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最前線  作者: TF
638/694

Cadenza ②

返ってきたピン、その反応を即座に分析したのか

いそげ!

っという声が内側から響いてきたので躊躇うことなく堂々とドアを開けると「っち」即座に舌打ちが出迎えてくれた。


部屋の中では小娘がメイド服から誰かに見られても問題の無い寝巻に着替えていて、額に汗を浮かべ心なしか、息が荒いし、鼻の穴が大きく広がっている。

そんな状態でベッドに潜り込もうとしている。

それも…団長が気持ちよさそうに寝ているベッドにね!!

「・・・」

小娘を睨みつける様に幾ばくのか殺気を込めて視線を向けると小娘も警戒しながら此方を睨み返してくる、良い度胸してるじゃない。


お互い、その視線を外すことなく睨み続ける。

警戒しながら病室の中にある誰も寝ていないベッドを動かす為にキャスターのロックを外し団長が起きようが躊躇うことなく音を出しながらベッドを運び

「・・・」

恨めしそうな顔で此方を睨んでくる小娘の視線に負けじと邪魔よっと言わんばかりに睨みつけると団長が寝ているベッドから離れたので直ぐにベッドを押し進め団長が寝ているベッドの真横に運んだベッドをくっつけ手早くキャスターのロックによって動かないように固定すると

エロ猫が何も言わずにベッドに登ろうとするので首根っこを掴み

「・・・」

にこやかに鞄を目の前につきつけると、眉間に皺をよせ嫌そうな顔をする

「・・・」

小さな声で小姑と言われたが知ったことかと圧を込めて、ひるむことなくにこやかに鞄を押し付けると、此方にわざと聞こえる様に小さな舌打ちをした後、鞄を開き中を確認すると、ふっと吐息が漏れ笑ったような顔をする、その笑みは確実に憐みの見下す笑みね。よかったわね、いまはわたしで…

見下してくる視線のまま、ゆっくりと唇が動き音も無く声を伝えようとしてくる

『お・そ・い』

成程、既に服を運び終えていたってことね

渡した鞄をベッドの横に置こうとするので腕を掴み机の上に置けと指を刺すと嫌そうな顔と溢れ出る溜息を私に浴びせてから机がある方へと向かい歩を進める、その姿を見て思うことは一つ


っふ、馬鹿め


白衣のコートが皺になろうがこれは譲れない!!

即座に靴を脱ぎ捨て手早くベッドの下に取り付けあるマットを取り出し、素早く登りベッドを横並びにしたときに出来る小さな溝を埋める為のマットをはめ込んで飛び込む様に、気持ちよさそうに寝ている団長の横を陣取る!!

そして!勝ち誇った表情で小娘の方へと視線を向ける!

「・・・!!!!」

何度も何度も怒った表情で指を刺してきて手首を全力で動かして、どけ!と、ジェスチャーを送ってくる

そんな合図を完全に無視して体を横向きにし団長の方へと体を向ける

ベッドに小娘が昇ってくる振動が伝わってくる

「!!!!」

肩を何度も叩かれるが無視し続ける。この程度で退くと思って?

肩や背中から伝わってくる殴打を感じながら、ドアを開けた瞬間の事を思い出してしまう。


考えるまでも無いわね!あの小娘!病室でおっぱじめる気だったでしょ!!


エロ娘が何を狙っていたのか!まったく!娘の貞操を守る為にも!お義母さんは頑張るからね!

肩や背中を叩かれ続けてもね!その程度の力!マッサージとしか感じないわね!


心地よいマッサージを受けながら団長の頭を撫で慈しむ。


心が洗われそうな程、溜息零れる美。

綺麗な顔立ち、黒い髪、女性としての魅力を持ち合わせたまさに美の象徴

そう、美の神として崇められてもおかしくない程に、完成されている。

この美を紡いだ騎士様、その血筋である、スピカ。

きっと、スピカも団長に負けないほどに美しく育ってくれるでしょう、だって、私と騎士様の子だもの。


この美しさは凡人では何をしようがどんな努力をなそうが到達不可能だと理不尽に言われても、納得してしまう、それほどの究極の美を堪能していると、小娘が諦めたのか背中から伝わってくるマッサージが止む。中々に絶妙な力加減で嫌いじゃなかったわよ?っと?

背中に何かが密着するかのように体重を預けてくる。何かなんて言わずもがな、ね。往生際が悪い事で!

恐らく小娘のやつが後ろ側のスペースを無くすように詰め寄って寝返りすら出来ないようにして動きにくくなった私が観念して団長の隣を譲ってくるのを待つ、っという作戦でしょうね!


その作戦がどれ程、貴女にとって不利なのか、わかっていないのかしら?

いいじゃないの!根競べ?この私に?待つのなら得意よ!!


