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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (123)

当然、王城にいる人達も例外じゃない、魔力を吸われて動けなくなる。

王であろうと何であろうと容赦なく吸う様にしてある、っていうか、王城だけ効果範囲から外すなんて器用なことできるかっての…


敵が動けなくなったら停止させて無力化した状態で捕縛するために用意した。

でも、発動すればその余波によって最悪な結果を残してしまう可能性が高い、発動者には大量殺人犯、国家転覆、王家にあだなす不届き者、エトセトラエトセトラ!色んな罪状をつけられ死罪は免れなくなる…自身の人生に終止符を打つ未来しか無くなってしまう、最後の最後、どうしようもない時を想定して用意した切り札


冷静に考え直してみよう。

今の状況下でそれを発動したらどうなる?

馬鹿な考えだと自分を笑ってしまう、決まっている、ワームたちが効果範囲から逃げる為に地中深くへ潜って地中から地上を観察し、人類が倒れてからもう一度顔を出せば良いだけ!発動したら滅ぶ!!


王都の騎士団であればワームへの対処は可能?

王を守るだけであれば、たぶん、可能…市民は守らないだろうね…

ただ、サイズがまばら、っていうか、ワームの特大サイズは此方でも確認したことがあるけれど…

あれは、思い出しただけでも気持ちが悪い!強さだけで見れば人型に匹敵しかねない程のうっとおしさ!あんなのが王都の街中で鞭のように跳ねれば建物は崩壊する…王都にある脆い城壁なんてあってない様なもの。王城なんてすぐにでも落ちかねない。


…此方の戦力を王都に向かわせる?

ラアキさんは戦線離脱、っていうか、少しでも早く卓越した医療の知識がある人物にラアキさんの対応に向かわせてあげたい!お母さんが居ないのが…


って、今は戦力の計算!個々の心配を、ぅぅ、してる場合じゃないでしょ!叫ばないで!


ラアキさんの部隊が中央に向かっているから、中央部隊がフリーに動けるようにする為に、魔道具持ちの人型を手早く仕留める。

そうすれば、勇気くんが自由に動けるようになる、その状況にしてから、私は右部隊に流れ込んで、その間に…ラアキさん部隊や、勇気くん部隊を王都に向かわせる?


中央は勇気くん独り、単独で守らせる?ってこと?

そんなことしたら、勇気くんの体がもたない!!

勇気くんだって、戦力が減るのは辛いでしょ!!


だったら、死の大地で余り活躍できそうもない減っても良い戦力、人型に対処できそうもない戦力?…私達の部隊でそんな雑魚みたいな人達いな…ぁ、私たち以外であれば?

…宰相の部隊であれば死の大地から離れたとしても大きな戦力ダウンにつながらない!


っであれば!!宰相を向かわせて私が全速力で敵を仕留める!!

合理的に効率的に動くのであれば、中央部隊に向かうのが最良であり最適解である。


だけど…感情が、私の中にある感情がその選択肢を選ばせないようにしてる!!

あのひとは、あのひとだけは、みすてれないよぉ…


感情がずっと叫んでるのは知ってる!!感情のままに動いていいのなら!今すぐにでも王都に走っていってワーム共を蹂躙して消し炭にしてやりたい!!


でも、冷静に考えると、ダメなの!できないの!私が持ちえる術は…街中を想定していない…確実に射線上の誰かが傷つく可能性が高い!かといって悠長に各個撃破何てしてたら、死の大地のメンバーが持たない!!!


分かってる…わかってる!!信じるべきはお母さんだって!!

お母さんであれば、ワーム如きに後れを取るとは思えない!フラさんだって術式を扱えれる!特大サイズでもない限り、あの二人が、ワーム如きに負ける、まけるなんて…


『でも、怪我はするよね?誰かを守ろうとして不意を突かれることもあるよね?』

首を振ってたらればを振り払う!!


冷静に考えて!王都にはカジカさんの奥様もいる!

武家も数多く揃っている!対人戦に置いては強く頼りになる!

そんな人達がワーム共に後れを取って滅びることは無い!

それに、お母さんだったら、ううん、叔母様だったら冷酷に見捨てるべきは何かを考えていざとなったら生きる為に動いてくれる!


脳裏を水が流れる様に彼女との思い出が流れていく…

幾多の時代も…滅びゆく世界でも…どんな時だって…

どんな時であろうと…どんな逆境で在ろうと…



彼女は私を支えてくれた…



信じるべきは…


私を導いてくれた人!!




思考超加速から抜け出ると襲い掛かってくる内臓からの衝撃で眩暈がし耳鳴りで世界から音を切り離され、吐きそうになるほどのストレスで胃がねじれそうになる。


それらすべてを魔力でねじ伏せる!!クィーンと繋がっていてよかった!!

とぎることが無い衝撃を感じさせない様に冷静に振舞う。

「王都には応援を出す、応援部隊として宰相を動かすよ、中央部隊に行って彼が動けるようにする!だから」

だから…その事を混乱しているであろう王都にいるお母さんに伝えに行って何て、言って良いのだろうか?

「わかりました!何処であろうと…その言葉伝えに行ってみせます!」

此方が踏みとどまっても彼女の目に光が宿っている。

正直に言えば大国も混乱しているであろうから、彼女を送り出すのは不安でしかない。

「よっと」「失礼」「みんなも同じ考え」

荷台から術式班達が降りていく?どうしたの?

「これから先の戦い、私達はただのお荷物となります」「運転する人ただ、一人いれば」「それよりも、俺達が王都に行けば少なからず何か出来ると思います」

全員が思ってくれたことを伝えてくれる。

足手まといになるよりも出来ることをするべきだと…言われて気が付いた、確かに、皆をこの先…魔道具持ちが待ち構えている場所に連れて行っても何が出来るのか、速さが大事な状況で彼らを連れ立って動くことの方が無意味…うん。もっと視野を広く!一手先?ううん、5手先まで読み切らないと!!

