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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (91)

ラアキさんが居るからこそ言えないワードもある…

そのワードに反応されてしまったら最後、全てを説明しないといけない、そうなると…


完全に裏返る


ラアキさんの剣先は王都へと向けられるちゃんと抜き身でね…

この街には…


旗がある

正義がある

力がある

知恵がある


戦うための…

革命するための全てが揃っているんだよ、この街には…


それらを避けて説明しないといけないのかぁ…

全てが終わった後で良かったら全部包み隠さず話すことが出来るんだけどなぁ…面倒だけれど説明しないとね。


悟られない様に心を研究大好き、説明大好きな私に切り替える…

「多くの木々を…ううん、それ以上、天に漂う雲をも焦がしそうな程に天高く燃え上がった炎、あれはね、長年、研究してた、ううん、今も全てを解き明かせていない研究中の術式」

ほうっと、零れる熱い吐息と共に目を輝かせてこちらを見ている、嘘は言ってない。

「珍しいのぅ?実験せずに実践導入するとはな?」

「したよ?ラアキさんは知らないかもしれないけれど、一瞬だけ実験場で火柱が屋根よりも高く上がったことがあるんだよね」

「ああ、あの時の?あれを大幅に出力を上げたってことかしら?」

叔母様が援護してくれる、助かる!でも、視線が求めていた答えじゃなかったみたいで残念そう?どうしてだろうか?始祖様の秘術だよ?私達巫女であれば手を上げて喜ぶべきことじゃないの?…んーむ、時間が出来たら質問してみよっと、睨まれたらやめよっと!

「今まではね、発動に必要な魔力量を調整していて、ある程度威力を落とす為に敢えて削って発動していたんだよね、具体的にどう削ったのかと言うとだねー」

にひひっと笑いながら説明を続けていく、既に興味が薄れてきたのか視線が泳ぎ始めている、つまらないと感じ始めたな!

「必要な詠唱を削って、詠唱を簡略化することによって威力を増幅させる箇所をカットしてて、最大出力で使ってこなかっただけ。今回は、それを無くしてみたの!溢れる魔力!何処までいけるのか!少しでも早くあの森を焼きたくてさ!予定も遅れているし!追いつくためにはここで巻き返さないとねってことで!全力全開、最大出力でフル詠唱で歌っただけだよ」

嘘は言ってない!真実と嘘を混ぜてしまえば、術式に疎すぎて難しい説明を聞くのが嫌な老骨は…うん、既に視線はお母さんの胸しか見てない!音を拾う気すらゼロだろあれ!あの胸は私のだ枕に最適なんだぞ!っと、違うか?


ってかね?あのような状況は完全に計算外だったんだけどね?長年研究してきてるんだよ?なのにさ、まさか、意図的に削られていた詠唱部分があるのなんて知らなかったし、気が付かなかった…

悔しいけれどさ気づけなかったんだよね、術式を専門に研究しているこの私がさ!

一応、その、言い訳はさせてほしいかな?疑問は!感じては、いたんだよ?

伝えられている詠唱を翻訳してみて、私たちなりの言語に置きかえて、発動させては見たけれど、何かこう…よくわからないけれど、どういえばいいのかな?言葉に表せない、何か欠如している様な、何か怒られている様な、何か無作法をしてしまっているような、何かわからないけれど、申し訳ない気持ちと共に、違和感を感じていたんだよね。

でもさ、それもきっと、私の翻訳が完全ではなかっただけだと、思っていた、でも、発動したから取り合えず良しとして、この先を研究する時間が無かったっていうのは言い訳だよねぇ…


長年研究してきている、始祖様が残してくれた術式

今回の一件でわかったことがある、恐らく全部が全部じゃないと思うけれど、意図的に削られて伝えられている術がある…


先に発動した、火の術もその一つだとしたら、火に関連する術は全て削られていると見ていいのかな?…いや違う。危険な術式全て、かな?


恐らく予想なんだけどね…最大出力で行使すると規模がデカすぎてしまい、研究段階で発動して取り返しのつかないことになるのを防ぐために意図的に削ったって言う、安全策としての考えもあれば…


敢えて削った他の理由として考えられるのが

私達…加護を持つ者達以外が危険な術を発動させないために削った。


私達であれば、始祖様が私達に残してくれた…ううん、授けてくれた加護がその術式を行使しないといけない状況に陥っているのなら、加護に補助を行わせるようにと予め加護に指示を出していたってことになるよね?だよね?


そうなると、始祖様が残してくれた加護が今、この時は必要だと判断されたときだけ、術を発動させるように仕組んでいたってのも考えられる…


その説が正しければ、唐突に現れて唐突に魔力を貸して突き放していったってことになるんだけど。

助けてくれるのは凄くありがたいのですが、無理やり魔力を取り立てないでほしいかな?

後…今後新しく始祖様の術式を研究するのなら、出来る限り始祖様の術式をありのままで発動は控えた方がいいかも?此方の術式に置きかえて発動できる術式も幾つかあるから、始祖様の術式をベースにして組み上げていくっていうのも研究を続けて行かないといけないかなー。

うんうん、術式は無限の可能性があるよね!…惜しむらくは私に無限の時間が無いって事かな。


さて、此方の思考の渦は綺麗にまとまったけれど、お爺ちゃん達はどうかな?

