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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (27)

っそ、さっきの威力を見てもこの考えは改めるまでには至らないかな、小型の魔石が保持できる魔力量じゃ、人型は焼けない、あいつ等の毛皮は術式に対して抵抗値が高い。

この程度の出力じゃレジストされて意味をなさない、直撃することが出来たとしても敵の毛皮をほんのりと温める程度になるだろうなぁ…

あいつらを魔力関係で焼くのは難しい、術式に対する抵抗力が高い、物理的に燃やす方が手っ取り早いんじゃないかな?とはいえ、油などを使っても一瞬であいつらを燃やすのは難しい、あいつ等の体内には水が流れているし、毛も微妙に燃えにくい材質なんだよなぁ、なので、油などの燃焼性の高い物を投下し続けない限り焼き殺すのは難しい。

かといって動く獣に油を投下し続けるのは難しいんだよなぁ、敵だってこっちを殺す為に必死に動くんだからね?燃え尽きる前に動き回っている間にぶつけた燃料を振り払うだろうね。


なら、動き回る敵に火炎瓶をぶつけまくればっていう脳筋ごり押し策ってのも、戦士達から提案されたことはあるよ?

少し考えて欲しい、ただでさえ俊敏に動き続ける人型に油が入った瓶をぶつけ続けるのは至難の業ってことをね、普通に考えれば出来るわけがない。

っとなるが、策が一つも無いわけじゃない、訓練し準備し下準備を整えれば、やりようはある。


例えば、素早く動いているのなら、敵を地面に縛り付けて身動きが取れない状況に持っていけばってね…

理論上は可能なら、後は実践あるのみってことで、それに近しい作戦は何度か行っていて問題なく出来ている。

訓練は継続して行ってもらっているのでしっかりと部隊に叩き込まれている、っが、全員が出来るって状況にはまだ持っていけていない、ごく一部の…元私専属の騎士部隊だけが習得済みって感じかな。

その為にも、私としては弓を蔑にしないでもらいたい、ある程度扱えれる様になってもらいたいんだよね。

策があっても実行できる人がその場に居なかったら無策とも同然。

出来る人が育たないのであれば…クロスボウで代用できないかな?って思ってたりもする。作戦の幅を広げる可能性を見出せたっていう部分もあったのが、クロスボウを作るきっかけの一つだったかな?問題点としてね、惜しむらくはクロスボウは弓と違って大きくて重たいんだよね。人型がいるであろう奥地にまで持ち運ぶのはちょっと、うん、難ありだね。


っとと、思考がそれちゃった、いけないいけない、思考の渦に浸るのは寝る時でいい、この瞬間を共有してくれている時を超えた相棒である勇気くんの意見を貰いたいよね。


思考の渦に溶け込んでいた時間は私だけではなく、勇気くんも同じで眉をひそめ何処か遠い所を見るような感じで視線が朧気、きっと、この魔道具が通用するのか、他の使い方を考えているのだろうっと思っていたら予想通り皆に聞こえるように感想を話し出す

「そうだな、死の大地で幾度となく数多く、豊富な種類の獣を殲滅して来たからこそ言えるが、兎や鼠なら問題なく毛皮を貫き内部も焼けるだろう、猪や鹿も問題なし、多くの獣に通用するだろう…が、人型は…効かないだろう」

戦場を駆ける戦士長が感じた感想は静まり返った会場に鋭く心の奥へと刺さる様に浸透していく。


外の大陸から来た人たちからは、ありえない、うそだろっと現実を受け止め切れていない声が零れ、ざわめきが徐々に強くなっていくが、一瞬だけざわついた会場に再度、静寂が訪れる。その静寂が何を意味するのか、恐怖によってなのか絶望によってなのか、考えたところで行きつく答えは変わらない…なので、真意は探りたくないかな。声に出されると心の深い所、潜在意識に深く刺さって抜けなくなりフィアーへと陥る、そして、それは伝わっていき、心の深い所に居座り、次の宿主を求め広がっていく。


それが、戦場で花咲くと…その人たちは恐怖に飲まれ、動けなくなり獣共にあっさりと蹂躙され死に至る。


流れが良くないなぁ、空気が淀んできている。

さて、どうしようかな?広がっていこうとする不安や恐怖と言う感情によって絶望と言う名の闇へと落ちていこうとする人達の心を沼地のような闇から浮上させるべきか…

行動を開始しようかと思った矢先、信頼置ける隣の人の唇が動こうとしたので行動をやめる。

人々の心を鼓舞する最も大事な想い、勇気を宿した人物が、静まり返った会場などお構いなしに言葉を続けようとする。

そう、こういう時はその選択肢が正しい、流されようとする空気なんてたたっきっちゃって!まさに我こそが王ってやつ!

