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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (82)

そんな中でも勇気くんと相談し唯一抵抗できそうな術は選定できている。

今のところ、有効打となりそうなのが、敵からの干渉を防ぐことが出来る破邪の力…

これだけが…対処策。そりゃ、術者を倒して解放されるのであれば良し!なんだけど、敵を倒した後も機能するような術式だったら取り返しのつかないことになりかねない。


先生を捕まえているであろう邪法使い、または、そういった魔道具を持っている奴をルの力の一つである破邪の力で封殺する!…くらいしか対策が思い浮かばない。

これ以上、敵に知恵を与える前に、此方が圧倒的壊滅的な打撃を受ける前に!早めに見つけて先生を…ううん、全ての死者を解放してあげたい。


偉大なる戦士長も…

叔母様も…


この大地から、解放してあげないと。

死者として…月の裏側へと導いてあげないといけない。


人々を照らす月を眺めていても答えをくれるということはない、何時だってお月様は私達に明確な道を示してくれたことは無い、応えてくれるのならもっと早くに応えてくれてるよね。


綺麗な輝きを放ち続けるお月様を眺めているのも乙なモノだけど、病室の前にずっといるのもね?ちょっと、散歩しようかな?


ずっと、横になっていたから関節の動きが鈍いし、筋肉痛も疲労感も抜けたけれど、軽い有酸素運動によって全身を慣らしておかないとね!夜明けには出撃だもん!!


体の調子を整える為にウォーキングしているといつの間にか、辿り着いてしまうのは何時もの公園…その入り口の前に到着してしまう。夜中の散歩と言えばここって癖になっちゃてるのかな?


だといっても!…この状況で…中に入るのに躊躇ってしまう!初心な私には早かったかもぉ!!だってぇ…深夜なのにぃ…人の気配がするんだもん…


念のために、軽くソナーを打ち公園にいる人達がどういう風にいるのか探ってみると


帰ってくる反応が多い…暗闇で見えにくいけれど、二人組の人達が各々、ベンチに座っている!!深夜の公園のベンチなんてもう、もう、決まってんじゃん!愛の語らい以外にない!


公園のベンチでひと休憩でもしよっかなーなんて、それどころじゃない、お邪魔かなーお邪魔だよねー…うん!一人でこの空間に入る勇気が私には無い!!


月明りに誘われて、色んな場所で愛が育まれている…

っへ、相手が寝ている時に独りでくるばしょじゃねぇや!


帰ろう…

回れ右をして、歩いてきた道へと引き返すと、ふと、肩を叩かれたような気がした

叩かれた方向を見ると、戦士や騎士達が訓練するための修練所…

そっか、あそこならこんな深夜に誰も居ないから空を眺めて呆けるにはちょうどいいかも。

偉大なる戦士長の椅子にでも座りながら、夜空でも眺めて精神鍛錬でもしようかな


修練所の広場に顔を出すと…先客がいる?


誰だろうと目を凝らすと、見知った顔だ。

ふーん?何だ、起きてたんだ…彼も私と一緒でふと、目が覚めたのかな?

「ふぅ…遠慮しないで入ってきてもいいんだぞ、軽い素振りだけだからな」

鍛錬の為に振っていた大きな木剣を振りながら此方を見ることなく声を掛けてくる。

っむ、流石だねー建物の陰に潜んでいたと思ってたんだけどね、見つかっちゃってたか。

気配に敏感!皆から認められて戦士長になっただけあるね!私が来ているのに気が付いたか!気配遮断していなければ、直ぐに見つかっちゃう。ハイドアンドシークなんて彼に挑もうものなら正攻法じゃ勝てないだろうね。

「それじゃ、遠慮なく!失礼しまーっす」

建物の陰から出て、堂々と中に入っていくと

「おはよう、サクラ、出撃の時間まであと、6時間以上はあるぞ」

初耳の予定を聞かされる。

うん?…ん、うん?時刻を把握してなかったけれど、まだそんなにあるんだ。

夜明けと共にってわけじゃないんだ…私としては夜明けと共に出るつもりでいたんだけど?

私が寝ている間にいつの間にか出撃時刻が決まっていたのかな?


「どうやら、出撃時刻を聞いていないみたいだな、爺さんからの伝達で動きが無さ過ぎるから休める時に休めっという伝達があってな、此方の判断で余裕を持った時刻へと決めさせてもらったよ。俺としても君が起きてくるのは朝日と共にと思っていたんだがな、メイドさんもまさか、君が皆が寝ている時刻に起きてくるとは思っていなかったのだろうな、メモ書きなどによる報告も、受け取っていないっという感じかな?」


軽口を叩きながらも、大きな木剣を片手で振っている。

真横水平に降ったり、頭上よりも高く持ち上げてから真っすぐ振り下ろし地面に剣先が当たる前に制止させている。右腕が終わったら左腕と交互に同じ動作をしている。

リストの訓練かな?勇気くんが扱う大きな大剣を扱うにはね、手首を鍛えておかないといけないからね。それだけじゃなく、手首の返しによって鋭い一撃を生み出せるっていうのが彼の持論だから、前々から手首を鍛え続けているんだよね。


彼の素振りを近くで見守り続ける、彼の練武や練習風景は見ているだけで胸がときめいちゃう。カッコいいし、綺麗だし、ステキだし、カッコいいし、美しいし、絵になるし、カッコいいし、嗚呼もう、ほんっと!カメラが手元にないのが悔やまれる!!

