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最前線  作者: TF
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過去を知る、今代の記憶を知る、次の一手を探す為に③

っむ?ここで私の時代と今代の時代に違いがある、少し思い出せた。

ビールは私の時代でも、比較的簡単に再現できた、けれど、蒸留酒?日本酒?記憶にあるようでない。ないようである。不思議な感覚。

今代の私は…戦う為に始祖様の記憶にアクセスしたのではなく、始祖様の記憶にある、私があまり見向きもしなかった情報に興味を示し、色んな事業に手を出しているって…みて、いいかも。


「強いお酒は苦手だった?」

「苦手じゃないわ、ただ、その後が怖いのよ~うふふ」

足裏を押される様にして刺激されたと思ったら膝裏に手が添えられ膝を曲げたり伸ばしたりと動かしてくれる。

嫌なっというか、私が作りだしたモノが彼女に失敗をもたらしたのだと、小さな罪悪感が胸に刺さってしまうのを感じる。

その小さな罪を抜き去りたいがために確認してしまう。もしかしたら、彼女にとっても…耐え難い結果に繋がり秘密にして置きたいのかもしれない失敗を…

「…まさか、ない、よね?」

「ふふ、あるって言ったらどうするの?もうお酒の提供はやめちゃうのかしら?」

視線を彼女から外し、天井を見上げて懺悔する。

意地悪な返し方に察してしまう。それ以上踏み込まないでっと。

「しないよ、そういうのを含めての楽しむモノでしょ?」

それでも、小さな抵抗だけはしようとする、今の私は、どうしてこうも口が軽いのだろうか?

「ふふ、そうね、お互い、小さな失敗を経験しているものね」

彼女の一言に対して記憶の蓋が開かない、

私も?私もお酒で何か失態をやらかしてる?

つまるところは私も、泥酔し、て…記憶にない何かが?ぇ?誰かに触れられてないよね?私、嫌だよ?彼以外に触れらた何て考えたくない。

「…私、何をしたのか聞いてもいいかな?」

知りたくないのに音が勝手に口から飛び出していく。

「貴女は、私や団長、おっと、今はNo2ね、彼女みたいに、そこまで酷い失態はしていないわね~。今思い返しても、彼女をそのネタでからかって笑い話に出来る程度よ」

私じゃなく、私が用意した何かでお母さんに何かがあったって程度の失敗かな?良かった…その程度でっていうのも、ぅぅ、どうなんだろう?

私のせいでお母さんが何をしでかしたのか、目を閉じ何時でも懺悔できるように祈りの姿勢を取りながら音に集中すると

「今思い出しても、あの姿は酷かったわね、No2がはち切れんばかりのメイド服を着ていたのを目撃した時よ、ふふ、暫くはそれをネタに彼女をいじらせてもらったわ」

はち切れんばかりのメイド服?ってことは、メイドちゃんの服を、お母さんが来たの?似た者同士で同族嫌悪している二人が?


そんな事があるのだろうかと、思い出そうとすると


んー…ん?、あ!あー、うん!記憶の蓋が開いた、日本酒完成お披露目会で全員が酔いつぶれてしまったときのことか!

思い出すことが出来たけれど、あれって私が悪いの?別に全員の飲み干すように強要してないよ?ただ、予想外に皆が酔いつぶれただけじゃん。ぁ、きっかけは私ってこと?ん~…納得できない。

「あれは、私、悪くないよ、ね?」

「悪いのは貴女よー、私も後で飲ませてもらったけど、一口でこれは良くないお酒だってわかったわよ、あんな喉やお腹が熱く感じるような酔いやすいお酒をあんな…街中の人に配ってー、びっくりしたのよ?外の勤務から帰ってきたら街中が酒気帯びで凄かったのよー?あれで何人がに…んん、まったく。私だってその雰囲気に溺れたかったわ~…今も腹に不服を抱いてるのよ?私を除け者にして酷いずるい!」

どうやら、彼女がご立腹なのはそういった非日常的なイベントで内容がお酒なのにも拘らず、除け者にされたことに対してご立腹って感じ?

