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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (71)

言葉にしている途中で気が付いてしまう、もしかしたら、彼からしたらどんな相手であれ戦った相手に敬意を払う騎士道精神が残っているのかもしれないと…


そういえば、教会の教えにそれに近しい事が書かれていたような気がする。

全ての物に敬意を払えと…そんなニュアンスの教えがあった様な気がしない事も無い!

興味が無さ過ぎて刹那で忘れちゃってたかも、てへ☆彡


そう、だよね…その教えで育ってきたのであれば、彼からしたら軽蔑するような選択肢を上司が選んじゃってるってことになるよね?戦うことや、生きる全てのモノに対して美学がある人からすれば、どんな相手であれ、命のやり取りをした相手を尊重するのが基本的理念だよね。

倒した獣を街の発展の為に役立てているからこそ、奪った命が報われている的な考えでしょ?


そんな考えを蔑にするかのように、倒した自爆タイプをただの爆発する肉塊として扱ったことに対して嫌悪感が湧き上がる程に軽蔑するっていう、思想を抱く人物がいるっていう考えに至らなかった点があるなぁ、自分が抱いている命の価値観がずれていることに対して、ちょっと反省したほうがいいの、かな?


反省しないといけないかもっと、う~んっと腕を組んで価値観の再構築を促そうとしていると

「いえいえ!軽蔑するなんてありませんよ!寧ろ、俺も姫様と同じような考えですよ!」

慌てる様に肯定してくる?慈悲的な、慈愛的な、全てを愛せ的な考えじゃないの?

腕組みを弛めて彼の言葉に耳を傾ける

「自分が考えていたのは、そういった教会の教えではなく、姫様と同じ考えでして、もし、可能であれば…運んでいるパワータイプの肉体を自由自在に、まるで生前の時のように圧倒的な力を使って欲しいなと、その、死体を操って此方の手駒に出来るのであれば…あの強固な肉体が朽ちるまで、使い倒せるな、と…盾にも武器にもなれば心強い!と。思っただけでして、敵の命について何て考えたことが一度も無いです、お恥ずかしい…」

…うん、慈悲なんてねぇや!っていうか、そうだよね!自爆タイプの死体をまるで生きていたかのように動かせてみせちゃったから、そういう考えにさ、辿り着いちゃうよね!

術式に疎い彼らに淡い希望を抱かせないように説明しておかないとねー!

今後も、敵の死体を使って奇襲作戦とかが出来るんじゃないか、なんてね、思われたら厄介だもん。

さっきのは状況が限定的で限られた状況だからこそ用いることが出来た策だからね?

パワータイプが自爆タイプから距離を取っていたり、警戒していたら通用しないからね?

…そもそも、自爆タイプを自爆させないで倒すってのが難しいっての。

「にゃー無理無理!めちゃくちゃ魔力を使うからね?あいつらって重たいでしょ?四肢を持ち上げて動かすだけでも、そこそこ魔力持ってかれるからね?」

ほうほう、成程っと小さく頷いて説明を真剣に聞いてくれている。

質問しておいてさ、自分の欲しい答えが聞けたら後はどうでもいいって感じで、途中から聞く気が無くなって早く終わらないかなって感じでもなく、ちゃんと最後まで話を聞こうとする姿勢は好印象だよ?


どこぞのエロ特化型おっさんに比べたらね!


オリンくんタイプかな?この人、街の人全員と深く関わっていないからなー私、趣味とか趣向とか行動原理とか把握していない人の方が多いんだよね。

「あんな重量を生前のように動かすだけで此方の魔力が空っぽになる!そんな魔力があるのなら他に回した方が敵を易々と倒せれるよ!非効率的!今回ばかりは自爆タイプの自爆機構を掌握で来たから良かったけれど、次は出来ないかもしれないからね?博打が成功しただけ、普段から期待できる必勝戦法じゃないんだよね」

顔の前で手を振って、次もこの作戦を組み込めるのではっと言う甘い考えを捨てなさいっと伝えると

「なるほど!少量の魔力で動かしていたわけではないのですね、条件が揃ってこそっという限定的な作戦、砦を攻める時のように前もって情報があるわけでもない何が起きるのか何が潜んでいるのかわからない死の大地では必勝策とは成り得ないっというわけですね」

オリンくんタイプだこの人、話がわかる。教養が深いってことは、上流貴族出身かな?

