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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (124)

拳を握りしめる。

再生した皮膚は少し引っかかりを感じるが動く。問題なく動く。

…背中に大きな装具をつける為に体にネジを打ち込んで、手は焼けて爛れて、全身擦り傷だらけ。


可愛いとは真逆の存在に成ろうとしている。

私が理想とする…お母様のような美しくもあり可愛さもあり、儚げな雰囲気を纏う淑女には…なれそうもないね。


でも…それでも、私は願う。

傷ついても、大きな痛みを背負ってでも、私は願う!


この大地から獣共を一掃し、平穏を勝ち取ることを!!


皮膚が固まらない様に指を大きく広げ、空に向かって腕を伸ばす…

つかめることが出来るのなら空に浮かぶ神聖なる月をも掴んで見せる、それくらい全てを欲するくらいの気持ちがいる、欲がいる!強い気持ちが必要!


私は…強欲に生きる!!

大切なモノを全て守って見せる!!


「姫様!見えてきました!」

その声と同時に荷台から顔を出し望遠鏡を覗き込む


手前に多くの人たちが居る、その奥でたぶん戦いが起きているんだろうけれど?手前の部隊の様子がおかしい?荷物を纏めてない?

考えられる事は…撤退準備?宰相の部隊は撤退準備をしている?どうして?

まさか、勇気くんの指示っとか?…それなら、あり得る。彼ならその考えに行きつくのも頷ける。

伝令係が機能していれば、勇気くんが戦況を知っていないはずがないっか…


この先、全てが終わった後の事を考えると亡くしてはいけない人を逃がす!

以心伝心!二人の愛は離れたとしても繋がっている!!


「そのまま進んで!止まらなくていいから!」「はい!」

宰相が居る部隊の横を通り過ぎながら

「街に戻って!指示は伝令班が持ってるから!」

声を出しながら通り過ぎていくと、声を聴きとれた人が慌てながらも此方に手を振って何か叫んでいる。


…さて、あと数分で混戦した現場に到着するだろう、でも、この杖はもう使えないと思った方がいい、敵がしっかりと対策方法を練っているとみて間違いなさそう。

安直な力に頼ってはいけない、まだ敵が対策していない策で攻めるべき。

つまるところ、切り札を出せってことだよね…


荷台から覗き込み多くの戦士達が大きな声で伝わってくるほどの荒々しく戦う戦場が近づいてくる、これ以上先はメイドちゃんが危険になる

「止めて!」「はい!ご武運を!!」

下りる同時にクィーンに搭載してある切り札が入っている箱を空中に浮かせ共に駆けていく。

敵がクィーンに近づこうとしたら即座に殺せるように警戒しながら前へ進んでいく。


幸いにして、敵はクィーンの危険性に気が付いていないのか、それとも、優先すべきものが有るのか見向きもしない!!


警戒を怠ることなく進みながら戦況を見極める。

前方にいる敵は、四つ?…いや、元は五つだったのかも?

戦士達の近くに転がっている人型がある、頭が無い辺り危険性はないだろう。

他の四つ…ここもまた、初めてみるのが混ざっている…何だろうあれ?


盾のつもりだろうか?

大きな板を構えている奴がその盾を押し付ける様に前へ前へ突き進もうとしているのを戦士達が槍を突き出して動きを封じようとしている。現状、特にギミックは無さそう?後回しでも良いかな?

他は「次!!」視線を向ける前に勇気くんの勇ましい声が聞こえてくる!

何かの魔道具を持った敵が地面に倒れ念のために戦士達が槌を振り下ろし頭が砕かれている

槌を振り下ろす集団に向かって敵が飛び掛かってくるのを勇気くんが優雅に体を捻って躱し手に持っているバスターソードを敵の肩甲骨から腰へと流れる様に振り下ろし、その重量から生まれる遠心力を使って舞踏会の様に優雅に旋回し重量をもってバスターソードが振りぬこうとしていると敵の体がくの字となるように仰け反っている。

けれど、それだけで一刀両断は出来ず…敵の体が如何に強固なのか物語っている、並の鎧を装着している騎士であれば鎧ごと砕き切っているであろう強力な一撃だっていうのにね!!

