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最前線  作者: TF
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過去を知る、今代の記憶を知る、次の一手を探す為に⑥

「だいたい、こんなもんかしらね?」

「ですね、魔石に関しては余裕があるので、回復の陣は魔石で、リハビリを担当するのは昔から姫様と関りがある古い人がメインで!」

過酷なリハビリプランが完成すると、ドアがノックされ

「姫ちゃんの症状伝えに来たわよー」

返事を返す前にドアが開き中に入ってくる

そのまま中に進んできて椅子に座り報告会&相談会が始まる。


現場で感じた彼女の言葉を参考にリハビリプランを再度練り直す。

その間くらいは姫様も休んでもらえばいい、決まり次第、ベテランさんも真っ青なリハビリが待ってるからね!!




医療班が世界に希望という名の光を灯し

小さな光を失わせないように未来を照らす光を紡ぐために

話し合いが続けられていく中、彼女もまた動き続ける。




マッサージなどの簡単なリハビリを終え、リハビリを実施してくれた彼女が淹れてくれた紅茶を飲み干したころ

コンコンっと軽快なノックに返事を返すとドアが開かれ

「失礼します、第一弾です」

大きな木箱が運ばれ床に置かれたので

「中身、届かないからテーブルの上に幾つか置いてくれる?なんなら、枕の横に置いてくれてもいいよ」

「はぁい!失礼します」

木箱の中から一つ一つ本が取り出されていく、木箱から出てくる本、何処からどう見ても専門書のような装飾が施されている辺り、今代の私は見栄っ張りなのだろう。

分厚く重い本がテーブルの上、ベッドの横に次々と置かれていく

それもちゃんと手が届く場所に。


メイドちゃんはそういうのしっかりとしているから助かる。

何も指示を出すことなく彼女の動きを眺めていると

「では!まだありますので!失礼します」

木箱の中身を全て出し終え、額の汗をハンカチで拭ってから頭を下げて直ぐに部屋から飛び立っていく。


遠ざかっていく足音をぼんやりと効き続ける私ではない。私もまた直ぐに動く。

部屋の中、主にベッドの上に、大量に置かれて行った本の数々、わかりやすく時系列順に本が置かれているので試しに一番古い本を手に取ってパラパラっと捲って読んでみて一つ間違いを指摘する。今代の私、その性格を改め直してしまう。


ぜんぜん、マメじゃねぇ!日記じゃなくて完全にメモ用紙!敢えて分類するならこれって、日報じゃん!こんなの後世に残したとしても、歴史研究家の皆さんは困惑だよ!


日常のちょっとしたことをメモったり、研究内容を纏めたりといった内容に頭を抱えてしまう、だって、表紙に書かれている表題がdiaryなんだもんなぁ!

これが日記だとしたら世間一般での日記はなんだっての!


…今代の私がちょっと乙女チックな道に進んだのかと期待した私が馬鹿だった、どの時代も私は私、効率を重んじ、風情もへったくれも無かった。

まぁ、その方が私も読みやすいから良いんだけど、これが後世に残されていたらさ、何百年も経過してからこれを見た歴史評論家ってやつが、頭を抱えちゃうよ…



頭を抱えてしまいたくなる日記という名の本を流し読みで欲しい情報だけを見つけ読んでいく、内容によっては読み返す必要がありそうなページにはそれぞれ形を変えたドッグイヤーを施していく、価値ある歴史書や魔術書には絶対にしないけど、私の日記だし?別にいいよね?



私の物語の始まりは、お母様との別れから…

ある日、唐突に、お父様に、この街へと連れてこられて物語が大きく動きは始める。

当時の医療班団長、現No2こと、お母さん。

彼女と共に色んな研鑽を積み、研究を重ねてきた封印術式



懐かしい、なんて懐かしい日々、私達の始まりの日々

決して穢してはいけない二人の絆が紡がれた日々



思い返してみるとただただ、出てくる言葉が懐かしい、ただその一言のみ、私達の命がけの研究が功を奏して今がある。


封印術式、これが齎した成果は多大で、色んな事へと応用できている。

お母さんも美を保つために自身へ施している、お母さんの体に施している内容は私とは違う。

応用しているからこそなのか彼女の見た目は20代後半にとど、まっていたのは…私の記憶で、今は30代前半っかな?今は、どうなんだろう?封印術式を外してい、るのかな?どうなんだろう?子供を産んだのだから、外して…外して、再度自身でコーティングしている可能性はある、ってところかな?

今度、聞いてみようかな?


封印術式が完成したおかげもあって、私は今も生きることが出来ている。

それから、次に大きな出来事となると、お母さんを守る為、あの運命に辿り着かないようにする為に、名乗りたくない名前を名乗った、あの一連の出来事かな。

この出来事を思い出していると、気のせいだろうか?


