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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (107)

「仕方ねぇなぁ~…止めたよ?それじゃ、ルート変更!中央部隊近くまで車で移動!そこから右折して道なき道を走るよ!」

「応!」「畏まりました!」「ではでは、早速」

返事が響き渡る中、早速助手席に乗ろうとドアを開けてる…王族連中は歩くの嫌いだよねー、健康のために歩けよ!私?…歩いてるじゃん!最近すっごい歩いてるよ!

「ごめん、メイドちゃん、背中の器具、簡易脱着機能でケーブル外して」「はい」

返事がそっけないなぁ、愛嬌を振りまいて欲しいんだけど~?まぁいいや、誰だって自分の意思が成就しなければ不貞腐れるよね。


背中を向けると手際よく外してくれる、メイドちゃんにもちゃんと背中の器具の構造を説明しているからケーブルだけを外してくれる、外した後は荷台にケーブルを運んでくれる。

私と魔石を繋ぐ魔道具は後で運んでもらうので置いて行く。


この車があれば不必要だからね!クィーンは機動力だけにあらず!!


「荷台に乗れる人は乗ってね~、後、私を護衛する戦士達は後方支援部隊と一緒に徒歩で右部隊に向かってね!君たちが到着するまでの間に戦況が変わってて、到着と同時に移動になってもごめんね!」

そんな事が起こりえるわけがないと冗談だと捉えたみたいで、はははっと笑ってる。

笑い声を背に受け止めながらドアを開き、助手席に座っているピーカ君に足元へと指を刺して助手席に備え付けてあるヘルメットを出して装着してから、安全のためのシートベルトを締める様にさらっと当たり前のことを伝えるとよくわかっていない様子だった。


これだから、王族は…


よくわかっていない馬鹿に強く声で指示を出す

「ほら、座席の下から兜を出して被る!」「は、はい」

「被ったら座席のほら、そこに有る幅広いロープみたいなのを座席の横にある場所に刺し込む」「ぇっと、はい」

「後、手すりが上にあるからそれを常に握っといて!」「ぁ、これですね」


やれやれ手のかかる!…ふぅっとため息を吐き捨ててから、運転席に備え付けてある真ん中に縦長の穴が開いているクッションにぽふっともたれ掛かってから神経を集中させる、思考加速は使えない、持ちうるポテンシャルだけで運転しきらないとね!!


目を閉じて軽く深呼吸を繰り返し、脳に酸素を行き渡らせる。


っし!気合入れて運転するよ!!


エンジンを起動させ「出るよー!」荷台に座っている人達に衝撃に備えるように声を掛けてからアクセルを踏むと

「どわ!?」「ぴゅう!」

馬力が凄く後ろに引っ張られる!いいじゃん!想定以上の力!!

いくよ!って、言って豪快にアクセルを踏み切ってしまいたいけれど、それはしない。


だって、加速が怖いじゃん!なのでゆっくり加速!!

最初はちょっとガッと前に出ちゃったけれど、べダルで調整してゆっくりと加速させていると

「おおー!!」「お気をつけてー!!」

騎士や戦士達が手を振って出発を見送ってくれる!


行こうか!地球でいうところの一トントラック!!よりも気持ち大きいかな?

搭載している魔石の大きさは大型魔石一つ分くらいはあるんだから!!にしし!!


っま!構造はちょ~っと違うけどね!!…ちょっと、どころじゃないか?

一トントラックって言ってるけど、一トンも積めるのかな?既に重たい大型魔石を積んでるし…

んー。たぶん、積めれるし動くだろうけれどちゃんと道を整備していないと積んだ荷物が零れるだろうね。


っま!んな心配したって意味も無し!


門は、私達を見送る為か、豪快に全開で開かれている!つっても?元々、トラックが通るのを想定していないからね!擦らない様にギリギリの門を通っていくぅ!私って運転が上手い!


なんつってね、ちゃんと計算して作ってあるからね!!