ぁ、思い出した?彼女が日本酒を飲めば良くない酔い方する可能性が高いから外勤務になるように仕向けたんだった!

あのイベントに対して言い訳をさせてもらえるとするのであれば!

私だって計算違いだったんだもん、あそこ迄、全員が耐性無く、酔い潰れるなんて思ってもいなかったんだもん。

「次があれば、ちゃんと声を掛けるよ」

「ふふ、そうしてくれると嬉しいかな…お酒で思い出しちゃったな~…また、後輩たちを連れて必要な薬草でも採取しながらお日様の下でワインを飲みたいわね、ぁ、ビールでもいいわ~」

ふふっと笑いながら膝を伸ばした状態で持ち上げて殿筋をストレッチしてくれる、いてて。

圧し掛かるような姿勢で汗を流しながら微笑んでくる彼女の表情を見てこの人はお母さんとは違う性質の人だと肌で感じる。実はちょっとだけ苦手、お世話になったことが何度も何度もあるから口が裂けても言えないけど、ちょ~っとだけ、苦手な部分がある。

「はー若いって良いわねー、姫様って体が柔らかくて羨ましいわー」

笑顔で私の膝を私のお腹につきそうな程、押し込んでくる、さすがに痛いよ?

後、口が裂けても言えないけど、太った?

「小さな苦悶の表情ってだけで、この可動域!耐えれるのがすごいわー、私なんて股関節よりもきもち、ほんの気持ち程度、上に上げられるだけでギブアップしちゃうもの~」

手慣れた手つきで反対の足も持ち上げられストレッチされる。

関節の可動域に関しては年齢よりも日々の習慣じゃないの?それにさ…私の年齢が26か7だとしたら、王都基準で考えると…

「若くないよー、もうすぐ大人になってもおかしくない子供が居てもいい年齢だよ?私」

ついつい反論してしまう、彼女達に年齢に関しては出来る限り触れないようにするのがベターなのに。

やっちまったと、後悔しつつ表情へと視線を向けると怒っている様な感じではなく、微笑を浮かべている…相も変わらずの微小フェイス!これだから、貴族達は嫌いなんだよなぁ、表情だけで読み切れない時がある。

「それを言うなら私はお祖母ちゃんよー、団長は、おっと、今は、No2よね、いけない、いけない、珍しく間違えちゃったわ、彼女は仲間だと思っていたのにな~幸せそうに子供をさー…ううん、違う、違うわ。あの子は団長だけの子供じゃない、医療班全員の子供!だから、私の子供!そうでしょ?姫様」

ふふっと笑いながら、腰を捻られて腰部を伸ばされていく、足だけじゃないのか、ふぎぎ

「この街で子供を育てるなんて酔狂なこと、誰しもが反対するとNo2は思っていたでしょうけれど、私達を馬鹿にしないでほしいわね。あの人は自分がどれ程までにこの街で育んできたのか、知るべきよ。先輩も、団長も、医療班の皆がね、No2が赤ちゃんをあやしている姿を見て心から祝福してるのよ、あの人が、幸せになってくれるのは皆が望んでいたことだもの、あの人が幸せになるのなら私達は全員手を取り合うどころか肩を組んで協力するわ~…ついでに、赤ちゃんのお世話もさせてもらうの、うふふ」

反対の足も同じように足先がベッドに落ちそうな程に動かされ腰部を捻られる。


彼女の言いたいことはよくわかる。

うん、お母さんが皆から慕われているのは知ってる。お母さんもそれは理解しているけれど、皆が皆、必死に今を生きているのに自分事情で巻き込みたくないのと…お父さんが誰なのか聞かれたくないってのもあるんだろうね。

