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最前線  作者: TF


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69/843

とある人物が歩んできた道 ~ デッドライン 3 ~


四日目の朝


こちらのメンバーはより一層、気を引き締めて気合十分で気力も体力もかなり余裕がある

敵を倒すのも前にいる糞王子の一団が囮になってくれているので、敵の背後から確実に最小限の動きで仕留めることが出来ているのである意味、戦闘に貢献してくれている。

だが、その囮も残りわずかってほどでもないが、最初に比べて半数もいないし、昨日は何も食べていない人がほとんどなので、体力も無いだろう、唯一の救いがこの先に水場があるので、そこで水は補給できる、けれど、運が悪いとワニタイプの獣に遭遇する可能性があるので死ぬ危険もある。


なお、補給部隊が水をろ過する道具をしっかりと持ってきているので水場から汲んだ水をろ過して沸騰させれば飲める水になる。

糞王子の一団がそんな道具を持っているとは思えないので、水場の水を直飲みして腹を下して全滅する可能性もあるけれど、今いるメンバーは生き残っているだけあって慎重な人たちばかりだ。後先考えずに迂闊な行動はしない。


仕留めた獲物を私たちが一切、口にしないのを見て、食べれないと判断し食さなかった。


糞王子は食べようとしていたけれど、全力で止められていた。

最悪、この大地の獣を狩って食せばよいと考えていたのだろう、おっかしいよねー、学生の頃にここの獣は食べれないよーって授業で習わなかったのかなー?糞ごみぼっちゃんはさぁ!?教養なさすぎじゃない?本気で死んでほしい


糞王子の一団が立ち上がろうとしない、限界なのだろう、丸一日、何も、食べないでこの死の大地を歩いたのだから、消耗は普通の大地に比べると比にならない。

この先も食事抜きで歩けるとは思えない。


糞王子も地面から立つ気配がない、鎧という重みのせいで尚更、立てないのだろう、疲労が限界にきたのか、純粋に空腹で立てないのか、水分が無くて意識が朦朧としているのか


冷静に判断するとなると、全部だと思う、王族がよく耐えたと思うよ?普通の人でもここまで来るってだけでストレスで死んじゃうよね。


騎士様に確認すると、現地点で6割進めているそうで、本来の予定では一日遅れで進めているみたい。

事前にある程度ルート開拓しており、この周辺の獣を数日かけて倒せるだけ倒したそうで、それが無かったらもっともっと戦闘があったのだと予測されている。


予定では、この先の水場までは、無難に辿り着けると判断しており、

そこから先は、騎士様もほぼ未知のエリア、先人が命がけで残した情報のみ、騎士様が生きている間にこの先に待っている最後のオアシスである水場からさらに奥へ挑んだものはいない。


二足歩行も水場まではたまに遭遇するくらいで、運が悪いともう2体くらいは遭遇していてもおかしくなかった。


とまぁ、こんな感じで今の状況と今後の状況を冷静にゆっくりと談義できるくらい糞王子一団は動こうとしない、お願いだからここでギブアップしてほしい。

ここまで来ただけでも勲章物だって、一応、二足歩行を一体は仕留めてるのだからそれを手柄にすればいいじゃない、命あってこそじゃないの?


伝令係として一人の騎士が近づいてくる、足元が覚束ない、ふらふら、顔も真っ青、この人たち、無事帰れたとしても過酷すぎる環境に晒され続けて内臓への負担がきつすぎて、寿命削り倒してるからさ、内臓がやられてすぐに死ぬんじゃないの?


伝令係からのある言葉を期待していた一同だったが、出てきた言葉は

「言い値で買うから物資を寄こせ」真っ青な顔で今にも血を吐いて絶命しそうな人にどうしてここまで高圧的な言葉を吐き捨てれるのだろう?


