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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ 妖闘桜散 (10)

何とも言えない空気の中、こういう時に何時だって思うのが、どうして時計の針は止まってくれないんだろう。

…最大限に懸念すべき点があるとしたら、私の体がいつまで持つかどうかってことかな。寿命で死んだことが無いから明確な日付が分からないってのも嫌だなぁ…

明確な指標がわかんないけどさ、予感はあるんだよ?だって、年々、確実に…食事に対する欲求が薄くなってきている。

何々が食べたいなぁっとか、お腹空いたっとかの感覚が希薄になってきている。

今だってね、パン一つを食べただけで、もう食べなくてもいいかなってね、体が食事を拒むようになっている。


わかってる、体質じゃないのかって疑問くらい、食が細いのは昔からだけどさ…でも、周りの人と比べちゃうとね…

今が、18?だったかな?それくらいかな?周りの同じくらいの年齢の人はモリモリとご飯を食べているのに、私は…食べることが出来ない。


っま、だからといって、そこで何もしないわけじゃないけどね…食事が終わったらお待ちかねの、はぁ…不味くないあれは不味くないあれは不味くない…

自身にアレは美味しいものだと信じ込ませるように念じて自分の感覚を狂わせていると


ことんっと、無慈悲にテーブルの上に置かれる。正直に言えば見たくもない、ううん!そんなことないよ!ワタシ コレ ダイスキ

最後の瞬間まで気を抜かず自身を騙す様にしてから、水薬が入った瓶の蓋を開けて一気に飲み干す。


口の中に入れた瞬間駆け抜けるは大草原の湿った土の匂い、思い出すね、いつかどこかの時代で吹き飛ばされて転げ回ったときの香り…


中身はね、ちゃんと人が食べても問題のない品物しか使ってないのはわかってる、わかってるからこそ、なんとか気合を入れて体内に取り込める。

私が少しでも健康で淹れる様にと願いを込めて、母親としていつ何時も気遣って忙しい中、わざわざ時間を作ってでも用意してくれている水薬、薬って程では無いけれど、栄養価が高い液体、地球で言うところのサプリメントに近いかな?それともスーパーフード?いや、違うかな?どっちでもいいや…

喜ばしい事にね、下を見ればもっと不味い物を何度も飲んでいるから、それに比べたらね!そこまで不味くはない魔力回復促進剤に比べてだけどね!…相も変わらず、こっちも土の味はする。どうして土の味がするのか、どうしてそれを入れたがるのか…栄養価が高いの?なんで?入れなくてもよくない?それを入れなければ普通に飲める味になってると思うんだけど?ぁあ、もうイライラしてきた。ダメダメ、人の行為で苛ついちゃダメ。私を想って思いやって愛してくれているからだから、人の行為に苛ついてはだめ。


湧き上がる衝動を直ぐに鎮火する様に宥め、再度冷静に水薬に向き合う

土の味がする原因ってさ、絶対にあれでしょ?牧場でとれる蜂の巣だっけ?これが原因でしょ?いるの?本当に?…いるんだろうなぁ…

後は、アロエとか、蜂のご飯とか、ハチミツ…後は、聞いたけれど速攻で忘れたのが蜂の子も入っていたような…はは、忘れた忘れた。

そういったモノを炒ったり、砕いたり、溶かしたりして、混ぜこまれた液体。お陰様で濃度がえぐい、どろっとしてる…最初、これ、水?固形?どっち?って疑問を感じたもんね。


冷静に自分の体内で巻き上がる事象を見つめていれば、味なんて忘れるよね…

ん~…うん!前言撤回、まっずいこれ!!いつまでも口の中に味と匂いが居座るんだけど?なに?謀反でも起こしたいの?私の中で座って抗議でもしたいの?ストライキは他所でやってよもう…毎日さ、朝に飲んでるけれど、慣れない、かといって魔力を使って喉の奥に突っ込もうかと思ったこともあるんだけど、少しでも魔力を温存したいから我慢できることは我慢する様にしている…


ふぐぅぅっと、内心は、涙目だけど、メイドちゃんがいる建前、弱い所は見せらんねぇから、気合でポーカーフェイスをきどっている、ぅぅ、自分をさらけ出したい…

冷静に淡々と流れる様に、どろっとした液体を飲み干した後は絶対に行うルーティンっとか、そういうのではなく純粋に一刻も早く口の中をリフレッシュしたい!なので直ぐに底なし沼に放り込まれた味覚を救う為に!紅茶に手を伸ばし、ぐっと口の中に放り込む…


暫く口内を紅茶で埋め尽くし、紅茶のぬるい温度のおかげかドロっとした液体が融解するかのように溶けて胃の中へと流し込みやすくなる。後味の悪さは濃度の影響だとわかっている、薄くしてよっていうと、貴女が望む薄さにすると2リットルサイズになるわよ?っと言われ、あ、このままでお願いシャスっと直ぐに視線を背けて心が折れたことがある。

ドロリ濃厚土の味をゆっくりと飲み干している間に、もう一杯、カップに紅茶が注がれる。よくできたメイドだよぉ…そんなメイドに何時もの様に意地悪を言う、八つ当たりじゃないよ?うん、違うよ?

