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最前線  作者: TF
639/694

Cadenza ③

ほら見た事か!団長が上半身を起こしちゃったじゃないの!

小娘のせいにするべく

「ほら!起きちゃったじゃないの!」「私のせいじゃないですぅ!!」

責任を押し付けてみたが当然ね!受け入れるほどやわな小娘じゃないのよね!


何度も何度も飽きることなく私の腕を叩き続けるだけで飽き足らず口答えが絶えない小娘をこれ以上相手にしていても致し方ないわね!


それよりも!起きてしまった最愛の娘に言い訳…挨拶をしないとね!


この状況を言い訳、ではないにしても説明するために、起こしてしまった団長に声を掛けようした刹那、彼女を見て考えていた言い訳が思考の中から溶けるように消え何も考えることが出来ない、出来なくなってしまう…だって、かの、あ、の姿を見て思考が・・・全てが真っ白に染まってしまう。


起きてしまったのは団長ではない、私は、私達は何を起こしてしまったのだろうか?


金色の瞳に金色の髪


あの、黒くて何処か青みがかかっていると言われている髪の毛が

金色に輝いている

あの、黒くて吸い込まれて行きそうな程、目が離せない魅惑の黒い瞳が

金色に輝いている


見える、私には、彼女の色が見える

嗚呼、ああ、嗚呼、それにしても

なんて、なんて…かわいらしいの…


言葉なんていらない、これが私の使命だって教えてくれる

目の前にいるひとを



まもらなきゃ



このこを


まもらなきゃ


あいさないと


いけない


まもらないと


いけない


ああ


なんて


かわいらしいの


ああ


なんて


かわいいの


ああ


ことば


なんて


いら・・・ない・・・


すべて が そまる うつくしき 金色 へと






『起きろサクラ!!緊急事態だ!!』

ぇ!?何!?

唐突に頭の中で響き渡る声に飛び起き慌ててベッドから立ち上がる…あれ?足が動く?

『今はそんな、悠長なことを言ってる場合じゃない!■■が目覚めた!!』

ぇ?誰が?何?

寝起きの影響で思考が定まらないのに捲し立てないで欲しい。

『団長だ!■■の魂が妖精に引っ張られている!このままだと街が妖精の魔眼で洗脳される!!』

…ぇ!?この、タイミング…考える事なんて決まってる!先生が動いてきた!!

油断、なんねぇなぁもう!!

っていうか、ちょっとまってよ!そもそも■■■くんがいないのに妖精の魔眼なんて発動できるの!?

『・・・出来るとは思っていなかった、何も策を講じない俺らではない!念のために封印も施していたんだ!だが!そんなの、意味がなかった、何も意味をなさなかった!蔑むかのように無意味だったと今この瞬間に嘲笑われてしまったよ!!頼む!魔眼を止めてくれ!最悪は』

その最悪はさせないよ!策があるんでしょ?妖精の王様!!

『ぁ、ぁあ?あることは、ある、だが、いや、だが』

迷う内容ってことは犠牲が伴うってことね!

させない!私がそんなことをさせるわけにはいかない!ルの力を総動員してでも跳ね除けてやらぁ!!


ドアを勢いよく開け、焦る気持ちを落ち着かせながら隣の部屋へ駆け出し地面を蹴る勢いを止めることなくドアを開けるとありえない光景に声が漏れ落ちてしまう「だれ?」ベッドの上に黄金の髪に黄金の瞳、そして、トンボのような透き通った羽を一対、二対と折りたたまれている翅を羽ばたくためなのか広げようとしている…


そして、そのすぐ近くには二人の女性の姿がある。

祈りを捧げる様に金色の何かを見守り続けている


『ありえない、完全に魔眼をコントロールしている…僕じゃないのに』

僕じゃないのに?ってことは、何かしら条件があるってこと?具体的に魔眼をコントロールする条件は!?

『僕と同じさ、妖精として成熟し大人、つまりは、小さき妖精を導く王へと至ることが出来る器へと成熟したとき。妖精として繭を抜け…皆を取りまとめる大人へと…一族を守るために力を求め己という器が成熟した時に僕たちは王へと至るきっかけを得る』

えっと?成長すれば魔眼を使えるって事だよね?ならさ、成長するのに外部的要因って何かあったりするの?

妖精族の王に成る条件としてさ、他にも、王が居た場合はどうなるの!?

『王が一人とは限らない、二人以上居ても、何も問題は無いんだ。他の王が健在で在り機能しているのであれば、時と場合によっては、新しき王は里から離れ違う場所で王として小さき妖精を導くだけだ、他の王が共存を望めばそのまま王として共に歩む、王がひとつとは限らない』

妖精族の生態や国のルールってのは詳しく知らないから、もしかしたら、王が一人という限定的条件ってのがあれば此方の妖精王を全力で顕現させれば食い止めれるかもって思いついたんだけど無意味ってことだね!なら、この閃いた案は無し!次は…


そもそも、団長の自我は?どうなってるの?彼女は人だよ!?魂が人であれば、妖精になることなんて出来ないよね?種族を変化させる呪法でもあるの?