その言葉よりも目の前で今にも死にそうな人を見て、騎士様も手を貸してあげたい、助けてあげたいと思うのだけれど、先に進む意思を折らない限り、全滅する未来しかない。

物資を渡して変に意欲的になられる方が困る。


「…先ほどと同じです。引き返すなら、お金はいりません、王族としては十二分に頑張りましたよ、帰るのなら全力で手を貸しますから」

一生懸命に説得の言葉を投げかける、その言葉を聞いた伝令の人は、糞王子が先ほど同じ反応をするのをわかっているので、絶望的な表情をする。


その表情から伝わってくる、命を、救える命を、助けてほしいと心からの願いが伝わってくる。


本来であれば伝令係が伝令以外の会話は許されないのに

「お願いします、食料を水を分けてください」絶望的な表情、声を出すのも辛いのだろう、声がガサガサで体内の水分が残り僅かなのだとすぐにわかる。

涙も流せないくらい体内の水分が枯れているのだろうとわかる。


だって、唇もカサカサで脱水症状が出ているので、体内に命の水が残り僅かだと、わかってしまう。


この人をこのまま、何も持たせずに返せば


死ぬ


あと数時間もすれば、完全に動けなくなって野ざらしにされ絶命する…


最後の補給部隊も朝になったら順次撤退する予定だったので、容赦なく順次撤退する準備をしている。


今なら、今なら!まだ撤退する補給部隊の水や食料などを分けて上げれるのに!!

これ以上先へと進むために持てるだけの水と食料と道具は持った!

戦士一同と一緒に荷物持ちとして現場に残る補給部隊、その人達が持てる量には限界がある!

撤退する補給部隊にはまだまだ、ミスや食料に余裕がある!!


つまり!過剰に用意してきた物資も今ならある!この先に持っていけない物資が今ならまだあるの!!


それを分けてあげれるのは、もう、これが最後のチャンスなんだよ!?

このチャンスを逃がしたら、私たちが持っている食料や水は、幾ら頼まれても渡すことは出来ない!!自分たちの命が危なくなるから!!!


見捨てるのか、見捨てないのかの、命を救うのか殺すかの…判断…できるわけないじゃないのぉ…


「騎士様、ごめんなさい、私にはその選択肢を選ぶことができないの、見捨てれないよ…」医療を志して職務を全うしてきた私の医療人としての心が、助けれる人を助けないなんて選択肢を選ぶことが出来なかった


涙を流しながら騎士様の腕をつかむ、私の震える手をそっと握ってくれる


「撤退予定の補給部隊!」捕球部隊に向かって声をあげる

帰っていいのか悩んでいる撤退予定の補給部隊が駆け寄る


「見殺せない上司を、冷酷になれないダメな上司を嘲笑ってくれて構わない、可能な限りの物資を彼らに渡してくれないか?」

その言葉を聞いた補給部隊も人を見捨てるなんて出来ない甘ちゃんだった

「はい!!」涙を浮かべながら全力で向こうに駆け寄り一人一人に水が入った革袋を渡していく。


私も医療班として補給部隊と一緒に行動する、脱水症状がひどい人は意識も朦朧としている。

この状態では水を飲ますのが難しい人とかはこちらで対処するので意識がある人には水を、水を飲んである程度、回復した人たちには食料を渡すように指示を出していく。


糞王子だけは部隊が持っていた最後の食糧や水を飲んでいたので脱水症状もなく、栄養が欠落している様子もなかった。


なので、私が駆け寄ることはない。それよりも、症状が重い人から順に介護していくと

「おい!そんな者どもよりも、先にこの俺にこうべを垂れて水と食料を献上するのが先だろうが!そんな判断も出来ないのか!下女が!!」

あ?なんつったこいつ?

