表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最前線  作者: TF
434/697

Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (17)

最初はね~、特に考えずに発言した研究員の提案通りに全部木製で先端部分を取り付ける部分だけ金属で作って、火薬を使って実験したらね、案の定、木製部分は爆発によって砕け散りました。

この提案した研究員が一撃離脱用だから槍の部分も砕けていいのでは?って言ってきたので採用したって流れ。


わかりきっているのにどうして採用したのかって?ちょっとわからせた方がいいからねって、わけではなく、失敗を重ねて重ねて得られるものがあるからだよ。私はそれを良く知っているもの。

なので、研究員も失敗しても良い範囲であれば失敗してもらう。

失敗してそれを受け止めて改良点を全員で話し合って模索してもらう、これによって自分達が考え意見を出し合う事で皆で前へ進んでいるっという一体感を得ることが出来る。

そういう体験をして貰いたかったからってのもあるし、研究員の教育も兼ねてるわけってこ~と。

今もね、私がこういう物を作ってみたいので君たちで提案し考えてみましょうっと投げかけているプロジェクトも複数あって現在進行形で開発している。


失敗してどうしたらよいのかと、次に、彼らが考えたのが、火薬を爆発させる部分を金属に変更する。

変更してみたけれど…金属の性質上、熱が加わると膨張する。

その膨張を考慮していなかったため、木製の部分がちょっとずつ変形しちゃったんだよね。


先端の部分は金属だから多少は衝撃に耐えれるけれども、やっぱり何回か火薬式で発動させると金属の部分も歪むんだよね、そうなると、先端部分も付けれることは付けれるけれどもって感じで装填するのに時間がかかる、かかる上にちょっと槍の先端が軸からずれてしまうことが多い。

この槍の特性として討伐対象に刃の先端を真っすぐに突き刺すべきなんだ、けれど…軸がずれるとね、回転したとしても先端部分が、ぶれてしまって狙いたい箇所を削れない、つまりは、扱いにくくなっちゃうんだよなぁ~


仮に、私達の騎士達がこの槍を使うのであれば頻繁にこの機構を使わなくてもいいから、ある程度は普通の槍として使ってもらいたいからね。回転する刃だけで倒せれるのならそれでよし!だもんね。


火薬を用いる方法を却下することになったもう一つの懸念点があってね。

火薬が入っている状態で振り回している最中に暴発して、先端に取り付けてある刃の部分だけぽ~んって飛んで行っちゃってただの棒になりかねないって懸念点をね、戦士長から指摘されちゃったから、なんだよね。

戦士長だからこそ気が付く懸念点ってわけ、彼の一言で火薬をベースとして開発するってのは中止とさせてもらいました。


ぶっちゃけると、初期に必要なコスト面だけ見れば魔石タイプの方が高いよ?

でも、魔石は再利用が出来るって部分を考慮すると初期費用は高いけれどもランニングコストは安くつくかな?

…外の人も魔力が完全に無いわけじゃないからね、多少はある、人に寄るけれども日常で扱う程度、えっと、灯りを灯す魔道具くらいなら一瞬だけ灯せるくらいはある、なので、才能がある人は魔力集積装置に触れてもらって魔力を提供してもらっている、微々たる量でも魔力は魔力!例え0,00001だろうが貰えるものは貰うとったらええねん!の思考で提供してもらっている。


そんなわけで、魔石タイプなら魔石を取り出して再度魔力を補充すれば何度でも使いまわせれる。

それにね、そっちの方がメンテナンスとかね、色々と考慮すると、私達としてはこっちの方が管理しやすいし整備もしやすくなる、理にかなってるってわーけ…

戦士長の鶴の一言だからって、全部採用しているわけじゃないよ?私だってもう少し失敗してきたら提案しようと思ってたもん、魔石タイプの方が合理的だと思ってたからね?…自分の実験が忙しくて蔑にしてたわけじゃないよ?


大元は私がこういうの作ってみない?って、発案してるんだから、ちゃんとこの槍の発展型も構想して準備してある。

実験場にあるやつよりも、空気を圧縮する機構の部分をもう少しだけ気密性をあげて、なおかつ、装填する魔石二つともワンサイズ大きくして出力を向上させる。

さらに、圧縮する術式に追加で熱を加える術式を追加した改良発展型も開発済み!

なんだけど、持ち手の部分のサイズが一回り大きくなってしまったので扱えれる人は限られるって感じかな?

後、空気を圧縮する機構に使われている金属を冷やす術式も追加している。


どうしてサイズが大きくなってしまったのかって言うと、発展型は、空気を圧縮しながら熱を加えることにより射出時の衝撃がね、けた違いに向上したんだけど、どうしても、その機構を埋め込むとなると槍のサイズが大きくなり過ぎちゃって…

一回り大きいサイズだと私達の中でも一部の人しか扱えそうにないので、此方でお披露目する気はない。扱えれる人は今頃、寝てるんじゃないかな?私としては一人の女性として平穏に生きて欲しいからね、出来るだけ荒事から離したいけれど…無理だろうな。


