Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (47)
この声が聞こえたら周囲の人達も上空警報と叫び周囲の人達に知らせ街中を上空警報という警戒警報に包まれていく
視線を上空に向けると点が見える。それも複数。
その点に向かって何かが飛ばされている恐らく弓矢だろう、弓矢によって点が軌道を変えて空から大地へと吸い込まれていくが…
数が多い。最初は点の数が5か7って感じだったのが次々と増えていく!?
上空から自らの体を弾丸として突っ込んでくるケースが多いので、頑丈な建物の中に移動すると、多くの研究員が同じように避難していた、っであれば幹部としてやることは一つ
「大丈夫、敵の攻撃じゃこの建物は崩れないから安心していいからね、でも、入り口からは少し離れて急降下した鳥が瞬時に襲い掛かってくるケースもあるから、それと、ガラスなどの窓の近くにも行かないようにガラスくらいは突き破ってくるからね、敵に視認されないように」
指示を出すと周囲の人達が震えながらも頷いている、続けて
「建物の中で作業をしている人達に窓から離れる様に伝えに行ってもらってもいい?」
指示を出すが…そうだよね…直ぐに動こうとしない。
それも仕方が無い事、彼らは戦闘する力が無い、鳥型の獣と言えど正面から戦えば負ける。
誰も動かないのは仕方がない、誰だって命が惜しい、仕方がない音声拡張術式で
「お、俺行ってきます」「わ、ぅ、私も!!」
一人が声を出すと次々と多くの人が建物の奥へと走っていく…勇気を振り絞るのに時間がかかっただけ、ってことかな?
善意ある勇敢な人達の後姿を見送ると同時に、地面が震える。それも複数、何かが落ちた衝撃と見て間違いない
敵が急速落下したのであれば何かに目掛けて急速落下したことになるが、上空から落ちてきたくらいではあいつらは死なない!
その現場の付近に誰かが倒れていたら…!?
ころせ
心臓が跳ねる。
ころせ
脳が停止する。
立ち上がる、衝動のままに駆けだす
音がした場所に到着すると同時に思考が違う方向にシフトする
「あ、ありがとうございます」
「ああ、怪我は、ないか?」
メイドちゃんと勇気くんが抱き合ってるんですけどー?何その運命力ー?先ほど話してすぐこれー?はぁん?ヒロインは私だよー?ねぇ?なにこれぇ?
「なら、少し離れてもらっても良いか?」
「はは、はいー!!」
勇気くんからメイドちゃんが離れると地面に落ちている槍、恐らく上空警報を聞きつけて槍で迎撃しようと持って来たのだろう
それを上空目掛けて構えたと思った瞬間だった
「でぇや!!」
大きな掛け声と共に槍が放たれ上空を飛んでいる点に向かって行き、点の動きが止まり、黒い一粒の点がどんどん大きくなり少し離れた場所で大きな音が聞こえてくる
「そっちに落ちたぞー!」「任されよー!!」
落下したと思われる地点に向かって勇気くんが叫ぶと直ぐに上空を警戒していた人達が返事を返す。
なんだ、私が出るまでも無かったって感じかな?
さて、私が出来ることはと、上空を眺めてみるが点が見当たらない、ほぼすべての鳥は殲滅し終わったってことかな?
メイドちゃんの安否を確認するためにメイドちゃんが逃げた方向を見るとちゃんと建物の下で頭を隠して丸まってる。
急いで移動したからなのかなー?頬が真っ赤だけどー?怖かったからだよねー?ときめいてたりしてないよねー?
「サクラ!こちらは問題ない、落下してきたものは岩だ、その辺に砕けて飛び散っているのがそれだ、上空警報は解除するべきか?君の予想だと第二波は来ると思うか?」
っとと、いけない、メイドちゃんに嫉妬の炎を向けている場合じゃない
「敵の数は把握できてる?」
「いや、すまないが俺が外に出た時は一羽だけが境界線を越えてきていた、報告によれば他は弓兵部隊によって接近する前に駆除が出来ている」
なら、第二陣はこない…波状攻撃はしてこないと思う、純粋に小競り合いって感じか、あわよくば…なのかな?何か、意図がありそうな気がするけれど、読めきれない。
誘導だとすれば?上空に視線を向けてどうなるの?壁がある限り、あいつ等はこの街に直接的な攻撃は出来ないし、人型が接近すればすぐに知らせが入る。
それに、壁の前には色んな罠が仕掛けているから、それらに一切反応させずにここ迄、来ることは出来ない。
何の意味があったのだろうか?…此方が持つ新兵器がどの程度か見極めに来た?