手に持っている毒を革袋に入れてこいつに飲まそうと立ち上がろうとしたら騎士様に肩を掴まれ静止される


騎士様はすたすたと真っすぐに糞王子のもとに近寄っていく

「あ?なんだ卑しい守銭奴が近寄ってきて何用だ?ぁあ?」

糞王子の周りは本来であればどんな時であろうと近寄る人を排除するのが仕事なのだが誰も立ち上がろうとしない。


歩を弛めず、そのままの速足で歩くスピードで、ずんずんと向かっていく、誰も彼を阻むものはいない。

ついには手が届く位置まで無言で歩いていく

「下郎が!これいじょうちか」

バンっと大きな音が辺り一面に響き3メートル以上転がるように吹っ飛ばされる糞王子


「てめぇは人間失格だ!彼女の愛が、哀が!苦悩がわからないのか!!」

あの穏やかな騎士様が全力で怒気を露にしこんな危険な場所で後先を考えないで大声をあげている、

絶対に大きな声を出してはいけない場所で、先のことを考えれないほど怒りを、心の底から湧き上がる憤激を抑えきれずに咆哮している。


吹き飛ばされた糞王子は何で殴られたのか理解していない、誰も助けてくれないことも理解できておらず

「お前こそ何様だ!!俺は、王国が秘宝である王族の血筋だぞ!!それに手を挙げるとは極刑だぞ!」


声を荒げている、知ったことか、今ここでお前を殺しても誰も、守ってくれるわけないんだよ?

獣に殺されましたって謀殺できるんだよ?わかってないの?


「それにお前らもお前らだ!こんな下らぬ守銭奴の下郎を何故、近寄らせた!?俺を守れよ!!命をとして守るがお前らの天命だろうが!!」

ぐったりとしている一団に怒号を飛ばすが誰も反応を示さない、示せれるほど体力が残っていないのがどうしてわからないのだろうか?


これ以上、どんな言葉を投げかけてもこいつには響かない伝わらないと心の底から落胆した騎士様はこちらにゆっくりと歩いて来る

その表情は怒りを通り越して、無の表情だった。完全なる諦めた顔だった


こんな表情をするような人じゃない、こんな感情を抱いていい人じゃない。


私の前にくると「見っとも無い姿を見せてしまって申し訳ないです、げん」幻滅するわけないじゃないの、だから、そんな顔をしないで

そっと手を両手を握り「何度でもいうわ、貴方は悪くないわ、幻滅なんてしない」小声で騎士様にだけ聞こえるようにいうと「すみません弱いところをみせて」っと私だけに聞こえるくらいの小声で返事をした後はいつものように

「警戒態勢!!音に反応してくるぞ!!」


戦士たちが一斉に動き出す、索敵班は索敵を一斉に開始し、戦士達は動けない私達を囲むように陣形を組む

「地中に音あり!地上からも音あり!」「上空も目視で敵を発見!最悪です、あれは位置を知らせる鳥だ!」

索敵班が一斉に声を上げる、地中からも地上からも空中からも敵に見つかってしまい、敵の大群が押し寄せてくるのが、私でもわかる

だって、大勢の大地を蹴る音が聞こえ大地を揺らしている。


「術式を使う!!」騎士様の言葉を聞いた術師が瞬間に反応する。

本来であれば最後の最後、切り札として使いたい二名が瞬間に魔力を高めていく、魔力を見るための魔道具が無くても目視できるほどの魔力濃度

大群用の術式を展開するようで力を溜め込んでいく。


その魔力に反応して術式の為に力を蓄えている二名の近くの地中から蛇のような生き物が飛び出すが、飛び出た瞬間に坊やに首を落とされていた。

飛び出すたびに次々と坊やが殺していく。


「投擲頼む!」騎士様が巨躯の女性に投擲の指示を出す

上空で遠方にいる鳥に向かって巨躯の女性が、その場に転がっている石や坊やが切り落とした敵の頭を掴んではぶん投げていく

あそこまで距離のある敵を弓で仕留めることは出来るのだが、一つ問題がある、数に限りのある矢が回収できなくなる

なので、失ってもいい物を投げてぶつけるのが良策であり、長距離まで敵が避けきれないほどの速度で物を投げれるのは彼女しかできない芸当

投げた石や敵の頭部はしっかりと鳥に直撃する。


「火炎瓶も頼む!」その声を聴いた補給部隊が即座に荷物から瓶を取り出し、火をつけて巨躯の女性に渡す。

鳥を打ち落とし、その鳥が落ちた場所に獣が集まることが多いので、補給部隊から火炎瓶を受け取り鳥が落ちたであろうおおよその場所に向かって投げる。

これだけでも、熱を検知する獣はそこに人が居るのだろうと勘違いして引き寄せられるし、鳥が落ちた場所に何かあるのだろうと知らせを聞いた獣が集まるので火によって敵が襲来するタイミングをずらすことが出来る。


