表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最前線  作者: TF
491/700

Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (55)

静かに、されど、迅速に…

あいつ等に気取られないように慎重に静かに水面下で準備を進めてきたつもりではいる。

日常を、何時も通りを、何も変わらない不変な日々を送り続けているように偽装はしてきた、全員に気取られないようにするように伝え慌てることなく焦ることなく作業を進め続けてきてもらった。


だけども、最悪は想定していくべき、何かしらの方法で此方の動きは筒抜けだと考えるべき


「姫様、物資の搬入在庫確認終わりました」

広場で指示を出しているとメイドちゃんに頼んでいた確認作業が終わったことを伝えてくれる

手を出して資料を受け取りパラパラっと捲って頼んでおいた物資に漏れが無いのをしっかりと確認してからサインをする

「宰相の方は?」

私達の準備としては順調すぎるくらい、何時でも出れる。

後は、王都側での準備は終えているのかって部分。

そろそろ到着していてもおかしくない時刻なんだけどね、念のために王都に向かってもらって、向こうの状況を確認をしてきてもらおうかな?

「はい、先ほど到着されて元筆頭騎士様の方へと足を運ばれておられるはずです、言伝も受けたまわっておりまして、準備は出来ている騎士達も士気が高くこの日を楽しみにしているとのことです」

想定よりも到着が少し早いのは士気が高いからってことね、良いじゃん。逸る気持ちが溢れ出てきて勇み足になってるってことね。

「ありがとう、それじゃ医療班と隠蔽部隊からの報告が遅れているから催促に行ってきてもらっても良い?」

「はい!…って言いたいのですが、此方を」

先ほど渡した書類を再度渡してくる?何か見落としがあったかな?


一枚ページをめくると先ほどには無かった見覚えのない紙が挟まっている、周りに知らせたくないってことね。


内容を確認してみると、これには少々苛立ちを覚えてしまう、挑発かな?

っま、想定内だけどね。捨ておいてよし。

「此方の対処は如何様にしましょうか?姫様の御意思であれば、華の頂、命を賭してきますが?」

捨ておいていいって私は思っていてもメイドちゃんからすれば、そうじゃないってことね。忠義の心からやる気に満ち溢れるのは良いんだけど、命の使いどころを間違えないでほしいかな。

準備に追われ続けてきた、この三か月でメイドちゃんの心にも変化が起きていた。

自分が活躍できる場所を探し求め、何処から情報を得たのか、それとも、自身が考え辿り着いた答えなのか、自分の命の使い道を決め込んでいたみたい。

だとしても、自分が成すべきことを見誤っている、貴女の命は軽くない。


その事を解ってもらわないとね

「しなくていい、メイドちゃんが到着するころには事情が激変してるっての」

真剣な表情で命を捨ててこいと言われるのを待っている愚か者に制裁としてペチっとおでこを叩くと覚悟を決めていただけに、そう言われることを想定していなかったのか、張り詰めた表情が崩れ普段通りの気の抜けた顔で驚いている。


「ぇ、でも、私の使い道ってそれくらいしか、無いかなって思っていたのですが?」

恩を返すつもりで覚悟を決めてきたのだろうけれど、それは私が求めていない答え

「命の使い道を間違えないで、貴女は確かに華の頂と呼ばれるほどに切磋琢磨してきたけれど、今は華の頂じゃないでしょ?今は!私の右腕!専属メイドでしょ?貴女の生きる道は私の傍って決まっているの。それにね、私が現場に出ている間は貴女が細かい指示や伝令を伝えたり出したりする役目だっていうのを、忘れてない?」

その一言に驚き嫌そうな顔をする、さては冗談だと思っていたな?

「ぇ”私、そんな責任重大なポジションに放り込まれる予定だったんですかぁ!?」

突然降り注いだプレッシャーに押しつぶされそうになったのか涙目になる…

あれぇ?事前に伝えてなかったっけ?伝令班に所属させるって?


ジト目でメイドちゃんを眺めていると、バツが悪そうな顔をして困った顔をしている

「は、ぃ…聞いていました、私はてっきり、伝令係として方々を走り回るだけのただのお使い担当かと思ってたんですけれど…」

「違うよ、此方が用意してある各作戦を伝令係として私の代わりに指示を出してもらう係だよ、作戦書を丸暗記しろって伝えたでしょ?」

この発言を聞いても特に慌てた様子が無い辺りしっかりと渡してある作戦書は丸暗記してそう


「ぁの、あれ、が、作戦なのですか?」

困惑した声に考え込むように俯いてしまう。眉をひそめて、そうなるのは仕方がない。

うん、そう思うのは至極当然!だってね、渡した作戦内容がね…

私が言うまでも無く、疑問を感じているメイドちゃんが呟き始める、本当にこれで良いのかと疑問を解消するために

「この敵が出てきてこのラインを超えたらこれを使えとしか、書かれていませんでしたけれど?」

これが本当に作戦と言えるのか?っという呟き。

単純明快!敵の種類に応じて使用する魔道具や道具、部隊を振り分けてあるだけ!

しかもその作戦書は各部隊と何度も会議して決めたものだから全員知ってるっていうね!


