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最前線  作者: TF
604/694

過去を知る、今代の記憶を知る、次の一手を探す為に⑭


ってことは、狡猾なこいつだとしたら、そんな我儘を言うとは思えれないってことか?だとしたら、あれ、かな?王としての責務から解放されるから、社長のおままごとでもしたいのかな?っとなると、私が成功している事業のいくつかを譲渡しろ、っとか、かな?

あと、考えられる事としたら、騎士団を動かすのだからそれ相応の費用が必要だから補填しろってこと?かな?まぁ、それくらいなら支払ってあげるけど?


「王都が秘宝も戦場へ赴く、ただ踏ん反り返るだけの愚図とは違う、俺も駒としてお前の策の中に計上しろ、だが、俺に命令をするな、お前の作戦は聞こう、されど、その作戦を聞いたうえで俺は俺で動く、それを許せ」

…は?ぇ、まさか、ここで踏ん反りかえるだけじゃなくて、ちゃんと伝説となるべく戦闘に参加するってこと?お前が?

「心配するな、引退を考える年齢であるが、剣が戦えている、っであれば、王である俺が戦えぬ道理はない」

うわぁ、これ、つまるところ、あれ?お前を守りながら敵を殲滅しろっていうこと?難易度爆上がりなんだけど!?

「勘違いするなよ?俺を愚図と同列に扱うなよ?愚図と違い鍛錬を絶やしたことは無い、剣よりも俺は強いぞ?王都が秘宝が意を示してやる」

それが本当かどうか、信じることが出来ないんだけど?

剣、つまるところ筆頭騎士様…お爺ちゃんよりも強い?信じられるわけないじゃん、悪いけれどさ、彼を除いてこの大陸で一番強いのはお爺ちゃんだと私は思ってるからね?

「訝しむのも当然だな、後に…俺の実力を良く知っている剣にでもきけ」

何を言われようが戦力としてカウントしないけどね、死んだらお終いという糞みたいな条件が付いている駒を前に出すかっての…あ!そういうことか、私が皆の配置を決めるけど、お前は自分で決めた場所以外には配置されたくないってことね!だーもう!うっぜぇ!!


こいつを守らないといけないのかぁ、糞めんどいなぁっと眉を山のように持ち上げて睨むようにアレを眺めていると

「…勘違いするなよ、俺は死んでも構わない」

…っは?死ぬことが怖いこいつが?

自分の鼓膜が機能していないのかと疑ってしまう。


「憂いなぞ無い、未練なぞ無い、俺が死んだとしても、その武勇を持って認められる、死なずに帰ってきてもだ、次の王は、決まる」

なる、ほど…そっか、死者が残した言葉に対して異を唱える人はいない。

どっちに転んでも彼としては問題ないんだ


眉間の力が抜け、つい、何時ものようにこの大地に来て死の覚悟を決めた人に対して言葉を投げかけてしまう。

「そっか…やり残したこと、ないの?願いとか?」

あれから視線を外し、つい、何時もの癖で地面を眺めながら問いかけてしまう。

あるのなら、聞いてあげない事も無い、覚悟を決めた人にはちゃんとそれ相応に報いてあげるのが、私の信条、だよね?

「…お前にしては」

「優しい?残念、君が特別じゃない、私はね、誰だって同じ対応、平等だよ?覚悟を決めたのであれば、それに報いてあげたいだけ」

むぅっと、残念そうな声が聞こえた様な気がしたので、どんな表情をしているのかアレの顔に視線を向けると目が合う。とても真剣な瞳。

「なら、お前が欲しい」

目が合うと同時に気色の悪い言葉を投げかけられてしまう

「無理に決まってんじゃん、強欲すぎるでしょ、私の財産目当てとか、度を超えてるっての」

「っは、お前ならそう捉えると思っていたわ、違う、お前を本妻とする。俺の子を産め」

「嫌に決まってんだろ!っていうか!本妻ほかに居るだろ!次の王が困惑するだろ!自分の子供同士でまた争わせたいの?これだから王族ってやつは!!」

わ、わわ!?っという驚きの声が後ろから漏れ続けている。

「知らぬのか?俺が本妻と認めた者はいない、全て、責務とし相手をしてきたものしかおらぬ」

怒号を続けようと思ったけれど、寂し気なアレの瞳に怒気が消えてしまう。

…そう、なの?どうでも良すぎて調べた事も無かった

「そう言っておきながら、どーせ、王族共はさ、ボンギュンボンな出てるところが出てて甘えさせてくれるような人が好きなんでしょ?実のところは財産目当て、もしくは、私の事業目当てでしょ?…あ、それとも私の知識?知的財産が目当てなんでしょ?」

いーっだっと口を横まっすぐにして睨みつけると、反応が思っていたのと違う、照れてる?耳が赤い?

「っは、俺を愚図と一緒にしないでもらおうか?愚図のように年上が好きで、胸部がデカく、包み込むような母性を併せ持った人物以外を愛せぬような醜悪な考えと一緒にしないでもらおう」

…ってことは、一部の貴族にいる、幼子が趣味だったってこと?10代っていうか10歳辺りしか食べない悪食ってこと?それは、それで…受け入れがたし!

