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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (19)

その姿を見て、眉間に皺が出来そうになってしまう、突如発生した現象によって大陸外の人を威圧しちゃってんじゃん。

しまったなぁ、本人はたぶん、威圧するつもりは一切ないんだろうね、困ったことに単純なる興味か、はたまた、私にカッコイイ所を見せたかっただけか…そんな子供みたいな理由で分厚い木の板を豪快に撃ち抜かないでよ。

しまったなぁ、軽く注意しておけばよかった手加減してねって…


お爺ちゃんの性格を考えればこうなることはわかりきってたじゃない、かっこつけたがりなんだからもう

…はぁ、奥様連合はどうやって彼の手綱を握っていたのだろうか?

…一瞬だけ想像してしまった、奥様連合がどうやって手綱を握っているのか、恐らくは集団威圧だろうなぁ…


ただ、的を撃ち抜き砕くってのは、本当に本当の所、想定外。

この的って、色んな作業所で出た木屑を特殊な接着剤などで繋ぎ合わせて作った合板とはいえさ、そこそこ強度はあるんだよ?そんなあっさりと砕く程の掌底を繰り出さないでよ…


さて過ぎてしまったことは仕方がない、気持ちを切り替えてどうするべきか考えよう。

この凍り付く様な空気をどうしたものか?大陸最強と名高い人物がここまで人外だと思わなかった人たち…ん?

震えていた人達が一斉に手を上げて大きく手を叩き始める、どうやら、恐れ慄き戦慄していたのかと思ったら、違ったみたい彼の凄さに感動で震えていたんだね。よかったよかった、畏怖の対象として見られていたら大変だよもう。


人が人の力によって畏怖するのは良くない、畏怖は伝わりながら加速する様に膨らむ

そこに人の脅威を打ち払わんとする理解できない正義の心が加わると、それを利用しようと各国が手を組み、獣共という見えにくい脅威よりも先に見えてしまった脅威として、私達が討伐対象になりかねないってね。っま、その予兆があれば即座にそのフラグを圧し折ってやるけどね。


一つの大きな拍手と喝采によって張り詰めた様な凍り付いたよと感じてしまった勘違いの空気は熱量を帯びていく、一人が発する熱は周囲へと徐々に伝番していきその熱量に流される様に会場は拍手の気持ちい音で包まれていく。

それに応える様に手を上げている、自由奔放お爺ちゃんはご満悦だ。


ご満悦なままニンマリとした笑顔で顎を触りながらゆっくりと先端が無くなった槍を手に持ちながら、此方に向かって歩いてくる。

「ふむ、そんなに熱い瞳で此方を見なさんな、舌を乾かす必要も無し求めている音は知り得ておる、俺…わしから言わせてもらうとすれば、先端が回る必要性っというやつかの?その意図、っというのか?正直に言えば意味がわからんわい、この様な切っ先がくるくると回って何とする?」

コンコンっとただの棒と化してしまった槍を叩きながら説明を求める様に近づいてくる。


その姿を見て研究員が棒を受け取りに近づくので、容赦なく研究員に向かってほいっと押し付けている。

研究員も彼の執事じゃないんだからそこまで気を使わなくてもいいのに、まったく、お爺ちゃんが普段から周囲の人を良いようにこき使い過ぎなんだよね。そのせいで、周囲の人がそれをしないといけない感じになるでしょ?

そんな、昔の職場でしていたお偉いさんムーブばっかりしている問題児が近づいてくるのを腕を組んで待ち構える。

この姿勢は当然だよね?一連の流れに関して良くないよっと態度で示す様に両腕を組んで誰もが察することが出来る、作り笑顔で出迎る。


この姿勢を見せることに意味がある、この姿勢が何を意味するのか察しながらも臆すことなく近づいてきたので、鋼の心臓をもつ人に小声で槍の意図を伝える、ついでに郷に入っては郷に従えって言葉知ってる?っと、何時もの様に釘を刺してみるが、たぶん彼の耳に入ってないと思う。


槍の意図に関しては、納得したような表情で頷き、会場に集まっている人達を見て、ふむっと一瞥し

「なるほど、考えて作られている、説明を受ければ理に適っているわい、なら、これは女子供があつか」

あーもう!わかってない!それ以上の失言は許さないよっと睨みつけながら脛を蹴ると、むぅっと表情を一瞬だけ曇らせ、これも失言だったかと直ぐに本能のままに動く喉を閉じて反省しはじめ、ぱっと切り替える様に、ほがらかな気の抜けた表情になる。


注意されてから急いで取り繕って何事も無かったかのように振舞おうとするのは切り替えが良くてさ、良い事だと思うけどさぁ!

お爺ちゃんは下の人達の事を本気で考えてないよね?何でもかんでも直ぐに口に出すからなぁ!ある意味、平等なんだよなぁ!上も下も関係なく、女性も男も関係なく接するのは美徳かもしれないけど、多少は空気読んでよ!

奥様連合が不安を感じていたのがまさにこの部分!彼を制御する人が一人もいないのにこの街に送り出してもいいのかと不安にしていたんだよね!まったく!偉いさんってのは扱いづらいなぁ!ここは、貴方が管理していた王族直轄の精鋭達が集まる騎士団じゃないんだっての!!何をしゃべっても許されるわけじゃないんだぞ!フォローする人達の事も考えてよモウ!