お母さんは詰められたらぽろっとこぼしそうだもんね…


今こうやって今代ではない私だからこそ、心配してしまう。

お母さんは本当に子供を、望んだの、かな?って部分。

お母さんの意思ではなく、叔母様の願いに釣られてしまっただけじゃないのかな?って、思わない事もないし、今代の私が執拗に頭を下げてNOと言わせなかったんじゃないのかな?押し付けてしまったんじゃないのかな?って、思ってしまう。


「はい、お終い、痛くなかった?なんて野暮なことは聞かないからクレームも聞かないわよー?ふふ」

額の汗を拭いながら動かすことが出来ない足を綺麗に元の場所に戻される。

すると、ゆっくりだけど私の額にも汗が浮かんできている気がするし、心なしか全身がほかほかと、まるで、歩いた後みたいに血が通ったような感じが足から全身へと熱が昇って来るかのように伝わってくる。


「はぁ~、ちょっと休憩、色々とありすぎて心労も疲労も溜まりっぱなしよー、お酒におぼれたいわ~」

ベッドの隣にある椅子に座ったと思ったら、テーブルの上に手を伸ばしメイドちゃんに用意してもらった紅茶を許可なく勝手にゴクゴクと勢いよく飲み干していく

「あら~!いい紅茶じゃない、贅沢ねー。冷えても風味豊かで薫り高く、繊細な味、苦みも渋みもなくとてもフレッシュ、こんな良い茶葉を選んでくるなんて、目利きしてくれる業者も専属なの~?」

勝手に飲んでっとジト目で見つめていると、ポッケからハンカチを取り出して、上半身を、腕を此方に伸ばし、うふふっと、笑みを浮かべ額の汗をハンカチで拭ってくれる。

こういう気遣いが行き届いている辺り、お母さんと一緒で貴族の側室として生きる運命を受け入れ歩んできたのだと感じてしまう。

っていうか、気が付けば、医療班としてではなく、個人として会話してる?まぁ、別にいいか、誰かが咎めるわけも無し、私語を慎めなんて…うん、今代の私がそんな軍隊みたいな方針するわけがない。

「専属の業者はいないけど、取引してる相手はいつも、決まっているかな?確かね、その辺りに関してはメイドちゃんに全て任せているから~、もしかすると彼女の目利きかもしれない?かな?」

「ほっほぅ?だとしたら王族御用達の品々を見極めることが出来る洗練されたメイドってことね~。甘いわよー姫ちゃん、その何気ない一言でわかる人には素性がわかるものよ~?何処で見つけてきたのか、皆、聞かないようにしてるけど、これ一つで知ってしまいそうね~…」

っだ!しまった、誘導尋問の類か!もう、これだから貴族の教育を受けた人は厄介!特に側室候補は本妻と旦那を補佐するために徹底的に教育されてたりするからなぁ!

「なんてね、もうこの街で誰かの過去を詮索するような人達はいないから別にいいのだけどね、ただ~、この街に来た時にお姉さんが教えてあげたこの街のルール、忘れちゃったのかな~?」

ハンカチが額から離れ、邪悪な笑みを浮かべ此方を見ている。


その笑顔に私は視線を逸らすだけしか抵抗する術が無かった。

そうなんだよなぁ、この街の人達で古い人達ってお母さんと同じような側室候補として教育された人達が流れ着いてたりするから、迂闊な発言でルーツがバレるんだよね~。


…確か、最も古い私の記憶でもそういった流れで私の故郷が何処かバレたんだっけ?っていうか、家紋を堂々と刻んだ馬車で来た時点で知る人だと知るわけで、確証を得る為に誘導尋問に近い会話でバレちゃったんだっけ?

なので、たった、ほんの僅かで迂闊な一言だけで、彼女たちは、メイドちゃんのルーツに辿り着いてしまう。

つっても?まぁ、いま、さ、ら、気をつけなくても、いい、んっだ、よね?


何故かわからないが、メイドちゃんが大国と繋がっていることが公になっても問題ない気がする、何でだろう?



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