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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (52)



なんてね、出来る気がするだけで、そこまでの大規模な術式を演算して調整するには

たぶん…それに耐えられる器が必要だし複雑な術式を一人で制御何てできるわけがないから、大雑把に計算して私が10人くらい同時でシンクロしながら演算して始祖様と同じくらいの器を用意しないとできないだろうね

…うん無理!…じゃないのが困ったところ、今ある技術を用いれば不可能ではない段階にまで来てることに驚きだよね?


私は…解き明かしてはいけない因子を解き明かしてしまった…

名も無き弟に、ううん、もしもに備えて救世主を生み出す為に私は、始祖様が残していった因子を解明した

幸いにしてこの街には優秀な戦士が数多く揃っていた…因子を研究するためにはもってこいの場所だった、これも一つの僥倖なのか、与えられた運命なのか

始祖様はそこまで考えて種をまいたのだろうか?いつかどこかで花が咲くのを願って…


嗚呼、だから、私達に与えられる名前は花の名前なんだ…

私達が人類を救済する種から芽吹くのを願って…

お母様の名前は…サネカズラ…その名前の意味が今ようやくわかった、始祖様は私とお母様、二人同時に視たんだ…

時渡の秘術…それも残していってほしかったなぁ…


魔石と繋がってから得られたことを思い返していると

「何を言う、魂に触れなくてもその人が歩んだ道は残る、彼女の教えは今も人々に渡り受け継がれている、魂が繋がる道筋は一つじゃない」

私の心が否定したくないけれど否定しないといけない悲しい事実を受け止めているのか笑顔で頭を撫でてくれる。どんな時でも寄り添って支えてくれる、こんな頼もしい人と私の頃が繋がっている想いが通じ合っている、これだけで私は何も怖くないと感じてしまう。

「うん、確かにその通り、その人に直接会わなくてもその人が描いた夢を知れば誰しもが受け継ぐことになる…のならさ」

だけども、私が歩んだ道には数多くのどうしようもない人たちが居るのだと苛立ちがによって再生されてしまう。

脳裏を駆け巡った性根の腐った人達の顔にもう一度、その時に感じた苛立ちを感じてしまう

「ここには誰もいないから陰口を告げ口する人もいないので心配することは無いが、違う意味で危険だからな、殺気を起こさせてはいけないよ、矛先が反転する」

ぽんぽんっと頭を撫でる様に叩かれる、彼には言葉にしなくても伝わる理由はわかってる、魂の同調でちょいちょい私が感じていることをのぞき見しているから。

だから、優しく頭を撫でてくるのだと心が覗かれているとわかっていても子ども扱いされているみたいな感じでも怒ったりするような私ではない、単純にこれは勇気くんからすれば何気ない日常的な行動だもん。慣れたよ、口数が少ない私から正確な情報を知り得る為だもん、それにね、私が見てきた世界を勇気くんにも見てもらいたいから、寧ろ、して欲しい。


それらを受け止めてから、相手を下に見ているわけじゃない、馬鹿にしてるわけじゃない、純粋に相手の事を想って注意を促してくているだけ。

彼からは邪気も邪推も無く心の底から相手の事を想っているのだって伝わってくるし、行動に示してくれる、今ならわかる。彼は善意の塊だって。


あの夜以来、私達の魂はより深く繋がった様な気がする。

お互いの事を理解し過ぎて、言葉なんていらないんじゃないかって思うくらい

きっと、私達の魂は何処か欠けていて、その欠けた場所をお互いを支える様に噛み合ったから、かな?


「さて、今後の作戦として、先の術はどのような効果で、どの様な狙いがある術式なのかご高説を賜りたいのだが?」

落ち着いてきたのが見抜かれている、あの日があってよかった、あの日、勇気を出してよかった、前へ進む力を授けてくれたお母さんには頭が上がらなくなっちゃう…前からか?

「この術はね、飛んでくるモノから身を守るってのが大きな役目なんだけど、使い方によっては少しだけ空を浮いたり、落下時の衝撃を減らしたりするって感じ、かな?」

他にも色々と書いてあったけれど、ちょっと理解できていないから、たぶん、守る為の術、じゃないかな?

使ってみて考え付く応用は凄く多いけどね、問題があるとすれば何処まで耐えられるのか実験はしてみたいけれど出来ないってところかな?

始祖様の術だもん、消費が激しいから軽々と易々と実験は出来ない、かなぁ、なので机上の空論で議論していくしかないかな?


「なるほど、対人戦を想定された術式っというわけか、獣共ならどの様に扱う?」

「代用できる術があるから、敢えてこれを使う必要性はないかも?…あるとすれば、何処まで耐えらえるかわからないけれど、鼠の大群に囲まれたときに使うといい、かも?」

「…代用が出来そうな術があるな、ふむ、考案するべきだな」


二人だけの術式研究に熱が籠る


最後の一ヶ月、も、無いかな?残された時間は無限に近い魔力で最後の切り札が本当に切り札となるのか実験を繰り返していくと二人で相談して決めてある

今日のっていうか、今回が始祖様の術を使うのは、初めてだけどね。

昨日は、魔力が流れていく感覚を掴んでみたり、夢に取り込まれないかくらいしかしてないもんね。


そんなわけで、本日の夜に行われる戦略術式議題は風の鎧って私が名付けている自身の周りに風を生み出す術

解読した内容だとね

上空で戦う時に展開しておかないと制御ができないって書いてあったけれど、そもそも上空で戦うことが無い

敵が放つ真空系統の術式に対して有効的って書いてあったけれど、真空系統がよくわからない

爆発音が煩わしいと感じたら取り合えず使えって書いてあったけれど、これは理解できた音もある程度遮断してくれる

上空から落ちる時に衝撃を緩和する為に使えって書いてあったけれど、念動力で代用が出来そうな気がする、でも、念動力は空間座標を正確に把握しきらないと危ないから此方の方が大雑把に使いやすいかも?


