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最前線  作者: TF
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術式研究所代表 メイドちゃん視点

術式班の代表として選ばれたのは光栄?そんなことありません。

私は術式が扱えない、いえ、多少は心得があります、姫様から手ほどきを受け続けています

簡単な術式であれば扱う事が出来ます、ですが、研究所の人達程、上手くはないです。


此度のイベントも勝利を掴めれるとは思う事が出来ません。

誘っていただけるのは嬉しいのですが、完全に負け要員、人数確保としか。


はぁ、っと溜息をつきながら外に出ると

「待っていましたよメイドさん」「行きましょう!我らが司令官」

精悍な顔つきで出迎えてくれる?まるで、姫様を扱う様に…

この待遇だけで胸がときめいてしまう、単純な自分に呆れそうになるけれど、紳士的に出迎えて頂けるのであれば、時にはそういうのも良いと思いませんか?理想としては、出迎えてくれるのが団長であれば、なお、最高なのですが。


嗚呼、いけないわ、私の乙女スイッチが、こんな好待遇に、流されてしまいそうになる


瞳を輝かせながら、術式研究所の方にエスコートされ、歩いていく。

そのまま、流される様に椅子に座らされ、話し合いが始まる。

全員、勝つつもり…諦めていない、流石は姫様が集めた精鋭達です、心が強いですよね


はぁっとため息をつき

「皆様は、強き気高き魂をお持ちですね」

ついつい、本音を溢してしまうと、全員がきょとんとした顔で此方を見て

「メイドさん!我々は信じていますよ!貴女が勝利し!団長と姫様を連れ出してくれることを!!!」

何の事だろうかと考える間でもない、賞品のことだろう?そんなにもあの二人を誘って遊びたいのでしょうか?

私としては、目の上のたん瘤がいない状況で団長と二人っきりになれるのでしたら、最高のシチュエーションですが?

「我々は!!敬愛する姫様と、姫様と仲が良い団長が羽を伸ばしてゆっくりと過ごしてほしいのです!!」

真っすぐな瞳、鼻の下が伸びているわけでもなく、純粋に…

「そして!!姫様のデスクを、あの汚部屋を掃除したいのです!!!!」

仕事熱心だった…

「全てを綺麗にしてから、我々だけで!!高級ホテルで憂いなく贅沢三昧がしたいんです!!!その為なら我々は悪魔にも忠誠をちか」

「その発言は良くないですよ」

「おほん、月の裏側へと旅立つ覚悟です!!」

はい、それなら聞かなかったことにしますね、皆さまは賢いからこそ、悪魔っと言う、いるはずのないモノを信じてしまうんです。


それにしても、私も人のこと言えないか、団長の様に流されやすいですぅ…彼らの熱意を聞かされ、絆されて少しやる気が上がってしまう、私がいるんですぅ。


っというかですねぇ?これってもしかしなくても一生に一度訪れるという未来を決める大チャンスってやつじゃないですか?


だって、姫様一人なら、邪魔されることなく団長といちゃつけると思いませんかぁ?ぇ?ご褒美タイムとなっていませんかこれ?

冷静に、もう一度、周囲に集まる人たちを見る。

ぇ?目の前には姫様に準ずるほどの精鋭達、頭脳明晰…


これ、実は勝てる?勝てる見込み在り?


希望を膨らませていると、飛び交う会話は、ルールの隙をついた不正行為ばっかりが、話題に上がってくる。

あ、駄目だこの人達姫様の怖さを知らない、不正したら即終了させてくるのが姫様ですよ?慈悲なんて無いんですから…


っはぁ、頭脳明晰だからこそ悪だくみばっかり考えて自爆する、この人達を制御して来た姫様の手腕が恐ろしいです。

…姫様はこういう人達を制御する術を私に身に着けて欲しいから…なんてことないですよね!私知ってますから!

このイベント高い場所から見下ろしワイン片手にNo2と高みの見物をする予定だと!!

下々が暴れ回るのを愉悦と言う肴で楽しむという事を!!!


姫様の思惑のまま、流されるまま無様に死に体を晒すのも癪に障る。

私をおもちゃだと思っているあの人に一泡吹かせてから!最高の気持ちで!!最高のひと時を…


初めての夜を望むのも、悪い事じゃない。。。ですよね!?


