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最前線  作者: TF
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過去を知る、今代の記憶を知る、次の一手を探す為に⑦

他の狙いとしては日誌から読み解くと、作物の栽培を主導しているのが女将のとこの旦那さんだから彼の収入にも繋がっている、ってことは、つまるところは女将も潤っていくってことになる。

お世話になった彼女に恩を返せているってことに繋がるし、私があえて表に立たないで旦那さんを表に出すことで私に財が流れていくように見せていないってのは…お金が一点に集まりすぎていないっていうのを周囲にアピールする為ってことかな?わかりやすく言うと、産業の全てを裏から糸を引いて操っている、って感じかな?


具体的な目的が不明瞭だけど、まぁ、何かしらの意図があったんじゃないかな?


今代の私がそこに舵を切っても成功する可能性が高いと判断した理由もわかる。

見も知らぬ作物の種、そんなのリスクの塊でしかない、それを易々と成功させているのも、最も適した栽培方法を地球の技術を参考にしているからなんだよね、先駆者の知識があれば、失敗のしようが無いって判断して搔き集めたんだろうね。全てが全て、成功しているわけじゃないけれど、成功率が非常に高い。


私の時代と違って、この大陸全土に作物が溢れかえれば自然とその道が発展する、つまりは、食道楽が生まれるほどにこの大地は、豊かな大陸へと変わっている。


そりゃぁ、私もそれなりに頑張ったけれど、ここまでじゃない。

闘いに備える為に兵糧食、保存食は数多く欲しかったから、それに備える為にはそれ以上に生産量を増やさないといけないから、多少は豊かにする為に畜産王と名高き名前を得た■■■・■■さん、女将の旦那さんと協力して頑張ったけれど、ここまで規模を広げていない。


それに、銀行のシステムも良くできている。

まぁ、これに関しては私も作ってあるし、違いは無いかな?

現金の輸送に関しても元筆頭騎士様こと、お爺ちゃんに依頼しているし

違いがあるとすれば、そこを経由してお爺ちゃんを此方側に引き込んでいるのと引き込んでいないってくらい、かな?

今代の私も表立って彼と接触している部分は仕事を通してって感じだもんね?

私の時は…私も彼が欲しかったからってのもあるけどね。


一通り、パラ見だけど、産業に関しての日誌を読み終えた感想としては…

今代の彼女もまた、私と同じように来る日に備え蓄える為に広げたの、だろうか?

それとも?ん~こっちの可能性が高い気がする、単純に流れに身を任せてやりたい放題して、っかな?


書かれている内容的にだいたい概ねそんな感じ、かな?

頼まれたから断れなかったって感じとして記載されていたりもするし、何かきっかけでもあったのかな?


後、考えられるとしたら~…

純粋な好奇心の可能性も捨てきれない。

地球にある料理に興味を持ってっとか?

知的好奇心を満たす為に趣味的に栽培している節もある。

その結果、国土が豊かになっていったのなら文句の言いようもない、それに伴い王都も潤い豊かになっていってるみたいだし、悪い事じゃない。


私が作物を育てている目的とは違う、私は、日持ちして栄養価の高いモノを率先して栽培していた、娯楽目的と兵力の為じゃ意味合いが大きく違ってくる。


今代の私が方々を駆け回り色んな作物を育てさせているのを傍から見たら、遊んでいるようにしか見えない、それに、育てた作物も全部が全部、成功しているわけじゃない、扱いに困っている作物もある。


それが、功を奏していたのかと考えさせられてしまう…

私は殺気を隠さな過ぎたのかもしれない。


遊び回っているからこそ、先生もその姿を見て今代の私は、敵意無しと見なして見逃されていた?


その考察が合っている可能性が高い、現に…

パラ見でさくっと分類分けしてある日誌、その中で、戦士達が何をしているのか書かれている日誌を手に取り、ドッグイヤーの形でわかりやすくどのページに何が書かれているのかチェックしてあるので、見たい項目が書かれているページをパラパラっと捲って開き、戦士達の状況が書かれている部分を確認の為に読んでいく。


確認してみて、確信できる。

■■さん、こと、団長がこの街に志願してきてから今代の私が死の大地に向けて好戦的なことは何もしていない。ううん、団長が来る前から好戦的な行動は何もしていない。

防衛に徹している、攻めてこなければ接敵しなければ討伐に出向いていない。


今代の私は、産業を高め、娯楽を広め、詠歌を極めようとしている。

その姿は王都にいる騎士団のみならず、この街に住む戦士達の闘う牙を…整え鍛えるどころか、抜く勢いだ。


この街に居る戦士達の仕事も、基本的に、死の大地の奥地へ行くことなく防衛としての役割として奥地へと進まず、一定ラインを超えることなく、警戒に留めている。


戦士や騎士達の主な仕事は、敵が街に近づきすぎていないか警戒するための巡回ルートのみで、主に、そこで見つけた獣を仕留めるのが仕事。

仕留めた敵を持ち帰り解体して、それらを研究所っという名の私が高値で買い取るシステムによって戦士達が潤っていくし、その素材を使って魔道具を使って売ることによって私が更に潤う。