足の速い獣が次々と襲い掛かってくる、猫タイプの獣、斑点模様が特徴的なやつが全速力でこちら向かって走ってくる、スピードを緩めることなくそのまま飛びついてくる。

騎士様は、飛びついてきた敵を受け止めるのではなく相手の動きにあわせて、盾を使って敵の下から腹に向けて腕力で敵を上空に打ち上げるように吹き飛ばす


獣はかなり上空まで飛ばされる、自分が鳥になったのかと勘違いするほどの高度


獣は空中で着地するための姿勢へと変えようとするが弓兵部隊が空中にいる敵に向けて弓を射る、弓矢が当たることで、新しい力が加わり、姿勢を変えようとした力の行き場が定まることが出来ず、ぐるぐると空中で回転しながら獣は地面に叩きつけられ糞王子の近くまで転がり、ピクリと動くことなく絶命する


その余りにも華麗な連携に心奪われそうになる


糞王子は何処が安全地帯なのかわからないみたいで目を泳がせている


他の戦士達も飛び掛かってくるタイミングに合わせて剣で腹を裂き、槍で口の中を突き、盾で鼻先を殴るように合わせ脳を揺らし片手剣で確実に喉元を裂く

各々が得意とする手法で確実に仕留めていく、おかげで、補給部隊や弱って動けなくなっている糞王子の一団に獣の牙や爪が届くことは無かった。


「地中反応なし!」「上空、鳥反応なし!」「地表、かけてくるやつがまだまだいるぞ!右舷団体さんのお出ましだ」

索敵班が次々と敵の位置を特定していく、右方向から大量の猪が全力で走ってこちらに向かってくる


「術式!展開!右方向!猪の集団に向けてアースウェーブ!」騎士様が術式を展開するために魔力を高めている二人に指示を出す

術式の内容は地面を波打たせ突進してくる敵の足場を小さく隆起させることで走る速度や勢いを殺させる手法

猪タイプの敵が長距離を全力で突進してくるときに非常に有効で、術式によって地面が波打ち、それに足をとられ転倒するモノも出てくる


勢いを失った猪の集団を、次々と手に持っている槌の部分で頭を潰していく巨躯の女性、転倒して起き上がろうとする猪の首元に的確に槍を突きやす坊や


後続から走ってくる猪の集団に向けて、頭を潰された猪の体を、次々と片手で持ち上げ、ぶん投げる巨躯の女性

肉の塊が高速で飛んでくる、自身が走るエネルギーが抑えきれない、高速で飛んでくる肉塊を避けれずに脳天から直撃し絶命する猪達


「左舷くるぞ!!」右舷の処理が終わる前に続けざまに左舷から大量の大きな歪な角が生えた鹿タイプの敵が走ってくる

騎士様がちらりと術式を放てる二人を見るが

「術式は、厳しいか」先ほどのアースウェーブを放った二人はまだ、魔力が高められていないようで連発は出来ない。


「敵の足元めがけてワイヤーショット!」

騎士様が弓兵の二人に合図を送ると弓兵の二人が呼吸を合わせて先頭を走っている鹿の足元にむけて矢を同時に放つ

矢と矢の間には硬い紐が結ばれていて、その紐の部分が敵の足に当たると当たった衝撃で矢の弾道がそれて後続にいる鹿の腹に刺さる、ワイヤーに足を絡ませて先頭の鹿が転ぶと、その衝撃によって矢が刺さった鹿も体制を崩し走る速度が落ちて、ふらついた瞬間に後続から押し寄せてくる鹿の大群に巻き込まれる、その後は団子状に後続も転んでいく


