だって、その魔道具が、愛する人…騎士様の魂をこの大地に縛り付けている可能性が非常に高いんだもんね。

今、二人にこの話題に触れるのは危険なのでスルーする。何が有ろうと触れない!

「質問です」

この殺気まみれの中で飄々と!手を上げてくるのは…閃光さん

「誰が誰と闘うのか想定されていらっしゃるのでしょうか?もし」「ううん、敵の配置なんてわからないし何処でどう、どういう状況でどの敵とかち当たるのか~何てのは、予想できないかな。予感はあるんだけどね、あの辺りにいるだろうなっていう、それもあくまでも勘だから。だからね、誰にどの獣と闘ってもらうのか~なんて決めようがないし、そもそも一対一の状況にしたくないかな?私達は個ではなく群で動きたい、一つの強大な敵に対して連携を組んで戦う、孤立無援状態で戦い抜ける相手じゃない」

彼女の言葉を遮ってしまう、だって、少しでも早くあの視線から逃れたかったんだもん!

上げられた手は下げられ小さく頷いて少し張り詰めていた緊張が抜けた?

彼女はもしかしなくても孤軍奮闘するつもりだったのかも?

この状況で皆が分かれて戦う方がリスクが高すぎるし何よりも魔石の交換が出来なくなるじゃん。

分断されるのが一番危険なんだよね。っま、あの大地で私達を分断する方法なんて、空からバカでかい鳥が掴んで運ばない限り出来ないでしょ?

鳥に易々と無様に掴まる私達じゃないってーの!空だってしっかりと警戒するからね!

「他にも…気になることってある?今のうちに聞いて欲しいかな」

指先を顎につけ、天井を見つめ考え込んでくれる。


閃光さんって意外と…周りの空気が読めないタイプっぽい?

近くで肌がピリ着くような空気を纏い始めてる人がいるんだけど、まったくもって動じていない。


私も彼女を見習って殺気立つ二人から逃げるために思考しよう。

他で危惧している部分ってなると、戦闘時の魔石交換かな?


魔石の交換方法も各々が技術班と一緒に相談して訓練してたから、たぶん、もう熟知しているみたい?この辺りは気にしなくてもいいかな?

後は、空っぽになった魔石にどうやって魔力を充填するのかってことだけど、その辺りは、今代の私が用意してくれた素晴らしい魔道具に頼る形になるかな。


っま、あの塔に何かあったり、魔力を送ることが出来ない様な状況になってしまったら、中継地点から魔石を人力で運ぶっていう方法もある。


そもそも、あの魔石に込められている魔力量が凄いから、早々に魔力切れなんて起こらないじゃないかな?


もしもに備えて補助的な動力源も用意してあるからね。


戦士達には、バックパックに刺しこんでいる魔石よりも、より小さな魔石を何個か装備してもらうことになってる。

それがあるから、バックパックに中にある魔石から魔力が無くなったとしても、予備魔石である程度は動けるだろうし、そもそも、背中に刺してる魔石だけを持って行動するつもりもないからね。


ちゃんと、その辺りは抜かりなし。

鎧とか、盾の邪魔にならない場所に魔石を取り付けてあるから、そこから交換すればいい。


後は何だろう?何か見落としが無いかな?


万全な状態だったらさ、ここでこそ出番なんだけどね…

思考超加速によって思考を巡らせるのが私の持ち味なんだけど


アレは出来る限り使いたくない…


無限の魔力と繋がっているわけでもないし、あれってさ、体の負担が途轍もないから…戦いに支障が出る恐れもあるし…その、直感に近いんだけど、思考超加速を使うと、たぶん、私の時計も凄く進むから、体が持たない気がするんだよね。

