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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (106)

私が中央部隊から姿を消している間に、右部隊に圧力をかけて攻め落とす。

戦況を動かし戦況を変えるスペシャルな駒、クィーンが居ない間に仕掛けるのは定石だよね。

つっても?私はクィーン程に飛びぬけた機動力が無いんだけどね、今のところ、桂馬かな?…んー銀っぽいかも?


機動力が飛車か角に比べて劣っている私が、この地点から右部隊に急ぎ足で向かったとしても時間が掛かる。到着時点では負傷者も数多く出て右部隊は…恐らく罠を設置してある右側の拠点まで押し戻されているって考えるべきだよね?


こうなる可能性は考慮していた、そうなる前に、森を焼いて沼地を埋めて、右部隊と中央部隊が安易に連携が取れる様にしておきたかった。


間に合わなかった?ううん、違う、間に合わせない様にされたってことだよね、ほんっと意地が悪い人!


現時点で問題点となるのが移動時間!

転送の陣が左セーフティーエリアに設置してある限り、左にしか瞬時に応援へと駆けつけることが出来ない。つっても、街からの応援がしやすいだけであって私が駆けつけやすいかと言われると場所によっては直ぐに駆けつけれないんだよね。


だから、右部隊に私と言う最強の駒を移動させたくなかった。

…私が左部隊を守ろうとしているのが見えていた可能性もある。


かといって右部隊を見捨てるようなことはしない、最悪を想定して罠を設置してある右セーフティーエリアを建築してある。


っが!!そこに逃げ込んでも良いのは、もう少し序盤!!

今は、そこに逃げ込まれると沼地を埋めたりするための運んである物資が動かせれなくなる!

最悪のタイミングなんだよなぁ!!


っち、よく見てるなぁ先生は!

私が嫌がる一手を確実に最高のタイミングで打ってくる!!


かといって、直ぐに対処が可能って程でもないけれど、最も右部隊に近い中央部隊に居てる勇気くんを動かして応援に出てもらうわけにもいかない!彼を右に動かせれない!


だったら…宰相の部隊は?…彼を送り込んだところで、時間稼ぎにすらならない。


左部隊を右部隊に移動させ、中央部隊を右に動かせば左が手薄となり左セーフティーエリアに危険が及ぶ!左部隊に持たせている転送の陣が奪われると敵が街中に沸く!

そうなると…壊滅するのが目に見えている!転送の陣は元々敵の魔道具だもんね!


それを奪い返したいから、左を手薄にしたいのかっていう意図も感じる!

魔道具?もかしてこの杖型魔道具、これも罠だった可能性が?…出てきたってことね!!


この魔道具を私達じゃ制御しきれないと判断して私に寄こしてきたってことじゃない?

大量の魔力を消費するのがわかっているからこそ、撃ちまくれば何れ魔力は尽きる!

補充するのに最強の駒が一緒に下がると判断しその隙が出来るのを待ち続け、つつ、右部隊に敵を送り続け、ジワジワと戦力を削ぎ落して良き、右部隊が対処できなくなるのを待ち続ける…


ってところかな?

ふーん、やるじゃん?やってくれるじゃん?


焦らないのかって?焦らないよ…だって、この程度なら想定内だもんね!!!


つっても?いくら想定内でも、そりゃぁ、苛立つよ?

何時かは右部隊が困窮するような状況に陥るんじゃないかってさ想定はしていたよ?

でも…そうならないように駒を進めてきたってのに嘲笑うかの如く敵の手のひらの上で踊らされている感覚に苛立ちは産まれるよ?感じるよ?


でもね、切り札は数多くってね!まだ切りたくなかったカードを使う!


戦況と状況は常に変化している…

…残された時間も僅かだしね…


なら、躊躇う必要はない、クィーンを使う。

私達にクィーンはいないよ?だって…盤上に見せてないだけ!

手の内全てを出していると思うなっての!


「指令を出すよ!メイドちゃん!駆動型魔道具を持ってきて!」

「…ぇ?ぁ、はい!!」

遠くで此方を見ていたメイドちゃんに向けてソニック音波で指示を出すと急に近くで私の声が聞こえてきたから驚きつつも、急いで車を取りに走り出す

「宰相は、中央部隊にいる戦士長がいる場所に大急ぎで向かって!」

加速する緊張感にあてられたのか、先ほどまで欠伸していた間抜けな面が真剣な表情に一瞬で切り替わる。

「っは!戦士長に右部隊へ応援に出る様に伝えるのですね!」

おっと、早合点&勘違いは良くないなぁ早とちりは良くないぜ?

「ううん、一旦、街に帰って幾ばくかの休憩をするように伝えて、宰相は頑張って中央部隊を維持!後に建築資材を運ばせるから、穴だらけの現場をしっかりと埋め立てて!後、出来ればで良いから、埋め立て終わったら森を伐採!」

自身が想定していた内容と違っていたのか驚くの同時に、非情な決断を下したのだと眉をひそめ声を震わせながら

「では、右部隊は?」

見捨てるのですか?っという声を震わせて出してくる。

指令に納得できていなさそうなので、ちゃんと説明する。っていうか、いつ私が見捨てる何て言ったのだっての!