人を導き勇を示すものこそが人類の導き手たりえる存在なんだよね、さぁ、王のお言葉に耳を傾けますか。

「問題は人型以外だと、どうだろうか?熊などの大型も…目に当てることが出来たら、幾ばくかの時間は失明させれるんじゃないか?だが、俊敏な虎などは…当てるには相当な訓練が必要だ、それに合わせた連携訓練をし練度を向上させねばいけないっか。して、どうだろうか?サクラとしては大型種に通じると思うか?」

彼の言葉は常に前を向いている、通じないから不必要ではなく、可能性をより広く考える。そして、群衆の事なんてお構いなしって感じ、この堂々たる姿勢がその程度、些細なことだと告げている様に感じる。

「うん、その意見に間違いは無いと思うよ、たぶん。大型種って人型と等しく俊敏性が中型種に比べると段違いだから、当てるのは難しいかな?困ったことにこの魔道具は、弓と違って狙いを定めるのが難しい、発動時に1ミリでも揺れてしまったら…狙った箇所からずれちゃうからね」

「やはり、か、弓で在れば直前まで相手を狙い続ける事が出来るし、多少の揺れくらいなら技術によってどうにでもなる、弓だからこそ敵が俊敏に狙いを定めるのが難しく動こうが矢を放つ寸前まで狙いをつけるのも可能であり、日々の鍛錬によって弓の軌道は変幻自在に操れる、そうであれば、敵の動きを予測して穿つことも可能だが、これは…そういうのが難しいのだろう」

っそ、これの大きな欠点がね、狙いたい箇所を的確に射貫けないってこと。

弓矢で在れば幾度となく訓練を繰り返せば、敵がどう動こうが、此方がどんな姿勢だろうが、体が感覚を覚えてくれるから臨機応変に対処できる。

なら、広域閃光小型種殲滅魔道具も銃と同じように練習すればどうにかなると思うでしょ?…残念ながらここには地球と同程度の精密技術は持ち合わせていない、なので精密に物を作ることが出来ない。

故に、光が放たれる箇所にムラが出来てしまい、発射される角度に正確性が欠けるってことなんだよね。

理由単純に製造の過程でどうしても魔道具ごとに若干のずれが出来てしまう、寸分違わず一ミクロンのズレすらなく同じものを…私達では作ることができない。


広域閃光小型種殲滅魔道具の構造として、光が射出される場所は術譜の隙間から放たれるんだよね。

だから、製造過程で小型の魔石に術譜を巻き付けて製造するんだけど、全てが一寸のズレなく完璧に巻き付ける事なんで不可能だし、術譜だって全てのサイズが均等じゃない、魔石だって微妙にサイズが違ってしまう、だからね、寸分違わず一ミクロンのズレなく同一のものは作れない。


つまり、銃口にズレがあるし、一つにつき一度しか打てない為、幾度となく練習を繰り返し命中精度を向上させることが出来ないってこと、何度も同じ魔道具で練習することが出来たら感覚を掴むことが出来るんだけど使い捨てだからそれが出来ない。光が発射される場所が大雑把にしか作れないってのが、欠点。

絶対に前回と同じ条件、台座などにセットした状況で発動させたとしても1ミリは絶対にズレる、その1ミリがどの軸にズレるかわからない、右なのか左なのか下なのか上なのか当然、斜めにずれることだってある。角度によっては1ミリどころではなくなるからね。


だから、精密射撃を目的とせず、運用方法も大雑把に使い捨てとして扱うのが正義!

大雑把だからこそ命中力を向上させるために質量という方法を選んだ!

