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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (128)

「沼地殲滅用の毒ってまだ在庫あるよね?」

「あり、ますが」

この言葉が何を意味するのか賢いメイドちゃんだったらね、気が付くよね。

察しが良いよね…

承服しかねますっという不服そうな顔、わかるよ?冷静じゃないんじゃないかって、フィアーに心が犯されていないかって言いたいんでしょ?

「最悪、それを使って地中深くを汚染する」

「…」

俯いて返事をしてくれない…

自分たちの首を自分達で〆るのですか?って、言いたいよね。わかってる。


少し冷静になろう、体内に漂う流し込まれた魔力を使って思考を加速、いや、クィーンが近いのな~…視線をクィーンがある方向へと向けると思っていたよりも遠くにある…ちょっと遠いから、このまま体内を巡る魔力で思考を加速!



そもそも、人型は王都まで続いている穴を最後まで進まないで、どうして途中で上に向かって出てきたの?その理由は何?

王都を目指さずにここに出てきた理由は何?

っていうか、穴の中からどうやって的確に私達の街の場所を知ることが出来たの?


塞がれていない穴のサイズを確認するために近くまで歩き穴を観察する


穴の大きさは、少し崩れてしまったのか、小さくなってる、でも、匍匐前進の要領で屈んで入れば私くらいのサイズであれば余裕で通れる大きさの穴。

鎧を着なければカジカさんでもギリギリ、いけないこともない、でも、何かの弾みで生き埋めになるリスクは特大って感じ。


倒した敵に視線を向けて、大きさを確かめる…


普段では滅多に見ないってわけでもない自爆タイプに多い人型としては小さめの個体。


小さめの人型であれば通れるサイズ…

っということは、限られたタイプしか通れない。


恐らく…こういう時を想定して用意した特別個体って考えるべき?


だとしたら敵は地質も調査済みってことにならない?

だって、元々、ここら一体の土は結構崩れやすく耕しやすい土。

建物を建てていない場所に関しては地面を固めていないからガチガチに硬いわけじゃない、地表に近ければ誰かが通ったりした弾みで穴の淵が多少は崩れてしまう程に脆い。

そんな事を敵が知っている可能性は?…ゼロではないけれどありえない。

その考えを否定する一文を過去の私が叩きつけてくる。

わけでもないのか、敵は始祖様が倒しそこなった敵、この街が生まれる前から存在している獣、っであれば、何かしらの方法で知っている可能性があるってことか。


だとしたら、そこを逆手にとるのはどう?

地表から地面を固める為に重しを地面に打ち付ける道具を使えば、敵の侵入経路を衝撃で埋めれる可能性もある、なら…それを使ってみるのは?


いや、ダメだよね。軽く逆算してみたら凄い時間が必要。

用意している間に攻められる可能性が高い。


組み立てる時間に重りを持ち上げる為の人員を確保しているだけでも時間がかなり必要でしょ?

じゃぁ、念動力で強引に持ち上げればって、案もあるけれど、出来るか出来ないかって言われると、できない事も無い。

けれど、持続的に連続的に魔力を使うのは良くない、重いモノを持ち上げ続けるってのは効率が良くない、消費が激しい。

なので、この案は却下しよう…


塞ぐことも大事だけど、考えを少し戻、す、までもないか、私の中で答えは出ている。地下から私達の場所を知った方法、私の予測が正しければ…

何で探知しているのかで行きついた答えが…



地表を歩く人の足音、その数を目安にしているって考えるべきだよね

恐らく、そういった音がする場所までたどり着いたら上に向かって穴を掘れって命令でも与えられていたのかもしれない。


確認する様に、仕留めた敵の腕周りに視線を向ける…腕周りの毛皮が土色に汚れている、ほぼ確定かな?地表に向けて自らの腕によって這い出てきたってのは間違いないかな?

なら、どうして王都まで続いているであろうワームが作った通り穴を進み続けない?いくら、足音がしたからといって這い出てくる?与えられた命令が音がしたら出るではないのだとしたら?


