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最前線  作者: TF
621/694

今代の私は… ⑦

潤んだ瞳で此方をじっと見つめてくるメイドちゃんに用件を告げる。

「ちょっと、急用ができ、た、かも?」

「何か忘れものですか?」

そうだよね、そう思うよね、いきなり唐突に、呼ばれるなんて、普通に考えてありえないよね。

その方が辻褄もあいやすいし、それでいいかな?

「うん、姫様の部屋に用事があるの思い出しちゃった」

ぁぁ、成程っと、頷いてくれる、口角を上げて自慢げな顔で

「内容に関してですが、当ててごらんに入れましょうか?」

姫様が悪戯するときみたいに口角を上げてるので、頷いてみると

「お洋服!です!それも、姫様が今着たい気分の服を取ってきて欲しいっていう無茶ぶり、じゃないですか?」

確かに、姫様なら私に頼みそうな内容。

病衣で過ごすよりも、可愛い普段着を着たがる!姫様なら気が付く、今の状態って特に病衣である必要って無いもんね。って!


呼ばれた理由に納得するのと同時に、少しもやっとしてしまう。

…ぇ?そんな事の為に今までにない方法で連絡取ってきたの?


そんなことに魔力を?…使うよね、姫様なら。

まったく、姫様の記憶を見たからこそ知ってるけどさ!姫様にとって魔力は貴重なはずなのに、なにしとんねん!って一時、姫様がはまってた口調で叱るべきかな?

はぁ、っと心の中でため息を吐き捨ててから、姫様に呼ばれた内容について直ぐに気が付くのは流石だと思う。


「流石、姫様の右腕だね」

にこやかに褒めてあげると嬉しそうに私の左腕に絡みついてくる、

「では、ここにある必要な本はもう少しで終わりますし、キリも良いので一緒にお部屋にいきましょう!」頬を腕に擦りつけてくる。


んー、作業するのに邪魔になら…まぁいいか、あと一つだけだもんね本は、集めた本が入っている木箱に関しては術式研究所の人に頼めばいいかな?

「そうだね、ちょっとまってね」

左腕に重みを感じながら右腕を伸ばし最後の本を掴み木箱に入れると

「ではまいりましょう!そこの貴方、此方の木箱を姫様の病室まで運んでいただけるかしら?」

メイドちゃんが、貴族風に一緒に本を選んでくれていた人に声を掛けている

「はは、マドモアゼル、喜んで…」

丁寧にお辞儀をしたと思ったら顔を上げて

「っていう感じで良いのか?何分こちとら、平民で貴族の流儀ってのは疎いぜ?」

笑いながら木箱を持ち上げて運んでくれるのでメイドちゃんを引きずる様にドアへ向かい手が塞がっている彼の為にドアを開けると

「ぁ、ぅ、、、」

姪っ子ちゃんがドアの前に居て驚いた顔をしている、何か手伝えることが無いのか来てくれたのかな?それとも?

頭の中にある可能性だとしたら。


だとしたら、口実がいるよね?なら

「姪っ子ちゃんも一緒に木箱運んでもらってもいいかな?ほら、階段を登るから彼だけだと危ないでしょ?」

姪っ子ちゃんが喜ぶ提案をしてみると目を輝かせて

「はい!団長の頼みであれば!これであちきも病室にいける!」

嬉しそうに小さく飛び跳ねている。


その仕草を見て自分は空気が読めているのだと実感がわいてくるのと彼女の仕草を見て胸とお腹が暖かくなる。


やっぱり、姫様に会いたかったんだね。

可愛いなぁ、こんな子供がっていうと失礼だけど、素直な子を産みたいなぁ…

「そういうことってこと、か!それじゃ一緒に行こうぜ」

「うん!」

木箱を抱えた青年の後ろを姪っ子ちゃんが後ろを追いかけていく、何だろう、仲のいい兄妹みたい。

二人の仲睦まじい姿を見送っていると

「…団長は、人の恋路には鈍感なのでは?何か、一皮むけまして?」

「恋路?ぇ?姪っ子ちゃんって姫様の事、そういう風に見てる人だったの?」

あのベテランさんの血筋!否定は

「ぁ、いえ、貴女はそのままでいてください。そうですね、姪っ子さんも姫様とお話したいですよね、あ、先ほどの一言が何を意味するのか歩きながらお話ししましょう、恋の伝道師ほどではありませんが、私だって誰が誰を好いているのかある程度はお聞きしております」

ぁ、違うのか、っていうかそもそも、違うじゃんって姫様から注意されそう。

姪っ子ちゃんはベテランさんの親戚だけど、血は繋がっていないからってね。


うんうん、確か、奥様の方の血筋だった、これは失礼だった。

ベテランさんと(ある意味)同じだなんて、うん、その一言だけで嫌われかねないよね?

「えー、聞かせてよ~最近、ゆっくりと恋バナしてないも~ん、気になる」

「私が聞いた話ですと~」

歩き出すと腕を更に強く組みついてきてメイドちゃんの重みを感じる。

重みを感じるけれども、メイドちゃんは華奢で軽いから重くはない。

メイドちゃんを受け止めながら姫様の部屋へ恋バナを咲かせながら向かっていく。



知らなかったなーまさか、姪っ子ちゃんとさっきの人が、もしかしたら、もしかするとなんてねー。

メイドちゃんが言うには姪っ子ちゃんが彼の事を少しずつ意識し始めていて、その事を研究塔の長に相談してたのを盗み聞きした人たちが広めていって、気が付けば当人たちに知られないように気づかれないように研究塔の人達も温かい目で見守ってるんだ。


まったく、全然、気が付かなかったなー、姪っ子ちゃんとは関りが薄いっていうか、研究塔には…用事が無いんだもんなぁ。


いいなぁ、私も新しい恋がしたいんだけどなぁ~…

こう、キュっとして、パァっとして、ホワっとするような出来事が無いんだもんなぁ。



人様の恋路、その話が終わるころには姫様の部屋の前に到着していた。


ドアノブを回し部屋の中に入ると腕に引っ付いていたメイドちゃんが直ぐに離れる?

