表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最前線  作者: TF
558/700

Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (122)

息をしていなかった

思考が止まり、世界を呪いそうになる、心が黒く染まり、世界が反転していく

懸命に生きようとする全てを嘲笑いその世界に誘おうとする何かが傍で笑っている


『何を悲しむ、何を憂う、お前も此方側だろう?■■使い』


黒い世界で籠が笑っている、仲間が来たと喜んでいる…


瞬時に理解する、死が敵を強くするのだと…

そんなことさせるものか!私の大切な人達をお前たちの玩具にされてたまるモノか!!

「お前たちに私の大切な仲間を、取り込ませるものか!!」

思考超加速!世界を置き去りにする程に加速する!私という世界を構築する!!


心臓が跳ねる…痛い程に…肺や心臓が裂けそうだと感じるほどに…

急激なストレスで脳が狂いそうになる…急激なストレスで神経が焼け焦げていく…

急速に酸素が消費され体内の酸素が枯渇する…世界が止まる…酸素もまた…


加速の衝撃だけで思考がブラックアウトするだろう、でも、私はそれをさせない方法を知っている!!


その全てを魔力で補う!!


痛みなんて痛覚を遮断すればいい!ストレスで脳が狂いそうになるのであれば、脳内物質でかき消せばいい!なんなら、瞳達が代わりを務めてくれる!!酸素が足りないのであれば、魔力で酸素を精製して肺に取り込ませればいい!!


思考超加速状態、今までよりも思考が加速しているのを感じる。

視界から得られる情報が遅い、その遅い状況でも動いて見せる!


彼の心臓が止まっているのか、否か…すぐに探る…まだ、彼の中に私の魔力が漂っている。先に流した魔力を再度手繰り寄せ掴むと、かろうじて鼓動を感じる、肺は?…止まっている。


原因は?…不明、現時点ではわからない、衝撃で止まった?ううん、違う、横隔膜が破れている?強引に心肺を稼働させれば命は繋ぎ止めれる、内臓の位置も強引に戻して横隔膜が回復するまで固定すれば…すれば助かる、でも、その状態で何時間付き添わないといけない?私は、できるが、それをすると…誰か、他に誰か出来そうな人は?


それが出来る人は?…お母さん、お母さんなら!まって…お母さんは今…いない!!


なら、どうする?私が、私なら出来る、でも、その間どうするの?他を見捨てるの?

そんなの、出来るわけが…一つを救う為に多くを見捨てろっていうの?

人の可能性に賭けろ?…できるわけない!分が悪い賭けはしないの私は!

何か…何か…全てを、打開する、策を、思考を止めるな!


制止する世界の中で一瞬だけ何かが空中で輝くのが見えた…


あれは、敵が首につけていた魔道具?…効果は肉体強化の類、でしょ?お爺ちゃんの肉体を強化してど…う?まって、そもそも、敵はどうして動けたの?

記憶を掘り出す、敵の首を飛ばし圧縮し潰したとき、垣間見えた敵の胴体…空洞じゃなかったか。塞がっていた?…まさか、身体超再生とか、そういう類の魔道具?


可能性が高い、空を漂う魔道具に向けて念動力を飛ばし瞬時に掴み解析を開始!!


…駄目だ、言語がわからない!中を開いて構造を確認し、一つ一つ繋ぎ合わせて幾度となく分解組み立てをしてからじゃないと術式が理解できない!!


『理解できなくても扱えれれば問題は無いよね?にしし!』


その声に従う様に、引き寄せて手繰り寄せたネックレスを直ぐにでも彼に装着するために、ラアキさんの兜を飛ばす様に外してから彼に身につけさせ、魔力を強引にネックレスに流し込むと


ネックレスが弾け飛び、砕け、粉となって空へ流れる様に消えていく…


時折、敵の魔道具は強引に手順を踏まないで魔力を流すと砕け散ることがある…


だけど!!成功した!!「っか、は!?」それに呼応する様に彼の口から血の塊が吐き出され酸素を取り込もうとするし弱くなった鼓動が再度動き出そうとしている!!

彼の体に魔力を流し状態を再度念入りに検査する!!裂けた横隔膜は再生し、止まろうとしていた心臓が動き始め肺が収縮し彼の体に酸素が取り込まれていくのを感じる!!

ぺちぺちと彼の頬を叩くが眉をしかめるだけで意識は帰ってきそうもない、恐らく全身を駆け巡っている痛覚から逃げる為に意識を落としているってところかな!!

「なら、助かる!!問題があるとすれば血がたりなくなるかもってくらいかな!!」

超思考加速を解き、周囲を確認すると多くの騎士が此方に駆け寄ってきてくれる


幸いにして私の発言が聞こえていたみたいで生きていると感じ深刻そうな表情をしていないが、一部の人達は一連の流れるような私の動きを見て青ざめ戦慄した表情をしている。

「全員撤退!戦場は終わりを告げていないから!」

撤退宣言を出すと騎士達は直ぐに行動を開始する、ラアキさんをトラックの荷台に運ぶように近くにいた騎士に声を掛け敵の追撃が始まる前にここから撤退する!!

