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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (12)

ってなわけで、少しでも力をえたい大国が取る行動何てねある程度は予測できています。

私の傍にいて、仲間に引き込みたいであろう人物が自分の下部組織の人間だってわかったら利用しようとするよね、一度壊滅させられて助けることなく使い捨ての末端として切り捨てたってのにね!都合のいい奴らだよね、当然、下部組織の人間に圧をかけてくる、私が生み出す兵器全ての情報を送る様にと、古巣から言われているのだろう、って思って此方の暗部を使って調べたら裏付けも取れた、これが尻尾なのかもしれないけれど、尻尾っと言う末端を幾ら潰してもねぇ?きりがない。大元を潰すのが一番早い、っができない。のがほんっとうっとおしい!


そんなわけで、メイドちゃんどころか、幹部連中にも正確な機構は説明していない。大雑把な仕様だけを試験場でお披露目と共に説明しているだけだもん。

念のためにね、外に機密が漏れないように、開発研究員全員、しっかりと監視&保護の為に戦士達に頼んで交代制で警備しているよ。

あいつら、普通に拉致してくるからね…恐らく拉致対象は私も含まれているって予想してはいたけれど、昨日の一件で可能であれば拉致、状況によっては殺害しろって、形で隠者に指令が届いているとみて間違いないかな。


そして、下部組織の人間だったメイドちゃんは利用価値があれば生かし、価値が無くなれば口封じの為に念のために殺せって通達されているとみて間違いない。

メイドちゃんを守る為にも、こちらもちゃんと策を講じないとね、はぁ、こういう搦め手も考えて行かないといけないのめんどくさーい


試験場に到着する前にメイドちゃんの方へと振り向き、ちょいちょいっと手招きさせ近寄らせる。

何事だろうかと、不思議そうに近づいてくるけれど、もっと近くにおいでと手招きを続け、自身の耳をトントンっと叩きながら手招きをすると意図が伝わったみたいで耳を私の口元に近づけてくれる

「安心して、ダミーの情報は掴ませてあげるから」

どうやって情報を探ればいいのか悩んでいて相談してこないお馬鹿さんの耳にふっと息を吹きかけると

「っぴゃぁ!?もう!姫様!悪戯は程々にお願いします」

耳を抑えて頬を赤く染めながら離れていくメイドちゃんをにししっと笑いながら指をさし嘲笑う様にお道化た雰囲気を出して周りに遊んでいるのだと見せかける。

周りからすれば姫様のお戯れだと思ってくれる、演技力?数多くの経験をしてきている私達なら問題ない、誰も見破れないよ。


不意の一撃で辱めを受けてしまったメイドちゃんは賢いからね私の言葉と意図を直ぐに汲んでくれる。

まったくもーっとプリプリと怒る演技をしていても、私にはわかる、薄っすらと口角が上がってしまっているし、先ほどまで思いつめたように緊張していた瞳も普段通りの落ち着きを取り戻しつつある、安らぎを帯びた瞳に変わっている。


メイドちゃんと私の付き合いは長い、長いからこそメイドちゃんは骨の髄まで理解している、私と言う存在が如何に脅威で敵に回してはいけないの存在なのだと。

敬意と畏怖を抱いている私を出し抜こうと考えれば考える程、メイドちゃんの精神は追い詰められていき、精神と脳のリソースを大幅に消費しパフォーマンスが落ちてしまう。

メイドちゃんは優秀なんだけど、プレッシャーに弱いんだよね、追い詰められると本当に何も出来なくなって自分自身を追い詰めてしまって自暴自棄になりかねない。

優秀が故に、自分と相手の力量を考えてしまい、勝てない相手に立ち向かう勇気が湧いてこない、自然と逃げることを考えてしまう。

そういう風に教育されてきたのだから仕方がない、彼女は生きて情報を持ち帰る事を優先するように徹底的に叩き込まれているんだからね。


守るべき相手の裏側が面倒すぎて困る、嗚呼、だから戦争が起きるのかな?

自分の正義を貫くためには相手を説得させないといけない、でも、相手が折れる心を持っていなくて歩み寄るという考えが無い場合は…

はぁ、勇気くんが人の悪意に敏感なのはそういうのを経験しているからなんだろうなぁ…やだなぁ、本音は人同士で争いたくないんだけどなぁ…

効率的に考えても人類の脅威を排除する事こそ全世界一丸となって力を合わせるべきなのにね、始祖様が敵の進行を食い止める為の壁が人類に時間を与えると同時に人類を堕落させちゃったのかな?

…そんな風に考えたくないなぁ…始祖様は悪くない、悪いのは愚かな人類、私達の性根が腐ってるだけ…滅びるべきは私達だったのかもね…


なんてね!生存戦略として!獣共が攻めてきただけ!私達は一度…いや、幾度となく後れを取っている!生存するために全力を尽くしてこそ生き物!

それに…胸の奥、脳髄の奥、腸の奥にまで染み渡る憎悪は止まらない、獣を駆逐し鏖にするまで、これが消えることは無い。


湧き上がる衝動に、激情に、憎悪に、表情筋が奪われない様に気をつけながら緊張が解けたメイドちゃんと何時も通りの世間話をしながら歩いていく。

そうそう、そうしないと怪しまれるよ?私も、貴女もね…


隠者達の気配はまだまだ消えていないんだからね。

出来る事なら、大国に此方からも隠者を送ってやりたいけれど、基本的にこの大地に住む人は外の大地に理由なく行くことが出来ない。

渡航する場合は王族の許可が必要であり、許可が下りた場合は王族直轄の騎士も同行しないといけないくらい、厳しく見張られている。


これさえなければ、あんな大国、私がこっそりと出向いて傀儡にしてやったんだけどなぁ!!まったく…私の影武者を用意できないってのも問題だよね?

