表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最前線  作者: TF
547/697

Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (111)

ばっと勢いよく立ち上がり顔を近づけてくる、もう!息が臭い!

頷くと直ぐに離れ

「先輩!後生である!吾輩にも貸してほしいのである!先輩ばっかり楽しんでずるいのであるぅ!!」

直ぐに台座に向かって杖をセットしようとするマリンへと向かい、今にも抱き着きそうにいなるほど、近づいてお願いしている。

「んー、そうさぁね、あたいも楽しんだし姫様が良いって言うなら仕方がないねぇ」

もっとごねるのだと思ったのかあっさりと譲ってくれたことに言葉を失って腕を上げて喜んでいるガキ大将に

「台座にセットする前に試しに振ってみてよ」

本当に出来るのかチェックするために振って貰わないとね!

先輩であるマリンさんから後輩へとバトンが渡され、バトンというなの魔道具をストレッチ棒のように腰に当てて任せろ任せろっと腰を回しながら歩いていく。

止まった場所は、律儀に、っというか、そこで振るモノだと思っているのかも?

先ほどまでマリンさんが杖を振っていた場所、激しい力が地面に伝わっていた影響もあって地面の一部が抉れている。

バッターボックスに立って杖の感触を確かめる様に軽く素振りをしてる。

あんな性格してる癖に動きが綺麗なんだよなぁ、動きに無駄がない、カジカさんは何方かと言えばラアキさんタイプだもんね、洗練された無駄のない動き、つま先から膝へ、膝から大腿部へ、大腿部から殿筋へと足から発生する力のベクトルをロスなく腰や肩に伝えて綺麗に得物に力を流している。

うん、さすがって感じ、戦士長亡き後、誰しもが彼がその席に座るのだと思われるだけあるよね。惜しむらくは心技体の心が弱いって事かな?

技に関しては文句なしなんだよね!

ありとあらゆる武具を扱いきれる千の技を持つって渾名をつけられるだけある!綺麗なスイング!

っま、今回に関して問題はそこじゃないんだけどね。

「それじゃ、試しに私が言うタイミング、止めてって言ったら止めてね」

一連の流れを見てきたから説明する必要なんて無いんだけどね、確認は大事!

頷いてから杖を振る姿勢へと構えてくれるので、振ってもらってから止めての一連の流れをやってもらうと完璧にやってのける。

「いけるね!」パチパチと拍手をすると

「この程度、造作も無しである!!吾輩を見縊って貰っちゃ困るのであるなぁ!ぬぁっはっはっは!」嬉しそうに杖を掲げて、ガキ大将だな~。

「それじゃーあたいは休憩させてもらうとするさぁね」

両腕を空に突き上げて背筋を伸ばす様にストレッチしてから、どっこいせっと掛け声を出しながら大地の上で横になっている。

死の大地だというのにリラックスしすぎじゃないのかな?っとマリンさんの豪胆な動きに驚いていると、カジカさんがだぁっはっはっと、豪快に笑いながら、杖を台座にセットするので、術式班に目で合図を送って魔力を装填してもらう。

先の流れと同じように杖の先端に光の粒を精製してから台座から杖を外すと大股でバッターボックスに向かって行き、豪快なスタンスを取って腰を中腰にして構える。

「何時でも良いのであるぞ!!」

ブフーブフーっと近くにいる私に鼻息の音が聞こえてくる程に、興奮している。

ガキ大将が杖を構えるので、杖に手を触れ魔力を込め先端にある球体を操作し合図を送る

「いいよ!ふって!」

「ぬぅん!」キレのある腰の動きに腕の動き!マリンさんほどの豪快さなど無いが、洗練された動き!

「止めて!」合図出すとほぼ同時!綺麗にピタリと動きを止めると杖の先端から勢いよく光の粒が飛んでいく…うん、弾速はマリンさんの方が速い

「へなちょこ~あたいの方がはえーぞー」

それに気が付いたのか横向きで寝ころんでいるマリンさんが野次を飛ばしてくる

「まだ一回目である!これからどんどんと洗練されていくのである!」

ふんっと鼻息荒く返事を返している間に、私達の周囲を光が駆け抜けていき、その直後に、音と共に風が頬を撫でていく


敵も段々と光の粒に興味を持ったのか、警戒しているのか無暗に前へ進もうとしてこない。

っていうか、単純にさ、足場が悪いから動けていないってだけかもしれない。

地面に凹凸ができ始めているから猪とか鹿とかは、機動力が低下している。

慎重になり始めているのが人型だけって感じかな?だって、今もほら…クレーターから人型が飛び出さそうと頭だけ出して様子を見ていたりするから、私達が見えない凹面に何匹か様子見している奴もいそうだね…


