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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (79)

報告を受け取り、凡そだけれど、現時点で各部隊の状況を理解する。

理解したことで、明確に浮上してくる…浮き彫りになる問題点。


その問題点を話し合おう。勇気くんなら気が付いているからね、説明何ていらない。

「沼地周辺の森と左最奥…デッドライン手前にある森、だよね?」

勇気くんもあの森を警戒しているみたいで神妙な顔つきで頷いてくれる

「やっぱりあ」

あっと口を開いた瞬間に次のリンゴが放り込まれる…むぅ、まだ話を聞けってことね

まったく、塞ぐのならさ、もっと優しい塞ぎ方の方が私は好みかなー?キスとかさ?なんつって。にへへ

「そうだ、森を焼くためにかなりの油を投下し続けているのに火が燃え広がらない、沼地の森を焼き切るのは少々、困難な状況だ、研究員達もこのペースだと焼き払うのに10日は必要じゃないかという試算も出ている」

右部隊の敵が減ってきたらカジカさん達にも森を焼いてもらう方が先かな?

土などの建築資材を沼地にぶちこんで固めるよりも先に…うん。その方がいいかも?いや、一つ懸念点があるなぁ…沼地から敵が湧いて出てこないかな?

多少の毒なら人型は耐えれるんだよなぁ…

沼地に投下している毒であれば、沼地から陸地へと這い出てくる間くらい人型なら耐えれるでしょ?


「かといって、今の状況下で左奥にある…大型種が数多く生息する森を焼くのは困難を極める。部隊を分散するのは、良くないだろう。リスクが高い。そうなると…」

考えられるのが私達の最大戦力だけで左奥の森を攻略するって考え?

それなら、私も考えたよ。

でも、それをすると他の部隊が戦力ダウンする…そこを狙っていたとしたら?

そのタイミングで爆発する魔道具を持った人型が出てきたら?


先生なら…それを狙ってくる。

功を焦ってはいけない、私達は知っている駒の中にクィーンが居るのを…

何処でクィーンが突撃してくるのか、タイミングを見極めないと、他の部署が壊滅する、アレを対処するのならそれ相応の装備や戦略部隊が必要だもん。

…一応、策は与えている、それに対しての訓練もしている、でも…虚を突かれたら詰む。

だからこそ、クィーンを見つけて先に潰しておきたいんだけど、その意図が、意思が伝わっているのか、クィーンが潜んでいる可能性が高い場所を調べたいのに!サーチ&デストロイに出向けやしない!


ごくんと放り込まれたリンゴを飲み込み

「時間が掛かかるのはしょうがないよ、沼地攻略を優先しよう。予定の遅れを挽回するなら…ちょっと早いけれど切り札の一つを切るよ」

その一言で、驚いたような表情で此方を見てくる

「あれを…使うのか?本来であれば」

うん、本来の予定だと左奥の森を焼き払う為に用意した切り札

「燃えにくいのであれば仕方がない、使うよ、現段階で魔力にも余裕がある、使うよ…術式部隊に通達を出さないとね~、後、燃え広がらない様にしているやつがいるのならそいつを吹き飛ばす、爆弾を投下する」

「わかった、では、予定としていた左奥の森にいる大型種に先手を打つために用意しておいた火薬を全て投入するつもりで…いいんだな?」

「うん、爆音が出るけれど、もう敵が此方の場所を掴んでいるだろうから、今更でしょ?使うよ…そして、誘い出すよ、沼地の中に潜んでいる魔道具持ちを…」

消火活動を行っているやつ、及び、消火するために必要な魔道具を持たされているやつを爆発によって木々を吹き飛ばして姿を晒させる!

それによって、潜んでいる大型種も漏れなく飛び出てくるだろうから、全ての部隊が命がけの戦いになる…

つっても?三日三晩の炙り出しによって中型種などの数を減らせれているだろうから、沼地に隣接している森からは、大型種や人型のみが出てくるだろうし、何とか、なる、よね?

「では、各員に支度をするように伝えてくるよ、その前に」

リンゴが目の前に来るので口を開けると放り込まれる

「食べ物を粗末にするのは良くない、しっかりと食べてもらうからな」

眉間に皺を寄せて、もうお腹いっぱいだよっと意志を込めると

「相も変わらず小食だな、では、残りは俺がいただくとするか、リンゴなんて俺が生きていた時代に無かったぞ?…うん、美味い」

口に放り込んで顎が二回くらい動いていないのに飲み込んでる…ほぼ丸飲みじゃん。

眉間に皺を寄せて良く無い食べ方だって睨むと

「まてまて、そう睨むな、しっかりと噛んでいる、このサイズでこの程度の硬度であれば、ひと噛みで粉々だ、見ておくんだ」

そういって口の中にリンゴを放り込み、二回ほど噛んでから口を開くと、確かに殆ど残っていない

嘘偽りが無いのだということが伝わったと判断したのか、ごくりと飲み込むと自慢げな表情をしている。


むぅ、噛む力が強いって自慢したのだろうけれど、口の中を見せるのもどうかと思うよ?


