表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最前線  作者: TF
536/697

Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (100)

前に出れば出るほど、街までの距離が遠のくのが問題なんだよね。先ほどまでいた拠点はそのまま残して中継拠点として機能するようにはするけどさ、完全に安全ってわけじゃないからね。


移動を早くする為に車を使わないのかって?

現時点では使えないが正解なんだよなぁ、あれってさ、燃料が魔力じゃん?魔力が尽きると何も出来なくなるからさ、常時魔力を消費して移動するのって不安じゃん?だからさ、少しでも温存したいから車の運用は諦めたんだよね。

普段であれば、自然界に無い音が周囲に鳴り響くから絶対に用いないから、幹部達も車を使うという提案は一切なかった。


一応、切り札の一つとして駆動系は一つだけ用意してある。


まだ、その時じゃないから使わないけどね!準備も終えてないし。

その切り札を使う為にこうやって何往復して地面を踏み固めてんだっての!

切り札を使えるようにする為に前線拠点を作るってのも、危険な場所に拠点を作る理由の一つなんだからね?


魔力で動く切り札を運用するのに魔力は大丈夫なのかって?抜かりなし!

その切り札に関しては前々から魔力を最大迄、溜め込んである魔石を既に搭載しているから問題なし。


切り札は一つだけじゃない!念入りに色んな事を想定して用意してんだっての!!にしし。


それはそれとして、徒歩で帰還する最中も周囲を観察して、先生が今後、してきそうな一手、何があるのか考察しないとね…私がやられると何が嫌だろうか?


うーんっと、腕を組みながら歩き続ける…




街に帰還するころには夜遅く、空には光り輝く星々に月が輝いている。

街に帰還して各部隊に指示を出してから、病棟に言って背中の魔道具を外してもらう。

ついでに、医療班で何か困ったことが無いか確認してみても、特に問題は発生していない、寧ろ、怪我する人が少なくて拍子抜けしているみたいで、死の大地で戦っている人達に申し訳ないってくらい、落ち着いている。


病棟を出ても誰も出迎えてくれる様子はない。ちゃんと休憩をとっているみたいで良かった良かった。

メイドちゃんの出迎えが無いのは当然、夜は寝ていてもらわないとね、何時帰還してもいいように常に起きていなさいなんて真っ黒なこと言わないよ?しっかりと休むからこそ長期戦に耐えられるし、いざって時に最大のムーブが出来るからね。


夜遅くだからこそ、人の目を気にすることなく動ける、お風呂入って仮眠を前に確認しておくのが一番かな?

地下の大型魔石が保管されている場所へと向かっていく。


重たい扉を開けて、地下へと通じる階段を降りて魔道具を起動させると灯りによって地下室が照らされよくみえる。


懐かしい匂いに胸が苦しくなる。


感慨にふけっていないで。ささっと点検してお風呂入って寝て、現場に戻らないとね!

だって勇気くんを休めてあげたいからね!

地下室の更に奥、一部の幹部しか明かしていない扉の前にたち、重たい扉を念動力で開き扉の奥へと進んでいく。


扉の奥には、大型魔石が魔術陣を囲む様に設置されている。

私の身長よりも遥かに大きく、マリンさんでも運ぶのが一苦労する大型魔石


今代の予算、その多くをこれらに費やした、人工魔石!

何度も何年も魔石を作ってきた!

研究してきた!

蓄積されたノウハウ!

その全てをつぎ込んで生み出した大型魔石!


これ一つで王都で使われている日常魔道具に必要な魔力を何年も支えてくれるだろうね!…つっても、王都で使ってる魔道具なんて大したもの無いけどね!


これ、一個作るのにほんっと、何日かかったのか思い出したくない…

材料も人型から採取出来れば良いんだけど、全てがそうとはいかないからね、お父様の採掘所からひたすら購入し続けて、何年もかけて数を揃えたんだからね!!

中央の陣もしっかりと起動している、王都からこの場所に魔力が流れ込み、大型魔石に流れ込んでいってるんだけど…大型魔石…全部合わせて10…あれ?


その五つ、光が宿っていない…そんなに使ったかな?


大型魔石一つで恐らくだけどさ、中型魔石を20回は最大にまで魔力を込めれると、思っていたんだけどなぁ…どっかでロスしてるのかな?それとも、王都から魔力が流れ込んでいないのかな?

まさか、こんな土壇場で王都とこの場所を繋ぐケーブルが断線してるとか?

点検に…出てもらった方がいいかも?

でも、人手が足りないなぁ、ケーブルをチェックして修理が出来る人材ってなると、フラさんか、私か、ってくらい、高度な技術だし、魔力を測定する魔道具は中型魔石に魔力が込められたのか確認するために使いたいし…

しくじったなぁ…魔力測定魔道具、もっと量産しておけばよかった…

前回の点検も念入りにしてたんだけどなぁ?私の見立てではケーブルが劣化して魔力を送れなくなるわけがないんだけどな?この戦いが始まる前に念入りにチェックしてたし、古いケーブルは新しいパーツと交換し終わってるから、1年くらいは問題なく稼働できる計算なんだけどなぁ?


…っとすると、考えられるのが人為的な何かが起きた?この大陸にいる人達からすればケーブルが通っている街道は私が管理しているからその周囲に下手なことなんてしない…

余計な事をするとすれば、そういうのを知らない無知の人達…


脳裏に過る、無知な集団が王都周辺に応援に駆けつけているのを…

大国の連中がケーブル切った?自分達が生活するために建てたテントを建設する過程で?


