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最前線  作者: TF
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おまけ 大地染めるは…①

時系列は一切関係なし!お祭りとしてお楽しみください。

貴族の無茶ぶりに応えるべく、術式研究所にある私専用のスペースで、魔道具の開発に勤しんでいると、カンカンっと金属が叩かれる音…

ドアの隣に設置しているノック音によって作業を止める。はいはい?どうしたの?


視線を上げると研究所の研究員が木箱を抱えているけど、彼には…何を頼んだっけ?研究委の表情は明るく嬉しそうな顔をしているって、ことは頼んでいた何かが完成したみたいだけど、何を頼んだっけ?

「完成しましたよー!些か面白み欠ける品物でしたが、これで何をされるのですか?」

っむ?面白みに欠ける?ってことは、魔道具でもなく、術式でもなく、敵の解体解明とは違う何かを頼んでいたことになる。

っとなれば、何かしらのイベントを思いついて、それを開催するための第一段階として、おもちゃを作ってもらっていた可能性が高いんだけど~…


思い当たる節が数多く、何をお願いしていたっけ?


思い出せないでいると研究員が手に持っている箱をゆっくりと床に置き

「姫様の思いつきですから、何か楽しい事なのかもしれませんが、これの後始末は誰がなさる予定ですか?我々にそのような雑務、押し付けないでくださいよ?」

むぅ、嫌味たっぷり。はぁーやだやだ、ちょ~っと、色んな行事の後始末を押し付けまくったり、私の研究スペースを片付けてもらっているだけじゃん。

それではっと雑用を押し付けられまいとその場から逃げる様に立ち去っていく。軽快で嬉しそうな足音を聞きながら箱の中身を覗き込むと、思い出す。

「ぁ、あー!おっもいだした!…頼んでいたけれど、遅くな~い?」

半年近くも前に頼んでいた品物だった。さて…届いたからにはイベントを開催しないとねぇ?ふひひ


木箱の中に用意された試作品を試しに使ってみると、うんうん、仕様書通りにちゃんと作られてる作られてる、ちょ~っと納期が遅いけど、これくらい別にいいか!

木箱を持ち上げようとすると重たかったので、一旦、その場に放置して納期的に優先しないといけない魔道具の開発を進めていく。

ったく、貴族様のご要望は量産性に欠ける特注品ばっかりでめんどくせー


魔道具を開発しているのにも関わらず、私の脳内はどういう風にイベントを進行していくのか思考が止まることは無かった。






「第一回!!生き残れ!!チィッキティキ!バトォォル…ロ!!っわいやーーーるぅ!!」

音声拡張魔道具を使って叫ぶと全員がふぅー!っと声を荒げてくれるぅ!!音楽祭を開催したホールが此度も熱狂の渦が発生しているぜぇい!

今回のイベントは!!突発的なやつじゃないぜ!!事前に打ち合わせもして、ちゃんと各部署に通達を出してから開催している大規模なやつだぜ!!

こういうお祭り的な参加型のイベントを今か今かと楽しみにしてくれているみたいで全部署が協力的だった!!


突発的なイベントも良いけれど、事前申請して皆で準備していくイベントってのも、良いよね。具体的な内容は伏せてあるから、運営陣以外は、何をするのか知らないからね!

今日という日がどんな一日になるのか、楽しみに過ごしてくれるのも、一興だよね!そんなわけで、何時もに比べて会場の熱量が高いと思わない?

待ち続けて待ち続けて解放されたってのもあるけれど!今回のイベントは!!



みんな大好き賭けることができるイベントだからだ!!



これから行われるイベントはね、どの部署の代表者が最後の一人となるまで、生き残るのが誰なのか賭けてもらい尚且つ、自分達も参加してもらうイベント!

運否天賦?否!策略、謀略、共闘、何でもあり!知略の限りを尽くして生き残ってもらう!!

僥倖?運だけで生き残れるほど、甘くない!各部署の精鋭達(代表者含め三名)が報酬目当てに!ガチガチに蹴落としあうよ!!


「はい!時間がもったいないのでまずは、選手入場!!」

会場に集まったイベントを心待ちにしていた多くの人達から盛大な拍手が会場を満たしていく。

うんうん、大規模なイベントはこうでなくっちゃね!!自然とテンションがあがるってもんよ!!

いやー、まさかねー。彼が参加するなんて思っても居なかった、各部署から選出された精鋭達が舞台に上がってもらう予定なんだけど、よく頼めたねって人も参加している。

私からイベントを盛り上げるために出てくれない?なんて一言も打診していない。


盛大な拍手の中、各部署の代表者を一人ずつ紹介しながら、壇上に上がってもらう。

壇上に上がってくる代表者の紹介文を作ったのは私だから、私が読み上げても良いんだけど、楽したいのと、私以外にもこういった場所で活動したいっという意見も前々から頂いているので、物は試しと言う事で、医療班のNo3に紹介文を読み上げてくれるようにお願いしてある。

あ、結構失礼な内容だけど、彼にヘイトを向けないでね?文章は私が考えたんだからね?…アドリブに関してはし~らない。あれはやらかすタイプだから。


No3に合図を送ると、音声拡張魔道具を手に持って、すぅはぁっと何度も深呼吸をしてから大きな声を出し始める。


『医療班からは、我らが団長!医療班と言えばこの人!ってね、彼女の身体能力は騎士の部にも余裕で通じるTHEパワーの申し子!!