多数の光で目標物を焼き払う!雑にぶん投げて雑に敵の体に光の矢をぶつける!!ってね、完全に脳筋だよ!!戦争は数だよ!!…って、感じかな。

確実に狙った箇所に当てたいのならゼロ距離で発動すればいいっていう意見を述べた研究員もいるけれど…そりゃ、当たるけど、そこまで近づいたのなら肉弾戦で処理したほうが早いって反論するだろうね、戦士達だったらね。


これはね、何度も言うけれど、力ある戦士が戦場で使う切り札じゃない、力無き人達が緊急時において自衛のために用いる切り札。

もしくは、前線を上げる時に後続を守るために手当たり次第に投下して前方にいるであろう敵に先手を打つための爆弾みたいなもの、かな?


まぁ、実はね、威力に皆、驚いているかもだけど、それって対人戦においてだからね?

これってさ、実のところ、他にもまだまだ問題点があるんだよね。環境を考慮すると課題は山積み。


例えば、問題点としてあげるとね。

森の中で使っても効果は弱い、水の中も狙った効果は発揮しない、発動時間を失敗すると上空で発動して対象に当たらない。

森の中で使っても効果が弱いのは対象物に光が届く前に遮蔽物が多すぎるってこと、木の葉とかに当たって威力が弱まる、背の高い草木に当たると更に威力が低下する。

水の中は屈折率の影響で対象に熱量を保ったまま届かないって問題が既に浮き彫りになっている。


滅多に降らない雨も…失敗するファクターとしてあるかな。


なので、実戦で使うとなると結構、運任せになる問題児ってわーけ。絶対的に!圧倒的に!!蹂躙!!!…できるほどの威力は期待していない。

上手い事、敵の真ん前で発動してくれたら御の字って感じで投下するっという運任せなところが問題点。

デメリットの方が多すぎる魔道具なんだよね~…だから、完成した時に、色んな意味でさ~これ…作ってよかったのかな?って疑問を抱いちゃったんだよね~。

それでも、勇気くんなら私が気が付かない実用方法を閃いてくれるんじゃないかなって期待している。期待しているからね?ちらっと視線を向けると表情は穏やかだった。


研究員達からもね、チマチマと小競り合いのような小さな手段じゃなく手っ取り早く大火力で焼き払えっていう意見もあるんだよね?実際問題、その方が楽だって思うじゃん?

私だってさ、出来るのなら確実に周囲を吹き飛ばす質量を持った爆弾でいいんじゃね?って思うわけなんだよね。


それが出来ないのが死の大地の厄介な特性!!出来る限り死の大地で爆弾は使いたくない!何のために音が発生しない殲滅兵器を構想したんだっての!!


獣共の一部は、音に反応して駆けつけてくる奴らもいるからね!特に人型だとそのタイプが多い!一つの敵を倒せば二つの敵がくるってね。

なら、敢えて音を出して引き寄せてからその周囲に爆弾を打ち込めばいいっていう考えもあるんだけど、人型だと爆弾を投石機で投げてから着弾する間に動かないわけがない。

確実にその場から離れるから当たらない上に爆発音でまた人型がやってくる、敵がどんどん集まってくる、なら、そこで最終決戦でも始めるくらい戦う準備をして迎撃するっていう脳筋な作戦もね考えてみたんだけど、人型一体を倒すのにこっちはかなりの人数が必要なわけで…二体以上いる時点で結構現場は修羅場になる。犠牲がどれだけ出るのかも判断が出来ない、失敗すれば物凄いダメージによって私達の陣営が一気に不利に傾くから博打にも程がある。


なら、人型が避けきれない範囲を焼き尽くしてこっちは人型が感知できない長距離で高みの見物っとしゃれ込むっというのも策としてはあったよ?

でもね、人型の移動範囲全てを焼き尽くすとなると投石機何台いるんだっての…さらに言えば火薬の量がどれだけいるんだっての…

条約で、私達の街が持って良いと火薬の量は決められているから、火薬を持ちすぎてはいけないんだよなぁ!!!

火薬は火種の元だから、純粋に多く所持すれば所持する程、私達の街が反旗を翻すのが容易になるとって情けない男は考えているんだろうね。

つまり、情けない男との取り決めでそう決まっている。

っていうわけで、所持量に限界がある火薬に関してはね、無駄遣いが出来ない、限られた制限の中で策を講じないといけないって事。

はぁ~…火薬ってさ、他の使い道がいっぱいあるから、大量に生産して保持したいってのに…そういう理由があるから無駄に大量消費したくないんだわ。


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