あー、ありそー!あいつらに魔道具の知識なんて空っぽだろうから何も考えずにぶった切られたかも!?

ケーブルが損傷しない様に固い素材でパイプを作ったんだけどなぁ…

もっと、深くまで掘ってケーブル通せばよかったかも!?

1メートル近くしか、掘らなかったのが間違いだったかー…


っていうか、大昔に造った街道の側道にケーブルを通したってのに!普通、道のど真ん中に臨時拠点作る?あーもー、滅ぼしてぇなぁ!!


…いや、まてまて、流石に、流石にそこまで非常識な連中じゃないかも?もしかしたら陣に何か間違いが…


念のために魔力を集積する役目がある魔術が刻んである陣にミスが無いか確認するが、特に問題なし、問題があるわけがない、だって、問題があるのならこの大型魔石に魔力が宿ることなんてないし、そもそも、この地下施設やこの街を支えている魔力の殆どが王都から送られてくる祈りと言う名の魔力だし…

この部屋に誰かが入った様な痕跡は無かった…

陣も綻びが無く問題なんてない…


やっぱり、ケーブルが破損したって考えるべきかな?

全部のケーブルをチェックするとなると…あ、ダメだ圧倒的に時間が足りない

ここにきて、こんな不幸が舞い込んでくるとは…

うーん、まぁ、あと五つも大型魔石があるし、たり…るよね?

っていうか、始祖様の術式でどれくらい中型魔石が空っぽになったか確認してなかった、後で確認しておこう。

まだまだ、余裕があると思っていたのになぁ…この街の人達からも魔力を提供してもらっているけどさ、王都に住む人たち程、魔力を集めれているわけじゃないんだよなぁ。


この先を考えると良くない、このまま放置して良いわけがない。幸いにして死の大地以外であれば動かせれる人はいる。

魔力をケーブルを通して流すのが無理だというのであれば違う方法を取るだけ。

教会に空っぽの魔石を運んで、教会の地下にある陣からケーブルに流れる魔力の流れを調整して、魔石に魔力を流す魔道具と接続してもらって、直接祈りを魔石に込めてもらう


その後は人力で運ぼう!!


それらのセッティングならフラさん…が、何とかしてくれる!はず!

私が王都に出向くわけにもいかないし、魔石を運ぶ係としてはオニキスさんとこに頼むのは…難しいかな?でも、頼んでみても、いいかな?シスター達が運べば大国のやつらが邪なことを考える事も無い、だろうし?

うん、それが良いかも、お願いしてみようかな?

無理だったら、マリンさんの旦那さんこと、ララさんにお願いしようかな?

食材の搬入で王都に出向くことが多いし、大国の連中も農家を襲ったりしないでしょ?


ここにきて教訓を生かす日がくるとはねー

些細なことで作戦が崩れることがある…


小さな不幸で全てが狂う事もある!


今回、街に帰ってきてチェックできたっていうこの流れこそ、まさに僥倖!運が良かった?

ううん、ちがう。月のお導きってことだよね!!月の灯りが進むべき道を照らしてくれる。


神聖なる月に感謝を…


親指を眉間に当てながら月に祈りを捧げる為に目を閉じる…

目を閉じると…真っ黒な世界に白が弾ける…世界が広がる…


目を閉じているのに世界が広がっていく…誰かの記憶だろう…

抵抗しない…何時もの様に受け止める…


この雰囲気…見覚えがある…細かい所が違うけれど、たぶん、教会

それも…祈りの間?…うん、祈りの間…白き髪の少女がいる…それも…

一人や…二人じゃない?…皆の夢かな?…私が知らない…多くの同族…多くの同胞…


短命と言う運命を強引に与えられてしまった少女たちが祈りの間で祈りを捧げている。

信仰する対象は、祈りの間に飾られているであろう始祖様の絵が飾られている…

その前にあるカーテンに向かって、全員が膝をつき、親指を額に当て、祈りを捧げている。

少女だけじゃない、街の人達、かな?色んな人が祈りを捧げている。


祈りを捧げ終わった後は、掃除が始まり、掃除が終わると少女たちは司祭様…いいえ、あれはね司教様…に、何か本を読んでもらっている。

司教様が存命な時代…どれくらい前の時代?…どうして、今になって古い過去の夢?…この時代に生きた人が祈りを捧げているの?…誰だろう?誰の祈り?…


白い髪の少女…司教様と何か話をしている…司教様に飲み物を運んでいる小さな男の子?誰だろう?オニキス…今の時代の司祭、彼の若い頃かな?…違うの…そうか、違うのか、確かに面影どころか別人だ。似ても似つかない。だって彼も…飲み物を運んできた少年も髪の毛が白い…


私達と…同じ…体質の、だん、せい?…いいえ、彼は違うの…そう、なの?

なら…ぁぁ、そうか、髪の毛が白いってだけで…そう、彼はそれだけの理由で教会に連れていかれた人…それに、良く見ると白っていうよりも薄く黄色が…白に近い黄色…


そう…だから、彼は教会で保護された孤児っと言う形で教会にいる…司教様とお話をしている少女が此方を真っすぐに見つめてくる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