こればっかりは仕方がないよね~私みたいな見目も麗しく聡明耽美な美女なんてそうそういるわけないもんねー…つってね、純粋に、背格好が似ている人がいないだけ、私くらいの見た目だと、10歳くらいの少女が殆どになるから、私の影武者として教育が終わるころには身長が追い抜かされてるんだよなぁ…

っへ、この大陸の女性は発育がいいからねー!!すぐ身長が伸びるんだよなぁ!…身長だけだからな!わた、私だって…あるもん。


ペタペタとついダイナミックなお母さんと比べてしまって、モヤモヤとして気持ちが湧き上がるが気持ちを切り替える!ふんだ!母性の象徴は胸だけじゃないやい!


ってなわけで、幼くて経験も無いような子供に私の影武者は務まんないってわーけ。

ちゃんとね、大国に対して無策で居続けているわけじゃないよ?策は講じては見たんだよ?見たけれど、八方塞がりってわーけ!向こうが何かしらのアクションをしたらカウンターするくらいしか出来ないんだよなぁ!!


あーもう、超長距離弾道ミサイルを撃ち込んで滅ぼしてやりたい!!

っま、それをすると、全世界を敵に回すんだけどな!人と闘ってる場合じゃねぇっての!ぇ?超長距離弾道ミサイルなんて造れないだろって?造れるわけないじゃん!造れたら即作ってデッドラインの奥に向かって打ち込みまくるっての!


地球の化学力全てが欲しいと心の中で盛大な溜息を私達一同が一斉に出し終えるころには、試験場に到着する。

天幕の中に入ると、準備していた研究員達が一斉に出迎えてくれる。

研究員の顔は笑顔で溢れている、早く実験がしたくてしたくて仕方がないのだろう。その気持ちは痛いほどわかる!私も実験大好きだもん!

未知を既知にする瞬間は何時だって歓喜の衝動によって体も心も震える、ある研究員が下手なエクスタシーよりも快楽的だって目を蕩かせて感想を溢していたからね、こればっかりはやめられないよね。


天幕の中で状況を説明してもらう、試験に参加したい人達は早めに集まってくれたみたいである程度の説明はしてくれているみたい。

なら、試験は開始するのが一番だよね、ぼんやりと待たせるのもね。っとなると…目に留まったのは誰でも撃てるように改良を幾度となく施した兵器

順番的にー、ちょ~っと、インパクトが薄すぎて後回しにしようと思っていたけれど、順番変更かな支度をしてくれている研究に発表するやつに指を刺して指示をだす。

「準備はできてるので、まずは、これから説明していこうかな」

「…っす」聞こえるかどうかわからないレベルの小さな声が返ってくる、ぁ、はい。お願いします。っと此方も小さく返事を返してしまった。

内気な研究員に用意してもらっているのがクロスボウっと呼ばれる種類の弓、誰でも扱えれる様に調整した弓

私達が扱う弓は強弓っと呼ばれるほどに硬くなれないと弦を引くことすら困難、それくらい強い弓じゃないとあいつ等を射貫くことはできない。

それ程の弓を腕も細く誰がどう見ても貧弱そうな研究員が撃つことが出来る様にと、大陸外の非力な人でも撃てるように何かないかと考案し、辿り着いたのがこれ、これだったら発展性もあったし、試してみたいこともあったから、作ってみたんだよね。


出来ればデモンストレーションとして、私達が扱う弓を戦士長に引いてもらって威力を見て、大陸外の人達に私達が普段扱う弓がどれ程までに強いのか触れてもらってからしたかったんだよなぁ…このクロスボウの性能が高いっていうのを体感してもらいたかったんだけど、仕方がない、インパクトが薄くなるけれど、仕方がない。


天幕の外で的を用意し、クロスボウのセッティングを行っていく。

その様子を、死の大地で戦果を挙げたいと志願している外の大陸の人達が真剣に見つめている。

聞こえてくる声はひょろいやつがあんな重そうな兵器を扱えるのかってざわついてはいる。


カキキキキっと独特な音を出しながらレバーをグルグルと手で回していると弦がひかれ、矢を乗せ、得にふらつく事も無くしっかりと構え、矢を発射するとカァーンっと金属を貫く音が辺り一面に響き渡り大勢の人が歓声を上げている。

クロスボウを撃った研究員はゆっくりとクロスボウを床に置くとそのまま、へたり込んでしまう。


貧弱な自分から放たれた一撃が想像以上だったからだろう。

地面に座り込んでなお、衝撃を噛み締める様に全身が小さく小刻みに震えている、怖くて震えているのかもしれないけれど、大丈夫、横から見える表情は恐怖で慄いているわけではない、何故なら、口角も上がっている、あれは多少の悦を感じている証拠、武器の威力に恐怖を感じて震えていているけれども、震える体を抑える様に熱を帯びていく両頬に手を当てている。


その場にいる全員が此方に視線を向けてくるので「はい、結果を見たい人は近くに行ってみていいからね!クロスボウは誰も触らないようにね~」っと、声を出すと一斉に的に向かって多くの人が走り出す。


的として用意した鉄板は平均的な鎧に扱われている鉄で厚み同等、それを易々と矢は貫き、鉄板の裏にある木の棒にまで届いている。

つまり、強固な鎧など無意味、鎧の奥にある柔らかい部分にまで届く、攻撃が届いてしまっている。

他の大陸の人からすれば、弓が効かない強固な鉄の鎧を易々と攻略してしまえるほどの威力を持った弓矢を、あんなにも弱々しい人物でも易々と扱えているって部分も驚いているだろうね。


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