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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (104)

懐かしい日々、穏やかだった日々、あったかもしれない日常。

そんな雰囲気を感じ、ついつい、幻想に包まれるように紅茶の香りを堪能する。


幻想に包まれたまま優雅に窓を開ける、すると心地よい涼しい風が吹き部屋の中に駆けていく、窓を開けて世界と繋がりましょう…世界は何時だって平和で、静かな…とはとても言えないかな。

いけないいけない、優雅な心を忘れてはいけませんことよ?

さぁ、耳を澄まして…耳を澄ませれば…木々が風に揺れる優雅で平和な音が…駄目だ、爆発音しかイメージできねぇや。


木々が揺れる音=爆発ってくらい、この木々が揺れる音が吹き飛ぶ音に感じるくらい爆発が身近すぎちゃった。


んふぅ…っと、つい眉間に皺を寄せながら溜息を吐き捨ててしまう。

いけないいけない、殺伐とした雰囲気を忘れようと殺気を消す為には優雅に過ごさないとね。


紅茶を口につけ、一呼吸すると、香りが鼻から抜けていく…嗚呼、素晴らしきかお、かお…んぅ、木々が焦げる匂いがこびり付きすぎてて、何だろう、良い香りだと、感じれない感じ取れないなぁ…


鼻から大きく息を吸い、口から吐き出す。

視線をメイドちゃんに向けると何か不手際でもあったのか狼狽えている。

ごめん、頑張って殺伐とした世界から脱却しようとしたんだけど出来なかったや、メイドちゃんは何一つ悪くないよ?だから、オロオロと狼狽えないでほしいかな?

「気にしないの、メイドちゃんは何も悪くないの、ちょっと戦場で起きた影響で色々と感性が狂ってしまったことに対して憂いていただけだから」

それはそれで、悲しい内容だけどね!って、メイドちゃんも思っているのか悲しそうに眉をひそめ今にも泣きだしそうな表情をしている。心配をかけすぎては、ダメだよね。

「ん~…」

軽く伸びをして気持ちを切り替える。

「全部さ、終わったら…暫くは、仕事を忘れて、ノンビリとさ…過ごしたいよね」

にししっと微笑みかけると、流れを汲んでくれたのか憂いた表情からにこやかで朗らかな微笑みに変わる

「はい、姫様は働きすぎです、何時だって誰よりも働きすぎています。メイドとして仕える主人が変わるなんてこと、願っていません」

彼女の口から出てくる心配は過労死とかそういう事だよね?

働き者は早死にするってのが私達の街では当たり前だもんね、だから、普段から働かない貴族は長生き何だって言う皮肉が込められている。


遠回しに死なないでっ、かぁ…私だって…死にたくないよ?でも…


たぶんだけど、私の体は限界だと思う、時期に動かなくなる気がする。

だって…過去の瞳が警鐘を鳴らしてくれたから、時間がないって…


きっと、過去の瞳達も、限界を迎えたことがあるからこそ、知っているんだろうね…


予兆を…


死ぬことに関しては、正直に言えば、恐れていない。

私は経験していないが過去の私が経験しているのだと瞳の数を見て感じてしまう。


これ程までに…数えきれないほどに私は死んでいる。今代の私もいずれ死ぬ。


間に合えば…運命を逃れることが許されるのだったら…肉体を作って、新しい人生を歩みたいけど。それがどれ程の罪なのか、私は…知らない、粛清された魔女の技術を総動員して作るんだもん…いずれ粛清対象になるんだろうな。


っま、そんなあるかもしれない未来を憂う暇なんて無いけどね!

さてさて、次の一手を考える為にも必要なデータを集めないとね!

まずは、大型魔石が5基ある、これの使いどころを絞っていかないとね?


その為にも、始祖様の秘術は行使できるのかどうか判断する必要があるよね!!


どれ程の中型魔石を消費されたのか確認して、あの火柱…切り札の一つとしてカウントするためにも消費がどの程度なのか、把握しておくってのはさ、必要だよね!

後は~…あの杖が何発撃てるのかも計算しておくべき、かな?


だって、皆は知らないけどさ、私だけが知ってる最大の敵

人型何てたぶん、アレに比べたら雑魚なんだろうね!あの…私を…噛み殺した、私を嘲笑うかのように何も通じなかった…


あの糞ドラゴン!!


一部の瞳達が出会い殺されたドラゴン、その断片は何時だって色濃く残されている!アレに全力全開でありったけの魔術をぶつける為にも!魔力残数の把握は必須だからね!!


私自身の最後の切り札をぶつける為にもね!

私が最も得意とする術式…始祖様の術式の中でも…一番私と親和性が高いのか、最初に再現出来た術!


それを最大出力でぶつけてやる!!

先の始祖様の加護から与えられた術によって恐らくだけど、私の切り札はもう一段階向上する、はず!

唐突な出来事が何を意味するのか…改めて考えてみるとアレは指南じゃないのかと思う。

気付くきっかけを与えてくれた、先の行為がただただ、力を貸してくれたのではなく始祖様の術、その根幹を伝える為に手を貸してくれたのだと、私は推察している!


でも、過去の瞳が私に警鐘を鳴らしてくれていた、切り札が通じないと。

最大出力に私の体が耐えられないってね!


なら策を講じるのが技術者ってね!

その為に必要なモノは用意して切り札の一つとして準備し積んである!腕じゃ耐えられないのなら耐えられるようにすれば良いだけってね!


…ただ、きっかけを与えてくれた状態で放っても良いのかは未知数なんだけどね?