「火炎瓶投擲!」

縺れて転んだ鹿の集団に火炎瓶を一斉に投擲する、数はおよそ10本ほど

全弾しっかりと命中し辺り一面、火の海となる、そのまま燃えてくれれば楽なのだが、この程度であいつらは止まらない、何かで足止めしないことには火の海ぐらい簡単に渡ってくる、渡ってくるが、狙いは火によって敵を殺すのではない、火によって酸欠させ尚且つ、視界を奪うこと


燃えている集団に向かって走っていく戦士達、そう、視界や足場が悪く酸欠によって判断が鈍っているのであれば、いくら強固で歪な角を持っていたとしても、役に立たない。

鹿の足は細く突進力や崖などを登ることに長けていても、重い物をどかすのは得意ではない。

転がる仲間の巨体を片足で押しやるのは一瞬では出来ない、その為、どうしても動きに制限が出来てしまう。


火によって視界による情報が欠けているからこそ、戦士達の接近に気が付くのに遅れる、戦士達は鹿のサイドへと陣取り、槍を突きだし的確に鹿の首を狙い喉元に槍を突きさしていく。

歪な角も正面に敵が居ないと当てにくい、更に、機動力も奪っている鹿の攻撃手段の殆どを奪ってしまえば敵ではない、例え群れで来ようとも有利に働く要素全てを封じてしまえば怖くはない。


立ち上がろうとする鹿を見つけ次第、確実に仕留めていく。

敵の襲撃も見える範囲、聞こえる範囲の敵の殆どを倒し終える、全てにおいてこの戦闘は順調で。

怪我人もなし、糞王子の一団にも一切の被害なし、そりゃ、陣を突破されていないので当然、糞王子は何処に逃げたらいいのかわからないので動けないでその場で縮こまっている


耳を澄まして索敵している索敵班から次の情報が飛んでくる

「集団反応なし!これ以上の団体さんはいないぞ!…まて、いや、鳥が落ちた方向から何かがくる?足音がする!走ってこっちに向かってくる!!単独だ!前方からくるぞ!!」

右舷も左舷も敵を殺し終え、その言葉に瞬時に反応し前方へと視線を向けると騎士様が

「総員耐衝撃構え!!」盾を構えて衝撃に備える指示を出すと全員が衝撃に備えて身構えると前方から物凄い風が巻き上がる!?

それによって糞王子が吹き飛ばされ一気に後ろまで飛ばされる、まだまだ体力が回復していない一団も風に耐え切れず飛ばされていく


全員が異常なほどの自然では絶対に発生しないほどの風量を伴った風を感じたこともあり、前方からくる敵がいったいどのような敵なのか察する。


魔道具持ちだ


戦士達が一斉に神経を研ぎ澄ましていく、魔道具を持っている敵、即ち、二足歩行であり魔道具を持っている敵は



…犠牲者無しで討伐したことがない



全員が命を失う覚悟を決めたのか、覚悟を決めたものから順にゆっくりと前方で敵を警戒している騎士様の元へと歩いていく。

騎士様が敵の出方を伺っている、前に進めない。単独で突撃すれば騎士様と言えど死ぬ未来しかないからだ。


魔道具もちは先手必勝という言葉ない、後の先を取り続けないと瞬時に死ぬ。

タイプの見極めも、瞬時に見極めないと長期戦は他の獣を招く…応援を期待できない現状で長期戦は全滅する未来しかない


私は出来る限りの怪我人を後方へと引きずっていく、足がすくんで動けない人もいれば、ケガや症状によって動けていない人がいる。

非力な自分が憎い、鎧を着た人ってこんなにも重いなんて、私が必死に動けない人を助けようとしていると、少しでも動けるようになった一団の人達も手を貸してくれる。

捕球部隊は当然、騎士様達戦士の一団と一緒に戦う準備をしているので動けない。


少しでも早く、離れないと戦闘に巻き込まれる、あんな遠くから使った魔道具であそこまでの風力を生み出せるのであれば300メートル以上は離れないと巻き添えで衰弱した人たちは全員死ぬ。