名前を覚えていないから、そこまで重要な人じゃないはずだから~…っま、いいか。

「っそ!私だって自爆タイプを自由自在に動かせれるのなら奇襲に用いたいよ?それ以外の人型も僅かな魔力で五体満足で動かせれたらね、不死の軍団が生み出せれるけれど、無理かな!人だって栄養を摂取するからこそ動けるわけで、えねるぎー、えっと、動かす為に必要な力が無ければ動かせれないからね?あいつらの体だってその法則から逃れることは出来ないんだからね?あいつらの体の中には魔石が埋め込まれていてそれが動力源になってるからね?他の獣共も一緒…厳密にはちょっと違うけれど、魔力が主な動力源、だよ?」


長年研究して未だに解き明かせなくて疑問が残っている部分もあるんだけどね、魔力を何処で補充しているのかとか、鼠とかって魔石が無いんだけど、何処で魔力を生み出してどうやって循環させているのかってのがわかっていないんだよなぁ~…

単純に魔石のサイズが小さすぎて見つけれていないだけっていう可能性もあるんだけど…

見つけることが出来ない程の極小魔石にどうやって高密度の魔力を充填してるんだろう?っていう疑問も出てくる。

あいつ等の全てを解析解明するには私達では技術も知恵も知識も足りていない…

未知の生物すぎる、だからこそ、ある結論へと至り結び付けれるんだよね。

この星とは違う文明の生き物でしょ?死の大地に住まう白き獣共は…


この辺りは誰にも、勇気くんを除いて、説明していない、する気も無い、レポートや論文を公開する気も無い、何言ってんだこいつって状況になるのが目に見えてるからね。


さて、死体を動かすのが困難な理由をなるべくわかりやすく説明をしてみたけれど…

取り合えず説明を聞き終えて頷いてるけど、視線が虚ろだよ?でも、その虚ろの先に神秘と言う永遠の謎と向き合えるからね!そこに辿り着けたら一緒に無限の可能性がある術式の研究をしようじゃないか!

「では、あの時は我々を助ける為に多大な魔力を行使されたのですね、姫様の慈悲に感謝を」

ぺこりと頭を下げてお礼を言われる。思考を捨てたかー、もう一声質問があるか期待したけどざんねーん、術式に興味がある人って本当に珍しいからなー。


ぶっちゃけると、あの時はね、主にルの力を使って動かしてたからさ、始祖様の術式に比べたら左程、魔力を消費していないんだけどね。


それに…自爆タイプは比較的、他の人型に比べたら軽いからね。

動かすのに大きな魔力が必要ないし、動かしやすい部類ではあるかな?

その辺りの説明はしなくても良し!ルの力なんてね、説明できないっての。

突如開かれた質問会も、この辺りでお終いかな?周囲の人達も私が無理をしているんじゃないかって心配そうに見てるし、虚勢ではないっていうのをちゃんと示して不安を取り除いてあげましょう!

「魔力に関しては今のところ余裕があるし、何も問題ないよ。今の私は無限の魔力と繋がっているんだから!魔力を消費したとしても、魔力は常にこの街に向かって流れてきているから大丈夫。王都にある教会から、祈りと言う力が私に力を貸してくれているの。今も教会で多くの方達が祈りを捧げ続けてくれているからね、この程度なら苦でもないよ、まっかせて」

発展途上の胸を強調する様に背筋を伸ばして偉そうに胸を張って、ぽんっと軽快な音を立てて誇らしげな姿勢を取ると

「ははは、流石でございます。姫様が傍に居らっしゃる限り我らが負けの二文字を見ることはありませんな!此度も襲い掛かる不敬な知恵無き馬鹿どもをえいやと投げ飛ばし仕留めてまいりましょうぞ!」

古い付き合いの戦士が場をしめる様に笑ってくれると、周囲の戦士達や騎士達も小さな声で笑ってくれる。

長い付き合いで豊富な経験がある彼だからこそ、この先を見据えて行動してくれる。


今はね、例え虚勢だとしても、士気が下がる様な事を言うわけにもいかないからね。

今代では違うけれど、過去の私とは長い付き合いだもんね。

戦場にも何度も一緒に出てくれた人だもん、そう、彼は親衛隊の一員として傍で戦い続けてくれたよね。


時折襲来する人型討伐部隊、過去の私は幾度となく討伐へと出撃した。

親衛隊の人達と共にね、でも今代は、その中に勇気くんが居て、作戦の軸も私と勇気くんだから、闘い方も過去の私とは違っていた。

だからかな?過去の私と彼とは違う関係性なんだけど、根っこの部分は変わらないかな?

だからかな?彼から気安く話しかけられても…子供のころのように自然体でいられる。

そんな私達の姿を勇気くんは傍で見ていたけれど、どんな風に感じるのかな?にしし。


もしかしたらっと、淡い願望を抱きながら、ちらりと、勇気くんが居る場所へと視線を向けてみると

此方を見ていなかった…

むぅ、やきもちの一つくらい焼いてくれても良いんじゃないの?


…まぁ、話しかけてくれた戦士の人は何時引退してもおかしくないお年だからライバルには成り得ないってことかな?…ことかも。私が枯れ専っという趣味趣向じゃないのをよくご存じで!


