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最前線  作者: TF
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Cadenza 想いを背負って空気に熱を 3

だから、死霊使いが王だとは思えれない、アレの言動に行動…

デッドラインから先へ向かおうとしない限り出てこない、あいつには何かしらの目的っていうか役目があるとしか思えれない。

そんなのが王って呼べる?呼べないよね?


死霊使いなんてね、弱い私達でも倒せることが出来る!

そう、私達は絶対的な力、力の象徴。


始祖様と比べると私達は圧倒的に弱者!決定的に弱い!


悔しいけれどさ、無限の魔力を得たと言えど私達は始祖様に比べたら圧倒的に弱者、弱く脆い…

その弱い私達でも、あいつには勝てる。

自信を持って言える、今の私達なら余裕で!って、言いたいけれど、冷静に分析すると誰かが犠牲になる可能性を否定何て出来ない、けれども、死霊使いには勝てる、当然、対策も考えてるし、先の訓練を見ても私が居なくても勝てる。彼らならきっと勝ってくれる、そう思えれるほどに戦士達が優秀。


だから、死霊使いなんて…死霊使い程度、私達でも、ううん、誰かひとりでも倒せれる!ううん違う、倒さないといけない!

計算と戦場は違う!気持ちだけでも常に強く!絶対的に圧勝する!

…それくらいの気持ちじゃないとね、糞ドラゴンを倒せやしない!


っとまぁ、敵のボスに関しては糞ドラゴンで間違いないんじゃないかなぁ?

一応…後一体候補はいるけれど、何だろう。海にいる奴に関しては取り合えず一旦放置でいいんじゃないかなぁ?


そうなんだよね、一応ね?頭の片隅に入るんだよ?

危険視しておくべき対象としてはもう一体いるんだよね。


いるけれど、たぶん、問題ないんじゃないかなって思ってる。

今代の記憶の中にある見知らぬ獣…始祖様が、残してくれた記述の中にいる獣。

海にいるであろう大物


実はこれが敵のボスでしたー、ざーんねんこちらが本丸でしたー!

なんてのはね、ちょっと考えれない、有り得ないかな~?

理由はいっぱいあるけれど、取り合えず、今はそっちの事を考えてる場合じゃないしね。


…まぁ、それが本丸だった場合、私の読み違いでこの戦は負け戦になっちゃうけど…


僅かな可能性があるのだとしたら、一応、もう一度冷静に分析するのがセオリーなんだけど…

そもそも、私の作戦に私怨が混ざってないかって部分、冷静に分析できてないんじゃないのかって部分もあるんだけど…


んー…思い返してみても、私怨のせいで糞ドラゴンに固執しているわけではない。

冷静に分析できてる、うん、直感が告げてる。

どう考えても敵の本丸はドラゴン、それ以外に有り得ない、確信できる。妄執じゃな、恨みに囚われたりなんてしていない。


うん、私の中にある火は何も燃えてない。

冷静に澄み渡る水面のように透明で邪心なんてない、あるのは、未来を人類に捧げることだけ。


超加速を使うことなくある程度の思考を加速させたおかげで思考がまとまってくる。

先の二人の質問に答えようと口を空けようとした瞬間、静かになった会議室に一人の人物が挙手するわけでもなく声を出す。

「奥には何が待っているの?大穴を潰すと断言するのであれば、貴女はあそこになにがあるのか知っているのでしょう?」

答えを誘導する様に…皆が薄っすらと感じているが聞いても良いのかという疑問をぶつけてくる。

No2なら私の表情を見て今が声を出す最も適したタイミングだって見抜いちゃうよね。


いいタイミングだよ、ほんっと恐れ入るね。

長い関係性だからこそってやつ?


真っすぐに全員の顔を見る。多くの人が疑問を答えを待っている…そんな顔。

敵の脅威に皆が心折れてしまわないかなんて、考えない、迷わず私は進む。信じているから。

「うん、知ってるよ。何度か戦ったことあるんだもん、敵の親玉にね、私は何度も何度も…殺されてるから」

この発言に驚く人はいない…ってわけでもない、ベテランさんと閃光さんが目を見開いてこっちをみてる。

お互い驚いて体が反応してしまったから、お互いを横目で見て目で語り合ってる。


取り合えず、あの二人に関してはひとまず置いといていいや、長くなりそうだし。

話しを進めようかな。

敵のボスがどのような存在なのか説明しようと喉に力を込めると

「もしかしなくてもよ、あれかい?あたいも…あってるやつかい?親玉ってあれだよな?あのばかでけぇトカゲみてぇなのが、親玉ってぇ、事、かい?」

声を出すまえに、死にゆく世界でアレと対峙したことがある女将が顔を真っ青にし小さく指を震わせて質問してくる。

「っそ、アレが敵の親玉」

肯定すると、苦虫を噛み潰したような凄い顔をしてから頬を手のひらでペチペチと叩いて俯き、頬を叩いて手を机の上に乗せ、自身の手を包み込むようにぎりしめてから、ゆっくりと瞳を閉じ、指先が小さく動き始める。


きっと、恐怖を振り払う為に、過去に負けた相手に対して、どうやって戦うべきなのかイメージを思い浮かべているのかな?それとも、どんな大きさだったのか思い出そうとしているのだろうか?


