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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (44)

背中を突きながらずっとアピールしていきていた嫌な気配が背中を引っ掻く、これ見たことかと言わんばかりに…

此方が持ちえる戦力を調べるかのような波状攻撃。現状、出現している敵達は、全て捨ててもいいような駒ばかり…

どうせ今回も…嫌ダメだ、決めつけてはいけない、脅威を持った人型の可能性がある、指揮官として指示を出す為に踏みとどまった瞬間、伝令係に声を掛けられる。


振り返り報告を受けると、予想通り、魔道具は持ちえていない…


現時点で、動かせれるのは少数の戦士に騎士部隊。私が抱えている術式部隊…

勝てないわけじゃない、彼らなら対処できるだろう、自爆タイプの可能性を考慮していない人達じゃない、警戒して挑んでくれる。


ただ、彼らが出撃した後が…少々、層が薄い。


今いるチームで出撃すれば時間はかかるが問題なく倒せるので出撃してもらう。

出撃する前にチームに一声かける、焦るなと…


再度、門が開き戦士達が出撃するのを見送る。徒歩で出撃してもらう。

理想としては走ってほしいが、体力は温存しておいて慎重に行動を起こしてほしいので焚きつけるようなことはしない。

出撃したチームメンバーが本当に出撃しても良いのかと不安を感じているような雰囲気を感じたよ。街を出撃する前に街から戦えれる戦士達が居なくなることにね。

だからと言って急いで仕留めて急いで戻ろうとして、焦って戦いに置いて集中力が低下する方が危ないからね。


これで、この街にいる戦士達はいない、全員、死の大地で敵と戦っている。

騎士達や新兵達はいる、人型出てきたら…考えるのはやめよう。その先はダメ、起きる。


踵を返して研究所に向かうべきなのだろう、私が前線に出てはいけないってのは、わかっている

でも…嫌な気配が途切れようとしない。この波状攻撃に意志を感じる、敵の意図は何か?何が狙いなのか?

街を手薄にして虚を突き、街中に敵を侵入させる?そんなことは出来やしない、あれからそこそこの時間は経過している、敵がすり抜けれそうな手薄なエリアはもうない。

それに、度重なる人型の出現によって、私達は普段よりも警戒をより強く濃くしている。こんな状況で虚を突くのは難しい、なら、これは…

何が狙い?…嫌な予感がする。薄っすらと感じる意図に誘われてはいけない。


普通に考えれば、定期的に発生する私達に対する挑発行為&現状確認ってみるべき。

此方がどれ程の戦力を保持しているのか確認を行っていると判断するべきなんだけど…今更?どうして?っという疑問が湧く、新しい特殊な人材がこの街に来たわけでもない、派手な実験はして…いない、ならどうして?

向こうが何かしらの偵察や死の大地での闘いを観察していると仮定するのであれば…幾度となく戦士達の戦いを見ているはずだ。

なら、此方が動かせれる人数がどの程度か判断しているはず。

今更、闘えれる人物がどの程度の力量なのか確認してくるとは思えれない…

っとなると、私が開発している切り札たちがどの程度のものなのか切り札を切るのを待っている可能性の方が高い、派手な実験はしていない、するとしても結界を展開して行っているから、敵に漏れてはいないはず。