夢のひと時を想像してしまった、その可能性があるのだと!私は、大人になる!!強引にでも!!

団長は流されやすい!!!


沸々と、お気に入りの紅茶を楽しむためにお湯を沸かす様に湧き上がってくる熱が沸点を超えると

ふっきれたように、各々にこれはどうか?それはダメっと提案を出しては却下を繰り返していく。


決まったことは、魔力は、基本的に温存

認識阻害の術式であれば代表者二人が扱えれるので、短い時間であればハイドは出来る。

そして、直接的な攻撃は禁止、此方が発動した術式が相手に当たれば反則となる

だが、空中に浮いている水風船は術式で此方に届く前に軌道を逸らすように風の壁を作り、受け流したり、空中で割ってしまうのは反則ではない!!


つまり!私達に敵の攻撃は届かないって事じゃないですか!!見えない壁を生み出せる私達は無敵!!

姿を隠し敵の背後を取ることもできる、敵の攻撃手段を奪うことも容易!!!

実は意外と…意外とぉ!?一番強いのだと確信に至る!!


姫様が参加する迄も無い、術式こそ最強!!

そうおっしゃりたいのですね、姫様ぁ!!!

姫様は仕事に精を出し続ける私にご褒美を、未来を勝ち取るために!!


嗚呼、ありがとうございます姫様!!一生ついていきます!!!


ドアがノックされ「お時間になりました、どうぞ、広場へ」高飛車そうな貴族のお嬢様、騎士の部署で日々鍛えこまれている戦乙女候補生が知らせに来てくれる。

無敵の策を得た私達は意気揚々と広場へ向かっていく




広場に到着し、少しでも昂る感情を周囲に撒き散らさない様に心を鎮めながら姫様の到着を待ちつづける。


程なくして、広場に姫様が顔をだされ、色々と話をされました…


オッズが発表され、投票した人たちの見る目が無いのだと嘲笑ってしまう。

私達こそが、最強だという事を、姫様の代わりとなり示して見せてあげますよ、貴女達が愚かであると!!!

移動開始のターンとなり、全員で移動を開始、寮の建物の陰に一旦、身を潜める。

開始の合図を待ちづけていると位置取りが最高だった。

まさか、開始の合図とほぼ同時に…木箱がすぐ近くに!!周囲を警戒しながら中を開けると、水風船が6個!?

大当たりの中身に全員が興奮し、隠れていた場所に直ぐに戻り、浮足立ちそうな雰囲気に包まれる。

つい、テンションがあがってしまい、仲間の方をペチペチペチペチペチっと平手で叩いてしまう。

相手も嬉しさの余りソワソワしている。


一番、私達が恐れていたのが、攻撃手段である水風船を手に入れることが出来ないっと言う状況だった

初手から、憂いが一瞬で消え、勝利へという栄光のゴールに大きく前進した!!


それだけじゃない!物陰から覗いていたら、誰かが修練場に向かっていくのが見えた。

ゆっくりと息を潜め、近づいていくと…物音が激しくなる!!誰かと誰かが修練場で戦っている!

直ぐに距離を取り、仲間である二人に慌てながらも物陰に隠れる様に指示をだし、もしも、そのすぐ角を誰かが通るようであれば合図を送るという作戦を伝え、私は全てが見える位置に移動する。



暫くして、ほんのわずかな時間で作戦通り!?運がよすぎますぅ!?

此方に向かって必死に敗走してくる人が建物の曲がり角に向かって走ってくる、相手からすれば死角の位置にいる二人に合図を出すと



駆け抜けようとしたティーチャーさんのお腹や胸が真っ赤に染まり笛の音が周囲に響き渡る!!

急いで合流しようと立ち上がり駆け出す!!

…笛とは違う音が聞こえた気がしましたが?


違和感を感じたことを直ぐに報告するとチームメイトが直ぐに何かの術式を発動させ、真剣な顔で

魔力の揺らぎに反応あり、いますよ…認識阻害の魔道具を発動している隠者が…

っと、小声で教えてくれた瞬間に違和感の答えに辿り着く、先ほどの笛とは違う音は、私が目の前を駆け抜けたことにより直ぐ近くで潜んでいた姪っ子さんが声を漏らしてしまったのだと。

隠れていた位置に向かって

「共闘しましょう、貴女の居場所はわかっています、既に認識阻害の術は見破られています、貴女にとって一番警戒しないといけないのは、私達術式班ですよね?」

声を出すと、地面に緑色の水たまりが突如、姿を現していく…

そこにいるのが確定し、尚且つ、へまをしたのだろう!慌てて飛びのいて、地面の一部が凹んだ!後はこれが三分の一!代表者であることを祈る!!