糞王子は後方まで一気に吹き飛ばされたからある意味、一番安全な位置だけど、あー着地を失敗したのね、左腕が肘の辺りから完全に向かってはいけない方向に曲がってるわねー。

敵が居なくなったら診て上げなくもないが、撤退を宣言したら、かな~それ以外はしらん。


「来るぞ!!」

騎士様が声を荒げた瞬間にまた突風が巻き上がる、前に騎士様が風除けになってくれているからこそ、耐えれているが、それが無かったら、寝ている人も容赦なく上空へと飛ばされてしまいそうなほどの風が巻き上がる、ダメだもっともっと離れないと!!!前方に視線を向けると


あの騎士様が宙を舞っている…?


視線を上から前に向けると、大きな筒を持った騎士様よりも一回り大きく、いや、巨躯の女性よりも大きい!?筋骨隆々な猿がいる

その猿の重い一撃によって騎士様が吹き飛んだってこと?


「敵は魔道具持ちで、恐らくあの筒から衝撃破、あるいは、風を生み出すと推測できる!だが、見てわかる通りパワータイプだ!!各自、一撃を貰うなよ!!」

空中から地面に着地をしながらも的確な指示を出していく、それを聞いた全員が敵との距離を間合いを計るように動いていく。


「まずは敵の魔道具を奪うぞ!!連撃合わせるぞ!!術式の二人は警戒しながらも魔力を貯めててほしい」

騎士様が走り出す、敵も騎士様しか見えていないのか騎士様に向かって走っていく、片腕は大きな筒を持っている、その筒を薙ぎ払う様に振り回してくる

パワータイプと言うくらいで手に持っている筒が凄まじく振るたびにゴウっとここまで聞こえるほどの音が発生している。


筒の攻撃によって懐に飛び込めないでいると振り回した筒の先端を後方へと向けた瞬間に猿が一瞬で飛ぶように間合いを詰めてくる

後方に向かって魔道具で風を生み出し、その力を使って自身を弾に見立てて飛んでくる。

騎士様はその肉弾からの直撃を避けるために横に飛ぶと、猿がこちらに向かって飛んでくる!?


猿が地面に着地する音が気持ちの悪い音だった

寝ている団員たちの上に着地した音だった


私が避難に遅れたから…助けれなかった…


着地した猿は足元に転がっている元は人だった肉片を掴んで騎士様に向けて投げる

「…!!」

投げた肉片は先ほど猿が踏んでぐちゃぐちゃになった人達、その中にいた誰かの頭だった…


人の頭は重たいし、それを盾で受けてしまえば盾の機能が低下するので避けるしか選択肢がない

体制を崩しながらも投げられた物質を回避したが、敵の猛攻は止まらない手に持った筒の中に何かを拾って詰めている?

詰め終えたら即座に筒を騎士様の方に向けて何かが高速で発射され騎士様は盾で受けるしかなかった。


あいつ、踏みつぶした人の頭を筒に放り込んで、風で打ち出しやがった!!!

人をなんだと思ってるのよ!!!


盾で受けた人の頭はゴンっとえぐい音共に、吹き飛んでいく。

猿が着地した付近の人達の殆どが自分で動けない怪我人や症状が重い人達ばかり、自分では逃げれない

やめて、おねがい、やめろ!それ以上、たたかえないひとたちを!!


猿は近くに落ちている生きてようが死んでようがお構いなしに掴み拾っては、騎士様に向かって次々に投げていく。

その場でじっとしていると的になるだけなので、何とか体制を立て直して猿を中心に円を描くように走る。


他の戦士たちは何とか、猿の行動を止めたいが

弓兵は、矢を撃つことが出来ない外れたら確実に近くにいる人たちを射貫いてしまうから

槍を持つ戦士達も近寄れない、足元が血でぬかるんでいて足場が悪いし、人が転がっているせいで迂闊に近寄れない

坊やも同じ状況、当然、巨躯の女性も動けない、下手に動くと自分の攻撃で人が死ぬから、動けない。


術式を発動するために魔力を溜め込んでいる二人も何を使えばいいのか指示を待っている。


糞王子も、人の尊厳何て何も無い、敵からすれば人なんてただの肉片、殺す以外の価値なんてない、無間地獄のような光景に声が漏れるだけで動けない。

私だって動けない!近くに行けば確実に死ぬ、どうしようもない、助けれない!!誰でもいいから、これ以上、命を奪わせないで!!!