もう一つ気になる疑問が浮かんでくる…


ワームが掘った穴、王都まで続いているであろう通り穴…

もしかしたら、この地点よりも先が埋まっていたっていう可能性は?…

あるかもしれない。

その可能性が正しいのであれば、王都に現れたワームも左程…

大きくないっということになる、これが正しいのだと判断する材料が欲しい。

「メイドちゃん」「はい…」

そんな悲しそうな顔をしないの、毒を出せって未来を奪う非道な決断を下すと思っているんだろうね。

さすがの私も自分たちが生きる場所に猛毒を使うってのは、ね?

よく考えてみても早計だったと自身でも反省しないといけないって感じてる。

やっぱり、思考加速は必須だなぁ…私ってこう見えて直感タイプだから、思ったらすぐに行動しちゃうんだよね~、思考を感情が追い越しちゃうとね、衝動的に動くときがあるから、思考を加速することで冷静に踏みとどまれている!

思考加速のおかげ!生み出してよかったよこの術式…反動きっちぃけどな!

「王都から何か連絡ないの?何でも良いから情報届いてない?ワームの大きさとか、ある程度でいいから知りたいんだけど?」

話の内容っというか、流れが急に変わったことにメイドちゃんが一瞬だけ思考が停止し動きが止まってる。

さすがのメイドちゃんも急ハンドルに付いてきて来れてないかな?

「ぇ?…ぁ、はい!姫様が研究塔に向かわれている間に、伝令班を搔き集めて情報を集めておきました!」

流石!メイドちゃん!私が欲しい情報が何かよくわかってくれている!

「遠方から望遠鏡によって状況を把握することに勤めてくれた方が居ましてその方達からのご支援です!」


王都近くでキャンプしていた一団は突如地中から湧いて出てきた異形な生物であるワーム共と交戦を開始、後に勝てないとわかり王都周囲から逃げる様に撤退

キャンプ地後には、無残にも集まっていた兵士、その凡そ7割くらいが倒れたまま放置されている生死は不明、確認に行けるほど僕たちは無謀じゃない、見知らぬ他人を救いに行くほどの勇気は持ち合わせていない。

城壁より奥は見えないが、城壁を超えるほどのサイズが出てきたのは一度たりとも無い、だけど、王城のてっ辺にワームが巻き付いているのが見えたので、王城に多くワームが現れたかもしれない

街中では多くの悲鳴が聞こえてきたけれど、家屋が倒壊するような音が聞こえてこない

暫くしてから、キャンプしていた一団が離れワーム達が何処かに移動したのを確認してから、一部の人達が家畜と共に、此方に向かって逃げてきたので保護

保護した人たちから王都の中はどうなっているのか話を聞かせてもらった。

貧民街や、農地区域にワームが出てきたが、左程、大きくなく子供と同じくらいのサイズだったので、近くにいる人達全員で鍬で耕して撃退した。

自分達でも撃退できるのであればっと考える者もいたけれど、私達は逃げることを選んだ。

保護した彼らが口を揃えて言うのが、騎士達が守ってくれるわけがない、それよりも、これらと闘い慣れている専門家が多い此方に保護を求めてきた

幸いにして、僕らは、妻がこういった敵の対処方法や、闘い方を従業員一同に叩き込んでくれている、最低限とはいえ、戦い方を知っているし、剣も盾も僕らは用意し隠し持っている。粗末なモノだけどね。

其方も大変な状況だとしっている、邪魔をするわけにもいかないので多くの避難民に関しては安心て欲しい僕らで保護しようと従業員一同総意の元、頑張らせてもらうよ。


「です!」

良い方向に読みが当たっていれば敵の大きさは相当小さい!

普段時折、遭遇する死の大地で見かけるやつに比べたら数段小さいとみていいかも!

ってことは…幾ら複数のワームと言えど、全てが同時に掘り進んでいるわけじゃない、全てが同時進行で進んでいれば他にも人型が攻めてきているはずなのにそれがないっとなると、掘って力尽きたやつはその場に捨て、次の元気なワームが掘って進むっという連携作業で掘り進んでいるとみていいかも!