そこにあるであろう場所に手に持った水風船をゆっくりと近づけると、水風船が何かの形に凹み、認識阻害の術式が破られ姿を現す。

「はい、これでゲームセット、私の提案は受けて頂けますか?」

ここまで完璧に事が運んでよいのでしょうか?良いんです!始祖様は仰っています!!愛溢れる団長と一夜を過ごせと!!!


そして、他の二人も姿を現す、嗚呼、何という、僥倖!!この人達は武器を持っていない!!

唯一の武器は一つだけだった!それを失った直後!!最高じゃないですかぁ…


私達が一番危惧していた、不意打ち、それをしてきそうな人を抑えることが出来た!

それだけじゃない、幸運にも私達は武器に恵まれ、彼女たちは武器に恵まれなかった!!

僥倖!運否天賦!姫様がいう難しい言葉が今ここに成す!!


圧倒的に有利な状況で彼らの動きを見守り続ける。

彼らは、どうしようもない、運動神経も良くない、直接的な攻撃は禁止。

此方の下僕となる以外に道はない…


三人が頷いたので笑みを浮かべ

「はい、では、一緒に行動を共にしましょう、貴女達がいれば、私達もより一層、勝ちの目が厚くなっていきます」

間髪入れずに相手の心を圧し折りつつも、希望を見せる

「では、此方の要求はシンプル、貴方達の魔道具の範囲に私達も入れてください」

どうして必要なのか明確に示す

「よろしい、範囲を狭めたり消したりしたら直ぐにでも貴女の背中が緑色に染まるでしょう、私達は一瞬で見抜きますからね?」

相手が自分たちが必要で生かされるのだと心を落ち着かせたところで釘を刺す

「では、貴女達に、必要なモノを取りに行きましょう」

貴女達も仲間であると惑わせるために甘い言葉を言う

「木箱が置いてある場所はある程度、予測済みです、では、参りましょうエスコートしますよ、レディ?」

絶対的な立場からの強制的な誘導!完璧すぎる!!自分自身に惚れてしまいそうになる!!!



彼女をがっちりとホールドし、動きを完全に封鎖し、安全地帯となっているであろう修練所に移動する。

先ほどまで、誰かと誰かが戦っていた、ティーチャーさんが出てきた、姪っ子さんが目の前にいる。

そして、ティーチャーさんを追撃しない後を追わないっということは、裏口から出て何処かにいったか、この一連の流れで私達が気が付かなかっただけ。


そして、相手が気が付いていたのにかかわらず、私達を攻撃しなかったとなると明確に優勝以外の目的がある人

つまり!!修練所に居たのは団長ではなく!ベテランさんの可能性が非常に高い!!

だとしたら、ベテランさんは元筆頭騎士様か、女将さんと闘いに出向いているはず


武器を補充するために安全地帯に移動しましょう!!


認識阻害の魔道具の範囲を各々広げてもらい、何の魔道具を持っているのか確認し

声を出すことなく意気消沈している姪っ子さんにではなく二人に声をかけ、身を潜めながら情報を提供してもらう。

その情報を受け取り、広場に元筆頭騎士がいることに確信を得、修練場には誰もいないという推測は正しいと判断できる。

ゆっくりと歩いていると、足音が聞こえ、姿勢を低くし見つからない様に慎重に行動する一団が見えた。

「リュックサック?どこで?…広場に居た時は…」

「あちき達以外にも道具って、ぁ、でも、攻撃目的じゃないからぁ?」

その姿を見て、小さな声を出してしまう、目の前の人物も同時に…

姪っ子さんの言葉は何かズレているのでスルーして、考える。

団長がルール違反をするとは思えれない、考えられる事は一つ!!

「何処かに戦況を覆すアイテムが隠されている!」

「用意しても良かったんだぁ!!」

あの姫様が、不利な陣営がいるとわかっていて、何も策を講じないわけがない!

