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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (69)

両腕を伸ばして魔力を指先に集約!!指先から念動力を発生させる!!

形状を明確にイメージする!!生み出すは敵を切り裂く巨大な鉈をイメージする!!


術式を瞬間的に直感が如く構築し、生み出す得物を脳内で構築し終える

イメージ完了!!


イメージ通りに念動力を真っすぐ薄い板のように伸ばす!!

生み出した力場を極限にまで細く伸ばしてから、周囲に散らばる鉱石の破片を搔き集める様に吸いよせて生み出した力場に張り付ける!!

刃のイメージも明確に出来ている!形状は鉈だが、刃は鋭く!

私が知る限り最も鋭く切れ味が高いのを思い描く!黒曜石で作ったメスが最も鋭い刃!

そのイメージで構築していく!!どんなものも切り裂くほどに鋭く精製!!


念動力で生み出した力場に鉱石を張り付け、錬金術によって張り付けた鉱石を瞬時に溶かし結合させていき、念動力で刃先を鋭く研磨し整える!術式と錬金術の合わせ技!即席の刃を錬成!!


伸ばした腕の先には私の身長を超えるほどの巨大でどんなものでも切り裂く鋭い鉈が生まれる


伸ばした両腕を目の前で交差させるようにクロスさせ即席で生み出した巨大な鉈されど刃は黒曜石のメスという切る事に特化した刃を鋏のように扱い…憎しみの塊を、、、切る!!!


ギャリィっと硬い金属が削られていく音を響かせ目の前に派手な火花が散っていき…

憎悪の化身は二つに別れ左右へと飛んでいく…

この一撃で敵の胴体を寸断…上半身は右へ、下半身は左へと回転しながら飛んでいく…


飛ばされていく上半身を警戒を緩めることなく睨みつける

空中で分離しながらも敵の視線は切った私ではなく常に後方部隊を見据えていた…


切った相手すら眼中になし…殺す事だけを…憎しみだけを撒き散らそうとしている。

その鋭き眼光が閉じる迄は油断してはいけないたとえ地面に叩きつけられ歩くことが出来なくなってもこいつは動こうとするだろう


…警戒を緩めるわけにはいかない。


寸断され大地へと吸い寄せられていく最中でも、藻掻く様に、唯一動かせれる腕を僅かでも伸ばして、指先だけでも人を傷つけようと伸ばし続ける。その姿はまさに怨念を具現化したかのよう…

残念だけど、指先だけでは空中を泳ぐことは出来やしない、お前たちでは、私達が扱う術式を用いることが出来ない、諦めて意識を落とせよ。

かといって、意識が落ちたとしても警戒を緩めるわけには行かない、何故なら、この事態も想定している可能性がある、何手先でも読み切るのが先生だからだ、先生なら何か仕込んでいてもおかしくない、警戒を緩めない!


先生なら仕込んでいそうな私が嫌がることを想定し最大限に警戒する

怨念の塊が求める願いは叶うことなく藻掻く様な指先と共に大地へ叩きつけられ…

動かなくなる…


警戒していた最悪は仕込まれている様子はない、良かった。

先生なら何を仕込んでくるのか予想が出来ない、私の知らない方法で瞬間的に肉体を再生させたり、自爆タイプがもつ爆発の規模を三倍以上に膨らませてきたり、何かしらの方法で人型の中に小さな人型を仕込んで胴体を切られたときに飛び出すような仕掛けとか、そういうのも警戒していたけれど、杞憂だったかな?


動かなくなった上半身に敵の胴体を真っ二つにした鉈を落としてみるが反応しないのを見て完全に停止したと判断!

はぁっと、溜息を吐き捨て警戒を緩める…

安堵するべき状況だけれど、脳内が思考の渦から抜け出て休息へと気を弛めることが出来ない。溜息くらいは吐き捨てさせてもらったけどね。


転がっている上半身を見て今までの経験則を改めるべきだと痛感する。

あいつは執拗までに…明らかに狙っていた弱者を…


お前たちの行動パターンとして一番最初に見つけたやつを執拗に狙うんじゃなかったの?

傷つけた相手に怒りを持って執拗に狙うんじゃなかったの?

持たされたおもちゃを壊したやつを執拗に狙うんじゃなかったの?


その全てを覆す行動、あれには明確に意思が宿っていた、いや、宿らされていた?


確実に…弱者を狙って行動していた…

アイツの魔道具によって指示を出されていたワーム共の狙いも…

そうだ、よくよく考えると私よりも…弱者だ。


狙っていたのは私じゃない、私と見せかけて後方部隊、術式部隊の戦う力が弱い人達を優先する様に…狙っていた弱者の命を優先的に…


そう、それは…それを…先生が与えたの?

あの、温和で優しくて誰よりも心優しい人として正しい心を教えてくれた…

敬愛するあの先生が?…先生は…憎しみを受け付けたの?獣に…


知っている、私は…私達の過去が物語っている…

感情こそ、力の起点、動機こそ渇望の原点だと…


与えたの?人の憎しみを、尽きることが無い闇の願いを…



一斉に目が開く

一斉に歌を歌う

一斉に憎しみが舞う

一斉に過去が目覚める



…押し寄せ湧き上がり台風よりも激しい感情によって意識が飛びそうになる


感じる…憎しみの先が…呼んでいる?…心の残滓が…見つけた…私にも…見える…

憎しみの螺旋に呼応するように世界が切り替わる。


視界全てが真っ黒に染まりきるが黒の中にそれ以外の色が見える…小さな…白き点が、まるで奥へ進む様に、私を誘う様に…一定間隔に点在している


白き目印を辿る様に…迷子にならない様に残された目印を辿る様に…

一歩、一歩っと、意識が黒き世界の奥へと進んでいく…

点在した白き点は例えるなら、軍人のように綺麗に均一な距離で描かれている…

白い点が続く先を一つ一つ、追いかけていく…奥へ奥へと繋がっていく


白き点を一つ越える度に…

憎悪の足跡が教えてくれる…

憎しみの軌跡が教えてくれる…

この先にいる、この先に…


見定める…


渦巻く憎悪を導く根幹を!!