敵が何かしらの気配を感じて偵察として捨て駒をぶつけてきているのだとしてら、切り札を使用するわけにはいかない

このカードを切らせるための波状攻撃であると仮定すれば…



鐘が鳴る



嫌な予感通りってことね、だとすれば、この鐘の音が鳴るのが私の予想通りだとすれば、恐らく次の鐘はない。

何故ならこの街に私と共に出れる戦士がいないからだ…敵は確実に此方の戦力を把握しきっているとみて間違いない。私を誘い出す為の切り札を切らせるために

本気で攻めるつもりなら魔道具持ちを動員してくる、それが、無いのがそういう事って感じだろうね。

…敵の策略に常に嵌らされている気がしてイライラする。


さて、この鐘を対処するには…現状広場には未熟な騎士達が数名残されている。これもまた全て計算づくなのだろう…

敵は凡そだけれど此方の戦力を把握しているのであれば、戦力差を埋めるために私が開発している魔道具と言う切り札を切るのを待っている…

ここで切るわけにはいかない、でも、私が出ないと、鐘が鳴る気がする…いや、ダメ、絶対にダメ、私が外に出たら。私の意識が飛ぶ。


なら…

頭の中では常に、彼女に頼ろうとしている部分がある。

彼女の存在そのものが忘れることができない強さの象徴だから


マリンさんを呼びに行くべきだろうか?


いや…駄目だその判断は遅い。呼びに行く時間が足りない、鐘が鳴っている時点である程度の接近を許しているっということになる。

随所で此方の視線を搔き集めて、一瞬だけ生まれた死角を突いて時間差で駒を動かして、此方の出方を伺っている

ここで私が出ないと、何処かに潜めている人型が出てくるだけ…広場に残っている戦力だけで人型の対処何て、お願いできるわけがない、負傷者がでるだけ。

…相手の思惑に乗るしかないっという嫌な気配、真綿で〆られている様な感覚…先生め…


心の中でため息を吐いた瞬間、泥の奥底で熱を感じた…熱を押し込む様に溜息によって押しつぶそうとしても無駄だったかな。

出るしかないのであれば…でる!!


広場でどういう判断を下すのか待ち続けている騎士達に声をかける、出撃の仕度をするようにと

続けて、私が出ると声を大きくし宣言すると、我先にと複数の騎士が私を背負う為の足場付きの鎧を着て駆けつけてくる

もしかしたら、私が出撃するのかもと思って前もって準備をしていたのだろう、私と共に出撃することを夢見ているのか目を輝かせて頭を垂れてくる

一番最初に頭を垂れた騎士の背中に乗り、広場に残された騎士数名を指名し、残された者たちは次の鐘が鳴れば全力でマリンさんの元へ走る様に指示を出してから、襟元を掴み出撃する。


死の大地を駆け、報告があった現地に到着し周囲を警戒するように声を出す前に…視界に敵がうつってから…



私の中で火が燃え上がり、意識が飛んだ…



覚えている限りの一連の流れを伝えると納得した顔で頷いている。

「なるほど、人型を討伐し転送陣で帰って来るなりメイドさんが、広場にある転送陣の前で青ざめた表情で待っていた時は胆が冷えたよ。何事かと声を掛けたら君が出撃したと早口で知らされて凡その場所を教えてもらい、急いで駆けつけたら…」

私を連れ去った時に見た現場を思い出したのか、言い淀んでいる。今後の為に、一緒について来てくれた騎士達が抱いている印象を知る為にも聞いておかないと。

「現場は酷かった?」

コクリと頷いて、そっと私の頭を撫でてから現場の状況を教えてくれる


私が戦った痕跡…

勇気くんが駆けつけた時には人型は原形を留めていない程に潰されていた。他にも獣達の残骸が多く転がっていて再利用できそうもないっかぁ、派手に暴れたって感じ…

状況判断としてどの様に獣達を仕留めたのかって言うと、純粋な力、質量で蹂躙したって感じ。鉄の塊をぶつけまくって倒したって感じらしい。

恐らくだけど一緒について来てくれた騎士達が持っている剣を奪って、一塊になるまでひん曲げてってことだろうね。

考えられる術式は、念動力かな?他にも熱とか用いてそう?それらで騎士達の剣を塊にして敵にぶつけ続けたのかな?