ゲームメイクとして一発逆転のアイテムを用意しないわけがないじゃないですか!!

幸運が続きすぎて、姫様の思考を読むという考えに至れませんでした!!!

探しましょう!!切り札を!!圧倒的強者の立ち位置に登る!!!

そのヒントを与えたもうた幸運をもたらす漆黒の月に感謝を!

「探しましょう、姫様なら水風船以外も用意し隠していると、っく、メイドとして主の趣味趣向を読めきれなかった…!流石は、団長、私よりも深く姫様を理解なさっておられます」この発言に命を握られている魔道具が、ぁっと小さな声を溢している。

っふ、この小さな魔道具は私に捕まらなかったら直ぐに退場していたのでは?

ですが、彼女もまた知恵あり才覚を持つもの、ですし、相手の意見を聞くことこそ、裏切りを防止できるってことですよね?姫様。

「さて、貴女なら何処に隠します?」

少しの沈黙後

「ありそうな、気が、します」

向けられた視線の先は、私達が向かおうとしていた場所、意見が合いました、これで貴女とは一蓮托生、土壇場でひよったり裏切ったりしないでくださいよ?

「ですね、直ぐに向かいたいところですが、他にも心当たりがあります、移動しますよ」

しっかりと肯定してから、違う意見を出す。他にも心当たりはありますが、近寄ると危険な空気を感じます。

公園の奥地、あのあたりを探せば有りそうな気がしますが、団長も向かいましたし、恐らくですけれど、ベテランさんも居そうな気がしますっとなると、衝突必須。

かといって、あのフィールドは私達にとって最悪の場所

理由は単純、相手を見つけにくいですし、此方の足音が広がりやすいですし、野生の勘をお持ちの方達が研ぎ澄まされるフィールドは近寄ってはいけない。

ここで動きを止めてはいけない!急がないと、彼らが決着するまでに此方も動かないといけない!!

ぐっと腕を引っ張り移動を開始する

「幸いにして団長が向かった場所は公園の方向、私達が向かう場所とは違います…やっぱり修練所の方から探索しましょう」

気配を殺し移動し続けていると

あれは…隠蔽部隊の人達ですね、可哀相に、彼らは認識阻害の魔道具を持たされていないんですね。

働き蜂の様に木箱を運んでいらっしゃいます…きばこを?…なるほど、そうきましたか。

「なるほど、敵が現れないうちに物資を確保ですか、狡賢いですね、っとなると、修練所に向かっても時すでに遅しですね、進路変更です、行きますよ」

私が冴えわたっているように向こうも冴えに冴えているっと考えるべき!幸運は私だけではない!

栄光なる月の加護はみなに均等に!!っです!!


隠蔽部隊が向かった先は、広場、では、そこに元筆頭騎士様が待ち構えているのは、姪っ子さんチームからお聞きした通りですね。

なら、もう一つ、隠されていそうな場所に心当たりがありますからね!

冴えわたる私であれば、姫様の思考を読み解くことが出来ます!!


向かっている途中で木箱を見つける、幸いにして蓋が開けられていない、のですが、大っぴらな場所、蓋を開けると誰かに見つかるリスクもある場所、乱戦時に逃げ込んだ先にこれ見よがしに置かれている様な気がする。

そこで待ち伏せして倒せと言わんばかりに、姫様の考えそうなことですね、意地が悪いです。

集中して闘って何とか武器を確保してもう一度、戦場へ向かおうとしている人を狙い打てっということです、かね?


リスクの先にお宝有り、どうして、白線がこんな微妙に人が通れるように隙間があるのか…

その答えはここにある!!病棟の近くに到着して確信しましたよ!!

病棟の裏手、逃げ道何てない、袋小路に置かれている木箱!当たり以外ありえません!!

蓋には【やるじゃん、良く見つけたね】っという、紙が貼られています!これは当たりだと心が躍ってしまいそうになります!!

今日の私はつきについている!!運がよすぎます!!勝つのだと、勝って当たり前なのだと導かれるよう!!