すれすれつっても、ちゃんと運転できれば擦んないっての!


門をくぐり、死の大地へと頭を出し進んでいく。

死の大地に入れば誰かを轢くような心配も無いので徐々に、アクセルを踏み込んでいく

出て暫くの間は地面も踏み固まっているので比較的快適に進めていける。


だが、焼いた森の跡はそうもいかないだろうけどね!

かといって!焼け野原に到着しても加速を弛めない!


豪快に荷台の天井が無いトラックを走らせていく

「だ、っど、っぉ!?」

地面を何往復もして焼け野原を踏み固めたつっても!

「あだ!?も、もっと」

根っこを除去してねぇから!ぼこぼこしてっから!

「ゆ、ゆれ…あいだ!?痛い、痛いです聖女様!?」

激しく揺れるんだよなぁ!!


トラック野郎よろしく!と言わんばかりに大きな声を出す!

「てめぇら!舌噛むんじゃねぇぞぉ!!」

一応、注意する為に大きな声を出してみたけれど、激しい揺れでそれどころじゃないから、聞こえてないだろうね!


だって、後ろから悲鳴が凄いんだもん☆彡


荷台からも悲鳴が聞こえてくる中、でこぼこした地面を進んでいく、されど絶対に横転しないように気を付ける!


怖いのが横転!


そうならない様にだけ気を付けて!荷台と助手席にいる人達がシェイクされて溶けない様になんて気遣いはできねぇっての!!


ガッコンガッコンっと金属が揺れて撥ねる音を豪快に響かせながら進んでも何も襲ってくる様子が無い!助かる!!装甲車程、頑丈に作ってないから人型でも飛んで来たら下りて直ぐに背中にケーブル刺して対処しないといけないんだよな!


敵をある程度殲滅しているからこそ動かせれる終盤の切り札!!

動く大型魔石!!私を銀からクィーンへとパワーアップさせてくれる!駆動型補助魔道具!!本当はデッドラインで導入する予定だったけれどね!!


容赦ない叫び声を運びながら運転し続ける!森を焼いた場所が一番すごかった!

全員が今まで聞いたことのない悲鳴を上げてる!だからこの道通りたくなかったのに!

宰相が乗り込むから!宰相が悪いよね?恨み言はピーカ君に夜呂死苦ぅ!!


ガッコンガッコン激しい音を出し続ける事、幾星霜!今宵の魔道具は道なき道をいくぜぇ!いくぜ!あいぼーぅ!!


気持ちアクセルを踏むと上下の揺れが激しくなり両隣同時にヘルメットを打楽器の様に奏でる

「…ごめん、調子に乗った」

「…」

反応が返ってこないのでちらっと表情を見ると顔が真っ青だった。

うん、吐きそうってことだね!これ、当然の如く一旦止まると動き出すの遅くなるから止まるの面倒なんだよなぁ!

「吐いても良いけど、窓を開けて何とか顔を出して外に放り出されない様に気を付けて吐いてね☆彡」

注意事項を羅列すると僅かに首が縦に動いたのでたぶん、わかってくれたと信じよう。


エンジンを吹かすっていうのが良くわかんないけど、そんな気分で横転しない様に気をつけながら運転し続ける!

地球のとは違って、燃える水が爆発する力で動かしてるわけじゃないからね~…

原理はめちゃくちゃ原始的なんだよね!いつか、爆発する力を利用してタービン?を動かして力を伝えて走れるような車を作りたいよね!


地球の車!ある程度の構造は!知ってんだけどぉ!再現するっ!余裕が無かった!んだよねぇ!あっはぁ!揺れるね!!舗装大事だこれ!!サスペンションくらい、っは!積んでん、だけど、ね!!