「わかった!持てる限りの魔道具を持ってワーム共を倒せれるだけ倒してきて!出来れば、団長と合流してからね!優先すべきは何かわかってるよね?後、移動するための車の準備もしておいて欲しい!皆が乗るやつと、宰相たちが王都に向かうための車を!」

「だとすれば、運転するのは俺じゃない」

運転席から運転手が降りて此方を見上げてくる。

ん?運転する人は欲しいよ?

「運転技能が一番高いのは彼女だと俺達は思う、車の準備をするのも一番早いのは俺達だ、だろうボス?」

適材適所って言いたいんだね。流石は術式班、私の考えが染み込んでる

「メイドちゃんは…聞くまでもないか」

何度も何度も認識阻害のマントを被って色んな場所に伝令を伝えに走り続けてきた彼女からすれば

「はい!もう慣れちゃいました!」

覚悟を確認する迄も無かった、彼女の屈託のない笑顔。

そうだよね、とっくに…この戦いが始まる前から彼女は自分の命を…先に残すつもりが無いと覚悟を決めてくれていた。


この混沌とした状況で彼女に私の代わりとして司令官として動いてもらうのは無理があるよね…

それよりも、彼女が持つ技能を役立てるべき…混沌を極めし戦場に割く、二つの華。

この世界には無い、咲けば数日を持って散り行くサクラの花を見守る様に頬月が傍で輝く…


散り行くのであれば、派手に華麗に煌びやかに!!

「行くよ!」「はい!」

バタンと豪快にドアが閉まる音と共に車が動き出す。

「団長を…お母さんをお願いみんな!!」

「任されよ!」「任せてください!!」「俺達だって彼女には世話になってる!!」

走り行く車から願いを託すと頼もしい返事がたくさん帰ってくる。

加速していく荷台から見える世界は混沌としていなかった、誰もが自分の役割、出来ることを受け止め明日を目指し前へ進もうとする力強い意志が渦巻いている。


秩序有りし混沌、明日を求める意志、絶望を振り払おうとする意志、皆の様子を見て気合を入れなおそうとしている人達もいる。


私はもう少し、皆を頼りにしても良かったんじゃないかな。

そんな風に感じてしまう程に、彼らの動く姿が力強く頼もしかった。


始祖様が生み出してくれた壁、死の大地と私達の街を繋ぐ門をくぐり、トラックが死の大地へと駆け出していく。

今まで違い、クィーンの荷台が大きく揺れることが無い、確かにメイドちゃんの運転の方が速くそして、安定している。


長い事、車を運転して来た彼女だからこそっか…

そうだよね、外交の為に色んな国への移動するときずっと運転してきたのだから、一番うまいよね。


今のうちに焼け爛れてしまった両手を回復の術式を使って再生させないと…

回復が人よりも遅い私でも、流す魔力量を増やして強引に再生させればいい…

その感覚を、それを人体が許すという事を私は知った…知ることが出来た。

先の出来事も私には必要だったのだと言い聞かせ、皮膚を再生させていく…

この程度の代償で済んで良かった、次使う時はちゃんと保護用の手袋を装備しないといけない、感情のままに動きすぎちゃった。


感情のままに敵を切り刻んだ代償。

光りの術式を手に纏い指の先に高出力の光の刃を生み出す術式。

ある程度、保護はしていても、それくらい軽く打ち破ってくる熱量によって私に両手は大やけどしてしまっている、皮膚全てを交換しないといけないほどにね。

今、強引に焼けた皮膚を削ぎ落し、魔力によって強引に再生させているから、たぶん、もう前のような滑らかできめ細やかな皮膚には戻らないだろうね。


ゆっくりと再生されていく肌を見つめながら感じる

死の大地だというのに快適…うん、他の人が運転するのに比べたら凄く快適。

揺れも少ないし、急な制止も無ければ急な加速も無い。

揺れるはずなのに、揺れも最小限、どうやって運転しているのか、検討はつくけど、それを実践するなんてメンドクサイこと私じゃしない。目的の場所に付けばいいんだからっていう考えとは違う。

後部座席にいる人に負担をかけない快適な旅を過ごしてもらいたいという願いの結晶が技術となって彼女の中に根付いている。


こんな状況だというのに心が歓喜で震えている。

雫となって零れない様に空を見上げる、何処か懐かしいこの感覚。

二人でずっとずっと…色んな場所に取引の為に走ったよね…久しぶりだな、この感覚。


再生された皮膚の感触を感覚を確かめる為に、荷台に積んで何時でも砲撃が撃てるように立てられている杖に捕まってみたりしながら、平和だったあの頃を思い出してしまう。


やっぱり、私は闘うよりも、ノンビリとテキトーに仕事をして…その稼いだお金で好き勝手に自由気ままに研究する日々を送りたかったな…

仕事をして、愛する旦那と共に研究して、お母さんやメイドちゃん、気心の知れた人達と一緒にマリンさんのお店でご飯食べて、お酒飲んで…

そして、何時かは私も愛する人の子を授かって、母となって…お母様に会いに月の裏側へ逝けばよかった…


夢を追い続け、強欲に…手を出してはいけなかったのかな?


なんつってね、目の上にたんこぶがあればうっとおしいでしょ?

何時どこで食われるのかわからない世界で行きたい?んなわけ!

急激な変化で心がちょっと日和ってる、気を引き締めないとね!

私は強欲なんだ!世界も救って!愛する人と一緒に世界を旅するの!

子供いっぱい!いーーーっぱい!産むの!!お母さんになって…お母さんと一緒に子育てをするの!!



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