「傷ついて歩けない人はトラックの荷台に載せて!歩ける騎士は全速力で中央部隊に向かって走って!場所はわかるでしょ!」

静かに多くの騎士が頷き行軍を開始する。私達も怪我をして動けなくなった騎士達と共に撤退を開始する


全速力でクィーンを動かし徒歩組の比較的元気な騎士達と別れセーフティーエリアに向かう。


左のセーフティーエリアに到着すると同時に「各員撤収作業急いで!ごめんだけど、ここの位置が敵にバレてる可能性が高い!攻めてくる前に私達の街に帰還するよ!!悪いけれど、殿を務めている暇がないの!他の部隊に直ぐにでも駆けつけないと怪我人が増えていく恐れがあるの!それに、怪我人を病棟に届けないといけないの!私は先に帰還する!」

必要な情報を大きな声で叫び終えると転送の陣に突っ込み、私達の街に帰還すると同時に「彼らを大急ぎで病棟へ!予断を許さない状況!」近くで待機している伝令班に向かって大きな声を出すと返事が返ってきて、出撃していなかった騎士達が荷台に駆け寄り負傷者を担いで大急ぎで病棟へと連れていく。その後ろを転送の陣を通ってきた医療班が追いかけていく。

「後!左のセーフティーエリアは破棄する!破棄した後、病棟に必要な人材は病棟に応援に向かって!人段落ついてから宰相が居る中央部隊に合流!それと…リスク最大!」

ここ数日の順調な状況であれば、絶対に口にすることは無いと思っていたリスク最大という指示、これが何を意味するのか…


死ぬ恐れがある指令っという意味


この意味を思い出したのか、号令を傍で聞いていた後方支援部隊の人達が青ざめ体が震え始めている。

こういう時に鼓舞できるようなカリスマ性を私は持ちえていない…

でも!

「左側の敵は殲滅した!次は中央部隊を救いにいく!戦況は押されているかもしれない!でも!一つ一つ押し返せば大丈夫!私達は強い!!」

可能な限り声はかける、ここから先…誰が死んでもおかしくない状況に陥るのは否定できない、でも、皆が死に魅入られない限り大丈夫だと私は信じてる!!


「準備を悠長にしている暇もない!いそ」「姫様ー!!」

発進しようすると大きな声で呼ばれる、この人の声じゃなかったら応援の一つって判断してもいいんだけど、メイドちゃんから呼び止められるのであれば、止まらないと!貴重な情報の可能性が高い!!

慌てて運転席に聞こえる様にノックして発進を止めてもらう。

「どうしたの!!??」

声がした方向に返事を返すと

「急ぎ近くに行きます!!」

大きな声で返事が返ってくる…この時点で嫌な予感しかしない。

だって…ある程度、許容できるような内容であれば大きな声で知らせてくれる。

でも、近くに行くってことは、誰にも聞かれたくない内容ってことになる…

考えられる事であれば、誰か亡くなったかもしれない、もしくは、勇気くんが秘密裏に何か伝えたいことがあるとかっという可能性もあるけれど…心当たりがない。


現状で最も可能性が高い、内容を想定するように死を受け止めると喉が渇き、声を出したくなくなってくる。

それでも、喉を震わせることなく気丈に振舞わないといけない、多くの人が見ているから。

近くに来たメイドちゃんが私の近くに到着し、何事なのか身を乗り出して荷台から顔を出すと


「王都に敵襲!です!!」


てき、しゅう?…考えられる事は一つ、大国の連中が何かしたってこと?

だとしても、それくらいなら王都に残されている騎士団が対処する、情けない男が招き入れたり余計なことをしない限り王都が滅びる事なんて無い。大国の連中くらいならお母さんでも対処できる、槍の一つや二つくらい持って向かってるだろうし、フラさんだって護身用の魔道具を持って行動しているはず

「それくらい、だい」「敵の種類はワームです!それもサイズがまばらで数も豊富です!!」


なんで、死の大地にしか生息していない、ワームが?


湧き上がる疑問に脳が、思考が停止しそうになるのを瞬時に喝を入れ、気持ちを切り替える!!

疑問なんてどうでもいい!それよりもお母さんは!?フラさんは!?何処に?

「お母さんは!?」「団長は教会にいるそうです、それくらいしか、私は知りえません。いか、如何いたしましょうか!?」


唐突に新たな選択肢が増える…


1・お母さんを助けに行く

2・死の大地の皆を助けに行く


大きく分けると選択肢は二つ…どち、どちらを、選べ…っぐぅ、ストレスで頭が狂いそう!!!


湧き上がる負の感情、黒い世界に埋め尽くされない様に、思考を正常に保つためにクィーンから魔力を吸い上げ発動させる。


思考を超加速!!!


頻繁に使っていい術式じゃない!でも!考えないと!私の思考は時を追い越す!!

緊急時に備えて教会の地下にはある程度の武器や防具は用意してある。

それだけじゃない、大国の馬鹿どもが攻めてきたら対処するために要してある切り札がある。でも、それに関しては対人用に用意してある切り札あって、ワーム達を想定何てしていない、試しに使ってみるなんて馬鹿なことは司祭はしない、だって、それを発動してしまうと人が倒れる。


発動させると王都周囲にいる生き物から魔力を搔き集めて動きを止めるっていう切り札


王都にいる人達は他の大陸の人達に比べたら魔力総量が違う。

仮に、大国の連中が王都で暴れたとしても、王都に仕込んである切り札を発動させれば魔量を強引に吸われ大国の連中は直ぐにでも気絶する。

ただ、王都にいる魔力量が少ない人もダウンするし、お年寄りや病気、大きな怪我をしている人は死んでしまうかもしれないっていう危険な切り札。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