どうしたんだろう?

メイドちゃんが真っすぐに見据えるその視線を追いかける様に前に向けるとメイドちゃんが離れた理由が分かった、それと、やっぱり呼んだんだね。

大きなベッドの上に足が二人、並んでいる。

「こっちに居たんだ」「…っわ!?」

驚いた声が聞こえてくる、自分で呼んどいて驚くのはどういうことなのかな?

ベッドの近くに行くとNo2が気持ちよさそうに寝ていて、No2の腕の下敷きになっている姫様が照れた様な顔で小さく手を振ってる、靴を脱いでベッドに上がり近づいて姫様だけに聞こえる様に小さな声で

「呼んだ?」

確認すると、驚いたような顔をして

「うん、どんな、感じだった?」

「えっとね、触られたような感じがして…私の中にいる妖精がここの風景を見せてくれた」

そう答えると更に驚いたのか目を大きく開いてる

「…全部、知ってる、よね?」

「うん、私の中にまだ居てくれてる、自分は人じゃないって」

人だから、妖精だから、その区分が何を意味するのか馬鹿な私じゃわからない、姫様ならこの言葉の意味がわかると思うので、伝えておく。

「人、じゃない、妖精…そっか。そういう、うん。ありがとうって伝えて」

そっと私の腕に触れると『うん、ママになってね』声が聞こえてきた

「うーん、そうなると、私って何人の子持ちになるの?」

姫様にも聞こえたのか嬉しそうな顔をしている。幸せな家族になるといいね、お姉ちゃん。

「っでさ、何で呼んだの?」

指を刺すので、視線を向けるとNo2が気持ちよさそうに寝ている。

「?」

首を傾げると、困った顔をして

「No2が寝ちゃったから、お風呂入りたいの、後、洋服も持って行きたい」

呼んだ理由を教えてくれた、その内容には納得、私も彼女が心の底から休めれるのなら休んでもらいたかった、ずっと忙しそうだったから

そっと、気持ちよさそうに寝ているNo2の服に手を伸ばしボタンを一つ外すと窮屈そうな服に少しだけゆとりが出来る。

「寝るのなら白衣を脱いだらいいのに、No2からすれば苦しいでしょう?」

「流石は団長、優しく、気が利くね」

姫様の上に置かれているNo2の腕を持ち上げゆっくりと、ベッドの上に置くと、ぅぅ~んっと悲しそうな声がNo2から聞こえてくる。

気にすることなく姫様の上半身を起こして私の腕に捕まってもらい、ベッドから降りて靴を履き、姫様を背負い立ち上がると耳元で愚痴が聞こえてきた

「足が使えないと腹筋が死にそう」

「良い運動になるから問題ないって思わないの?」

意地悪っと耳元で囁かれても?しょうがないじゃん、使えるものを使わないとねって考えがお姉ちゃんでしょ?

「後は、服だけど、どの服が良いの?」

クローゼットを開けると、何故か服が端っこに寄せられている?スペースを開けてあるってことは、新しい服でも買ったけど届いてないってところ?

「えっと、団長が、ううん、団長に選んで欲しいかな」

珍しい、服へのこだわりが強い人なのに、これが何を意味するのか、リハビリしても、問題ない服装を医療班として選んで欲しいってところかな?だとしたら

「スカートは必須?」「必須!ミニでも良いけど、見られる恐れがあるシーンがあるんだったら却下!下着を気安く見せる趣味はないよ?」

だよねー、姫様がスカート以外、着てるのなんてさ触れると肌が危険になる恐れがある作業をする時だけだもんなぁ。

「それじゃ、何時もの膝近くのスカートかな、足首まであるロングは動きにくいし」

何時も着てる紺色で随所に白のフリルが施されているスカート、上はいつもこれに合わせているゆったりとした大きめのフリルが施された白のブラウスっでいいかな?

「これと、これで、どうかな?」

「うん、無難だね。それで!」

っとなると、靴はいつも通りブーツかな

「お待たせしました!車椅子お持ちしました」

クローゼットから服を取り出しているとメイドちゃんがすぐ横に車椅子を用意してくれるので、ゆっくりと姫様を車椅子に降ろして取り出した服を渡すように膝の上に置き確認の為にブーツに指を刺し

「靴はお気に入りのブーツでいい?」

「もちろん、これに合わせるのならロングブーツだよね!」

可愛いリボンがあしらわれたロングブーツを手に取るとメイドちゃんが手を真っすぐに伸ばしてくるのでブーツを渡すと綺麗な笑顔で頷いてくれる。

後は~、お風呂、かな?

「お風呂行く?」「行く!」「行きましょう!!」

メイドちゃんも激しく頷いてくれる、やっぱり、私汗くさかったんだ!

次からは、汗くさいだろうってときに抱き着いてこようとしたら手で制止しよう!



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