その状態だろうと敵意が抜けることなく勇気くんを睨みつけている!!

勇気くんとワルツを踊っているかのように旋回しながらも体を捻り、手に持っている何かを勇気くんに向けて振りかぶろうとする!!


させるかってーーっの!!


歌って!愛する人が離れていかない様に!!

術式によって鎖を生み出し振りかぶろうとしている腕に巻き付け動きを封じる!


巻き付いた直後、背筋が凍り付きそうな嫌な感覚が鎖から伝わってくる。

真っ黒な憎悪に近い何かが溢れ出てき私に伝わってきている!?

発声場所は…敵の握りしめた拳から!?真っ黒い何かが溢れ出てくる!?


目視で黒い靄が見えた瞬間、一つの瞳が叫び、鎖が消えた。

しまった!カウンターマジックの類…呪いか!!


祈りを捧げて!悪しき波動から我が身を守り世界に呪いを撒き散らさせない為にに人々を癒し導く聖歌を歌って!!


鎖を通して汚されそうになるのを防ぎ、尚且つ、周囲に呪いの残滓が残らない様に歌ってもらう。


カース系統の魔道具!滅多に遭遇しないから完全に忘れてた!


発動条件がややこしいから、敵から奪った魔道具の中に何個かあるんだけれど!使い道がわかんねぇんだよなぁ!!


いちち!!痛覚をある程度遮断しているのに、痛いなぁもう!!

胸が締め付けられる様な苦しい痛みを紛らわせるために痛みを吐き捨てる!

何度か浅く呼吸を繰り返している間にも戦況は動く、勇気くんが鎖に巻き付かれた際に生じた隙を見逃さず敵を地面に叩きつけていた。

その直後に戦士達が敵の手に向かって攻撃を繰り返し指という指を圧し折り、手に持っていた魔道具が地面に落ち転がっていく…あの攻撃嵐から抜け出てきても損傷しない辺りかなり頑丈な素材、何で出来てるのあれ?


好機を逃さない勇気くんじゃない、即座に全身を逸らし振り上げたバスターソードによって敵の首に向かって超重量のソードが振り降ろす様に叩きつけられるが首が飛ばない、連携に備えていた戦士がその上から槌を振り下ろしバスターソードを叩くと敵の首を撥ね飛ばされ「次!!」大きな声で叫び知らせながら盾のような敵に向かって駆けだしていく


盾を持っている敵を勇気くんが倒すと仮定して!最後の一つ!それが何かする前に倒さないと、何だけど何だろうあれ?


両手に何か持ってるんだけど、何だろうあれ?

必死に周りの状況を見えているはずなのに意に介することなく持った何かを振り続けている。


手首を使って前後に動かしてる?まるで、マラカスのような?

…耳を澄ませるとなんか、音が出てる?…おとに、関する魔道具?


詳細が分からないので取り合えず、箱の中から矛を二本取り出して敵の眼球目掛けて射出、眼前に迫ってくる矛を防ぐために反射的に動く、それを利用する。

手に持っている先端が丸い魔道具で矛を防ぐと矛が刺さり先ほどまで一心不乱に振り続けていた何かが砕け、中から光に反射するような物質が飛び出してくる?

砕けて生まれた裂け目から、何か砂のような物が零れ落ちていく?


敵の魔道具が壊れたのであれば追撃をするのが戦士達の定石、近くで様子を伺っていた戦士達が攻撃に転じようと槍を突き出した…


その瞬間

眩い閃光が砕けた魔道具が生み出され目を焼かれる!?

世界を真っ白に染める!?


