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最前線  作者: TF
634/719

おまけ 姦しい奥様達 ⑥

ユキがいない?

愛する騎士様の子はただ一人だけ

そして、ユキがいない?


自身の閃きが正しいのだと感じてはいるが、一つの可能性が浮かび上がって否定してくる。

だって、彼女は男である部分にストレスを感じている、姫ちゃんも私もそういった部分を徹底的にケアしてきた、姫ちゃん曰く、彼女の心を守らないと彼女がこの街を去ってしまう程って…


私としても、ユキがこの街に居て欲しかった、姫ちゃんとユキが一緒に遊んでいたりする姿を見て、感極まってしまうほどに、嬉しかった…そんな二人が一緒に遊んでいる時にかちあったときは、ちょいちょいからかったりしたのは内緒よ?だって、あの頃の私は、姫ちゃんの想い人ってユキなんじゃないかって疑ってたりしてたから。


そんなユキが男になるって決心をするとは思えれないのよ。

医学書を読み漁ってきたからこそ、近しい症例を知っている。


ユキは、多重人格?もしくは、悪魔憑き?

私と近しい可能性は?あるんじゃないのかしら?

一瞬だけ、内側から睨まれたような気がする、わかってるわよ、貴女は悪魔じゃないわよ、過去の症例でそういう風に記載されていた症例があるだけよ。


もし、姫ちゃんがその事を知っていたら?

そして、その男性としての人格が姫ちゃんの想い人だったら?


だから、あの子は、ユキを、団長と関わろうとしている?

あの子は、ユキの中に眠るもう一人の人物を呼び起こしたい?


あの部屋で見た大きな剣、あれを扱えるのは…並大抵の人では出来ない。

可能性があるのは、女将か…騎士様の血筋。


点と点が繋がっていく。

あの子が好きな人は、ユキであって、ユキではない。

恋の伝道師としての直感がそのありえない可能性を肯定する


だって!あの子が求めるもの全てが団長にはあるのよ!


綺麗な顔立ち!

全てのバランスが整っている身体!

この大陸では珍しい黒髪に黒い瞳!

始祖様と重ねてしまいそうになるほどの美貌!

平民だろうが貴族だろうが、誰もが認める美!

見た目に関してはパーフェクトなのよ!

これ以上、姫ちゃんが求める理想的なプロポーションを持った人物何ていない!


更には!

性格も、ちょっと子供っぽい所があるけれど基本的に気遣いが出来て器量よし!

術式も、あの子ほどではないけれど、扱えれる!

地頭も悪くない!教えればいつかは覚える!

物事に対しての切り替えも早いし、思考も鋭い、ただ、ちょっとだけ、戦士気質なのよね…

何かあると直ぐに手が飛んでくる…痛いのよ彼女の一撃…手が早いのが困りものだけど!


内面も外面も全てに置いて、姫ちゃんが求める全てが揃っている。

…ぁ、だから?だから、姫ちゃんは肉体を全てを培養する研究をして、いた?


姫ちゃんの部屋を訪れた時に掃除していたから手伝ったりしているのよ、つい、気になる論文があって手に取ったことがある。内容は、何処まで培養できるのかって内容だったけれど…


もしかして、その研究は団長の為ではなく、自分の想い人に体を用意する為?

だったら、どうしてその研究に没頭しなかったのかしら?

その一点が気になるけれど…


当時の私は、あの子が、姫ちゃんが、求める理想像に凄く近い、だから、私は、姫ちゃんが好きな人は団長だと思っていた。

だから、あの研究は単純に戦士達を支える為の研究だと思っていた。だから、優先度が低いのだと、でも、この仮説が正しいのであれば…気になるわね、どうして、求めるもの全てを欲する彼女が研究に没頭しなかったのか。


姫ちゃんが見ていたのはその奥?ユキの中に眠るであろう、もう一人の人格をみて、いた?

問い詰めたくなるわね…でも、はぐらかれそうねぇ…


仮にこの仮説が正しいのだとすれば、あの子が…

団長をずっと傍に置き、気にかけていたのも、納得ね。

好きな人の体であり、好きな人の心がユキを通して自分を見ているのであれば…


女として!愛する人の視線は気にするわね!

納得よ!あの子が美を磨く理由!小さなころは可愛い服さえあればいい元が可愛いから磨かなくてもよし!って考えだったのに!ある日を境に変わったのよね!

相談してくるようになったのよ!美を保つ方法を!磨く方法を!


あの、あの子が!


お化粧とか!美を保つための食や運動をするようになったのよね!

私は元が可愛いからっていう理由でそういうのを気にする素振りもなかったじゃない!


最初は…てっきり、どこぞの貴族に馬鹿にされたのかと思っていたわ。

だいたい、姫ちゃんを馬鹿にするのって王様くらいしかいないから、てっきり…

あの二人が密かにそういうお互いを意識しあってんじゃないの?って思ったりも、したわね。


脳裏に蘇っていく、二人を見守り続けてきた日々

全てが腑に落ちていく…愛する人の妹として、ユキを見ていたのであれば、妹のように接するのも頷ける。


全てが手に取る様に理解してしまった。

っふ、これぞ恋の伝道師ってわけね…その手の話限定だけど、鋭いわよ?私って一族はね!