そんな事を考えていると槍の先端を付け替え終わったみたいなので、体験してみたい人はいますかーっと、声を出して募ってみると、小槌の時とは違って直ぐに手が上がる。

我先に触りたいのか、俺は槍の心得があるっと声を出している人がアピールしてくれるので、指を刺し彼に声をかける。

つっても、槍は一本じゃないから他の人も待つことなく触れてもらえるんだけどね。


研究員と騎士達と共に、会場の人達が槍を手に持ち、扱い方を一つ一つ説明され体験していく。


色んな人がどういった感じで動くのか体験してもらっている光景を眺めていると…違和感に気が付く。

力無き人達に混ざって見知った顔の人が居るなぁ、あれって何処で見たっけ?幼い顔立ちだからこの街では珍しい若手…

思い出した、うん、朝にすれ違ったお坊ちゃんだね、たしか~…うん、思い出してきた、配属希望が戦士長の部隊って宣言するくらいに戦士長に憧れを抱いている若者。

っていうか若すぎる…何歳だっけ?まぁいいや、特筆すべき家柄でもないから忘れちゃったや。

そんなお坊ちゃんが、気が付けば一緒に参加して、目を輝かせながら説明を受けて槍の射出機構を体験している…君はこの大陸の人だから、体験する必要はないんだけど、向上心があることは良い事だからまぁいいか、楽しそうにしているし。

あのマリンさんの指導を耐え抜いて尚、参加しようとする意欲は褒めてあげる、でも、戦士長の部隊に所属するのは許可できないけどね。

足手まといになるのは目に見えているからね。


もう一度周囲を見回してみると、槍に関しては触ってみたい人が多いみたい。

希望している人達全員が体験するまでは、時間がかかりそうだし、天幕でお茶でも飲もうかな?


踵を返し近くにいた騎士にちょっと休憩するねっと声をかけると、はい!!!っと敬礼しながら元気のいい返事が返ってくる、気持ちいい返事だけど、ここは軍隊じゃないんだけどなぁ…ある人物の影響だろうなぁ…


天幕の中に戻ると、待っていましたと言わんばかりにお茶の準備がされていた。

メイドちゃんは私が休憩を取るタイミングを完全に見極めている、素晴らしいの一言だよね、良いお嫁さんになるだろうけれど、彼女を受け止め支え切れる男っているのかな?…一瞬だけ、脳裏にたった一人だけ候補が浮かび上がってくる…っふ、この国が一夫多妻制で良かったし、メイドちゃんなら私は受け入れる。

温かいお茶を冷ましながら飲んでいると小槌開発を担当している研究員達が質問しに駆け寄ってくるのでインパクト小槌をどういう風に改良するべきか話し合う。向上心が高いくていいね!ついつい、にんまりと笑顔になっちゃう。


話し合いをしていると「すまない、遅くなった」聞きなれた優しい声が天幕の外から天幕の中にまで広がったので、研究員達には悪いけれども声に反応する様にゆっくりと立ち上がって、声に誘われる様に天幕を出ると…


初めて会ったときとは見違えるように屈強な戦士へと成長した戦士長の姿があり

その隣には、彼のお爺ちゃんの姿も見える…一緒に来てたんだ、お爺ちゃんはお孫ちゃん大好きだよね~、ほんっと、付き合い良いよね。

単純にやることがなくて暇だから付いてきたってこともありえる。

ちらりと、視線を私の後ろへ向けると、メイドちゃんの眉毛がピクリと動き、一瞬だけ眉間に皺が出来ていたのを見逃さない。うんうん、わかってるわかってる。


頷いてから天幕を出ると、すぐに目が合ったのは残念なことに、お爺ちゃんの方。

お爺ちゃんは私を見てすぐに口を開き、大きな声を出す。

「姫ちゃん!未来のお爺ちゃんもきたぞい!」

会場全体に響くほどに、大きな声で挨拶をしてくれる…言葉の内容については、もう、定番になっているほどなんだよね。


孫と一緒に行動できるからなのか、私と彼との関係性を傍で見守れることに対してなのか、それとも単純にこういう場所が好きだからなのか…溢れるような笑顔。ニッコニコで顔に皺を作って嬉しそうにしちゃってさーもう、悪気は無いんだろうけどねぇ?

先の発言に関しては昔から悪い気はしないんだけどさ、時と場合を考えて欲しい。

ほら、周りを見て欲しいかも?ここにいる人達って私達の事を良く知らない人達が多いんだからね?勘違いするでしょ?


お爺ちゃんがそういう未来を望んでいるのか、こういった言い回しの言い方をどこでもするから、それを聴いた人達が完全に勘違いしちゃったんだよなぁ!…っま、私は?悪い気はしないけどね。にしし。


戦士長のお爺ちゃんはね、王国最強の騎士と言われ王国の騎士や貴族達にとって遠い雲の上のような存在。

彼の事を敬い尊敬し彼から師事されることを夢見ているほどに偉大な人物。


王家を守る筆頭騎士として働き続け、ある出来事をきっかけにその地位を引退した元筆頭騎士様。

多くの方が尊敬する人物が此方に向けてくる笑顔は、屈託がなくしがらみから解放された綺麗な笑顔、それに引き寄せられるようについつい、私も釣られてしまって表情が緩んでしまう、まるで彼の本当の孫みたいに。


元筆頭騎士様の隣にいる、細身に見えるが鍛えぬかれていて、触ってみると鋼鉄のようで柔らかい柔軟に鍛え抜かれた魅惑のボデェを持つ彼。

彼こそが、この街で語り継がれている偉大なる戦士長、誰も座ることを躊躇い続けてきた席。誰しもが、自信をもってその席に座ることが出来なかった空席…


その空席に座ることをこの街にいる全員が認めたのが、今代の戦士長。

そんな戦士長が、またかっと呟きながら微笑みを絶やすことなく、されど少しあきれた様な表情で、隣で大きな声を出した人物を見つめている。


優しく慈愛に満ちているのに、圧倒的強者と言う風格が漂っている。それなのに、接しやすい空気を纏っている不思議な人物、その理由を私だけが知っている。二人だけ、ううん、三人だけの秘密。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