「何を考えているのか、お前の顔は正直だな、違うぞ。俺は女性を見た目で選ばん、世間では醜悪と罵られようが、俺が好いたのであれば、それ以上、何も要らぬ、お前は…俺の心を」

「だとしても、断る!私は…」

わたしは かれの ものだもん…

「だとしてもだ、好きな人物が居ようが俺は一向に構わん、何れ、俺の事しか考えられないようにしてやる、それにだ、その、短い髪も似合っているぞ」

その物言いが既に嫌なんだが?それに、私の髪の毛は長いんですけど?今は、結ってあるだけでしょ?そんな事もわからないの?長い髪の毛は私のアイデンティティーですけど?それもわからないの?乙女心がわかってないやつ!嫌い!


こんな唐変木の傍に居たくない!


今すぐにでもこの場から離れよう、全身の肌が鶏状態だし、これ以上こいつの言葉を聞いてしまうと鳥になっちゃう!!

車椅子のハンドルを握っている団長の手に触れると顔を耳元に近づけてくれるので

「お願い、こいつがいかない場所に連れて行って」

小声で伝えると、うんっと、耳元で囁いてくれる

「それでは、次の場所に行きますね」

団長の声と共に車椅子が動き出し

「ああ、俺の用事は終いだ、行くがよい。俺の願い、返事は要らぬ。これは俺ではなく王が決めたことだ、今、決めた。この決まり反故にすることはできぬぞ?」

何か遠ざかっていくアレがつぶやいてるけれど、聞こえていたとしても聞こえないふりをして、無視する!

アイツが何を言おうが一切反応しないように向かってと欲しいので、掴んだ団長の手を指で叩いて急いでっと合図を送ると、アレが視界から消える間際に舌を出して

「口約束なので守りませーん!」

約束を反故する意志を示しアレの視界から消える様に車椅子は動いていく

アレが見えなくなる間際、アレの唇が動き、その動きから何て言葉を漏らしたのか見えてしまった

「そのまま、勘違いしててほしいかな~…してても強引に迫ってくるんだろうなぁ、アレって傲慢だから」

アレが私の事を勘違いしてそうな気がするけれど、それはそれでよし!

何を言ったのかって?読唇術が合っているのだとしたら、恐らくは、女性が好きなのか?って、感じかな?


ええ、美しいモノが好きなの私!だから、勘違いしてくれて結構!

この世の全ての女性がお前になびくと思うなよバーカ!


「ねぇ?ほ、本当に、ぃ、ぃぃの?だって、ものすごい、ねぇ?」

急ぎ足で広場から離れようとしてくれる彼女から困惑したような言葉が聞こえてくるので

「いいの!」

ふんっと鼻息を荒くし声を荒げる。その返事を聞いた団長が、いいのかなぁ?っと声を漏らすので、確認しておく。

「…ねぇ、団長はさ…見たんでしょ?」

「見たって?」


「私の記憶」


競歩の如く速さで進んでいた車椅子の勢いが落ち

「うん、見たよ、全部。言葉の通り」

真剣な音、口調も真面目、なら、わかってくれていると思うんだけどなぁ…

「そっか、なら、私が断る理由、わかるでしょ?」

車椅子を押してくれている彼女の手にそっと触れると、優しく握り返してくれる

「でも、おに…彼はもう」

この言葉で何を彼女が考えていたのかわからない私じゃない、もういない人よりも、愛してくれる人が居るのであれば次の恋へ向かうべきだって言いたいんでしょ?…ずっと、ティーチャー君の事を諦めきれていない団長が言うのは違くない?って言いたいけれど、まだ可能性がある人と完全に可能性が無い人を比べるのは違うよね。

「うん、でも、愛してるから、団長ならわかるでしょ?私がどれだけ彼を愛しているのか」

ゆっくりと車椅子が動き出す。

何も言わず語る事も無く車椅子が動き始める、まるで、その場に止まってしまうのは、彼がこの場に居ないせいにしたくないかのように。


…団長は私の中に彼が居る事を知っていると思ったけれど、もしかしたら、彼が自身を生贄にして私が助かったと勘違いしているのかもしれない。

正直な話、私としては、彼が私の中に居るという確信が得られた以上、希望があると思っている。


彼が出来たのなら、私にだって出来るはずだ。

彼の器を用意する。そして、彼を…この世界に蘇らせることだってできる。

その後に、女性の体を培養して、団長を真に女性にすることだって、彼がバックアップしてくれるのなら出来る。


…きっと、それが、私が望むべき未来なのかもしれない。

…でも、それも、儚い希望なんだろうなって思ってしまっている


何度も何度も砕かれ続けてきた淡い希望を胸に潜めても何も返事が返ってくることはない。淡い希望は…散る為にある、それが私の名前だから…


「ごめんね、悲しい話をしてさ、それとさ、出来る事なら近況の事を知りたいんだけど、教えてくれたりする?」

「ぁ、うん、眠っていた間のこと?」

ん~…取り合えず、今はそれでいいかな?

「うん、何が起きたのか、かいつまんで、お願い」

私が眠っていた間に起きた出来事を教えてもらいながら、車椅子が進んでいく。

まるで、私が止まっていた時が動き出すかのように…


会話の中で知ったんだけど、この街もあと少しで危なかったみたい

その時に、私が術式で倒した敵がいるみたい、街が忙しかったのか、まだ解体していないみたい

街が危険に晒されるような獣?私は、どうやって倒したんだろう?まだ解体していないのなら、見てみたいかな?そう返事を返すと


どうやら広場の近くで保管してるみたい

どうせなら見てみたいってことで連れてきてもらったんだけど…



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