「ふぅ…休めないといけないとわかっていても、心が落ち着かなくてな」

彼の中での鍛錬に一区切りがついたのか、私の視線が気になって止めてしまったのか、木剣を地面に突き刺して空を見上げている、今気が付いたんだけど汗一つかいて無くない?…薄っすらと滲んでる程度

「その気持ちはわかるよ?私もふと、目が覚めてから落ち着かなくって、さ」

ほんの数時間前まで命を削る様な戦場に居たんだからしょうがないよね。

闘争心が湧き上がってきて仕方ないってね!

「私も同じ…浮足立つって感じかな?ソワソワしちゃってさ」

「君もか…体が闘争を求めている…そんな戦闘狂ではお互い無いのだが、闘うのが日常となってしまったから、だろうか?皮肉なもんだ、お互い戦う事が苦手なのにな、何の因果か…早く穏やかな日常へと帰りたいものだな」

空に答えを求めても、返してくれないよ?お月様は何時だって見守ることしかしてくれない。始祖様はお月様にいないしね。

戦うのが苦手、かぁ…そうだね、出来る事なら戦いたくないよ。私は、研究さえ…目的さえ達成出来たらそれでよかったんだもん。戦う為に磨いてきた技能じゃない。

でも、闘う才能はお互い持ち合わせてしまっている、何の因果か、私達は多くの人よりも戦う術を身に着けている。


そんなアンニョイな気持ちで自分の中にある感情と向き合っているセンチメンタルな旦那様を元気づけるのも奥様の務めってね!ケツ叩いてやるか!

「私で良かったらスパーリングの相手になるよ?」

シュッシュっとワンツーを勇気くんに向けて撃ちだすと

「はは、魔力が無い君ではな~。俺が圧倒的有利すぎてつまらんよ」

カッチーン!ゆったな?人相手なら最強の私にその文句は禁句だぜ?

私のスイッチが入ってしまったのがわかったみたいで、弁明することなく修練場の…って、戦士長の椅子にタオルかけてあるけれど、それは、お父様に申し訳ない気持ちにならないのかな?

戦士長の椅子に掛けてあるタオルを二枚手に取り、一つを手渡してくれる。

「ほれ、これを頭に巻いてくれ」

受け取った布を頭にまき、少しだけ彼から距離をとる。

布を渡して頭に巻いてくれってだけで伝わっているからね、いいよ?やってやんよ?

「頭に巻いた布を取った方が勝ち、または、解けて外れても負け、お互い素手で行こうじゃないか」

素早く布を巻き、勇気くんが布を巻いた瞬間に彼の顔のすぐ前に突風を生み出す術式を生み出し発動!って!読まれてた!!

「甘い」

ぱっと、左手で術式が切られる!っち!空間固定型の術式の弱点!構築段階で干渉されるとあっさり壊されるんだよな!一緒に術式を研究しているだけあってよくわかってる!

「開始の合図無しに攻めてくる、そうじゃなくてはな!実践とはそういうものだ!君のそういうところ嫌いじゃないよ!」

少し距離を取ったと思ったのに!!一瞬にして間合いが詰められる!右膝を曲げずに足首の力だけで飛んだな!身体強化がお上手で!

頭に向かって伸びてくる左腕の軌道を予測演算!肩の角度、肘の向き、視線の流れ!指先の軌道を予測演算完了!その角度であれば左斜めに頭を下げれば掴めない!即座にカウンター!

「っと?これを避けるか!流石だ!って危ないな!」

空ぶった左腕の勢いを殺すことなく頭を下げて重心を強引に下げて前回り受け身の要領で転がって避けやがった!

「ぴゅぅ!計算が速いな君は!」

空中で一回転しながらもしっかりと視線がこっちに向いてる!隙なんてないってわけね!

勇気くんも流石だよね、動体視力や反射神経も強化出来てるの?それとも、私がここで仕掛けてくるって読んでいたのかな?

しっかりと右手で巻いた布が外れない様に抑えながら避けるんだもんね!

タンっと地面を蹴る音と共に直ぐに立ち上がり臨戦態勢を取る、あの距離なら一瞬で詰められるから此方も油断なんて出来やしない!…なら、罠を用意するのが術士だよね。

「見えたの?それとも私の思考を読んだの?」

「答えは前者だ!先ほど構築し損ねた風の術式を瞬時に再構築しただろう!風のゆらめきを感じて直ぐに避けただけさ」

なんていう反射神経!普通、風のゆらめきだけで判断して避けないっての!

「風の術式だけで俺から布を取れると思っているのかい?」

不敵な笑み…自分が上手だと思ってる?そんな安い挑発に乗る程、私は馬鹿じゃない!

その発言一つで勇気くんが思い描いた勝ち筋が視えちゃったよ?

向こうの狙いは私の魔力切れってことね!人との駆け引きが下手糞だね!

お互い、相手の動きを観察している、今のうちに足元に仕掛けを施してっと!

「俺も舐められたものだな!この程度の距離!」

距離にして2メートルあるってのに!上半身を軽く前傾姿勢になったその一瞬で距離を詰めてくる!この加速力!だからこそ、人型と闘えれる戦士ってわけだよね!

掴もうと伸ばしてきた右腕をバックステップ+念動力で後方へと引っ張って距離を取る様に避けつつ


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