なら、これ以上、苦しい想いをさせるわけにはいかないわね。

「ありがとう、苦しい想いをさせてしまったわね」

握った腕を摩ると

「ぁ、ぇ?なんだい?何かわかったのかい?」

「ええ、確証を得るまでは、憶測となり、定かではない。誤った可能性がある情報が故に混乱を招く恐れがあるから、今は答えを披露するつもりなんてないよ。ってね、あの子の言葉を借りさせてもらうわ、全てを隠したがり屋の娘から引っ張り出してからっ、この話の深層を語ってもよろしいかしら?」

思い出すのを止めたのか徐々に腕の震えが収まり、力強く私の手を握り返してくれる

「ああ!お願いするさぁね!あたしじゃはぐらかされて聞き出せる自信がないさぁね!」

「適材適所、戦士として当然の行動原理よ、任せなさい」

腕を離すと自身のお腹の上に腕を置き天井を見上げる瞳は少しばかり潤んでいた。

さて、この状況で何も言わず見守り続けてきた彼女にも状況を説明してあげるべきよね。

「っというわけで、閃光ちゃんも、全てを聞き出してきてから教えてあげるわね」

大きく首を縦に振り瞳から伝わってくる興味津々だと。

その表情に仕草、変わらないわね、恋のお話が好きなうら若き乙女の様

何かを想像しているのか嬉しそうな顔で横になるので私も横になる

「熱は冷めているはずなのに違う意味で体が火照っちゃうわね」

「・・・!」「はは!ちげぇねぇ!」


はぁ~っと三者三葉に天井へ向かって吐息を漏らしていると

「何か辛い過去を思い出させてしまったのに、私は、年齢を重ねたとしても、恋というのは誰のであろうと胸の鼓動を早め若返るような気持ちを抱いてしまっていました。申し訳ありません、粉砕さん」

珍しく乙女ちゃんが吐息交じりに感想を漏らしているので

「かまやしねぇよ!あたいだって、よぉ、その、姫ちゃんの想い人なんてよぉ、気になってしかたがねぇや」

「そうよね、女将の言う通りよ、あの誰にも靡かないどうしようもない娘の心を掴んだ人物何て気にならないってのがおかしいわよ」

だははっと豪快な笑い声が聞こえてくる、女将のやつも何度もお店に遊びに来る、可愛い娘の事を気にかけてくれていたのよね。

「恋のお話は誰の話であっても良いわね。もっとそういった本を誰か描いてくれないかしら?世間では英雄譚冒険譚ばかり本になって、恋の噂話なんて本にならないのよね~、この国には潤いが少ないのよ」

「はい、英雄が姫を助けたとか、始祖様の絵本、古いので言えば、白き黄金の太陽っという教会が出した本って感じですよね。あれは、一部では恋物語ですけど…そういった伝記ばかりで私としては、もっと恋物語の本が欲しいですね。なんで無いのか…寂しいと常々思っていました」

あら?乙女ちゃんって意外と本を読むのね、武家の一族だからそういうのは読まないのだと思っていたわ。私も白き黄金の太陽の伝記は好きよ、胸が締め付けられるほどにね。

「あたしは、本を読まねぇからなぁ、その辺りの悩みってのはわからねぇなぁ、新聞は読むけどよ、殆ど流し読みさぁねぇ」

「本や、文字で思い出したわよー騎士様が零していたわよ?貴女が報告書を書かないってね」

「・・・」

二人同時に黙る辺り、もしや?

「あたいだけじゃねぇし…」

ぼそっと反論にならない反論を溢すと

「・・・」

乙女ちゃんも何も言わない?…これは、二人共通の問題だったのね。

「この話題はやめましょう、私達に分が悪すぎます」

「そうさぁね、過去の事は振り返らねぇ、今更そんなお小言ききたかねぇな」

ですよね!だっはっはっと二人同時に笑っちゃって!もう!そこから悪しき習慣が今も根付いているのね!


戦士達の報告率が低い?それは先人たちの怠慢である。

っふ、あの馬鹿が堂々と胸を張って言う言い訳はまさにってことね。


まぁ、昔から戦士達で読み書きが出来る人が少なかったが故に報告書を用意しない(出来ない)っという時代の流れってやつかしら?って、思っていたりもしてね。

姫ちゃんに相談して、幹部会議でそういう悪しき流れを断ち切るために座学を開催するって決まったのよね。

その座学で基本的な読み書きとかを姫ちゃんが教えてくれているのに、そういう席を設けてあげているのに!戦士達の出席率の低さが問題になったのよね…

今となっては、殆どの戦士が読み書きが出来るようになった、けれど、何のきっかけだったのかしら?

ある日突然、出席率が跳ね上がったって言っていたけれど、どうしてかしら?

「そういえば、あの馬鹿…カジカのやつも読み書きできるように頑張っていたけれど、乙女ちゃんから学ぶように言ったのかしら?」

「・・・」

返事が返ってこないわね、これは深堀するのは危険ってことかしら?

「あー、その、その理由はあたいも知ってんだよ、それな、その、隣町が発刊している」

「あ、わかったわ何も言わないで」

あのエロ共が!!…っていうか、よくよく考えると!印刷関係も姫ちゃんが関わってるから!

あの子が誘導したって事か!エロに関する事であれば戦士達が興味を持つ!

なら、勉強に参加するってことね!

はぁ~…ったく、本当にやりてね、あの子は…理由をはぐらかすのも納得の理由ね。



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