「何言ってんの?見捨てるわけないでしょ?私が応援に出る!右部隊の戦況をひっくり返してくるよ!まっかせて!」

非情な決断ではなく、助ける為に動くのだと分かると眉により深く皺を作り

「っであれば、僕…俺も連れて行ってください!」

決意に満ちた瞳だけど、ダメだよ、前も行ったけれど君は生きて帰らないといけない。

全てが終わった後にこの街が情けない男に押収されないためにもね。

「不安?不満?私だけで何が出来るんだって言いたいのかな?」

「…は」「すみませーん、道を開けてくださーい!」

宰相がYESと答えようとした刹那

カンカーンっと金属を叩く音を激しく出しながら近寄ってくる黒鉄の箱!

「姫様ー!お持ちしましたー!」

ギキィっと激しいブレーキ音を出して止まり、重苦しく、そして、近寄りがたい装備が施されまるで、鉄の鎧と槍に覆われたかのような箱から麗しきメイドがドアを開き下りてくる

「ありがと!支援部隊は杖型魔道具を車の荷台に載せて固定を急いで!」

「あれは?」

驚いたような表情、王族だったら車の一つや二つ、持ってるでしょ?

ベースだったら、畜産王こと、ララさんが王都に搬入するときに使ってるトラックだよ?見たことあるでしょ?

…いや、ここまで、ガッチガチに武装したトラックは見たことが無いか。

「っそ、車!死の大地では絶対に使えない車!だって、動かすだけで激しい音を出すような品物、使うわけがないって思ってたでしょ?」

にししっとからかう様に微笑むと

「まさか、あれで駆けつけるおつもりですか?」

「そうだよ?速くて頑丈、私達にとってネックだったのが機動力!それを補うための切り札!序盤じゃ使えないけれど、ある程度、敵の殲滅が進んだ今だからこそ使える、機動力向上するための切り札!機動力が欲しいからって誰かさんみたいに馬で死の大地に踏み込むような馬鹿なことはしないよ?」

むぐっと口を閉じて恨めしそうに此方を見ている、知っていたのですかって言いたそうだね?にしし、悪いけれど、君が犯した失態は語り草だぜ?

そんなやり取りをしていると、横からメイドちゃんが

「姫様!あの、お取込み中の所、申し訳ないのですが、その」

決意に満ちた表情でどうしたの?言い淀むような何か問題でもあった?土壇場で切り札のクィーンに問題発生とか、勘弁してよ?

「私にも、その、鎧や戦闘服へと、着替える許可を頂きたいのですが」

成程ね、そっちね?クィーンを運転するためにメイド服だと軽装すぎるって言いたいんだね?ったく、勘違いしてるなーもう。君の部署は伝令班でしょ?

後は…何かあったときに私の影武者として疑似司令塔になってもらうのが仕事。

「何言ってるの?メイドちゃんは街で待機だよ?」

目を見開いて、どうしたの?そんな非常識なことは言ってないでしょ?

「で、では、誰が運転をなさるのですか?」

「決まってるじゃん、私だよ?」

開いた瞳が一瞬で曇り悲しそうな表情をするので

「運転手はメイドちゃんがずっと勤めてくれていたけれど、お互いやることがあるでしょ?貴女は伝令班、私は殲滅班…わかってるでしょ?」

返事が返ってこない、メイドちゃんが私について来てしまうと連絡網が機能しなくなるからね、運転だけで貴重な駒を減らすわけにはいかないっての


クィーンを出すと言う意味をメイドちゃんは理解している

最後の最後は私と共に…ううん、私の傍に居たかったんだろうね。

他の主を求めていない、つまりは…死ぬのならともにってことでしょ?

彼女の心を汲んであげているからこそ、どうやって納得させようかと思考を巡らせていると

「積み込み終わりました!」そんな暇は無いのだと告げられる。

「OK!後方支援部隊は戦士長が居る場所に向かって!術式班は私と一緒に行くよ!荷台に乗って!助手席も空いてるけど~…」

メイドちゃんが懇願する様な視線を向けてくる、諦めが悪いなぁ、ダメだっての。

視線を合わせることなく告げる。

「そこは一人だけだから仲良く話し合って決めてね!」

その一言で急遽始まる話し合い…メイドちゃんも混ざろうとしないの!

はぁもう、早くしてね?


私が決めたら禍根が残るから出来ないんだよね~こういう時にさ、メイドちゃんをフリーに使えればさ運転はメイドちゃん、助手席は私で固定だから良いんだけどね~。

「ははは、何を言う助手席は僕が相応しいに決まってるじゃないか」

話し合いを嘲笑いながらピーカ君が有無を言わさずに、助手席に向かっていく姿を見て声を掛ける…

「乗るの?」

「ぇ?ダメですか?」

それは予定外なんだけど?歩いて行けよ?

進行方向ちょっち違うんだけど?

「本当に乗るの?」

「…」

まぁ、寄っていっても良いんだけどさ、後悔すんなよ?


本当に乗るの?っと意志を込めて目を見ると、直ぐに逸らして視線が泳いぎ始める。

念を押すということは何かあるのだと感じているのだろう、だが、頑なな意志を向けて此方をチラ見してくる…ん~、意志が強いのか弱いのか?考えられるのは~…王族って考えるとこれかな?歩くのが嫌なのかな?…しゃぁねぇ、乗せて行ってあげるとしますか。


後悔すんなよ?にしし!!



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