震える手を落ち着かせながら蓋を開けると…姫様は私がここに辿り着くだろうと信じてくれていたのだと、姫様との絆を感じてしまいますぅ…


姫様の後押しだと感じるほどに中に入っている物が素晴らしすぎた。


小柄な私達が投げやすい大量の水風船!!もし、これを初手で見つけていたら、私達は外れだと勘違いしていたに違いありません。

なぜなら、私達が木箱を持ち運べる力を持ち合わせていないから、持ち上げるのなら二人一組になります。

でも、今は違う!木箱を持って移動しても誰にも見つからない!安心して陣形を組むことが出来る!!!

最高のタイミング!最高の武器!すべての条件が揃い過ぎています!!僥倖!!!ぎょーこーーー!!!

「運びましょう」

震える声を抑えることが出来ず、姪っ子さんに提案すると頷いてくれる。

そして、小さく彼女も勝利を確信したのか小さく震えています。

勝利した際は、そうですね、貴女もご招待しましょう、共闘ボーナスくらいあってもいいですよね?

勝ちを確信してはいますが慢心はしません!陣を引くべき場所は決まっています!!

「ただし、遠くは無理です、この間も戦況は動き続けています、恐らく、そろそろ、強者同士が惹かれあい強者同士の戦いが始まるとみていいでしょう」

私のチームと、姪っ子さんのチームから一人ずつ選出して木箱を持ち上げてもらい、後顧の憂いを断つために、道中の木箱も回収!

もしも、取り逃した際に武器を手にして戻られると困りますからね!

四人で木箱を運んでもらい、広場に向かう。


気が付けば、私の手は姪っ子さんの手を握りしめ、首元に水風船を押し付けることをやめていた。


広場に到着すると猛獣同士のにらみ合いは始まっている…

既に戦いは始まっているのですね、女将さんと元筆頭騎士様がにらみ合っている。

僥倖!!強者同士がぶつかり合う瞬間にかち合うなんて!!全ての作戦が上手に上手い事、綺麗に完璧にぱふぁあぁぁぁぺっくとぉぉぉぉ!!だめ、歓喜のあまり喉が震えて泣き笑いしてしまいますぅ…


さぁ、周囲を囲み、猛獣…もとい、獣を討伐する人達を獣と同列に扱うのは失礼でしたね。ではでは、彼らを一網打尽としてあげましょう!!

「メイドさん」

手を繋いだ相棒から声を掛けられる、その声は騎士のように力強く…頼もしいと感じてしまう。

「優勝するには筆頭騎士様を倒さない限り無理だと、あちきは、思ってます」

幼い彼女が勇気を出そうとしている、挑もうとしている、絶対に勝てない壁に…

嗚呼、私もそういう時期がありました、貴女と変わらない年頃に…行きましょう!!

「倒そう!二人で!みんなで!!」

決意が漲り、勇気溢れる言葉に胸を打たれる、その気持ち、わかります!!!

「それに関しては私も願っているところです、この展開こそ私が望んでいた勝ち筋です、あの二人が争い、何処かで隙が出来る、一網打尽!一度に攻め切りましょう!!各員!各々認識阻害の術式を展開!私は彼女と共に行動します!五か所に別れます、作戦は天空落しです」

掛け声をかけると、全員の心が一つなり、まるで死の大地にいる獣達と闘う戦士のような表情で準備に駆けだしてく…バレない様にゆっくりですが。

女将さんと元筆頭騎士様がにらみ合っている間に、当たりの木箱を持った人が各々の足元に小さな水風船を置いて行く。

各々が配置についた箇所は、強者が衝突するであろう地点よりも少し離れた場所です。

中央を囲むようにし、何時如何なる時でも動けるように、二人の攻防を見守り行動を起こすとしたらこの配置がベストです!!

全員で、ここぞというタイミングを探し続けるとしましょう!!


最後の指示は私が出してもいいですからね!!


姪っ子さんと、隣り合わせに息を潜め、正面を見据え続ける。

幸いにして流れ弾が此方に飛んでくる様子は無さそうです。


それに、後顧の憂いとして、団長が生き残っているっと思っていたんですけどぉ…

姿を見せない!あの人が公園の戦況を見て女将の後を追わないわけがない!!

二人の乱闘に巻き込まれて退場しているとみて間違いないです!!


この二人を倒せば、優勝は確実!!

絶対に失敗が許されない!!!