その高値で死の獣達を買い取っている影響で時折、馬鹿が己が欲を持ってやらかしてたりするけれど、その馬鹿さ加減が絶妙に良い、闘う意志もなく、ただただ、人の醜悪さ、愚かさを相手に示すだけ。


馬鹿がやらかすせいで随所に被害が出てしまっているけれど、崩壊するような最悪には至っていない。

それに、その被害によって此方の医療班が技術を磨く結果にも繋がっているし、馬鹿も…うん、ちゃんと反省しているみたい。

ただ、場合によっては幾名か名を消してしまっているのが悲しい結果だけれど、それを持って人々が各々を律し正し、私の目が届かなくともこの街が機能していくように成長している。


騎士候補を増やす為に王都の学院と提携を結んでいるのも優秀だと思う。

平和ボケした学生たちも随所でやらかしているけれど、それもまた人が馬鹿なのだと死の大地に居る敵が警戒を緩める作用に繋がっている気がする。


今のところ、戦士達の事情はこんな感じかな?

違うページも読んでいこう…



パラパラとページを捲り、分類分けしていく…

読めば読むほど…私が歩んだ道とは大きく違う。



大きな違いとして自主性が高い、一部の人達は平和に自身の夢を叶えようとしている。

皆、ある程度、自由に過ごし、自分達で決め、自分たちで考え動いている。

絶対的な君主制度ではなく、民主制度として街が機能している…まぁ、大きなお金が動くときは私の意見が最も採用されているのは致し方ない、だって、財布を握っているのが私だからっか、それはしょうがないよね。

この街で稼いでるのは私だもん、私の財布から予算を引っ張ってこないといけないのだからね。

一応、各々が個人で店を開いたり本を出版したりいろんな方法で稼いだりしているけれど、個人と会社じゃ稼ぐ規模が違い過ぎるってね、それにその多くが私も関わっていて、そこからもまた、お金が発生し私が潤っているのも、何とも言えない感情が湧いてくる。


会社として、近くにある街とも良好な関係を築いている。

今代の私はそういうのも寛容なことに驚きだよね、私は、正直に言えば、近くのあの街とは出来ればぁ、深く関わりたくなかった、かなぁ…


だって、娼館が多い街なんだもん…


でも今代ではそこがまためちゃくちゃ潤っているんだよなぁ…

歓楽地として大きく成立している、欲には欲を…

あの街のコンセプトがもう完璧すぎる、訪れた人を徹底的に堕落させ悦を益に変えるのがあの街のコンセプト、食・酒・薬・性…何でもありすぎる…

唯一無いのが大規模な賭博かな?そこは流石に自重しているみたい。

酒と薬のコンボで意識を飛ばしてスッテンテンにさせようと思えば出来ちゃうのに、しない辺り、その辺りで再度、よからぬ組織が生まれて私や王から討伐され、街の解体に繋がる恐れを感じていたのかもね。


日誌を読めば読むほど

…今代の私は商才に溢れているとしか思えれない。

…たぶん、研究する内容の多くが娯楽に舵を取っているのが、その答えってこと、かな?

そもそも、娯楽に関する知識が豊富なのは始祖様が残してくれたメモのおかげなんだろうなぁ、それを読み過ぎて興味を持っちゃったのかもね?


ふーんむぅっと、何とも言えない気分になった日誌をパタンと音を出して閉じるとドアが開かれ木箱を抱えた一輪の華が額に朝露のように汗を浮かべている。

「第二弾、お運びしました!回収する物はありますか?喉は乾いていませんか?何か必要なモノはありますか?」

「ううん、大丈夫、本の中身は先と同じようにして置いといて…それと、ありがとう」

問われた内容に対して手短に返事を返している最中も今代のメイドちゃんも気が利く、私が読み終えたであろう本を纏める様に、項目ごとに仕分けた状態で綺麗に少し離れた場所にあるテーブルに置きその上にメモを書いて本の上に置いている。

メモの内容は、たぶん、何処のどのスペースに置いていたのか記載してくれているのだろう。

彼女の小さな気配りに感心していると、気が付けば、空いたスペースに新しく運ばれた本が積まれていく。


ついつい美しいモノに目が無い私は、彼女の動きを視線で軽く追いかけてしまう、そのまま見惚れていてはいけない、きっと多くの時間が残されているわけじゃない、直ぐに、本に視線を向け新しく置かれた本を手に取りページを捲っていく。


ページを捲る音が部屋を包み込むころには部屋の中が静かになっていた。


先ほどと同じように、運ばれてきた新しい本を手に取り、中身を見てより深く今代の私が歩んできた道を理解していく。


第一弾で薄っすらと感じていたけれど、読み進めれば進めるほど確信であると感じてしまう程に


…今代の私は、闘う事を完全に諦めているっと、感じてしまう。


きっかけなんて考える迄も無い、私の影響だろう。

私が進んだ道…絶望の記憶が流れ込んだことによって戦うということに対して心が折れてしまっている。


何故なら、彼女が研究していた内容の多くが、未来を…

自分の時計が止まった先を見据えている物が多いから…



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