「弓兵部隊が使っていた武器は?」
「クロスボウを使用しているはずだ、主に壁の上に設置してある鳥が攻めてきた時に用いる予定としてクロスボウを配備してある、恐らくはそれ、じゃないか?」
だとすれば、問題ない、城壁の上に設置してあるクロスボウは普通のタイプ、鏃がね。
クロスボウに関しては、とっくにバレているはずだから、それを偵察に来たわけとは思えれない…駄目だ、意図が読めきれない。何の意味があって?陽動でもなければ、此方が準備している何かを…壊しに?壊しにきた?
ぁ、そうか、それなら納得だよね、私が先ほどまで研究していた強力な魔力の波動を察知して取り合えず攻撃して来たって可能性が高い?
高濃度の魔力を実験に使ってるから、相手が魔力を感知する何かを持っていたとすれば、突如大きな魔力の波動を感じたから偵察兼妨害って可能性はありそう。
だからか、鳥の中には魔力を視認することができる特殊な目を持っているタイプがいる…ぁ!しまったなぁ、その貴重な鳥だったら眼球を傷つけずに倒してもらいたかったかもー!魔力を視認できる特殊な魔道具の材料がわざわざ来てくれたって事じゃん!しまったなぁ…
まぁいいや、綺麗な状態じゃなくても使えれそうだったら使えばいいや。
さて、この推測が正しければ第二はこない。
「恐らく来ないと思うけれど、念のために警戒して!後!眼球は出来るだけ綺麗に取って!魔道具の材料になるから!」
「わかった!伝令!!次要警戒!30分ほどで解除!眼球は砕くな!」「応さ!!」
戦士長の一声で次々と伝令が人伝いに街の中に木霊していくのと同時に建物の中でも同じ伝令が復唱されていく。
外の声を聴いた人が建物の中にいる人達に知らせて行ってるって感じかな?とても素晴らしい連携力!この街が前線基地として本格的に機能している証拠!
こういう事もあろうかと勇気くんが昔から色んな訓練を街の人達に実施して来た成果が実を結んでいる。
感心しているとピリっとした雰囲気で声を掛けられる
「現場に何か変化が起きていないか確認しに行ってくるが、君はどうする?」
「作戦会議室で現状報告と被害報告を受け取ってから指示を全体的に出す、のが司令官として正解かな?本音を言えば」
「司令官として正しいさ、だが、後半の言いたいことに関しては…ダメだぞ」
釘を刺されてしまう、私も一緒に現場に行きたいという願いを。言うまでも無く見抜かれてしまう。
泥の中で開いた目が怒りの矛先をぶつける場所を求めているということ、今外に出たら泥の中に引きずり込まれるのは…私だって理解している。
理解しているけれど…湧き上がる激情を抑え込むのも大変なんだよね。
「全て終わったら何時もの場所で」
その一言で目がゆっくりと閉じていく、現金だなぁ…
「うん、気を付けてね!」
頼もしい背中が戦場へと向かって駆けだしていくのを見送る。
愛する人が戦場に赴くの見送るのは…何時だって切なくなる、彼を信じているし、彼が導いた人達も信じている、何か間違いがあるなんて…万が一なんてあるわけがないと分かっていても。心配っという相手を想う感情は消えたりしない。
嗚呼、お母さんが待つのが得意と言っていたのはこれを何度も何度も繰り返していたからだ。
私も、お母さんと同じ道を歩むのだとしたら…絶対に彼を死なせたりしない。何があろうと…
私の命に代えても彼を助ける、お母さんと同じ悲しみを背負わない、お母さんに同じ悲しみを背負わせない。
絶対に…
「活発になっていくのが獣共にも何か伝わっているのでしょうか?」
「…」
周囲の状況が落ち着き安全だと判断してからゆっくりと私の隣でポツリと呟くその発言に全てを話してあげたくなるけれど
メイドちゃんには言えない、ううん、メイドちゃん以外の人達には言えない、獣の奥には知恵者がいるなんてことは…不安を煽るだけ。
相手が知恵を持たないからこそ変な策略謀略無しで、前線に出てる人たちは本能のままに目の前の敵に集中できる。
各々の役割に集中が出来る
「ちょっと、騒がしくし過ぎてかもしれないね」
「…そういう、もの…ですか?」
先ほどの襲撃が起きた原因に納得できていない、メイドちゃんならそう思うよね。
分かってる、私自身も今のは胡散臭いってね。
「鳥たちが突如飛来するのは、時折あるでしょ?…偶々だよ」
「はい…そう、ですね。姫様が仰るのでしたらきっと、そうなのでしょう」
言い聞かせるような感じ、メイドちゃんはどう感じているのかな?