なので、普段と変わらず、されど、思考を止めず…回転させていく、思考の渦へと…隅から隅まで調べるように。



各々が天井を見つめたり机の一点を見つめたりと考え、答えのない迷路へと迷い込んでいく



敵の情報が有るようで~無い!ってのがね、今の状況だもんなぁ、不確定情報に踊らされる。

はぁ、ほんっと先生も意地が悪い、もう少し何かしらヒントでも送ってくれたらいいんだけど、出来ないだろうね、利用されているだけだから。


具体的にどの敵がどの場所にいるのかって把握していればすごく楽なんだけど、そうもいかないよね~。


情報が古すぎるって言うのもある。

私の代で、気になっていた場所もあるけれどさ、時がたちすぎてる、私とこの時代じゃ違い過ぎて何も参考になりそうもないんだよなぁ。

っていうか、地形変わり過ぎじゃね?…いや、それほど、程でもないのかな?

小さな変化は、あるんだよなぁ~…


っま、この辺りは気にしたってしょうがないか、さほど重要な部分でも無し。

今回は死の大地にいる全ての獣を排除する…殲滅が目的じゃないから。

雑魚共と闘ってる暇も無いから良いんだけどね。


待てど、誰からも挙手されることが無い。っとなれば、この辺りが頃合いかな?

「特に無さそうなら、各々…最後の準備ってことでいいかな?」

「ええ、そうね。それがいいんじゃないかしら」

No2の声に全員が賛同し椅子から立ち上がり会議室から出ていく。

その背中に最後に「何か気が付いたらメイドちゃんでも誰にでもいいから私に伝わるように伝えてね」ほぼないだろうけれど、閃きがあれば伝えてくれるように声を掛ける。


一人一人、会議室から出ていく、その後ろ姿を目に焼き付けるように見送っていく。

この会議室で皆を見るのもこれが最後となるから。

仲間たちの顔は、一人を除いて表情は左程曇っていなかった。


やるべきことを見据え、明日を見ている。


彼らの表情を見て、心の中に残っていた何とも言えない、晴れそうで晴れない曇り空のような、ねばりっけのある液体を洗い落とそうとしても取れない…そんな幾ばくかの不安が払拭されていくのを感じる。


何事も目標がある、やるべきことが明確になっているってのが救いかな。

攻めない限り私達に明日は無い、選択肢が無いからこそ、それに突き進む。


籠城戦とかだったらもう目も当てられなくなっちゃうもんね…

何時まで続くかわからない不安に減っていく物資で皆の心が持たないからね。


将棋やチェスみたいに、明確な目標、倒すべき駒が明確に定まっているお陰ってのが大きいかな。

王を取ればいいっという簡単な図式。

各々がそれに納得しくれたのはいいんだけどなぁ、一人だけ神妙な顔つきで外に出た人がいるんだよなぁ…


何かここで発言しにくい事があるんだろうね、あの人なら、何か気が付いているけれど士気を著しく損なう可能性があるっとか、そう言う理由で声に出してくれないんだよね。

ってなわけで、No2には後で話を聞こうかな。


会議室には、私とメイドちゃんと団長の三人だけが残り静かになる。

私達だけで何かすることも無い、から、この後、どうしようかな?

私は無くても二人は…最後のひと時を誰かと過ごしたいとか、ある、よね?

邪魔しちゃ悪いから、私は…ねて、よう、かな…

緊張の糸が切れ、瞼が重たくなってくると、メイドちゃんと団長が近くに来て

「私達も外に出ます?」

声を掛けてくれる、二人としても、何かあればってその後の行動をどうするのか、私を第一優先にしてくれる…

「私は…のことは…いいか、ら…」

二人は自由にしていいからねっと、声を出そうとした刹那、視界が歪む

「っと、危ない」

視界が回る…体を支えることが出来ない…でも、力強く誰かに抱きしめられている。

誰か、そんなの決まってる

「病室に戻ろうお姉ちゃん」

彼女の優しい声に引き込まれる様に意識が途切れようとする、その刹那、指先だけを動かしてメイドちゃんに伝える


『遊んできなさい』っと…




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