敵が死んだ後も執拗に…


執拗に敵に止めを刺し続ける私を見たら…騎士達が私に抱く印象は最悪だろうなぁ、いつどこでキレるかわからない爆弾娘って感じだろうなぁ…

聞きたくないけれども、確認しないとね、人の裏切りは猜疑心から、命を預ける上官がそんなのだと思われてしまったら離反の材料に繋がる。

「一緒についてきた騎士達は怖がってた?」

「いや、それはないな」

即答で否定してくれる、本当に?私だったら暴力に溺れる上司なんて最悪だと思うけど?

「君が寝ている間に色んな部署から報告を受けてみた限り全体的に好印象だったぞ」

何で?…慰めとしか思えれないんだけど?

「寧ろ…騎士達や新兵達からすれば君が戦場に出ていたことを知らないし、見た事も無い、過去に君が外で戦っていたことがある何てな、誰も信じていないのが現状だったんだよ」

…そりゃぁ勇気くんが来てから、1年か2年くらい?かな?一緒に外で戦ったりしてたのは…

私が…私達に飲み込まれそうになってから出ないようにして、もう、何年経つんだっけ?経った数年で忘れられてしまうものなのかな?

「君の戦いを見た騎士達は、過去の噂は貴族が箔をつける為にただ戦場についてきただけの類だと思っていたってことだよ。現地で見た衝撃的な強さで考えを改めたそうだ。君があそこまで強いのだと知らなかったと開発だけ、地頭が良いだけの小生意気な少女っという印象から一転して尊敬の念を抱いていたぞ」

ほぉん?それは、それで聞き捨てならない内容なんだけどぉ?一緒についてきた騎士の中に、力こそ全ての武家出身のやつが居たっぽいなぁ

「君の戦いを見たことが無い若手達だからな致し方ないさ、王都では術式なんて弱い認識だからな、君と共に外に出た騎士は、その概念が覆させられましたっと目を輝かせて色んな人に自慢していたぞ姫様は凄いってな」

良い印象を抱いてくれているのなら良かった、かな…あまりにも醜悪な闘い方をしてしまうと、ね…私が恐怖の対象になってしまうから。良くない。

「君は…いつも心配しているが、君を恐れるような人はこの街にいない、君が生み出した魔道具たちは生活を豊かにし続けている、誰からも感謝され続けている、だからそんな悲しい顔をするんじゃない、自信を持つんだ、君を軽蔑するような畏怖を抱くようなことは無い」

前髪をくしゃくしゃにされるくらいに激しく撫でられる…私、そんなにひどい顔をしていたのかな?だって…炎が燃え上がって暴れつくした…過去に私がやらかした殺戮現場を忘れることが出来ないんだもん…あんなの…あんなの…


常軌を逸している…

人がする行為じゃない、理性を失った…

獣そのものだもん…


「前にも言ったが、君が死の大地にいる獣共に怒る理由は当然だ。この街に住んでいる人達は全員、君が獣達を嫌悪しているのも知っているし奴らの所業に対して怒りを覚えているのも周知の事、どうして、君がそこまであれらに怒りを示すのか理由も正当なモノだ、誰もが共感を得ている、だからこそ、君の力になりたいと人が集まり続けているじゃないか。それにだ、初めて君が我を失って獣共を蹂躙した時、君はその凄まじい光景に自分自身を理性無き復讐姫と称しているが、あの光景を見た人たちは誰も恐れるどころか、力の象徴として崇めていたほどに鮮烈な光景だと語り草になっているじゃないか、現に君を慕う自称親衛隊達は君こそが王であるべきだと酒の席は常に零しているぞ?酒の席だけは無く、この街でその事を知らない若手達にも尊敬の念を込められて伝えられている…若干、尾ひれがついてしまって、信憑性が薄くなってしまっては…いるけどな」

頭の上にある手がそっと、頬に触れてくれる…街の人達が伝えたかった想い、慈しむ心、感謝の心が勇気くんを通して伝わってくる気がする。ううん、流し込まれているから気のせいじゃない。


この心が傍にある限り、私が私として生きていける


…魂の同調…



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