進めば進むほど大地が荒れている影響でトラックが上下にも左右にも激しく揺れながら進んでいき、運よく敵と出会うことなく中央部隊、愛する旦那様が居る部隊へとたどり着く



「やってるー?」

窓を開けて上半身を出し腕を上げて勇気くんに挨拶をすると

「あー?…ああ、やってるが、もうそれを出したのか?まだ、道の整備すら終わってないのに?」

少し驚いただけかぁ、思っていたよりも反応が鈍くてつまんない。

ぷくっと頬を膨らませていると

助手席が開く音や、荷台から誰かが慌てて降りる音が聞こえてきたので

聴覚を遮断…

その間、ハンドサインで勇気くんと会話を続ける


部隊の状態はどう?

首を縦に振って、手を下にしてヒラヒラ、問題は無さそうかな


なら、休憩に出てよっとサインを送ると

頷いてくれる、指を立ててから下に向けて回してるから、人が集まってきたら移動するってことかな?


えっと、次は…ん?耳をトントンって叩いてるってことはもう音を拾っても大丈夫かな?

勇気くんも近づいてくるし、聴覚遮断を停止っと。

「ありがと!っで、私はこのまま右部隊に合流して敵を蹴散らしてくるよ」

「ああ、わかった、色々と予定変更だな、魔石は常時右部隊に運ばせるっで…問題は無いか?」

「そうだね…それで~…問題ないっかな?右部隊に魔石があれば、街まで魔力を補充しに戻ろうかと思ったけれど…うん、届けてくれると助かる!全力でこいつに魔力を送り続けて暴れまくってやるんだから!」

バンバンっとドアを叩いてにししっと笑顔を開かせる

「はは、良いな楽しそうで、沼地周辺の穴は出来る範囲で埋めて行っているが資材が圧倒的に足りない、右部隊から運ばれる予定だったが、それどころじゃなさそうだからな」

視線の先で戦士達がその辺にある土をスコップで掘って沼地に運んでいる。

今ある状況でも少しでも作業を進めてくれるのは助かる!

「そうなんだよねー、物量戦で押され始めてるし予想よりも敵の数が多い、右が激戦になるのは予想してたけれど、予想を超えてきちゃったからね」

右部隊がある方へと視線を向けると勇気くんもつられて右部隊が居るであろう方角へと視線を向ける。横顔がステキだよねぇっと見惚れてしまいそうになる。

「仕方がないさ、右部隊には数多くの精鋭が頑張ってくれているが…どんなに凄腕の戦士であろうと、一度に対処できる数には限界がある」

人の腕は二本しかない、幾ら戦士が強かろうと一度に倒せることが出来るのに限度がある、だからこそ、殲滅魔道具を開発せざるをえなかったってわけ、これ以降、私が作った魔道具が犯罪に使われて対策装備の開発に追われる未来が待っていようともね!!

「そうだよね、殲滅魔道具つってもさ、大型種には大したダメージにならないもんね」

「ああ、色んな魔道具を考案し用意してくれたのに…我々戦士達だけでは、力不足で申し訳ない、彼らを救ってくれ、頼めるな?」

拳が前に突き出されるので私も拳を前に出しコツンと拳を合わせ静かに見つめ合う。その黒い瞳に吸い込まれちゃいそう…すきぃ…

「せ、聖女様、後は、僕たちに、任せてください」

スコップ片手に青ざめてされど、頑張って笑顔を作って宰相が声を掛けてくるのでついつい、相手が王族だろうと言葉が漏れてしまう。

「決まらないなぁピーカ君はさ」

その発言に、相手が王族であろうと、ははっと二人で笑ってしまい、ピーカ君もまんざらでは無さそうな顔で笑ってくれる。

荷台の方から、此方も大丈夫ですーっとふにゃんふにゃの情けない声が聞こえてきたし

「それじゃ、行ってくるね」

「ああ、マリンさんとカジカさんによろしくな」

マリンさんみたいにニカっと豪快な笑顔を作って

「応さ!」

返事をすると似てないなっと笑ってくれる。


エンジンに魔力が流れる様にしてから、アクセルを踏み舗装されていない獣道をこの世界に似つかわしくない装甲車トラックで駆け出していく



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