「ぇ?私の意見ですか?姫様にしては珍しいですね。私は、専門家ではありませんが…ありませんが」
含むような言い方。言い淀む雰囲気。口に出してしまうと、それが本当になってしまいそうな恐怖。
邪気に鋭く、悪意に敏感、危機感知&察知能力を伸ばすように鍛え上げられた諜報員としての勘が違和感という警鐘を鳴らし続けているって感じかな?
「今までの考え無しに飛び込んでくる敵とは…何か、違う。何処か、違う。はっきりとはわからないんです、でも、何かこう…」
「…」
戸惑うのもわかるよ、獣共からその気配を感じたことなんて一度もないでしょ?
「…はっきり言います、飛来している上空の敵が見えた時…得も言われぬ恐怖を感じました。ただ純粋に私達を殺したい純粋な感情、それ以外の…その先にある悪意と言う名の悪寒が私を膠着させました。そうでもなければ、見えている攻撃に対処せず誰かに守ってもらうような失態犯しません」
確かに、メイドちゃんであれば上空からの攻撃何てわかり切っている敵の行動を避けないわけがない、畏怖で動けなくなるようなやわな精神構造をしていない。
「…」
鋭い感性に何も言えない、メイドちゃんもこれ以上先は踏み込んではいけないのかと寂しそうな視線を一瞬だけ向けてくる。
その視線からは”私にも言えない内容なのですか?”っという声が聞こえてきた気がした。彼女には打ち明けても良いのではないかと思う反面。
後ろに大国が控えていて、何がきっかけとなって、いつどこで活性化するかわからない自己的で利己的な王が統べる国が動かれると今は面倒なんだよね~…
申し訳ないけれど、だんまりを貫かせてもらう。メイドちゃんを除け者にしたいわけじゃない、背景が厄介すぎるだけだから。
「…後、個人的な感想っと言うか、その、聞き流していただけると幸いなのですが、戦士長は…二人いらっしゃいますか?」
その発言に体を震わせて驚かなかったことに対して自分を褒めてあげたい、いきなり確信を抱いて正面衝突しないでほしいなぁ…
「どうして、そう感じたの?」
「…いえ、気のせいですよね、前におっしゃられた通り、緊迫したシーンと、そうじゃない時の違いですよね」
…発言を間違えた、感じたのは間違いだった、思ったのかっが正解だった…感づかれた。恐らくメイドちゃんの中で何か気付きが生まれている。
迂闊な発言によってそれが肯定されてしまった。
感じたっとなると、彼の雰囲気が以前に手伝ってもらったときと違いが大きいということは、彼に二面性があると感じていることになる。
私が感じたっと言うと、私もその二面性に気が付いていることになる、もしくは事情を知っているっと言う可能性が大きくなる
思ったのかとなると、仮定の話となるのでメイドちゃんが感じた違和感をあの手この手で影武者がいるのかもしれないに誘導できた可能性があった。
っま、影武者を用意するなんて不可能だけれど、ね!!
どの道、何時かは気が付かれてしまう。
出来れば、ユキさんの魂が新しい体に宿し新しい人生を歩んでもらう為に、真っ新な人間関係を構築して欲しい、から
ユキさんの存在は隠し通したかったけれど、どう足掻いてもバレてしまうような状況になったらメイドちゃんには打ち明けようかな。
ただ、今じゃない、今ではない。これからの事を考えると、忘れていて欲しいかな。
何とも言えないやり取りをしている間も街は動き出す。
私達も自然とやるべきことをするために動き出す。全体が動くことでやらないといけない、しないといけないっという強迫観念によって個々の問題を忘れさせてくれることを祈って。