精神は乙女!体は男!だが、そんなのかんけーねー!愛は全てを超越する!彼こそが!彼女こそが!!俺の』

はい、うるさい、っと、一発目からアドリブを飛ばしてきて余計なことを速攻でぶち込もうとしてくるお調子者の真上に小さな拳サイズくらいの氷を、精製し彼の脳天にぶつけると、いったぁ!?っとNo3の声が会場に響き渡り、笑い声が会場に巻き起こる。

No3の小さな悲鳴によって笑いが巻き起こってからヤジも追加で飛び交っている、調子に乗るな!っと。


うんうん、お金を賭けても良いイベントだから、ちょっと殺気が高い、かな?まぁそれもよし!興奮してこそのイベントだよ!嫌な日常を忘れてエンジョイしてよね!

会場を包み込む日常ではありえない、不思議な空気をものともせずに堂々と壇上に上がりながら手を上げて、頑張るよー!っと大きな声を出し笑顔で会場の熱気に応えるながら紹介で呼ばれた人物が壇上に上がってきて、真ん中あたりにまで、歩いてくる間はずっと団長ファンクラブから物凄い声援っというか、叫び声に近い声が会場に響き渡る。

その姿を見て、ちょっと驚いてしまう、団長にしては、珍しく、やる気満々じゃん、何か欲しい物でもあるのかな?


団長の紹介文はもう少し先があるんだけど、もう上がってしまったし、変に途切れてしまったので、次に行くようにとNo3に指示を出すと、失礼しました!っと大きな声を出してから次の代表選手を紹介するための文を読み上げていく

『術式研究所からの代表者は、どうして彼女?っという意見もあるでしょう!ですが!我らが姫様!彼女が出場するとなると参加者一同、躊躇うっというか御膳立てしてしまう人も出てしまう!それに、誰がどう考えても姫様が勝つ未来しか見えなくなってしまうので主催者である姫様は今回は完全にノータッチ!!参加不可となっております!!それを踏まえて術式研究所が考えに考えた結果!一同総意の下!!我らが心のオアシス!彼女に対してうっかり発言を溢してしまい冷ややかな瞳が心に刺され、ノックアウトしている奴らも多く!影のファンクラブも発足していると噂の!!姫様専属メイドこと!メイドちゃんだー!!』


意外な紹介文だったのか、頬と耳をピンクに染めながら恥ずかしそうにしている、それでも愛嬌を振りまく様に何度も頭を小さく下げながら壇上に上がる。

壇上に上がってきて、お互いの目が合う、瞳の奥から感じ取れる感情は、嫌がっている様子はない、動きも照れくさそうにしているってだけ、こういう目立つ席に立つのは何度目って感じで場慣れしてきているって感じかな?落ち着いている。うんうん、メイドちゃんも人前に出るの慣れてきてよかったよかった、心弱いからねメイドちゃんって。

ただ…慣れ過ぎているのも問題かな?壇上に上がって直ぐに団長の隣に立って…いや、違う、一歩引いて団長を盾にしてる。なるほど、視線隠しとして利用するのね。てっきり、団長に甘えたいのかと思っちゃったけど、利用する為だったんだね、まだまだ、大勢の視線に長い時間、晒されるのは苦手ってことだね。


メイドちゃんの様子を眺めていると、No3も次へ行っても良いのだと判断し紹介文を読み上げていく。


『ではでは、続きましては!戦士の部所属!彼からは多くの事を学び、学ばせてもらいました!ええ、彼のおかげで、俺の心は色々とふんぎりがつきました!おとこでも!!ぁ、姫様、すいません、指先を此方に向けないでください、申し訳ございません、はい!戦士の部からはどんな状況でも臨機応変に動き考え対処できるからと彼が代表となりました!っというか、彼が代表となる代わりに他の戦士の部所属の人達はイベント期間の僅かな時間だが、彼の代わりとなって戦場を駆け巡ってもらっているのでご安心!千の技を持つ千手こと、実家の子供達の為にお金が欲しいベテランだー!!』

両腕を組みながら壇上に上がると、野郎どもの太い声援に包まれている、だけど、耳を澄まして音を聞き分けてみると、女性からの応援も少し混ざっている。

この街で長年、多くの人達を支え導いてきた彼の人徳だろうね、エロ親父だけど、直接的なセクハラは滅多にしていない紳士的な部分も持ってるからね。



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