「アンダースローで敵の背中に向けて石を投げろ」

その声にはっとした巨躯の女性が素早く転がっている兜を拾いアンダースローで敵の背中めがけて投げる

アンダースローであれば、上から下に振り下ろすわけではないので猿が避けたとしても寝ている人達に当たる可能性は低い

巨躯の女性が投げた兜が猿にゴンっと重い音と共に当たるがダメージを与えたような感じはしない、だけど、視線を騎士様から外すことが出来た。


その隙を見逃さない人たちじゃない、戦士達が一斉に走り出し、騎士様も敵に向かって走り出しながら、地面に落ちていた一団が使っていた槍をアンダースローで投げる

飛んできた槍に反応が遅れた猿は筒を持っていない腕でガードする、敵の毛皮は堅いみたいで槍が刺さることは無かったが、腕を上げたことにより死角が生まれる


近くにまで走り寄っていた槍を持つ戦士が渾身の一撃を筒を持っている方の手のひらに向かって放つ

放った一撃はしっかりと敵の手のひらに刺さる、刺さるが敵が筒を痛みによって放すことは無く刺さった状態で腕を振り、槍ごと戦士を吹き飛ばす。


吹き飛ばされた戦士は地面を派手に転がっていく、その転がっていく戦士に向かって筒を向ける!?

「やらせるわけにはいかないねぇ!!」

駆け出していた巨躯の女性が全身の重みを使ったタックルで猿を吹き飛ばす。


戦士達の中で一番力が強いだけある、あんな200キロ以上もありそうな大きな猿を空中に浮かせる程の膂力をもっているなんて。


タックルした後は、足もとに転がっている人達を踏まないように何とか、体を捻って地面に転がっていく。


吹き飛んだ先に待ち構えていた戦士達が空中に浮かんだ猿に追撃をしようと待ち構えていると

筒の向きを待ち構えている戦士に向け、特大の風を放つと


戦士たちはその風の衝撃に吹き飛ばされ、空中にいた猿もまた、軌道を変え、坊やが居る方向へと飛んでいく。

「こいやぁ!!」坊やが叫び、猿に自分がここにいるぞと注意を向けさせる

猿は獲物を見つけた後は空中で姿勢を変え筒を振り下ろすようにして坊やに向かって攻撃する


私達は敵が離れた瞬間に駆け出し、息がある団員の襟をつかみ何とか、後方へと引きずっていく。

これ以上、無残に命を散らせてたまるものですか!!


地面が揺れるくらいの衝撃が伝わってくる、視線をちらりと坊やに向けるときっちりと避けてしっかりとカウンターで敵の喉元に槍を突きたてているが


刺さっていない!?どんだけ堅い皮膚なの!?


「離れろ!!追撃来るぞ!!」その声にはっとした坊やが槍を放して後方へとバックステップをすると

坊やが居た場所に向かって振り下ろした筒が振り回され、筒が空を切る


っていうか、あの筒、どんだけ頑丈なの!?あんなに雑に扱われているのにかかわらず、欠けたりヒビが入る様子すらない!?

きっと、あの豪風を生み出すために強度がものすごく高いのだろう。


だから、あんな力任せで攻撃する猿からすれば頑丈な壊れない近距離用の棍棒であり、遠距離にいる敵にも攻撃できる、遠近共に攻撃できる得物ってわけなのね、

そうか、だから騎士様は真っ先にその危険性に気が付いて得物を奪う方向で動いたのね。


長さも軽く1メートルはあるし、直径も人の頭が軽く入るくらいの直径、それを片手で持って振り回せるなんて相当な、握力…


これってさ、もしかしなくても、騎士様が言っていた一番危険度が高くて、要注意となる。


【自身の能力と嚙み合った魔道具を持った二足歩行】 じゃないの?