『敵の全てを知り尽くしているわけではないが、何かしらあるのだろう、もう一人の俺が今■■の精神を浮上させて、それをやっているよ!試みている!だけど、パスが繋がらない!完全に此方側からのアクセスが拒絶されている!距離が離れているからダメなのかもしれない直に触れて魔力を繋げれば…』

セキュリティは万全ってことね…それを強引にこじ開けるには、力づくってのがセオリーだよね。

解析なんて悠長なことしてらんないからね!

っとなると!私の魔力残量的にいけそう!?

『厳しいな、正直なところ…ここで消費するのは得策じゃないっと進言してしまうよ。先の戦いを知っているからこそ臆してしまう、貧すれば鈍するっというやつか・・・』

臆してしまうのはわかるけど!使いどころを見誤って後悔するのは無しだよ!!

先生の狡猾さは非常に非道だからね!だからこそ、敵もその策を採用している!

それが…私達を助けるための布石だとしてもね!


先生からの助言だからと言って、この状況を打破する術が無ければ、終わるってのも困ったものだけどね!!


っでさ、このままだと街はどうなるの?ううん、団長はどうなるの!?

『わからない、過去においてあの状態になったとき、俺は外に弾き飛ばされている…まて、つまるところ、俺は、魔眼を制御するために埋め込まれたのでは、ない、のか?』

寧ろ、邪魔だったんじゃない?魔眼をコントロールする術があるからこそさ、敵からすれば街を滅ぼすのにコントールを握っている人が居るんだとしたら邪魔も出来るってことでしょ?

敵からすれば邪魔をされたくなかったんでしょ!

『なるほど、暴発を防ぐための安全装置ってわけか、必要な時は機能させ、いらなくなれば排除する。っと、合理的だな、って、今はそんな事を考えている場合じゃない!それどころじゃない!策はあるか■■■!!』

なんか、私の質問がスルーされた気がするんだけど?気のせい?わからないは両方に対して?

って、そんな些細な討論は終わってから!


この瞬間も団長の翅、は、ね…ん?翅から黄金の光の粒子が団長の周りに漂って、あれは、膜?

『…違う、アレは繭だ』

だとすれば、団長は蛹?…わかんない!わかんないけど!良くない流れなのは確か!!


今は現場を優先!!この状況を打破するために策なんて直ぐに捻り出せるかっての!!


まずは…

瞬時に即座に!最も適した条件に合う術を導き出す!

第一に魔力の消費が少ない術!

該当する術士となると!ルの歌を歌う!それなら魔力の消耗は少ない!

もっと魔力が必要な時が来るのだとしたら!

私が保有する魔力残量が少ないのなら補えばいい!!


まずは、魔力源を確保する!!


繭を形成し蛹が羽化する。

それを崇め祈りを捧げる様に蛹を愛でている二人の守護者がいる、見知った二人、されど、その二人こそ、羽化するのを見届けるのに相応しい人物。

もしかしたら、あの二人から魔力を吸い出している可能性もある!動力源を敵から奪う!


つまるところ!あの二人を正気に戻して此方の駒にする!!

お母さんとメイドちゃんの意識を妖精の魔眼から解放する!!


私は知っている!他者に干渉し意識を、思考を誘導する敵の邪法を弾く術を!!

歌って!!破邪の歌を!!


敵からの干渉を遮断する結界を生み出す!!


一つの目が開き破邪の歌を歌い周囲に結界を発生させ

「お母さん!メイドちゃん!!」

結界が周囲を包み込んだ瞬間、二人に声を掛ける…敵からの干渉は遮断できているはずなのに!


何一つ反応しない!?


『心の底まで魔眼が浸透している!気をつけろ!もし此方を振り向き俺らが敵だと認識されたら飛び掛かってくるぞ!!』

っげ!?そうなの!?二人に声を掛ける前に教えてよ!!

洗脳された人物達の力強さは痛い程…体に穴を開けられているから知ってる!!

そうならない、そうさせないために防御策を講じる!!


いつ二人が飛び掛かってきても良い様に抑えつける歌の準備を!

私は知っている!ずっと傍に居て欲しい人が離れて行ってしまった歌を!


歌って!愛する人が旅立たないようにする歌を!!


泥の奥へと指示を出すと同時に祈りを捧げている女性二人が同時に静かにゆっくりと祈りを捧げる姿勢を止め動き始める

一人の女性が先に動き始める!

警戒しないと!淑女だって言ってるけど!全然そうじゃない!

お母さんは、ああ見えて手数が豊富なところが厄介!力でも術式でも!どちらでも私を殺せる!!

ベッドの上で何時、羽化してもおかしくない新たな妖精の王、その誕生を見守り続けている女性が体をゆっくりと捻り顔をこちらに むけ…


彼女のそんな表情を見たくなかった。

見た瞬間に吐き気と憎悪、そして、その表情をさせた敵に向けて怒りの炎が全身を駆け巡る。


表情を見た瞬間にこれはダメだと諦めてしまいそうになった!

私に、そんな事を思わせた!この私に!!許せるものか!!

あんな…あんな!狂った、悦と絶望が入り混じったお母さんの視線!

それを私に向けさせるなんて!!


少しの間、我慢してね!!直ぐに正気に戻してあげるから!!

歌って!!愛する人が旅立って行かないように!鎖を!!


再度、泥の奥へと呼びかけるがどの瞳も歌おうとしない!?


魔力が足りない!?


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