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最前線  作者: TF
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Dead End u・サクラ 妖闘桜散 (147)

だけど!ここまであからさまに!

舐めやがって!その罠はそこまで有効打となるの!?


湧き上がる苛立ちを抑える為に軽く深呼吸をし心の熱を抑え込み頭に熱が籠らない様に!心は熱く!思考はクールに!


いいじゃん、のってあげる、その上でお前を惨たらしく今までのことすべてを後悔する程に…殺してあげる。


この先に待ち受けているであろう脅威。

幾度となく人の魂、尊厳、願い、希望…全てを嘲笑い惨たらしく奪い続けてきたであろう獣


偉大なる戦士長が命、全てを…って、倒した特別製


恐らく、それと同等かそれ以上の個体

それがお前だろう?

特殊な魔道具でも持たされて王様気分にでもなっているんでしょ?

獣風情が…人々の魂を願いを希望を弄びやがって…


死者の魂を弄び愉悦に浸る時間を終わらせる!!


開けた野原だというのに、一切の敵の姿が見えない。

認識阻害の術式なんて意味がなくただただ、無駄に魔力を消費しているだけ。

それ程までに何事も無く…罠の一欠けらも無く!左サイドの最奥へ近づく。


…少し視線を右に向ければ、戦士長が命を…魔力へと昇華し放った死の一撃…

その衝撃が残り続けている伝説として語り継がれている岩が見える

「遠いようで近いね」「ああ、何も警戒せずに全力で最短で休まずに進み続ければ、たぶんだが、1日もあれば余裕を持って踏破できそうな気がする程に…」

それを許されないのが死の大地…

一歩踏み込めば常に何かにみられている様な感覚に包まれ

その視線から伝わってくる、途絶える事がない殺気の雨


前を向けば獣の目が見え、後ろを見れば獣の耳が見え、横を向けば牙が待ち構えている…それが死の大地。


鎧も何も対策なしで踏み込めば10秒もあれば…あっけなく死ぬ

警戒しながら鎧を着て歩くのと、街中を何も気にしないで歩くのでは速さが雲泥の差ってね


「さぁ、どうする?ただ一つの嫌な気配が漂い続ける、この森…どう挑む?」

「決まってるじゃん、突っ込むよ」

っふはっと小さな笑い声が聞こえ

「良いじゃないか、嫌いじゃないぞ」

「でしょ?行けるとこまでバイクで突き進んで敵が見えたら轢き殺しちゃおう」

タイヤを高速に回転させ森の奥へと飛ぶように大地を駆けた


バイクが最高速に到達する前に、お互い、バイクから飛び降り、地面に着地する。私は優雅に念動力で衝撃全てを殺して着地している、勇気くんは転がりながら着地している、さすが、鎧を着ていたとしても身軽!

…バスターソードを置いてきて正解…


それにしても、この森に入られるのがよっぽど嫌なんだね!

走らせて10秒も経たずにお出迎えなんてね!!


森へ入ってすぐ目の前に突如現れた影、それに向けてアクセル全開でバイクを突っ込ませてみたけれど…

「っち」「あれくらいの質量ごときじゃ動じないっていうの?パワータイプ超えてない?」

あの勇気くんですら舌打ちが零れてしまう。

なぜなら、決して軽くない鉄の塊であるバイク、そのバイクが加速して突っ込んできたのだから多少なりともダメージを受けても良いのに…

事もあろうか、飛んできたバイクを掴み脇道へ逸らすどころか、道にゴミでも捨てるかのように易々と放り投げられてしまったから。


森の影からゆっくりと、絶対的強者のような風格、佇まいで顔を出し太陽の光に照らされた姿を見て…納得する、異形なりし人型、その言葉の意味を理解する。


確かにこれは異形だ…猿じゃないじゃん。


羊のような、馬のような顔に羊のような角が二つ

上半身は猿かと言われたら猿、人と同じような構造

下半身は獣、蹄がらしきものがある…


色んな獣をくっつけた様なアンバランスで嫌悪感が漂う造形

そして、これ見よがしに手に持つ魔道具…籠のような物、その周りが薄っすらと輝いている。


「言葉が通じるのだろう?挨拶が必要か屑」

「・・・」

普段の勇気くんから考えられない汚い言葉に敵は表情を変えることが無く、此方を眺めている、表情が読めない。何を考えているのか探る必要なんてない!仕掛ける!