うん!その読みが正しいのであれば!ワームが作った穴は小さい!


王都にまで、人型が進めることは無さそう!っであれば!毒や塩?いらないいらない!!なら必要なのは…これだね!

ポケットから紙と小さな鉛筆を取り出し

「これ、用意できそう?」

ぱっと、必要なモノを紙に書いて渡すと驚いた表情、だけど、輝く笑顔!

「はい!これなら在庫があります!数は、本当にこれだけで良いのですか?もっと」

余分に持ってこられても使い道ないから、念を押しておこう。

「十分十分!足りる足りる、別に無くてもいいくらい、念のためにって感じかな、お願いできる?」

毒を使わないという選択肢を彼女が望んでいたのだと伝わってくる、それほどまでに眩しく弾ける笑顔。

気持ちの良い返事をしてすぐに笑顔のまま倉庫に駆けだしていくのその姿をついつい目で追ってしまう。

スカートをたなびかせて走っていきながらも必要な人員に呼びかけていると、近くで周囲を警戒しながら待機していた支援部隊もメイドちゃんについていくように集団で向かっていった。


弱気になってしまった私には彼女の笑顔が眩しく感じてしまっていた。

いけない、度重なる策略謀略に心が圧縮される様な窮屈さを感じている…

研究者として固定概念に囚われてはいけない、どんな時であれ、冷静に!頭を柔らかく固くしてはいけない!!んだけど!!っくそぉ、思考の隅で先生が邪悪な笑みを浮かべて挑発してくるんだよなぁ!ムカつく!!


カースのせいで日和りましたか?

ラアキさんが死にかけたせいで心の柱が一つ砕かれましたか?

次々と襲い掛かってくる魔道具持ちに気圧されましたか?

貴女が用いる術を一つ一つ対策されたことに苛立ちを感じましたか?

貴女の街に人型が複数も侵入を許してしまったことに嫌悪感を抱いたのですか?

愛してる人が危険に晒されて不安で心が落ち着かなかったのでしょうか?


それでは、ダメですよ。

如何なる時も冷静に、情報を集め、分析し敵の意図を探りなさい。

不安、痛み、恐れ、妬み、恐怖、負の感情は冷静な判断を削り落としていきますよ。



ってな感じで、目の前にいたら邪悪な笑みと共に煽る様に叱ってくるだろうね!!

はー、ムカつく!先生のそういうところが嫌いでもあり、その容赦なくいたぶってくる思慮の深さには尊敬してました!


苛立ちを抑える様に何度か口から息を吸い、鼻から吐き出していく、幼い私に容赦なく叩きのめしてくれた苛立ちを忘れる為に酸素と一緒に外へ吹き飛ばす様に放り投げていく。


情報が揃い、対策を講じて、周囲の雰囲気も落ち着いてきたからこそ頭が冷えて冷静に考えれる様になってきた…

そうだよ、冷静に思い返してみれば、一連の流れその全てが揺さぶりな気がしてきた、最小の動きで相手の心を揺さぶり冷静さを欠くように仕向けてきている。


つまるところ、私を狙い撃ちにした作戦。

私の…指揮官から冷静な判断を奪うための策略

恐らく、街に侵入してきた人型も、私が戻ってこなければ街に被害を出させ、私が戻ってきたらあっさりと討伐すると見越しているってこと!


っとなると考えられる本当の狙いは彼と彼女、してやられたと嘆くしかない。


それがわかったのなら出来るのなら!今すぐにでもカジカさんがいる部隊に駆けつけたい!先生なら…今持てる最悪をぶつけてきて確実に私達の戦力を削いでくる!!


街にまで帰還してしまい、更には、街の混乱に対して対処せざるを得ない状況によって私という駒を封じる!いくらクィーンと言えど!カジカさんやマリンさんがいる右部隊を助けに行くには時間が掛かり過ぎる!!間に合わない!!


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