一つの瞳が涙を流している様な気がする…


私は街の人達から名前で呼ばないようにお願いしている。一応、当時の幹部達は私の名前を知っているし、お父様が私を連れてきた馬車に家紋が描かれているから、何処のお嬢様なのか知っている。

そう、私の名前にはある意味が込められている、その名前が示す通り、そのような存在へと利用されたくない、お母様のように…


それでも、名乗りたくない名前を名乗らざるをえなかった。


王都での選挙という名の催し物、結果なぞ始まりから終わりまで過程全ても決まったレース、茶番に介入することを決意した。

アレが王に成る為に必要な蟠りを無くすために、一応、国民の意見を取り入れて悪評があろうと民が選んだ王っという建前を得る為だけの茶番。


そこに、介入するために、アレが私物化していた盗賊団などの黒い部分を芋づる式に殲滅してアレの牙を引っこ抜いた、当然、秘密裏にね…

表としては、教会に協力をしてもらって、色んな事をした、正しい行いを正しく振舞うだけで民衆の心が此方に傾いてくのを肌で感じ、当然、王派閥の貴族達もそれを感じ私を警戒し始めてくれたおかげで、裏の実行部隊は動きやすかった。


全てが終わった結果、アレが王に成るのは絶望的状況にまで持って行く事が出来た。

その流れで、助けを求めてきた現宰相、彼を王に座らせることも出来たけれど、後に禍根を残しかねない、いらない火種が生まれそうな予感もしていたし、正直に言えば彼って王の器じゃないんじゃないかなぁって、能力不足じゃないかなぁって感じていたりもした。

最後の最後、どちらに転ぶのかはアレが選ぶ行動に委ねていた部分もある。

アレが逃げ出さず最後まで未練を残してくれたおかげで、アレを王に座らせてあげてもいいと判断してさ、王に成らしてあげたのに、どうしてか知らないけれど、恨まれてるっていうのかな?何だろう?事あるごとにちょっかいだしてきてうっとおしかった。


殺さないでいてあげたのに、王に成った後も、特に何かを要求したことも無く、関らないようにしてあげたのにね?恩知らずじゃね?


今も変わらずそこは同じみたい、出来る限り会いたくない相手なんだよなぁ…

そこに関しては過去の私も今代の私も変わりは無いみたいだけれど、大きな違いがある、私の時はアレがどうしてそうなったのか、牙も爪も完全に無くして玉座に震えているだけで返事すらままならない程に弱々しかった。

情けないっという言葉は彼の為だけにあると言われても頷くほどに。


でも、今代のアレは私だけにちょっかいを出してきてうっとおしいけれど、王として機能している。

しっかりと隣国との取引も対応もしていた、みたい、そこが大きな違い、かな?


ちょっかいはかけてくるけれど、内容が特に困らない内容が殆ど、具体的っていうと、数が多すぎて、その殆どが、遠回しな嫌がらせが少ない、私って様々な貴族との取引をしているんだけど、それに対して、変に王として介入してきている様な様子が殆ど無かった、たま~に、この取引に対して小さな嫌がらせしてないかな?ってくらいの疑いがある程度かな?

嫌がらせの殆どが実行犯が彼であるとわかるくらいで、彼個人としての堂々とした嫌がらせが殆どで、王としての権限を使った嫌がらせがない、気が付いていないだけで無い、はず?


そう考えると、私の時とは違って、ある意味、関係は良好なのかな?

ちょっかいだしてくるのも、まぁ、選挙戦での恨みを晴らそうとしているのが習慣化しているだけでしょ?もしくは暇つぶしかな?暇つぶしで毒とか刺客を使ってくるのは、どうなんだろう?まぁいいか、私であれば余裕で見破り抵抗できる内容だし、刺客も本気で殺し…に来ているけれど、撃退すると、あっさりと負けを認めて撤退する辺り、失敗前提で送ってきてる節があった。

…もしかしたら、私を使ってそういう人達を選定していたのか、訓練していたのかもしれない。

情けない男と今のアレとの違うはこの程度、かな?


私の記憶と今代の記憶で小さな違い、ズレがあるとすればこの辺りから、かな?

そりゃ、勿論、大きな違いとしては彼、彼女に接触していないのは勿論だけどさ。


小さなところで違ってきている。

まず第一に収入源が細かいところで違う、私の主な収入源は貴族達が欲しがっている魔道具を予め知っていたから、そこに焦点を当てて営業していくってのが主な収入源だった。


でも今代の私はそれがメインじゃない。


今代の私は、死の大地で得られる素材で作られる魔道具だけで稼いでいたわけじゃない、そりゃ、そっち方面でも荒稼ぎしているけれど、それ以外でもしっかりと稼いでる。


彼女の日誌によると、他の大陸から交易を通して数多く、豊富な種類、多種多様に作物の種を仕入れている、ついでに栽培方法も伝授してもらっている。


私も必要な作物の種は仕入れていたけれど、ここまで豊富な種類を搔き集めたりして無い、だって戦う上で不必要だと感じていたから。

でも、今代の私は闘うのではなく、その作物を通して生み出すことが出来る豊かな食文化を築くために飽食の更にその先を目指すかのように集めている。


目的としては恐らくだけど、この大陸全土を豊かにする為かな?

手に入れた作物を色んな街で栽培することで地方の産業を発展させる為かな?

特産物が増えたらそこに住む人たちも仕事が増えるし、豊富に取れた作物を使って何かしらの産業がその土地で生まれる可能性もある。



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