そういう奴らは何かと危険だから、先に仕留めておきたいな…


前方の状況を冷静に分析していると、カジカさんは既に次の準備に取り掛かっている。

よほど楽しかったのか、満足気にんふーっと鼻息を盛大に撒き散らしながら台座に杖をセットしているので

「カジカさん」

「何であるか?」

心底楽しいのか珍しくしかめっ面じゃなく笑顔で返してくれる。

「次は、気持ち角度を…こう」

ジェスチャーで腕を捻って杖の角度を変える様に伝えると

「ふむ、狙うところを変えるのであるな具体的な場所がわかるで、あるか?」

察しが良いね、彼なら狙って欲しい場所を明確に伝えたら制御しきれるような気がする。

「あそこに顔を出している愚者を葬りたいんだよね」

「どれであるか?」

敵に見えない様に指を刺すとんん~っと目を細めて遠くを見ようとしている

「ぁ~、居るであるなぁ、姫様は目が良いのであったな、気が付かなかったのである」

「標的を的確に狙えそう?」

この質問に、口角を上げて

「うむ、先ので凡その軌道を掴めたのである、僅かな角度、調整してみせようなのである!どこぞの微調整が出来ぬ粉砕がお得意の方と比べないでほしいであるなぁ~」

近くで寝ころんでいる人物の背中に悪態をぶつけ始める

「へ~言うじゃねぇか、外れたらおぼえとけよー」

腰に当てている手を上げてカジカさんが居るであろう方向に人差し指を向けたと思ったら来るっと手のひらを返してカジカさんに向けて中指を立てる。仲がいいなぁ。

「吾輩に見栄と言う言葉は無いのである!これでも、貴族であるからな!嘘偽りなど言わぬのである」

悪態を悪態で返されたとしても何も気にすることない様子で売り言葉に買い言葉、流れるような二人の会話に二人の歩んできた歴史を感じてしまう。

「いってろ~」

「そうだそうだ奥さんが貴族なだけでお前は違うだろー」

「威張るなら正式に貴族に迎えてもらってからにしろよー」

一斉に野次が飛びかうがその言葉に慣れているのか、っは、っと鼻で笑って光の粒が精製された杖を台座から外し、ヤジを飛ばしてきた連中に指を刺しながら不敵な笑みを浮かべ

「見てるのであるぞ!」

歩いていくとブーイングの嵐で見送られる。

引っ込め、次は俺にやらせろ、早漏、などなどの罵声を賞賛を浴びるかのように受け止めながらバッターボックスに立って、ゆっくりと構える…

ここにレディが居ることを理解してほしいかなーっと、呆れながら杖に触れ「良いよ振って」セット完了と同時に指示を出すと、直ぐに腰が回転し「ぬん!」綺麗なスイングが生み出され、狙った箇所で止めてもらう為に声を出す「止めて!」合図と共に上半身がピタっと止まり、杖の先端から光の粒がかなりの速さで飛んでいく…


飛んでいく光の粒、その軌道は先ほどまでとはちゃんと違う。

彼の宣言通り、まさに有言実行。光の粒は私が狙って欲しい箇所に吸い込まれる様に飛んでいき、人型が潜んでいるであろうクレーターの中に吸い込まれていく…視界から光の粒が消えた瞬間に、クレーターの奥から光が弾ける!!あの位置なら確実!


後方から弾け飛ぶような強烈な衝撃でクレーターに潜んでいた人型が吹き飛ばされ、地面に叩きつけられ何度も何度もバウンドし激しい衝撃によって大地に擦られ続ける。

その結果、ご自慢の毛皮が削られ皮膚が顕わとなり、更には叩きつけられた影響で動けなくなっている。敵が立ち上がる間も無く、近くにいた戦士達が首を撥ねる。


やるじゃん!あんな微調整ができるなんて!私でも狙い撃つの難しいのに!!


「どあっはっはっは!視たか凡骨凡夫ども!吾輩を誰だと思っているのであるか?ありとあらゆる武具を変幻自在に操る千の技を持つ手練れであるぞ!」「その中に夜の技は何個はいってんだー?」

「それは秘密である」

むんっと、胸を張って偉そうにするけど、さっきから、やめてねー?切るよ~?切り落とすよー?

じろっとヤジを飛ばした人を睨むと直ぐに視線を下げマリンさんの影に隠れようとする。

分かってるなら気を付けてよね~!もう!


幾分か野次の内容が綺麗になるが、野次そのものが止まることなく、アットホームな雰囲気で敵に向けて光の粒が放たれ続ける。

有意義な時間を過ごしている戦士一同を横目に私は私で、周囲を警戒し続け、これが陽動なのか誘導なのか、警戒を怠ることは無かったが…



それも杞憂だったみたい。



その後も細かいリクエストにしっかりと答えてくれるので的確に敵を吹き飛ばしていき駆けつけた時は状況が一転し、見える範囲では敵の姿が見えない。

「はー爽快であり快感でもある、この様な快楽」「その先言ったら、わかるよね?」

ニコっと圧を加えると物凄い速さで口が閉じられる。

ったく!隙あらばすぐ下ネタ言うんだから!


マリンさんに視線を向けると慣れているのか気にも留めていない…

これが彼らにとって日常だもん、私も長い付き合いだから知ってるし私だからこそ彼らの流れを止めれるんだよね。

うん、これがあるから、女性だけの部隊を作って欲しいって懇願されたんだよなぁ。

そりゃ、私もおめでたって言う理由で戦力を減らしたくないって思惑もあるけどさ、これが日常的だとちょっとね?貴族からでてきた淑女だ、と?…いや、あいつ等の方が下ネタの頻度すげぇわ、貴族会で集まると会場の端にいる人達の会話なんて隠語で常に下ネタばっかりだわ、聴力を強化して聞き耳を立てるんじゃなかった後悔しまくりだったもんね。


まぁ、清廉潔白な人からすればさ、こういった下品な話題ってのは嫌だろうね!

我慢の限界でいがみ合うくらいなら部隊を分ける方がいいってね!

私達のもっとーは、快適に仕事に集中できる職場づくりを心掛け、風通しが良い現場を心がけており、貴方の考え、意見を真摯に受け止め、意見が通る職場づくりを心がけております!つってね!内容はブラックだけどな!


さて、馬鹿なことを考えてないで敵が潜んでいないかチェックしないとね。

望遠鏡を覗き込み、周囲を観察する…



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