しまった!?壊される前提の魔道具!?ってこと!?

恐らく、振り続けて魔道具ですよーっとアピールして壊されるのを待ってたって事!?

っち!こっちの行動原理をよく理解してるなぁ!!


その程度で私を封じたと思っていたら大間違いだけどな!


視覚なんて無くってもなぁ!此方とら、お前らの位置を把握することなんて出来るってーのぉ!!


脳内で光り輝く瞬間を思い出せ!記憶してるでしょ!


味方の位置などを全て思い出し、即座に座標を計算し全ての位置を把握!

空間座標を把握するための術式はね!開発済みだっての!!

これが無かったら念動力を変幻自在に扱えないってーーの!!


更に!!

閃光によって視界を奪われた戦士が驚きの声を少なからず出してくれているからその音の広がりによって全ての位置を把握!!


音の広がりから伝わってくる情報を分析…って!敵が拳を振り上げてる!?

振り下ろす先は目を焼かれた戦士の脳天!?目掛けて!?


させるかってーーのっ!!


敵に向けて射出した矛、その二つに再度接続し一つは振り上げた拳に向けて、一つは敵の喉元に向けて撃ちだす!力を込める時間が無いから威力は弱いけどね!!

打ち出した矛が両方とも当たった感触が伝わってくる!おかげで確実に敵の座標がわかった!

箱の中から混戦乱戦状態に備えて用意してある切り札を取り出す!

敵に当たった瞬間に動きを封じる為に用意した道具!


術譜と混合し反応を起こさせる特殊な液体をぶつける!!


ぶつける場所は矛が当たった箇所!そこに私の魔力を帯びた力場がある!そこを目印に飛ばす!!箱から術譜と液体が入った瓶の中身を念動力で取り出し目標地点に向けて飛ばしていく。


古典的で古めかしい威力の低い術譜だと思った?残念!特別製だからねそれ!!


飛ばした術譜が二か所に張り付いた!即座に発動!!

発動している術譜を追いかける様に飛ばした液体の次弾も当たった感触が伝わってくる!これで終わり!!


発動した術譜から染み出る液体とぶつけた液体が混合されると瞬時に液体の熱を奪い凍っていく!!


たった一つの術譜で敵が凍り付いて動けなくなる?んなわけ!一つじゃない!連続して術譜が途切れることなく列をなして飛ばしてるっての!!

敵にへばりつき特殊な液体が術譜から飛び出した瞬間から液体が凍っていく!!


視界を奪ったら私達を蹂躙できるとでも思ったの?

甘い!先生は詰めが甘い!私がその程度で何も出来なくなるわけがないでしょ?


当たった箇所が凍った程度で止まる人型じゃないって?

…特別製っていったよね?高いんだからその液体。


そう、お前らの体液をベースにして造り出した浸透水式に用いる液体をちょっと戦闘用に改良したんだよ…今頃はもう…凍り付いたでしょ?内臓が…


術譜の中に染み込ませておいたのが特別製!浸透水式用の特殊な液体!

術譜が起動するとその液体が染み出るように噴出させ液体が瞬時に敵の体内へと浸透していく、その後に飛ばした液体をぶつけると反応させると術譜からしみ出した浸透水式用の液体が急速に周囲の熱を奪い凍っていく!

敵の体内に液体が染み込みつつ、敵の体温を奪いながら全身を駆け巡り、最終的に内臓を凍らしていく秘密の切り札!!


名付けるなら、氷の砂時計ってところかな?

お前はもう、細胞の一欠けらも余すことなく凍り付いてるよ?


ゆっくりと瞼を開き、ぼやけて見える光景に満足するのと同時に危険を感じてしまう。

絶対に、人に使えない使ってはいけない切り札…うん、これは危険だね。


「砕いて」

その一言で最後、砕かれた敵の体からは砂の様な氷が弾け飛んでいく…お前の時計はもう動かないよ。



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