「メイドちゃんもこれ、飲む?体に良いんだよぉ?すっごく、体が元気になるんだよぉ?メイドちゃんも飲もう?飲むよね?」

コンコンっと空っぽになった瓶を指先で小突いて軽く圧をかけてみるが…いつも決まって笑顔で首を横にふる。理由は簡単、一度だけ、どんな味がするのかと小さじ一杯分を飲んでから絶句し小さく誰にも聞こえないくらいのほんっと小さな本音と殺気が零れ落ちたのを私は見逃さないし聞き逃さなかった。

「あの女の味覚は狂ってる」ってね、恨みがましそうにつぶやいていたのを見てるからね。


因みに、一応弁明しておくと、お母さんもこれを飲んで、うん、くそまずいわねこれって淡々と眉一つ動かさずに感想を述べてたから、味覚は正常だよ?単純に慣れだと思うよ?もしくは、これが、愛?なのかもしれない、愛ゆえに耐えれる、愛は全てを越えていく…お願いだから愛があるなら飲みやすさって言う部分にも着目してよ?どうして、昔っからこういうの置き去りにするの?そこに愛はあるの?本当に愛なの?愛があるなら料理にも見解を深めてよもう!!!

…なお、味覚が正常なルッタイさんたちは厨房でコレらを作ることを禁じている、周囲に料理を作っているとは思えれない悪臭が漂うから。更に、ルッタイさんたちの味覚が破壊されかねないので協力は全力で断られました!!

ガチで金積んで積んで肘の高さまで金貨積んで青天井で王都に発注してやろうかと思ったよ…まぁ、そんな無駄なお金の使い方なんてしないけどね!!


自然と眉間に込められた力が抜けたころ合いにメイドちゃんが口を開く、しっかりと観察してるなぁ。

「今日の予定はどうされますか?予定の方達は前線へ駆けていかれましたけれど」

あー、朝のやつで皆外に出ちゃったんだよなぁ。こういう非常事態ってやつが多く発生するのがこの街の嫌なところなんだよなー、予定が直ぐに狂う。


今日の予定はね、戦士長達に、今後配備する予定の兵器についてのレクチャーをして改良点とか、運用方法とか、色々とディスカッションって程ではないんだけど、率直に感じた意見を貰いたいんだよね。んで、この兵器を主に使用するのが、前線で戦えない人達だから、ついでに、新兵器の訓練も予定していたんだけど…小さな予定変更は余儀なくされちゃったか、まぁ、人型が攻めてきちゃったから仕方がない。この程度でイライラしてらんないよ、この街で生きてあいつらを駆逐し殲滅し蹂躙するためにはさぁ!!くそが!!


いけないいけない、淑女指揮官お姫様に相応しくない言葉が漏れてしまいそうですわ。はぁ、心の底から自分をさらけ出せる友達が傍に居て欲しいなぁ…

思考が逸れつつある、路線を正さないとね、えっと、予定をどういう風に変更するかってことだよね。

まぁ、彼らは昼過ぎには帰って来るでしょ?っとなると、お披露目する順番を変えてレクチャーする?んー、でもなぁ、戦士長達にもう一度、同じ説明するってのも、時間の無駄だなぁ…二度手間になっちゃうし、取り合えず、予定を変えるってのは変わらないから兵装開発室に顔を出す方がいいかな?現場の状況と集まっている人の状況を見てその場で判断するか。ここでウダウダと考えたって仕方がない。


考え付いた予定をメイドちゃんに伝えると各方面に伝達に行ってまいりますね、っと、伝達係をしてと言わなくても実行してくれる、優秀なメイドだよね。

「では、伝達に行ってまいりますので失礼します」

小さく頭を下げてから足音を消すように優雅に歩いて部屋を出ていく。

そこまで畏まらないでいいんだけどね、まぁ、仕方がないか、他の者に示しがつかなくなっちゃうからね。この部屋には私とメイドちゃんしかいなくてもね。


さてっと、ぼんやりと時間が過ぎるのを待つってのは良くない、メイドちゃんが帰ってくるまでに、仕様書に目を通して不備がないか確認しておこうかな。

発案計画立案者は私だもんなぁ、その私が仕様を完全完璧に把握していないのは宜しくない…ぶっちゃけ、私の知識外だから、正直な話、ぶっちゃけると詳しい仕様とか、完全に理解しているわけじゃないんだよねぇ~。まぁこういうのはどうだろうかって感じで提案して、皆で作り上げていくって感じだから、プライドなんて無いから、別にね?多少失敗してもいいんだけどね?命に別状が無ければ全て良しだよね。


仕様書に目を通し、不備がないか、おかしな点が無いか確認していると、コンコンっと、ドアがノックされる音が聞こえてきたので、書類をバサッと机の上に置いてドアを開けると、可愛らしいメイドが愛くるしい笑顔と共に姿勢を正して待ってくれている。

うんうん、メイドとしては100点だよ、っさ、メイドちゃんと共に試験場へと向かうとしますか。



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