はぁっと、ついつい、彼がこの街にやってきてからの所業を色々と思い出してしまい、心の中でため息を吐き捨ててしまう。

視線を下げてどうしたものかと思考が逸れた瞬間を見計らったかのように、少しだけ離れた場所からびよんっと変な音がしたので、嫌な予感と共に音がした方に視線を向けると…目を離すと、すぐこれだ!子供か貴方は!!

「して、こちらは、弓…のような物だが、ん?ん~…ふむ」

手に持ったクロスボウの弦を、指先で触れて弦楽器のような音を出して遊びつつ、どういう物なのか色んな角度から探っている。

この街に、お爺ちゃんが所属する様になり、色々と行動を共にしてわかったのが、お爺ちゃんって、好奇心が旺盛なんだよなぁ…

見慣れぬものがあると直ぐに!勝手に触ろうとする!新しいおもちゃを見つけた子供の様にすーぐに!自制心が無いのかすーぐに手に取る!新しいものがあれば直ぐに気が付くんだから!!

この新しい物が好きで直ぐに行動に移しちゃうっていう自由奔放な性格、これこそが、奥様連合が彼の扱いに困るわけだ!新しい物が好きすぎるでしょ!!


奥様連合が反対をしつつも、なんだかんだと、悲しむふりをしながらも、送り出した要因はここじゃないかな?

この街に来てなかったら、仕事が無く、されど健康で有り余る体力を持て余して散財しまくってたんじゃないのかな?

気が付いてしまった真理を裏付ける様に、過去の私がぽつりとつぶやく…新車を開発したら真っ先に買ってくれる上得意様だったよっと…


上得意様である、好奇心旺盛な子供を御せるのは私か戦士長だけだろうな、わかっているよ、わかってたよ、狂って、もとい、この街に来るって決まった時からね、覚悟は決めてたけど…彼の自由な振舞いに振り回され続けるのは、ちょ~~っと、疲れるなぁ~…


子供がいたらこういう気持ちを味わえたのかなぁっと、何とも言えない感情を感じていると此方の様子を伺っている人物の視線を感じる。

さて…研究員が心配そうに私達の動きを見守っているので、御せれる私がちゃんとね、注意しないとね。

研究員の心配していることは重々承知してるって、お爺ちゃんの怪力で変にいじくりまわされると壊されかねないってことだろうから、クロスボウの正しい扱い方を説明して…いくんだけど…説明を聞きながら…ああもう、この人はぁ!!

弦を引くという重労働を誰でも出来る様に考えに考えて作った機構に対してその発言は良くないよ?小指でも動かせる程度の弓じゃろ?なんて言葉を漏らすな!

頑張って頑張って作った研究員のハートを砕く一言だからね?手で回して弦を引くっという機構の必要性に疑問を持つな!!

ほれ、こうすればいいじゃろ?って、軽々と素手で弦を引っ張ってセッティングすな!空打ちでビィィンっと弓をしならせてから弦をびよんびよんと弦楽器の様に弾いて遊ぶな!

クロスボウを槍の様にピュンピュン振り回すな!意外と重いんだぞ、それ!!


ああもう、この一連の流れで頭が痛くなってくる。

…切実に、懇願する様にお願いすればよかったかも

…奥様連合もこの街に来てほしいよ、目の前にいる自由奔放という我が道を歩む爺さんを御しきれないよぉ~…


頭を抱えたくなる光景は今も続いている、どうしてクロスボウが宙を舞っているのだろうか?

おかしな遊び方をしているジジイをどうやって御すべきか何か案を考えようとしても思い浮かばない…

その間も爺は自由に遊んでいる、せめて弓として扱って欲しいと願いながらどうやって御したらよいのかと悩み続けているが、言葉が出てこないために膠着した状態に陥っていると

「爺さん、お戯れは程々に頼む、サクラが困っている」

多くの人達から解放された戦士長こと、勇気くんがお爺ちゃんの肩を叩いて注意してくれる!!

助け舟!助け船だよぉ!流石は勇気くん!私が困ったときはいつも!どんな時だって!駆けつけてくれる!大好き!!


肩を叩かれ注意されたことに対して何も感じていないのか、あるワードにだけ、反応したのかすぐにわかる。

だって、目じりを下げてニマァっと口角が少しだけ上がるんだもん、誰がどう見ても邪悪な笑み…


「ほいほい、まったく、わしですら名前で呼ぶのが許されていないっと言うのに、孫は許されているんじゃの~!かぁージェラシーがわしの中で大木の様に育っていくわい!…して、ひ孫はまだかぁ、の?」

クロスボウの先端を地面に突き刺し杖代わりにしながら、空いた片方の腕を勇気くんの肩に巻き付け顔面を近づけながら焚きつける様に囁いて、、ううん、違う、私達だけに聞こえるような声のサイズじゃない…周囲にも聞こえる声の大きさだった。

どうして周囲に聞こえる様にこうやって声を出すのか、恐らく私達の関係を進展させるために外堀から関係性を固める為だ。

この現場にいる人達に私達、二人の関係性が男女のそれだと、認識させるかのようにね…傲慢で強引だよねぇこの人は、もっとやれ!



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