騎士様が落ちた坊やの槍を拾って筒を持った腕を叩くように振り下ろすとパァンっと甲高い音が聞こえる

綺麗に手のひらの部分に槍の腹の部位が当たっているが敵の手は得物を放す様子はない。

即座に槍をそのまま前に突き出し敵の腹に向けて突き出すが筒を持った手を筒ごと、上に振り上げ槍の軌道を逸らす。


振り上げた瞬間に敵の懐に飛び込む坊やに、騎士様が持っている片手剣を投げ渡し、それを受け取りながら敵の腹に向けて片手剣を突き出す

だが、坊やの渾身の突きも体を捻るように避けられてしまい、振り上げた手を下ろすように筒ごと坊やに向かって振り下ろされる


ゴンっと大地から大きな音が聞こえる、坊やは間一髪、騎士様が坊やの腰にある布を掴んで後方へと引っ張ってもらった力を使って避けれていた。


騎士様は再度、振り上げられてしまった槍を地面に突き刺すような勢いで筒を持った手に向けて今度は腹の部分でなく、刃の部分で叩くように当てるが放さない!?

猿は、筒を持っていないほうの手で拳を握り騎士様に向けて真っすぐ殴ろうと突き出す、なんとかスウェイバックで上半身を逸らして攻撃を避けるが、この体制は良くない!?

次の動きが制限される!!


「やらせるわけにはいかないっていってんだろぉ!!」

坊やが突き出された拳に向けて片手剣を突き出し当てるが剣先が刺さることは無かった。

だけど、その一撃のおかげで猿は一瞬だけ体が固まる。


「そおい!!」ガォンっと大きく派手な音がしたと思ったら

筒が打ち上げられるように上空へと持ち上がる、どうやら、巨躯の女性が槌の部分で筒の底の部分を叩き、その衝撃でぐるっと円を描くように筒が持ち上がったのだろう


その衝撃でも筒を放さない!?


だけど、猿は大きく体制を崩している!!筒を持った左腕がアッパースウィングしたかの如く天高く上がり、右腕はその衝撃でぶるんっと横振りをするように横線を描き、右足は地面から離れていて、左足のつま先だけが地面についているだけ。


この好機を逃すわけにはいかない!!


騎士様は左膝裏に槍を突き、その衝撃で猿はガクっと膝が曲がり背中を地面につけるように倒れそうになるが筒の方が先に地面に突き刺さる

その瞬間に坊やが筒の上の方に向けて蹴りを繰り出し、巨躯の女性が筒の下側に向けて槌を再度、打ち付ける


寸断する力によって筒の中央近くからぼっきりと筒が折れる


筒という支えが無くなり猿は転がるようにその場から離れていく。


転がってむくりと起き上がる、じっと筒を見ている、ぶんぶんと振ったり筒の先端があった方向を騎士様に向けるが何も起こらない、どうやら完全に壊れたみたい。


その光景を見たあと、他の戦士の様子を見るために、視線を他の戦士達の様子に向けて状況を確認すると、戦闘音で集まってきた獣たちと戦っていて、こちらの攻撃に参加する余裕が無さそうだった


視線を猿に向けなおすと


目が合った?


その瞬間、目の前に飛んでくる筒だったもの

あ、死んだ、これ避けれない、あいつ手首のスナップだけでこんな勢いよく投げてくるなんて思わないじゃない?


死を覚悟すると、世界の動きがゆっくりになるんだね、知らなかったなぁ、永遠とこの時が続けばいいのに、騎士様、申し訳ありません。

貴方との約束は、私から破ってしまう形になってしまって、貴方だけでも生きてください。


ちらりと視界に見える騎士様のなんて、悲しそうな顔、お願い、私の仇を取ってください、そして、私の死を理由に撤退してくださいね。

絶対に生きてください。






視界が真っ暗になる








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