ごくんっと放り込まれたリンゴを飲み込み

「はいはい、わかりました~。もう注意しないよ、まったく、子供だなー勇気くんは~」

軽く嫌味を添えてそれとなく注意してみるが

「はは、そうだとも男は皆、何時だって子供のままさ、だから馬鹿ばっかりするんだ、賢く大人な君が出来ない刺激だろう?」

笑って受け流される、無邪気だなぁもう

もー、まぁいいけどね。


「では、急ぎ準備を進めてもらおう、といっても、後半日は絶対に休まさせるからその間に支度は整うだろうよ。行ってくるよ、皆に次の動きを伝えてくる、動けるようになるまで寝てるんだぞ?」

最後の一個を口に放り込んで部屋を出ていく…その背中に向けて

「歩きながら食べないのー」

自分も良くやるけれど、一応注意すると

声に反応しバツが悪そうな、されど、笑顔で部屋を出ていく、ささやかな抵抗として私を指さしながら。

その仕草が何を意味するのかわかってる、人の事を注意できるのかな?ってことでしょ?よく見てるなぁもう。

彼がドアを閉めずに出ていき、ゆっくりとドアが自然と閉まろうとすると隙間からスカートの端が見えたのでドアが閉まると同時に

「入っても大丈夫だよメイドちゃん」

呼びかけると閉まったドアの向こう側から小さなぴゃぁっと驚いた声が聞こえてくる。

小さなノックが二回した後、ゆっくりとドアを開き、此方を恐る恐る顔を出す

その感じ、見てはいけないものを見てしまった家政婦さん的な感じかな?

「私は見られても何も思わないよ?仲好いでしょ?」

「…はい、ご馳走様でした。っと言って良いのでしょうか?あのやり取りはどう見ても…」

子供と母親って事?…確かに。

ってことは、もっと前のキスのシーンは見てないってことだね?

足音が近づいてくる、今この瞬間も私の体は回復しているからさっきは自然と首を動かして勇気くんの姿を見送れたけれど、条件反射で動かすと筋を痛めるから安静にしないとね。

「お体の方は?」

視線の中にメイドちゃんが映り込む。表情が申し訳なさそうっというか、これは心配している顔だね。…もしくは、話を切り替えたいのかもね。

心配するのも致し方なし!知ってるからね、私が持久力が乏しいのを

「見ての通り~。動けない、頑張り過ぎちゃった」

言葉通りに受け取ったのか悲しそうな顔をしないで欲しいかなー。

回復の陣も起動しているから、あと1時間も寝たら動けるようになる

「何か、私にご用時はありませんか?お申し付けください」

深々と頭を下げられてもねぇ?何かあるかな?

話し相手ってのも違うし、かといって、仕事してきなよって突き放すのも違うよね

なら…彼女に任せれることで、私が願う事なんてね、これしかないよね

「お風呂に入りたい!もうひと眠りする前に…綺麗になりたい!汗を流したい!気持ち良く寝たい!さっぱりしたい!」

下げられた頭が瞬時に持ち上がり溢れんばかりの笑顔になっている

「はい!今すぐ準備しますね!」

急いで部屋を出て行こうとするので

「まって!病院でのお風呂は嫌!たらいにお湯を張って体をふくだけなのはい・や・だ!!綺麗になった気がしないの!大きなお風呂に入りたい!」

慌てて声を掛けると直ぐに立ち止まり病室の中に用意されている車椅子を手に取り

「ですよねー、メイドジョークですよ、あははー」

笑ってごまかそうとしているけれどー!お湯を準備にしに、走ろうとしてたでしょー、もぅ!メイドちゃんって時折早合点するよね!

車椅子に移乗するくらいなら何とか体が動かせれるけれど、はぁ、我ながら情けない、立ち上がるだけなのに両足がプルプルと大振動おこしてんだもんなぁ…

メイドちゃんに補助されながら何とか車椅子に乗ると

「では、参りましょう」

ゆっくりと車椅子が押されて部屋を出ていく。病室を出ていくと途中でセレグさんとすれ違うので声を掛けると「緊急事態か?」っと、返事が返ってくるので「お風呂!」短く返事を返すと、ぁ~、っと小さな唸り声みたいなのが聞こえてきて直ぐに「メイドさん申し訳ないが後は頼んだ」自分では何もできない分野だと理解し手を振ってくれる。

メイドちゃんも小さく返事を返してから車椅子が大浴場がある寮へと向かっていく。

病棟を出て車椅子から伝わってくる揺れを感じながら街の様子を眺めていると、各々が自分の仕事に集中しているのか忙しそうに走り回っている。

ここ迄この街が活発に機能しているのは初めてじゃないかな?ってくらい、全員が忙しそうにしている。


聖戦を開始してから、もう…一週間は経過したのかな?

それくらい時間が経っているのに皆の顔からはまだまだ余裕が見て取れる。

忙しそうに走り回っているけれど、すれ違う時に聞こえてくる会話の無い方が切羽詰まってない、お腹空いたねーっとか、解体作業が終わってないーっとか、戦況がどうなっているのかっという会話から離れすぎている。


切羽詰まって限界ギリギリって感じでもない、忙しいけれども、心に余裕があるって感じかな?


大浴場に到着し、車いすに座りながら中を覗き込むと。選択肢を間違えたかも?っとちょっと後悔してしまう。そんな私に、時間的に早いのか混雑していない、らしいっと、メイドちゃんが教えてくれる。一番混雑してなくてこれなのか…

大浴場…増やせばよかったかも?これで、混雑していないんだ。

所狭しと人が溢れているんだけど?

一応さ、大浴場ではないけれど、個室でのお風呂も用意してあるし、中規模の浴場は作ったよ?めちゃくちゃ簡素な作りだけどさ。

そっち、使わないのかな?ぁ、使っててこれなんだ…

自室にあるお風呂にすればよかったかな?…


混雑具合に選択肢を誤ったかと感じてしまう程に人が多い。

人が多いけれども、大浴場の大きな空間、贅を凝らした自慢の大浴場でゆったりと過ごしたかったし、人が多くてもいいかな?

少し考え、人が増えたのだからこうなるのも必然と己を納得させる。

うん、いいか。こういう日も、あって良いよね。


普段ならね、人が多すぎると視線が絡みついてくるから苦手だから、即引き返すけれど、今日は多くの人達に紛れたい。個ではなく全を感じたい。そんな気分



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