簡素的な説明を聞いた二人は何も言わず、考え込むのだろうなって思っていたら

「…なるほどね、そういう事も、あるわね」

先に動いたのがお母さんだった、恐らく叔母様が納得したのだろう。

席から立ちあがって

「作戦に変更はありまして?司令官」

「なくてよ団長」

テーブルの上に置かれた紅茶を手に持ち勢いよく、ぐっと飲み欲してから、此方に向けて手を蝶々のようにひらひらと振って去っていく。


ラアキさんが居る手前、話せる内容が少ないのだと判断してくれたみたいなのと、あの会話で凡そのことは伝わったみたい、かな?納得したけれど、納得しきれていないって感じ、時間があれば話がしたいけれど、無理だろうなぁ。


「もう、終いか?ふむ、術者の話はよくわからんわい、わしを負かしたその手腕…あれがまぐれでも無く、わしだけを想定した罠でも無かったっというわけじゃな…姫ちゃんが本気を出したらアレを何時でも行使できると…そういう言う事になるのか…なるのじゃな、あれを…ふぅ、思い出すだけで寒気がするわい、あのような火の術、どう足掻いても勝てんわい…」

溜息を吐き捨てる様に言葉を混ぜ込みながら悲しそうな表情をしている。この大陸での歴史だと肉体が驚異的に向上したせいなのか、術式が発展しなかった。

故に、対抗策も殆ど考案されてこなかった、だから、術式を自然と誰からも教わることなく発動できたルの運命を背負った白き乙女が信仰の対象にしやすかったんだろうね。

「次の世代が成長した姿を近くで垣間見れただけでも僥倖じゃな…」

しみじみと年寄りらしい言葉と共に貴族らしく優雅に小指を立てて紅茶のカップを傾けているけれど、アナタも十二分に人外の強さだけどね?


絶対にこの街じゃ、口が裂けても言えないけどさ、偉大なる戦士長よりも強いんじゃないの?って思う時が多々あるんだよね。


「デカい爆発も見れたしの、満足じゃ…他にも何か隠していそうじゃが、その時は絶対に声を掛けてくれると信じているぞ?」

顔をシワシワにしてにこやかな笑顔で圧をかけてこないでよ、まったくもう、好奇心が尽きない人だね。

「それじゃ、私は…最後の切り札を完成させにいってくるね」

用意してもらった紅茶を飲み干して立ち上がり、パチンっとウィンクしてから外に出ようとすると

「ほっほっほ…わしがもう少し若ければのぅ、孫に譲らんかったのにのぅ好い女達じゃ…」

さらっと複数にしないの!息子さんにも失礼だよ~?まったくもう、女好きなんだから。

彼なりの最大級の賛辞を受け止めながら会議室から出ようとすると

「最後に…術者と言うのは極めれば皆、姫ちゃんへと到達することが出来るのか?」

その質問が何を意味するのか…貴方の過去を、資料とはいえ閲覧させてもらった立場として言うべきなのか…っふ、お爺ちゃんがそんな慰め何て欲しがらないよね、素直に答えてあげよう

「無理だね!私程の術者が早々居てたまりますかっての!簡単な術なら扱えれるけれど!!あれ程の術は私以外出来ないよ!…安心して、私は人類の味方だから」

ずずっと紅茶を飲む音が聞こえてくる、静寂な返事に振り返ることはしない。

その返事につい、口角を上げてしまい、微笑を浮かべながらドアを開けて外に出ると、メイドちゃんが気をつけの姿勢で待ってくれている

会議室でどんな会話をしていたのか、興味津々って感じだねー?聞き耳を立てていたのかな?メイドちゃんとすれば、お呼びとあらばすぐにでも!!って感じで、待機していたのかな?

私からの合図を起点として飲み物を注ぎに行くついでに助けに出ます!!っとでも考えていたのかな?…なんてね。

心配性で忠義の厚いメイドちゃんの肩をぺちっと平手で叩き

「研究所に行くよー!」「はい!!」

笑顔で声を掛けると笑顔で気持ちのいい返事を返してくれる!

…ぁ、メイドちゃんがいるってことは大国の隠密共が会議室周囲にいないことになるよね?

うん、不穏な予感は気のせいに終わるかな?


会議室から出ると後方支援部隊の人達が魔石を交換してくれているので合図を送り

皆揃って研究所に向かっていく!!


全員で移動しているその最中も、思考は加速していく。魔力様様!!


私のエネルギーは魔力…

何れ、魔力と言う力が抜けて、私は人形となり朽ち果てる…


そのころには人形ではなくなり、人へと至ってるだろうけどね!悲しき運命、悲しき定め!

命短し乙女は私で最後にして見せるんだから!!ルの力に魅入られた人々の願いと共に朽ち果て、願いを具現化するための人形になんて私はならないんだからね!!


っし!魔力が漲ってきてるから思考もポジティブになってきてるし!瞳達も目を開こうとしてくれている!!


シュッシュっとジャブを打ちながら小さなガッツポーズを取っている私を見たメイドちゃんが

「ご機嫌ですね?」っと微笑んでくれるので

「ご機嫌だよ?だって作戦が順調なんだもん!!」にししっと笑って返事を返すと

メイドちゃんも嬉しそうに微笑んでくれる


念のために私と繋がっている魔石から魔力を吸い出して私に送ってくれる魔道具の台座を見ると、さっき交換したばっかりの魔石がもう交換されようとしている。

…うん、まだまだ魔力が奪われているって感じかな?


でも、体に魔力が廻ってくるのを感じる当たり、返済はもう終わりが近いだろうから、思考を加速させるために魔力を消費しても問題ないかな?

到着して直ぐに敵から奪った杖型魔道具の解析作業とか発動条件を調べたいからね、今のうちに一応、軽く状況を整理しておこうかな?


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