勇気くんが提案した内容としては、念動力と組み合わせて念動力を生み出した座標、その念動力を囲む様に風を展開させて上空にいる鳥などの翼に干渉させて動きを乱して生まれた隙を突く様に弓矢で撃ち落とす、うん、それも良いアイディアだね!

炎を生み出す始祖様の術式を組み合わせてより天高く火柱を上げる、ん~それは制御が難しいから、無理かなー?私が二人いて無限の魔力があれば可能かな?

後は、風に指向性を持たせることが出来たら、空砲が生み出せるけど、その魔道具は既に此方側にあって解析中、言語が理解できないからそれに似た仕組みが作れないかってのは、術式研究所に頑張って解読してもらっている。


こんな感じで今日も二人だけの熱い討論議論は進んでいく…っと思いきや?

「今日はこれでお終いにしよう、悪いが明日は朝が早いんだ」

「はーい、それじゃコレよろしく」

背中に指を刺して無限の魔力を私に供給してくれるケーブルを外してくれるようにお願いする

「ああ、わかった」

彼が後ろに回ってきてくれたので髪の毛をたくし上げているとカチャカチャと音がする、これがブラのホックを外すとかだったら色気がある話だけれど、そうじゃないんだよねぇ~

ガチャっと背中から重みが無くなった瞬間に体に満たされるような感覚が消えるので

「ん!」

後ろに振り返って両腕を伸ばすと

「ああ」

少し膝を曲げて両腕を私の脇の下を通して背中に腕が回り込み抱きしめる様にしてくれる

「あまり多くは渡せないぞ?」

「ん!!」

そんなの良いから早く!っとせがむ、だって待ち遠しんだもん。私は欲しがり屋さんだから、にへへ。

二度目の催促をした瞬間、彼の体から魔力が放出されるような感覚が伝わってきて直ぐに私の唇に彼の唇が触れ唇から魔力が体内へと注がれていく

彼の魔力が全身を駆け巡る、うん、彼の魔力に満たされるのが一番好きかも…お母さんのとはまた違う、それに、やきもちなのかもしれないかなってなのは自惚れじゃないよね?無限の魔力と接続して、接続から離れた時に彼が注いでくれる魔力はいつもよりも濃厚で濃い気がする。


短いようで長い時間、永遠と触れていて欲しい感触がゆっくりと離れお互い酸素を求める様に一呼吸する。

「…ふぅ」「…はぁ」

彼の魔力に満たされて蕩けてしまいそうになる、やっぱり、彼の魔力が一番好き…

「うん、目の色に黒が宿っている、これくらいであれば良いかな?」

「ぅん」

全身を駆け巡る快感…余韻に浸っているせいで言葉が少なくなってしまう

「では、俺は先に帰ってるから、遅くまで研究しないで早めに寝るんだぞ?」

大規模な身体改造を行って、まだ二日目だもんね、心配してくれるのが嬉しい。

嬉しいついでにもう一度、キスをせがんでも良いのかな?

ちらっと上目遣いで見ると

「君は、欲しがりさんだな」

唇に触れるだけのキスをしてくれる、ほんの唇の先だけをなぞる様に勇気くんの唇が私の唇の上を流れていく

「ではな」

手を振ってから、階段がある方向へと向かって歩いていく

彼からのキスに全身が震え、頭の中が真っ白になる。


キスしてくれるのはもう、何度目かわからないけれど、永遠になれそうにない、毎回、心が真っ白になっちゃうぅ…



愛する人に触れらえるという幸せに包まれてぽけっとしていると、突如我に返る。

独りぼんやりと地下室で佇んでいないで、今日は帰ろう

地下室を出て、真っすぐに部屋に向かって歩いていく。

今はもう自分の部屋で寝ている。何かあればお母さんに連絡を送る為に特殊な魔道具を作った

ベルの形をしていてこれを鳴らすともう片方のベルがなる魔道具、必要な魔力も少ないのでちょっとした連絡用に適しているんだけど

問題があるとすれば、鳴らすと相手も鳴るから落としたりしても向こうに伝わる、ってのが問題かな?当然、お母さん持ってるベルも鳴らせば私の方も鳴る

なので、お互いその魔道具を不意に落としたり移動させたりするときは緊張する…だって、鳴る=緊急事態ってことになっちゃうから。


彼と心を通わせてから私が夜中に起きて何処かに行くことも無くなったのを見てお母さんは安堵してくれている。

それだけじゃなく、私と勇気くんが結ばれたのだと思っているからか、自分の部屋か彼の部屋で寝泊まりをしたらと突き放してお節介も焼いてくる…

でも、何かあれば遠慮しないで昔と変わらず頼りなさいって言ってくれたから、寂しい日とか、背中が痛いときは頼るつもり。


頼るつもりだけど!!今は、ちょっと離れたい、根掘り葉掘り聞いてくるから!!

ほとぼりが冷めるまでは距離を置くの!恥ずかしいから話したくない!



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