「先生の魂、偉大なる戦士長の魂、数多くの先人たちの魂、その無念を晴らしに来たよ…手加減なんてするつもりないからね」

先手必勝!クィーンから持ってきた箱から筒を取り出し魔力を流す!!

私が持てる最大級の術をぶつける!!

「光は熱!ひかりは」


詠唱と同時に視界が真っ暗に染まる!?

「ッッ!!!」

喉から音が…声が出ない!?なら、頭の中で詠唱を


【よいのか?魂を解放する手段を聞かずに】

っは!命乞い?時間稼ぎ?ッざけんなよ!!

その魔道具、壊せば解放されるでしょ?人質でも取ってるつもり?

人質が居ないと私達に勝てないって宣言してる様なモノだよ?

私達がその程度で止まるとでも思ってるの?今すぐぶち殺してあげる!!

【言葉の通じない思慮浅き愚者め、同じ死霊使いとして少なからず意識していたというのに、歩み寄る必要など皆無な我らが歩み寄ってあげたというのに、下衆は下衆、我らの言葉を理解すら出来ぬ愚者】

下衆で結構!愚者で結構!!寧ろ、お前らと同類として見られる方が屈辱だっての!死ね!

破邪の力を歌い、即座に干渉されている邪気を払い視界を取り戻し

「ほーりーばーすと!!」

筒から光の柱が敵の体を貫き蒸発するかのように吹き飛び貫いた部位を消滅させる

「っは!避けもせず!さてはお前…自身は闘う術がないタイプか死霊使い!!」

敵の左肩から先全てが光の柱によって蒸発して消えた!此方の攻撃が有効である!これもまた偉大なる戦士長が残してくれて情報のおかげ!お前たちは倒せる!!

【・・・】

次は頭をふき「サクラ!!」

目の前に勇気くんの背中が見え金属が激しく叩かれる音が聞こえ

「気をしっかり持て!」

その言葉の意味を即座に理解する、何故なら…念動力で掴んでいた筒が砕かれ…壊れているのが念動力を通じて知る…いつ、壊された?…愚鈍な考え!いつ…私は!!

【ははHAはハは!術士が術に溺れて下等で愚かなりし人如きが!!我らとて!貴様らと同等と見られるのは虫唾が走るわ!!】

幻覚の類!!っち、やってくれる!何処で楔を打ち込まれた!?

「ごめん!何秒意識が飛んでた!?」「1秒もない!その一瞬だ、宙に筒を取り出した瞬間に砕かれ瞬きの間に君の眼前に敵が迫った!!」

一歩後ろに下がり、魔力を吸いだし全力で歌ってもらう、破邪の力を

【無駄だ無駄、その様な力なぞ、効果なし、言葉の意味が理解できないのか?死霊使い…】

「サクラ!出し惜しみは無しだ!敵のペースに持って行かれる前にアレを使うぞ!」

その言葉と同時に破邪の力を歌ってもらい、私は彼の補助に徹する

彼が前に出ると同時に彼の手から始祖様の槍が生み出され、踏み込む強さによって大地が凹み音を置き去りする程の鋭く速い渾身の突きを繰り出そうとしてる!


その一撃、敵が知らないであろう切り札を確実にぶつける為にも!私にできることがある!


敵の動きを封じる!!


理想は鎖の力を歌ってもらいたいけれど!この力はもう、使えない!なら私の持てる全ての魔力を念動力にこめ、敵を掴み離さない!!!