引くものかと意固地に…いいえ、これは愛する娘を守る為!意固地?違うわ、引けない母としての保護者としての!戦いよ!!


引くと言うことは!すなわち認めたも同然!私を力づくで納得させるのは無理よ!絶対にね!!


小娘の体重を預けてくるかのように私の体を団長の方へと押しこもうとする。

押されても愛する娘に体重を預けるような体たらくなことはしない!

しっかりと踏ん張る為にベッドに手をついて、更には、ベッドを運ぶときに押す為にある柵上の手すりを力強く握って踏ん張り続ける。

気持ちよさそうに寝ている愛する娘を起こしてなるモノかと、気合を込め歯を櫛ばり続ける。


小娘からすればただただ、体重を預けつつ押すだけだから楽でしょうね。

五分?十分?いかほどの時が流れたのか知らない間、歯を食いしばり続ける。

今の状態を姫ちゃん、他の人から見たら、誰も得しないのに何をしてるんだと呆れるでしょうね。

守ってあげている団長からしても、何をやっているのかと呆れてしまうのは十二分に承知している。


引くわけにはいかない譲るわけにはいかない戦いが静かに続けられていく。


ぐぐ、小娘ぇ、いい加減あきらめなさいよねぇ…

っていうか、小娘もわかってるでしょぉ?

この部屋に私が居る限り何かが起きるような事なんてさせないってのは、わかっているでしょう!

私も、私がこの場所を小娘に譲ったとしても小娘が私が居る限り手を出すような事ないっていうのはわかっていても!!

一線は超えようとしなくても!!

団長の隣にあのエロ娘が横になってしまったら!

あのエロ娘が何をするかわかったもんじゃないの!


嫌なの!純粋にぃ!!

愛する娘があれな感じで触れられるって言うのが我慢ならないのよ!!

見過ごせるかっての!!!


短いけれど、長く感じる時間、日々の疲労が溜まっているせいなのか

「ぬぎぎ」

踏ん張り続けるために小さく抵抗する声を漏らしてしまい、即座にやってしまったと後悔する。

姫ちゃんに何かあれば直ぐにでも動けるように人の声に反応するように意識を残しながら寝ている団長の目の前で声を漏らしてしまった!


予想通り、意識が目覚めようとしてる!

寝ていた愛する娘の眉間に皺が出来てる!起こしてしまったかもしれないわね!


両腕に力を込め背中にいる小娘を押しつぶすように寝転がると

「ふみゅ!!」

小さな潰される声が聞こえ文句が出る前に

「静かになさい、団長が起きるでしょう」

「・・・!」

起こしたくないでしょう?っと注意する。


背中に押しつぶされている小娘が私の肩を平手で叩き小さな音を奏でてくるので、ゆっくりと離れようとすると「っの!!」押してくる!?

元の位置に戻ろうとする私の力を利用してくるじゃないの!!

起き上る為に込められた力の向きを合わせるように押してきやがった!!狡賢いわね!!


慌てて両腕に力を込めて踏ん張るとベッドが大きく軋んでしまい

「・・・んぅ」

その衝撃によってベッドが揺れ、団長の美しい顔に皺が!

「危ないでしょ!」

感情のままに背中にいる小娘を押しつぶそうとすると次は背中に手を当てられ押しつぶされないように抵抗してくる

「その、お言葉ぁ!そっくり、そのまま返しますよ!」

お互い団長を起こさないように小声で

「小娘、が!小さな胸をもっと平らにしてあげようかしら!」

「その、大きく怠惰な尻を乗せないでくれませんか?重いんですけどぉ?」

お尻の、殿筋部分を硬いものでドアをノックするように蹴られる。

膝蹴りしてくるなんて、手段を択ばなくなってきたわねぇ!

「はぁん?この魅惑なボディが怠惰だぁ!?」

更に力を込めて膝蹴りすら出来ない程に密着する様に圧し掛かる

「怠惰でしょう!筋力が落ちて!胸も臀部も垂れ下がっていませんかぁ!?」

「ぁぁん!?しっかりと殿筋も鍛えてますぅ!大胸筋も小胸筋も!舐めんなよ、こ・む・す・めぇ」

歯を食いしばって腹筋にも力を入れる。

小娘が私の背中から抜け出れなくして降参するまで、押しつぶす!

「はは!何を!仰る!ことですかぁ!?見てますから!姫様とお風呂をご一緒したときに、見てますからぁ!」

必死に腕の力を使って私の体を持ち上げようとしてもね!貴女程度!力比べで勝てると思って?

「いつの話をしているのかしら、ねぇ?何十年先の未来でも見てしまったのかしらねぇ?」

「いま、ですよ、い・ま!」

誰が見ても無様だと溜息を零されるほどに罵り合っていると



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