女将は暫くは沈黙するだろうから、他の人達に敵の概要を伝えないとね。

口を開こうとするが

「トカゲ?…大きな?沼地にいる鰐ではなかろう?」

ベテランさんに先を越されてしまう。

何時もの会議だったら立ち上がって今から説明するのだと動きで示すことが出来るんだけど、足が動かないのって不便!まぁいいや。


ベテランさんの疑問に対して小さく頷くとそうであるよなぁっと小さく呟いてから

「だとしたら吾輩は知らないのであるなぁ…本当にいるのであるか?バカでかいトカゲ?どの程度の大きさであるか?」

大きさっていうか、えっと…たぶん…ベテランさんってアレと闘ったことが無いんじゃないの、かなぁ?どうなんだろう?


んー…思い出せなくなってきてるから、わからないけれど、たぶん、無いんじゃないかな?

ベテランさんが見たことが無いのであれば、無いんでしょ、丁度いいや、敵の概要を説明しようと思っていたし。


「いるんだよ。あの大地にはね、今のままで一切顔を出すことなく私達に見つからないように気配を殺してずっとずっと、潜み続けている馬鹿みたいに大きくて…悔しいけれど私じゃ絶対に勝てない大きな翼の生えたトカゲがいるんだよ」

「ああ、姫ちゃんのおかげで思い出してきたさぁね~…大きさって言うとだね、口の大きさならわかるよ?なんせこのあたいの体をたったのひと噛みで真っ二つに食いちぎっちまうほどによ、馬鹿みたいにでけぇ」

私の言葉に続く様に俯き続けている女将が体験した内容を語ってくれた。

その凄惨な内容を全員が想像してしまったのか、つばを飲み込む音が聞こえた。

俯き小さく震えている女将の恐怖を噛み締めたような声に、ベテランさんがそれほど、ですかっと小さな相槌をうつと

「ああ、デカかった。当然よ、口だけがでけぇわけじゃねぇ、鰐みてぇによ…あいつは、あれは、身の丈もでけぇ…そりゃ、もう、あたいが敵を見上げちまうほどさ」

先輩がっと小さな呟きが聞こえてくる、その呟いた人物、ティーチャーくんへと視線を向けると、彼も驚きを隠しきれていない。

女将が見上げるほどの大きな敵何て、今の今まで出会ったことが無いだろうね、博識な彼であったとしても。

「つまりよ、何が言いたいのかってぇっとな、あたいよりも、もっともっと…敵は大きいってことさぁね」

一部の人を除いて女将よりもっという声を漏らしている。

女将って凄い大きいもんね、女将の身長って、確か2メートル超えてるんだっけ?

「爪も…ああ、思い出しちまったよ。ありゃぁ鋭いなんてもんじゃなかったさぁね、なにせ、あんのトカゲがよ、ちょ~~っと振り払う仕草で爪の先が当たっただけだってぇのによ、鎧が切れちまったんだよ…ぁあ、思い出したくねぇけどよ、思い出しちまったよ無念の残骸をよ…あたいの記憶通りなら、鎧が綺麗に切れちまってたね…」

爪も牙も十二分に脅威となるっであるかっとベテランさんが天井を眺めながら呟き、自身の顎を触っている。

これから先戦う相手、ベテランさんの中で、どうやってその脅威と戦うのか考えだしたのだろう。

「この一瞬で思い出しちまったねぇ、っはぁ…正直にいやぁよぉ、あんな惨たらしい光景、思い出したくなかったねぇ…っへ、今になって、体が震えてくらぁ」

言葉の通り、カタカタと女将の前にある机が小さく揺れる音をだしながら振動している。


悪夢を思い出してしまったのか女将の額からは大粒の汗が流れはじめ、手のひらも湿っているのか机に触れる部分が湿っているようにみえる。


あの女将が震えるほどの相手ってだけでも、閃光さんやティーチャーくんが委縮しそうだけど…

こればっかりはね、覚悟を決めておいて欲しいから、彼らの気持ちに関しては触れないようにしよう、話を進めることを優先させてもらうね。

「目の当たりにした女将ならさ、わかるよね?敵の強大な肉体、あ~~んな、馬鹿みたいに大きな獣がさ、どうして誰も目撃していないのか、この広大な死の大地で一度たりとも目撃されていないっていうのが…どういう意味なのかわかるよね?」

木々を超えるほどの大きな背丈である糞ドラゴンが誰も目撃していないのか、理由は単純。

私達がまだ踏み込めていない場所がある。

「ああ、そうさぁね、わかるよ。姫様が何をいいてぇのか。あんな大きな巨体が空を飛んでいれば誰だって目撃する。あんな大きな巨体が野を駆けていたら誰だって気が付く…森ん中にいたってよ、見張り台の奴らが気が付かねぇわけがねぇ…わけが、ねぇ?…ってことは、つまり?…敵からしても…あたいらってのは…ぁ”?」

何かに気が付いたのか段々と言葉が詰まっていき、最後の最後、語尾が強くなると同時にダンっと手のひらが机の上に落ちる音が会議室を響き渡る。

その音に、会議室にいる全員の顔つきが変わった。


瞬時に顔つきが険しくなる。そう、迸る女将の殺気に皆が反応している。



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