必殺の一撃!

魔力を断ちきる始祖様の槍であれば!!

例え、特別製で在ろうと!貫くことはできる!

念動力に込める力は魔力に比例する!!!

封印術式が震え全身の皮膚が裂けそうな痛みをカット!

魔石が割れそうな程に急速に魔力を吸い出し全てを念動力に変換し敵を掴み続ける!!


屑が動こうとするが動くことが出来ず自身に迫る槍を防ぐために指先だけで籠を動かし、槍が籠に向かって真っすぐに伸びる!その魔道具ごと貫けばいい!!

「死者を冒涜するな!屑が滅せよ!!死を持って嘆くがいい!!」

槍先が籠にあたっ!

【目覚めよ、妖精を取りまとめし魂よ】

瞬時に勇気くんの背中から翅のような物が飛び出てくる。

見覚えがある、翅…

何時か何処かの私が見た虫が背負う翅が勢いよく出現し、その勢いで弾き飛ばされ、魔力を足に込め身体を強化し地面に着地する。


しまった!勇気くんから離された!?っていうか、何が起きたの!?


「あぁ、ああ、AA、あぎ、AGYAAAAAAAAAAAA」

頭を振り兜を外し遠くへ投げ錯乱する彼の姿が…かわっていく…

黒かった彼の髪が金色へと…かわっていく…


錯乱する勇気くんの動きを止める為には…

使うしかない!カースで穢された歌を強引に歌う!私自らが!瞳達は出来る限り聖歌を歌って!!

敵に絡みついている私と繋がっている念動力をカット!魔力を込めてあるから少しの間だけでも絡みついてくれる!僅か、ほんの僅かでも敵の動きを封じるはず!

歌によって生み出された鎖が勇気くんの体に巻き付いていくが、鎖から黒煙が薄っすらと立ち上ってる、長くはもたない!!

敵は、私だけじゃなく、勇気くんにも楔を打ち込んでた!幻術、幻覚、洗脳、どれかわからないけれど!勇気くんの中にある魔眼が強引に呼び起こされてる!!

「勇気くん!お願い!応えて!勇気くん!!!」

鎖を振りほどこうと藻掻き叫んでいる。

理性が飛んでしまったかのような動き…洗脳の可能性が高い!なら!!

「違う!俺は、おれは」

【なにも違わない、お前は人ではない、此方側だ、人の皮なぞ捨てろ】

「勇気くん!何が起きてるの!?はじゃの、破邪の力を使って!勇気くんも使えるでしょ!お願い!聖女の力を授かってるんじゃないの!?ギナヤとして!柳として白き黄金の太陽から認められたんでしょ!!」

【ふふふふくふっくくくぅ、たまらぬなぁお前たちのような汚らわしき生き物が苦しみ藻掻く姿こそ我が王に見届けてもらいたいという物だというのになぁ!!はぁ、惜しむらくは…王はその様なことに興味がない】


鎖から黒煙が立ち上っていき鎖が激しく震え始める…

震える音が歌となり、叫び声となり、何かに助けを求めるような音へかわっていく…鎖を維持するのも限界が近い!!!

【・・・不快な音だ】

敵が持つ魔道具…先の一撃が僅かにでも触れたのかヒビが入っている籠がキャンドルの火のように揺らめくと鎖の黒煙が濃くなっていき鎖にヒビが入った瞬間、歌が絶叫をへと変貌する

【ははは!良い!音とはこうあるべき!何とも耳障りの良きメロディか!よいよいよい!震えるぞ、そのビート!心地よい心地よい!!狂え叫べ笑え!!ふぅあははははははああ】

鎖が砕けないように魔力を込めるが、呪いの力が強い!!

ダメ!!お願いもって!このままじゃ歌が…カースによって崩壊する!!


『イラツゲを穢すな』



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