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最前線  作者: TF
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Cadenza 戦士達 ⑧

なので、出来るだけ研究塔には近づきたくないかなー…指示を求められてもこまるもん。

この状況で何も指示を出さないのは研究塔の皆が不安になるし、今代の私が勧めていたプロジェクトについて質問を出されたとしても即座に答えれる自信がない。

ベテランさんの姪っ子ちゃんが私の事を尊敬しているのだとしたらなおさら?どう接していいのか今はちょっとその、負担、かな?会いたくない。


かといってさ、こんな大っぴらな場所にいると、誰かしらに捕まりそうだしなぁ…さらには病棟に帰るとしても、うーん、誰かに会うよね?んー…なら

「ねぇ団長」

病棟に向かっているであろう車椅子を押してくれている団長に声を掛ける

「なに?予定変更?」

予定、変更でもあるの、かな?うん、その路線で行こう。

「点滴とか、お薬とかは団長だけでも受け取れるよね?」

「うん、そりゃぁ、まぁ…どうしたの?歯切れが悪いけど?後ろめたい事でもあるの?それとも、何か思いついたの?」

思いついたわけじゃないから後ろめたい…ちょっと独りになりたいからっていってもいいのかなぁ?


…そういう時に便利な言葉がある


「えっとね、ちょっと独りで考えたいことがあるから、誰にも邪魔されない場所とか、あったりする?」「魔力は必要?」

思考超加速をするから邪魔されない場所に案内して欲しいって思ったのかもしれない。

考える=魔力が必要、ってのは失ってきた私の過去が示しているから、その判断は凄く助かるけど…


残念ながら思考超加速は使わない、ううん、使えない。


直感で理解しちゃってる、あれは…体への負担がかなり強い。

今の私がその負荷に耐えられる可能性が未知数すぎる、ううん、たぶん、使えたとしても長くは使えない。


だから、ここぞって時以外は使いたくない。


うん、この先、くる可能性高い…私が想定しているシーン以外での使用は控えるべき、出し惜しみはしないけれど、今は違う、今は使えない、使うわけにもいかない。


「ううん、魔力はいらない、あとね…えっと、うん、そう、だね、出来れば敵の…高い場所から全体を見渡せて誰も居ない様なそんな場所、ってさ、あったりする、かな?」

この街で高い場所ってなると…

最近?建設したであろう塔か、昔からある始祖様が瞬時に造ってくれた大壁、その上に先人が築いた見晴台かな?見晴らし台だと

「なら、魔力を飛ばすことが出来る塔が一番じゃない?あそこなら関係者以外立ち入り禁止だし、殆ど、私とメイドちゃんが独占しちゃってるから、そこなら…でも、あそこ寒いよ?」

何方の方が良いのか悩んでいる最中に提案してくれるのだが、聞きなれないワードに思考が引っ張られてしまう。


魔力を飛ばす、塔?

─地下にある人々の祈りが満たされた大型魔石と直結している塔があり、塔の頂上ある魔道具によって遠方へ向けて魔力を飛ばすことができ、これによって有線を使うことなく遠方でも魔力を

はいSTOP、凡その内容はわかったから大丈夫。


移動している時にちょいちょい見えてた塔で、最近?建設が終わった塔だよね。

よく王城よりも高い建物を造れたものだよね、って思ったりもしたけれど。

今代の私とアレとは程よい関係性だったからこそすんなり申請が通ったんだろうね。


確かに団長の提案が一番だとおもう。

あそこであれば誰も邪魔しないだろうけれど、あそこって、構造どうなってたっけ?っていうか、一番上まで登るのって階段じゃなかった?

まぁ、見張り台も階段で登るんだけど、そっちの方が低いから、団長の負担を考えればそっちの方が良い気がするんだよなぁ…でも、あそこは誰でも来ようと思えばこれちゃうからなぁ。


ってか、まって、寒いの?ぁ、そうか、高い場所は風が強いの、かな?

まぁ、ゆうてじゃない?肌寒い風が頬をなぞる程度でしょ?


団長には申し訳ないけれど、ほら?私って軽いじゃん?階段の10段や20段…5階以上ありそうな高い塔くらい、さらっと登ってくれるよね?

「そこがいいかも、連れてってくれる?」

「うん、わかったけど…んー、大丈夫かな?上にはタオルケットもあるし予想以上に寒かったら直ぐに連絡してね?」

れん、らく?…魔力のピンでも飛ばせばいいの、かな?

「ああ、うん、お願い」

取り合えず頷くと車椅子の向きが変わり塔へ向かって運ばれていく。

その道中で遠目にメイドちゃんが誰かと話をしているのが見えたけれど、助け舟を出すつもりはない!

誰かと話してるってことは、私がお願いした足止めをしてくれているってことだよね。きっと彼女なら大丈夫!たぶんね。


塔の近くに到着すると大きなドア、ううん、門が見える。

大きな門に向かっていくと思いきや?てっきり門に向かっていくのかと思いきや?

門がある場所とは違う場所へ向かっていくんだけど?あそこが入り口じゃないの?