黒き世界の最奥へ意識を…

黒き世界の中に、薄暗い黒き青が見えた…

それも一つじゃない、数えきれないほどの青が…

青の一つ一つが…魂だと感じる…


目が合ってしまう…複数の目と…

その中に…見覚えのある目がある…

そして…青の輝きの近くで…異形の獣が此方を見ている…


目が合う、私達の瞳が一斉に叫ぶ、許せないと…


おまえが…お前が!お前が先生を!シヨウさんを!!ギ


「止すんだ、その先に触れてはいけない」


愛する人の声によって黒き世界から隔絶され、様々な色を宿した世界へと帰ってくる

「ゆうき…くん?」

気が付くと勇気くんの声が上から聞こえてくる…

視線を少しだけ上に向けると、彼の美しい顔が頭の直ぐ上にあり、私の顔は…全身が彼の胸板…冷たい鎧に包まれている、黒き音のない世界から鎧の奥からでも伝わってくる安らぐ音…

彼から伝わってくる魂の…心臓の音によって憎しみの世界から正常なる世界へと帰ってきたのだと実感がわいてくる。

「俺も…いや、今代の俺ではない、過去の俺もその道を辿った、そして、得たんだよ、いや、掠め取った盗み見たが正解かな?敵の技術をね…そいつが、魂を弄ぶものだ…俺達の敵…倒さないといけない憎しみの塊だ」

優しく諭すような優しい声と共に、ぽんぽんっと優しく背中を叩いてくれる。

ここが戦場で尚且つ、皆の前じゃなかったらキスをねだるところだよもう…すきぃ…


彼の行動に甘えていながら彼の顔を見上げていると私から視線を外すように顔を前に向け

「すまない!待たせてしまった!…それにしても」

戦士達に声を掛ける。

その最中も優しく頭を撫でながら、ゆっくりと顔を左右に動かし当て周囲を見回し、ぴゅぅっと小さな口笛が聞こえた。口笛を吹いた後は口角が上がって嬉しそうな顔をしている

「よくこの数の人型を相手取った!よく姫を守った!よく支援部隊を守り通せた!お前たちは立派な戦士だ!!」

現場で誰一人欠けることなく、この連戦を乗り切った人達を褒め称えていく

その姿はまさに王そのもの…やっぱり私よりも彼の方が人の心を鼓舞するのは上手だと思う、彼こそが王であるべきだよね…本人は嫌がるだろうけれど。

「強き心と強き肉体と言えど休息が必要だ!一度、セーフティエリアに帰還し英気を養ってくれ!暫くの間は戦士長である俺がこの場を制する!!」

その一声によって緊張していた現場から完全に緊張の糸が切れていく

私も皆と同じように緊張の糸を切りたいので、念のために足先で地面を叩いてソナーを地中に向けて撃つ…


返ってきたのは無反応、敵性反応なし、不可思議な振動も無し。

うん、ワームは潜んでいない、かな?一連の流れで出しつくしたかな?


鎧をコンコンっと叩くと、撫でてくれる手と共に、ゆっくりと離れていく。温もりが離れてしまうことに胸が少しばかり締め付けられ名残惜しいと感じてしまう。

足元に置いてある手甲を拾い上げ腕に装着していると視線が重なると

「サクラは流石だな、君以上に強い人を俺は知らないよ、君は最高だ、君じゃなかったら被害者が数多く出ていただろう、最高の頭脳だよ」

優しい微笑みで褒めちぎってくれる。

もう、そんなに煽てても何もできないよー?もうもう!その優しい微笑みだけで満たされちゃう!そんなつもりじゃないのに、彼の為に頑張ってよかったって思ってしまう!罪づくりな笑顔だなぁ!もう!かっこいい!!大好き!!っと脳内では蕩けまくってしまっているけれど、それを表に出さない様に表情を崩すことなく…返事をしようとしたけれど

「それじゃ、お言葉に甘えて…少しだけ休憩をとるね」

にへへっと笑顔がこぼれてしまい、声からも照れているとわかってしまうほどに緩んだ返事をしてしまう。


ついつい緩んだ状態のまま、共に戦っている皆に指示を出していく。


一旦、セーフティエリアに帰還し投石機の準備が終わるまでのわずかな時間だけど、休憩を取ると指示を出すと、周囲から、おぅっ、と小さな返事が返ってくる

声の感じからして度重なる襲撃に疲れ果てているって感じ…正直に言えば危なかった。

本当に、危なかった、合流せずに奥へと進まなくてよかった…

勇気くんと合流出来てよかった、ある意味、敵に足止めされたのが結果論で言えば良かったことになる。合流せずに森を焼きに奥地へ進んでいたらじり貧になっていた可能性が高いかも…


現時点では、運が此方に味方している。


こういう些細なタイミングでのかみ合わせの悪さによって、私は幾度となく死んでいるからね。運が味方をしてくれていると感じれるのは流れとしてすごくいい流れではあると感じる。


だって今回は絶対に…戻る気はない、今回で全てに決着をつける、絶対に!欲を言えば犠牲無くが理想だけど…ううん、弱気にならない!絶対に皆を守って守り通りして!完勝する!


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