視線を自称老骨の戦士に向けるとついつい、孫のようにお爺ちゃんをいたわる様な感情が湧き上がってしまう。

「それ、重くない?大丈夫?」

ついつい、お年寄り扱いを自然としてしまう。

「ははは、何をおっしゃる、歳を重ねたとはいえカジカよりもわずかばかり年が上、この程度、まだまだ余裕ですとも」

…これは笑うべきなのだろうか?カジカよりもわずかにばかり年が上ってわずかじゃないけど?ラアキさんよりか少し下でしょ?

ん~、笑うべきなのか判断が難しいな

「姫様もご遠慮なさらず大いに笑ってくだされ、僅かとは?っとね」

はっはっはっと笑うと周囲の方も会話を聞いていたのかくすくすと笑いを堪えようとしている。死の大地で大きな声で笑うわけにもいかないけれど、この瞬間だけは笑っておこうかな?


控えめに、口元に手を添えて頬を緩ませて、ふふっと笑うと

「嗚呼。そのお顔です姫様、我々は貴女の可愛らしく慈しみたくなる…屈託のない童のような笑顔が視たくて見たくて御傍にいるのです」

そんな遠い目をして言わないでよ、これで終わりみたいな…

「ありがとう、ずっと傍で見ててね?平和になったら…もっともっと、世界中に笑顔が溢れるんだから、まだまだ、これからだよ?人生が、争いのない未来を求めているのですからね」

時折お母さんがする誰かを慈しむような微笑みをイメージして返事を返すと

「ふふ、お慕いしておられる団長の真似ですか?似ておりますよ…ええ、とても…老骨とて此度の戦いで死ぬ気はないですぞ?この様な老骨でも小さくではありますが野望があります。いつか、姫様のお子をこの手で抱くまでは御傍に置いてくだされよ?」

俯いて儚げな声で返事をしないでよ。

心配で視線を向けてみたら兜の下から見える口元がしわしわ…泣いてるの?齢を重ねると涙もろくなるってのは本当みたいだね…子供かぁ、その夢は私も抱いてるよ。

「うん、私ね、お母さんになりたい…ううん、なるから、だから絶対に」

彼から視線を外すと小さな声で応っと返事が返ってくる。

彼としてもこれが最後の戦いになる、憂いなく戦う覚悟…いざとなれば命を捨てる覚悟や気迫が伝わってきていた。

こうやってさ、ふと想えば…彼もその一人だけど、私は長い間、多くの人に助けられてきた。

若い頃の私は色んな人に支えられて守られてきた

幾度となく魂を積み重ねていく過程で…私は誰も頼りにしようとしなくなった


それも良くなかったのだと、今わかっちゃった…

必要とされたい人だっている、利用されているとわかっていても、好きな人に心を許してほしい、傍に居れるのならってことだよね。


「ふぅ、お互いらしくないですな…んん、姫様であれば我らを守ってあげると一声だすだけで良いと思います」

わざわざ、言葉遣いを訂正しなくても良いのに。普段通り、元貴族としての口調で良いのに。

うん、らしくなかったかも。でもさ、らしくないけれども、これは本心だよ?


後ろを振り返らず無限に広がる空を見上げ

「全部終わったら、皆と一緒にいっぱい遊びたいな…」

零れ出る何処かの私が夢見た夢物語、無限に広がる空に願いを届ける様に囁くと

「ええ、勿論、たっぷりと遊びましょうぞ、童のように」

彼の想いに応える様に彼に向かって拳を突き出すと優しく手甲の冷たい感触が拳の先に当たる。


戦いが終わったら…

いっぱいいっぱい、皆と遊ぼう、私が好きな人と、私を好きでいてくれる人と、皆が笑顔になって手を繋ぎ合わせれるようにしよう…


うん、私が幼い頃に夢見ていた夢物語みたい…

術式を研究し始めたきっかけの一つ…叶えたい願いがあったから。


お母様を救う。


その為に世界中の人と手を繋ぎ合わせて術式に必要な儀式を成立させるために必要な演算と魔力を手伝ってもらう。

人と人が手を繋ぎ合わせ一丸となって儀式に取り組むことによって、幼き頃は願いが叶うと信じていた。

…一人の力では到達できなくても、世界中の人々が僅かでも力を貸してくれたら絶対に成功するんだと、漠然と感じていた、思っていた、願っていた、独りでは不可能でも、人類一丸となれば叶う願いだと、叶わない願い何て無いのだと…


幼い頃に抱いていた夢

それに近い願いを今一度願ってしまう、私は、強欲だよね。

絶対に不可能だってわかっている事を欲するなんてね…

不可能だってわかっていても…今の私なら、時間さえあれば何時か、届きそうな気がしてしまう。それ程迄に今の私の心は何にも囚われず自由なのだと感じることが出来る



これも偏に愛する旦那様のおかげかな?なんつって、ね!にへへ…


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