激しい攻防をみて、真正面からこの二人に挑んでも、術式なぞ意味をなさないと、感じてしまう。

よかった、無駄に無謀にやけっぱちになって特攻して、とっとと終わってお風呂入って寝ようなんて思わなくて!

ありがとう、術式の皆さん、皆さんのおかげで私は最高に運が良かったですぅ!!!


今にも泣きだしてしまいそうな感情を抑えながら二人の全てを逃すまいと見続けていると

女将が地面をけり前に出る!!これが最後の衝突!!今こそ最大の好機!!!


手を上げ、二人の頭上に向かって指をさすと、私達のチームが直ぐに反応し水風船を彼らの頭上に向かって投げだす

姪っ子さんチームも慌てて水風船をなげる!!

そして、彼らの真上に水風船がくるタイミングで、術式班の二人が全力で風を巻き起こし、上空で水風船の勢いを殺し、念動力と言う力場を発生させて水風船に傷つけ割っていく!!

最高のタイミングです皆さまぁ!!大好き!!!団長と私の結婚式に絶対に招待しますね!!!


多くの水風船が彼らの頭上で弾け続け、巻き起こした風により水しぶきが舞う

まるで、星々の様に、緑・赤・黄色と輝きながら降り注ぎ続ける。


私達を祝福する笛の音が、耳を通り、私の胸に響き渡る…

嗚呼、いま、私は、幸せを掴みます…


溢れる感情が体を動かし、姪っ子さんを抱きしめるとお互い歓喜の衝動に駆られ大きな声をだす!!!

この場に団長がいないってことは!団長はあの戦いに巻き込まれてやぶれているはずです!!

この好機を見流さない人じゃないですもの!!!

今、二人を祝福する音が私達を包み込んでいますぅ!!!


チームメンバー達も姿を見せても良いと判断し大きな声で私達を祝福しに駆け寄ってくれますぅ!!!

ピッピッピッピっと短い笛が…ふえが なる?

ゆっくりとしゃがみ込む仲間達、これは、この状況になるまで待っていたってことですか?

そんなに、私と、初夜を過ごしたくないってことですか?私を女にしてくれないってことですか?


ゆっくりと絶望に染まっていく思考を振り払い

姪っ子さんから、離れ飛んでくる水風船の位置を見る!軌道確認!間に合う!華の頂!!華頂!!

訓練してきたその全てをここに集約させる!!!

素早く体を団長がいる方向へ向け、前転する様に転がり、受け身を取る!!!


地面から伝わってくる衝撃をいなすように!尚且つ距離を取るために転がる!!

二、三玉なら、これで回避できているはず!!急いで武器を!立ち上がって走る!!!


幸いにして!木箱が近くにある!!武器を!えいこうを…しょうりをつかむ、


は、ず…そんなのってないですよぉ…ここにきて運が悪い…


次の行動を起こそうとしても、これはどうしようもない。武器は無く、咄嗟に足元に飛んできた水風船は避けれました。

でも、急に足を上げてしまったから、バランスは崩れ足がもつれる…転がり、受け身を取るが…立ち上がっても無駄です…ね。


流れるように飛んでくる水風船の数、彼女の背中にはまだまだ、大量の武器がつまっていたんですね。

最後のあがきとして

『わ た し も つ れ て いって』と口を動かしてアイを囁く


愛する人から放たれた無常なる水しぶきを全身に受け止め、顔についた水しぶきを首を振ってふるい落とし、視界を確保し

もう一度、彼女に視線を向けると


可愛らしい顔が見えたので、眼福ですぅ…なんて、愛らしく麗しいのでしょうか…

その子供らしい仕草につい、もう、可愛い人、っと眉間に皺を寄せてしまう。


そして、容赦のない追撃によって私の千載一遇のチャンスは終わりとなりました。


でも、得られるものは数多くあったので、私としては良しです!

はぁ、可愛かったなぁ…心がきゅんきゅんしますぅ、団長との子供が切実に欲しいですぅ…



その後はどんちゃん騒ぎお祭り騒ぎ、あちこちで水風船が飛びかう。

私はそっと、その場から離れ、メイドとしての仕事に専念するために、シャワーを浴びてから姫様の下へ向かう。

とても楽しいイベントでした、頭も体も…心も使って…


後片付けは考えたくないですけれど、とても…輝く一日でした。




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