作戦何て呼べるものじゃない、敵をどうやって罠に嵌め込むとか、敵がこう動いたらこう動けとか具体的な内容は記していない…全てその場!出たとこ勝負!ってくらいの作戦しか用意していない。

大雑把な流れは決まっていない、敵の動きに合わせて後の先を取るしか出来ない。相手の全てを知り得ているわけじゃない、私達が長年培ってきた敵の行動パターンを持って対処するしかない。それ以上の情報が無いんだもん。


そんな作戦内容を指示するのに人が必要なのだろうか?っという疑問、その先にある答えに辿り着いたのか明るい表情になる

「…ぁ、確認の為に走れってことですか?」

ご明察、貴女は伝書鳩として方々を走り続けてもらう予定。

伝達技能が乏しい私達にとって少しでも早く連絡を取り合うには走ってもらうしかない、序盤は特にね。中期、終盤あたりとなると、私が抱いてしまった嫌な予感が的中すると現場は混沌と化し秩序を失いかねない、その為の柱として宰相とメイドちゃんが必要。

メイドちゃんには、私と連絡が取れない時に作戦通りでって叫んでもらうだけでも現場に漂う不穏な空気を一蹴できる可能性がある。

まるで私から直接指示を聞いてきたかのようにね、私がそうしろって指示を出している風を装うだけでも士気が向上するからね!


そんなわけで時と場合によっては、メイドちゃんには時折嘘つきになってもらわないといけない。メイドちゃんであれば私が良いそうな事を適当に並べてアドリブで乗り切れそうだもの

他の人ではダメ、っていうか、他に私と深いつながりのある人は全員、死の大地に居てるだろうからね…当然、医療班団長であるお母さんもね。


中盤か終盤に現場が混乱しパニック、または、フィアーに陥る可能性があるってことはメイドちゃんには伝えていない、言えば責任に押しつぶされて、そうなる前にメイドちゃんが潰れてしまうかもしれない、騙し討ちみたいで申し訳ないけれど、土壇場でのメイドちゃんの活力に期待せざるを得ないってわけ。


裏の意図を知らないメイドちゃんは、今まで方々を走り回って鍛え上げられた脚力や、華の頂として隠れて行動するっという能力をここで活かせとっという意味だと解釈したみたいで意気込むように何度もうんうんっと頷いて気合を入れている。

「…わかりました!足がはち切れても走り続けますぅ!!」

拳を握りしめてファイティングポーズを取り眉に力が込められている、その姿を見て感じることは一つ…謝罪の言葉…

ごめんね。辛い選択肢を強いることがあるかもしれないけど耐えてね

そんな事を考えているなんて勘の鋭い彼女に伝わらない様に気を引き締め

「そう、それでよし!その為にさ渡してあるでしょ?認識阻害のマント…あれを託せれるのは貴女だけ、いつどこで敵と鉢合わせになるかもしれない危険な戦場を敵に見つからずに息を潜めて潜り抜け続けて…私のいる場所に辿り着けるのは貴女だけ、誰がどう見ても重要なポジションだからね?」

渡されたどうでもいい紙を突き付ける様に返し

「後、その不穏な紙は宰相にパスしといて、其方の対処に関しては…司祭に任せるしかない、かな?情けない男は今頃、ベッドで頭抱えて震えているでしょ?ぁ、女性を添えての一言を忘れてたよHAHA!」

誰かに聞かれていたら王族批判と捉えられる内容もしっかりと濁せば問題なしってね!

その危うい発言に、困った笑顔で、表情筋を引きつりながらも、突きつけた紙を手に取り宰相が居るであろう場所へと走っていく。

パタパタとスカートを泳がせるように、その姿はまさに一輪の華、華頂っか、大国の癖に良い名前の付け方じゃん。


ネーミングセンスだけは褒めてもいいかなって言う大国のやつらの動き。

まぁ、こうなることはね、前々からわかっていたけれどね、何が聖戦に我らも参加するだよ、隠者を王都やこの街に王国や私の許可をもらって正式に配置する為って事じゃん。

大国の隠者を中に入れるわけが無いっての!


どうせ、手薄になって現場が混乱してくるのを待ち続けて王都やこの街を掌握するつもりなんでしょ。

もしくは、此方が不利になってきたら手を貸して恩を売るかの二択

何方に転ぼうが邪魔でしかないってね!お前たちがこの街を掌握したとしても、貧弱なお前たちじゃ獣共に勝てないんだから滅びるだけってのがどうしてわからないのかな?


こんな事態にならない様に潜んでいた隠者を全て大国に送り返せば良かったって言うのは下策!

隠者が潜んでいたのを知っていたのにめんどくさいから放置していたってわけじゃない、すべて排除してしまった方が相手の動きが読めなくなるからね~。

敢えて泳がしておいて、こうなる様に仕向けてあるから何も問題は無い。ただ、本当にしてくるほどに愚かだとは思っていなかったってだけ。


こういう事態になる可能性があるから事前にね、宰相を通して王都にいる力ある貴族達に打ち合わせしてあるから、大国の口車に乗らないから大丈夫って言いたいんだけど…

王都に住んでいる民たちの優しさとか思いやりの心を利用されると厄介かな?

王都にまで、駆けつけてやったのに中に入れないとは何事かと訴えかけて王都に侵入されてしまったらどうしようもないのと、その状況を見て情けない男が何をしでかすかわかったもんじゃないってのが不安要素かな?見栄っ張りで虚勢張りのあいつなら、大国との絆や親睦を深める為に王が動かなくてどうとする?っとか邪魔な考えを抱かないことを祈るばかりってね…

王都の中に入り込まれたら…司祭が後に処刑される覚悟で…起動するだろうね。魔力を根こそぎ奪うための術式を…

それによって多くの人が昏睡レベルにまで、魔力を吸い出されてしまうけれど、大国の連中は魔力枯渇症となって死に至るって自爆覚悟の策を授けてある。

集めた魔力は、全て此方の街に送られるから儀式が発動する事も無いので、その点は問題なし!叔母様と協力してその辺りの危険性も対策済み!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