だって、切り札を作ってから始祖様の術、その根幹を知っちゃったんだもん…今更、更なる改良何て出来ないよ?


…厳しいかも?

…厳しいかな?

…きっと大丈夫!!


一抹の不安を感じちゃうけれどきっと何とかなる!

糞ドラゴンを討伐する為にも!ちゃちゃっと沼地跡地を埋め立てて最後の砦を…最前線にぶちたててやるとしますか!!っての!!


…っと、その前に悪だくみ。

メイドちゃんにちょいちょいっと手招きして用意して欲しいものがあるっと笑顔で伝えると

「ぇ”…本気ですか?」笑顔が引きつってるねぇ、わかるよ?したくないよね?私だってしたくないよ!

「寧ろ、今しかないと思うんだよね?留守にしている間にさ、それが出来るのってメイドちゃんが一番適任でしょ?」

断れない、何かの冗談ではないと理解した瞬間、物凄く嫌そうな顔をしている。

これを快く頷いてきたらそれはそれで、遺恨がありすぎるから、変な争いが発生しない様に話を聞くつもりだったけれど、ちゃんと嫌悪感を示してくれている辺り、表面上は仲悪いだけだと信じたい。

「ほら?ちょうど昨日お風呂に入っているからさ、まだ、脱衣所の洗濯籠にあると思うんだよね?たぶん、この街を助けてくれる為に働いている人達もまだ、洗濯に手をつけていないんじゃない?」

「ですけどぉ…」

ソファーから立ち上がり自室の机に向かい、きぃっと小さな音を出して引き出しから取り出してメイドちゃんに近づくそっと、手に握らせる…

脱衣所の無かったら部屋に入れば確実にあるからね。

「ぅ、ぐ…隠密の技術をここに!!」

腹を括れと言う意志を込めたのが伝わったみたい。

そんな大層なものじゃないでしょ?王家の機密を盗んでこいって言ってるわけでも無し?

「私以外の人のさ、洗濯を手伝ってるんでしょ?その流れで出来るでしょ?楽勝楽勝!」

ね?っと軽めに圧を加えると。

すっごく嫌そうな顔をしている、わかってる!そんな事、私だって頼みたくないの!!

でも!アレのやる気を最大限にまで引き出すにはそれが一番手っ取り早いの!!

俗物だから!男ってやつは!目の前に餌ぶら下げてやらないとダメなの!!

アレだってブツを堪能するためには最高の場所を選ぶでしょ?変なこだわりのある馬鹿だから!そうなれば、直ぐにでも作戦を終わらせたくなるでしょ?その為の餌として…ぅぅ、私だって嫌だけど!用意するの!

「出来る限り、破棄寸前のやつを選びます!」

悲しそうな叫びに同意する事しか出来ない。


一連の流れにお互い苦笑しながら、戦闘服に着替えさせてもらい

アレが出撃する迄、時間があるのでそれまでに用意しておいてねっと最悪な指示を出してから部屋を出て広場に向かう…その前に病棟へ行かないとね!


背中にケーブルを接続してもらわないといけないからね~…


祈りによって汚染されるリスクよりも、魔力によって私の体を持たせる方が大事だからね。

病棟に入っていき、周囲を見渡す。

誰か手が空いている人はいないかと視線を彷徨わせていると

「おう!姫様、器具の取り付けに来たのか?」

セレグさんから元気な挨拶?…ん?気のせいかな?ちょっとお疲れ?声に張りがないよ?

「大丈夫?何かあったの?」

「ん?ぉ~…ぉぅ、さすがは姫さんだな、ほれ?朝早くに奥さんがな馬鹿弟子に叩き起こされて連れていかれただろ?それの手伝いしてたからよ…歳ってのを痛感させられちまったよ」

成程、朝早くに起こされて、何か手伝わされたって事かな?荷造りとか、その辺かな?

日帰りになると思うんだけどな?何か準備…ぁ~魔道具をチェックするための道具を部屋から運ぶのを手伝っていたってあたりかな?

「ったく、いい歳だってぇのに、ズボラだからなぁアレはよ~…っと、今の一言秘密にしてくれや」

困り顔でお願いされちゃ忘れてあげるのが情けだよね。

だって、そのずぼらってのは二人に向けて言ってるんでしょ?わかる…お母さんも変なところでズボラだから。

「ほれ、世間話何て置いといてよ、忙しい身だろ?ここに来たってのは、背中に取り付けんだろ?なんちゃら魔道具を」

親指で個室に移動しろっと合図をされるので個室に入り椅子に座ると

「背中向けな」

言われたとおりに背中を向けると背中に何かが当たる感触が伝わってくる。

「…女が背中にでけぇ傷残してよぉ…相手が居るからいいのかもしれねぇがよぉ」

鼻をすする音が聞こえる…もう、セレグさんは、すぐ、うん…いつも心配かけてごめんね。わかってる、セレグさんが私の事を本当の娘の様に…んー孫の方が近いかな?孫の様に心配してくれているの知ってる。

小さなころは苦手だったけれど、今は…病院の中を走って怒られたりと、何かとセレグさんに怒られることがあるのを思い出してしまう…

ぁ、やっぱりちょっと苦手かも。

「ここを、こうして、おっし、はまったはまった、後はネジを…人にネジをねじ込むなんてよぉ…骨が折れてるわけでもねぇのによぉ…」

ガチャっと押し込まれる様な感覚と共にゆっくりと体に魔力が流れ込んでくるのがわかる。


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