目の前にある、ここが入り口だよって如何にもな門をスルーするのはどうして?

入り口じゃないのだろうか?


ってか、今代の私が記録はこういう時、だんまりなんだよなぁ?

余計なことは自慢げに語る癖に、知りたいとき動かないのってどうなん?まぁいいんだけど?


そりゃ、あの時に今代の私の記憶が蘇ったとはいえさ、瞬時に細部までを完全に見渡して把握するなんて出来るかってーの。

重要なことはある程度、思い出したけどさ些細なことに関しては今代の私が見てきたもの全てを把握したわけじゃないって、追々、些細な部分に関しては必要な時にでも思い出していけばいいと思っていたんだよね。

だから、研究塔や術式班…他にも℃の部隊が何をしているのかってのは完全に把握しきれていない。


今、優先することを思い出していけばいいっておもって、たん、だけど?


塔をぐるっと半周すると塔の影から見えてくる鉄の棒があつまって、たぶん柵、かな?…

監獄のように鉄の棒に囲まれた場所があるんだけど?この塔ってそういう処罰を行う場所も兼任してるの?

へー、っと何でこんなの作ったんだろうと考えている間に

そのカンカンっと靴が地面を叩く音を鳴らしながら柵の中へと入っていく。


床は地面じゃないんだ、鉄板、なんだ?

柵の中心でとまると私の前へ出てきて何か見てる?

なんで、ここに止めたんだろう?ぁ、ここに門を開けるスイッチがあるとか?

「よいしょっと」

団長が柵の中で何かを掴みぐるぐると回すと入ってきた場所にゲートのように柵が閉まる…閉めちゃダメじゃん?それじゃまるで牢屋みたいだよ?なにここ?

「えっと、魔石…よし、反応あり、えっと、柵よし、えっと突風なし、よし!」

団長が指さしで上空とかも確認している?

最初に魔石っていったけれど、ここって何かギミックがあるかんじ?

あれ、かな?先ほどの門はダミーで此方からしか入れないようにしてるっとか?ってことは、この先の壁が実は壁のように見えるだけで本当は何もないっとか?そこにあるっていう認識をずらしてるっとか?


何だろう?っと不思議そうにしていると泥の奥から多くの瞳が悪戯っ子のような邪悪な視線を向けてくるのに気が付くと同時に悟る


何かあると


そう思った瞬間、床の鉄板が揺れ、っていうか、動いてる!?

「ぉ?おお?これって!」

「へー!凄いよね!昇降機構って名前だっけ?色々となんかあったみたいで研究塔の皆が調整をしてくれてたけど、報告書的に終わったって連絡来てから初めて乗ったけど、こんな感じなんだ!!」

団長は既に経験済みなのかな!?っていうか、私は前のを知らないからその感動は無いけれど!違う感動が込み上げてくる!


ってか、あるんじゃん!エレベーターじゃん、これってさ!!!


ぇ、すっご、ぇ!?今代の私って、エレベーターまで再現しちゃったの!?

ゆっくりと上昇していく床に感動し、視界が開けていくように高さが上昇していく、塔がどの程度高いのか、凡その高さは把握しているので、その高さまで上がるのであれば確かに遠くまで見渡せると心の奥底が好奇心からなのか歓喜の衝動が湧き上がってくるのと同時に風が吹くと柵しかないためかもろに風を受けてしまう。

「さむ!?」

通り抜けていく風が思っていた以上に強く、その上鋭い、冷たく肌に刺さり驚くのと同時に、唐突に脳内で木霊するワード、団長が『初めて乗った』という不穏なワードが脳内を駆け巡る、つまるところ…


「ねぇ、団長って普段どうやって塔に登ってるの?」

風が私の声を消してしまいそうだったので不安だったけれどしっかりと届いたみたいで

「普段?階段だよ?中にある螺旋状の階段、塔の内壁に取り付けられた石段を自分の足で登っていくよ?」

先ほどと違って大きめの声で返事を返してくれる。

つまるところ?これって初めて動かしたり、して、たり、しない?

テスト運転とかはしたのだろうかと考えてはいけない考えが思いうかび、視界がどんどんと開けてくほどに高く上がり続けるのと同時に、今私は何処にいるのかと嫌でも理解させられ、この状況でもしもが起きてしまったらという良くない想像に血の気が引き

「て、て、し」

こんな情けない死に方は嫌だと団長に確認しようとしても

「はー、風がつめたーい、今は心地いいけどさ、長い時間この風を浴びるのは寒そう」

目を細めて腕を広げて風を堪能してる!!

団長に手を伸ばそうとすると

「ぴ!?」

ガタンっと大きな音と同時に地面がゆれ、揺れた!!

「あ、着いたみたい」

手を伸ばした状態で固まった私に何も言わず開けた視界のまま車椅子が下がっていき

「はい、ここなら静かだし、外も見渡せるし、ちょうどいいのかな?司令官様」

冷たい風が頬を撫でていくのと同時に心臓も冷え切ってしまいそうだった。


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