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最前線  作者: TF
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Dead End ユUキ・サクラ (25)

ん?どうしたの?…あ、ごめん、そうだね、ここ間違ってる。教えてくれてありがとう叔母様。

姪の面倒を見るのも悪くない?叔母様にもそういう一面があるんだね、ん?指を指すけど、どうしたの?…ぁ~…

あの二人は水と油だからそっとしてい、ても良、くない?ダメか…喧嘩するなら他所でやれって?んー、あれはじゃれついてるだけ、だよ?耳障り?んむー


こういう時は、勇気くん…っと、ユキさん!カジカさんグループと一緒に錬金釜をぼんやり見つめて暇そうにしていたので、二人に声を掛けて、少し離れた場所でいがみ合っているお母さんとメイドちゃんの仲裁に向かわせる。


あの二人で大丈夫なのかって?大丈夫だよ。お母さんはユキさんに弱い、メイドちゃんは勇気くんに弱いから

ほら、静かになった。これが適材適所ってわけ、お母さんは純粋にユキさんに絆されやすい。基本的に叔母様と一緒でユキさん大好きだから弱いんだよ、つい甘やかしてしまう。

メイドちゃんは純粋に威厳のある人に弱い、勇気くんはああ見えて高貴な人だから、そのオーラにすぐ負ける、ってわけ?

理に適ってるでしょ?…綺麗な采配をしたつもりなんだけど、何その顔?呆れてない?呆れてるんだ、よく見てるねって?そりゃ、当然!研究者として観察眼は衰えさせるわけにはいかないっての!…貴女は聖女とはかけ離れているわねって?それはそう!そういう教育も受けていないし…その運命から逃がしてもらった、から…


じゃぁ、どうして、その立役者であるお父様を毛嫌いするのかって?…それとこれは、話が別!いくら叔母様でもそこは譲れないよ?

え?別に譲らなくても良い?…いいんだ。聖女として皆仲良く手を取り合えって言わないの?そんなの幻想だって?…叔母様がそれを言うのは違うと思うなぁ…

いや、叔母様だからこそ、その苦悩があるってこと、かな?


あれ?みんな、どうしたの?…あ、叔母様の話を聞きたいって?そっか、そう、だよね。

聖女伝説を受け継ぐ正当なる後継者だもんね。


軽くため息をついてから、叔母様が色んな事を話してくれた。

皆はその教えを真剣に聞いている、私は、聞き流しながら資料を作っていく



毎日が…まいにちが…楽しい、楽しいと思えれる。

お母さんが点滴を変えてくれて、メイドちゃんが体を拭いてくれて、女将とカジカさんが昔話をしてくれて、叔母様が間違っているところを指摘してくれたり、資料の見直しをしてくれる。

そして、勇気くんが傍で微笑んでくれる。ユキさんが一緒に笑ってくれる。


嗚呼、みんなが一緒にいて、うれしいなぁ、うれしいなぁ…うれ、しい…



君は…嬉しい?微笑んでくれる。





なんだろう?何時もと何か、雰囲気が違う?どうしたのだろうかと、ぼんやりと、周りを見る。

ぼやけた視界からはまだ、情報が入ってこない、近くの空間から伝わってくる、皆が、笑顔で話し合っている?…あれ?なんだろう?

ぼやけた視界で皆を見つめる…情報が入ってくるのだが、違和感を感じてしまう。あれ?なんだろう、何か、何かが、おかしい?


ぼやけた視界も、徐々に鮮明になっていき、違和感が何か気が付く…


誰だろう?

初めて見る人なのに、何故か、見たことがある、不思議な人が居る。


ベッドから起き上がって、談笑している人達に近づく…みんな、すごい笑顔。いいなぁ、この雰囲気。落ち着く。

直ぐにでも声を掛けたいけれど…皆の邪魔をするのも~良くない、こんなに、こんなにも…暖かい雰囲気みたことがない。邪魔をしてはいけない気がする。

きっと、王都にいる皆が知っている人が遊びに来たのだろう。

だって、カジカさんが子供みたいに涙を流してずっと、頷いている。

女将も、手を震わせながらカジカさんの肩に腕を乗せて頷いている。

ユキさんと勇気くんは、少しだけ離れた場所にいるんだけど、目を凝らしてみる…あ、誰だろう?近くにいかないとわからなかったけれど、男の子がいる。どうしてだろうか?見覚えがある。どうしてだろうか、ここ最近ずっと近くにいたような気がする、そんな雰囲気のある男の子だ。

ユキさんは男の子を膝の上に乗せて楽しそうにしている、きっと、大人たちが普段見せない姿を見て楽しんでいるのだろう、男の子も周りが楽しそうにしているから楽しいのだろう。

勇気くんはその全てを見守る様に優しく微笑んでいる。

微笑んでいる先は…お母さんと叔母様が二人して抱きしめあうように泣いている。

珍しい…いや、珍しくないのかも?あの二人って似た者同士だもんね。


この雰囲気で資料をまとめるのもどうなのかと、空気を読もうとしていたら肩をちょんちょんっと優しく触れる様に叩かれる?

振り返るまでも無い、お淑やかに声を掛けてくるのは、メイドちゃんだろう、メイドちゃんがあの人は誰ですか?っと私に聞いてくる…それは、私が知りたいんだけどね。

でも、この雰囲気から見て、当てはまる人は一人しかいない。


偉大なる戦士長


その人だろう…そっか、今日が私の最後の日なんだね…

確かにもう、資料をまとめ終わったって言ってもいい具合で、最後に見落としが無いか、最後のチェックをしてみようかなって感じもしていた、だから、最後の日にしようかと思っていた。


ちょっと、皆と一緒にいれるこの空間が楽しくて、たのしくて…終わりを伸ばしていた…


…終わろう…最後の…晩餐ってわけじゃないけれど、誰が用意してくれた、幻かわからないけれど…最後に楽しもう。


メイドちゃんにあの人がこの街を支え続けてきた、古い人達、全員が心の底から尊敬して敬愛する偉大なる戦士長だと伝えると、驚くことなく納得していた。

あんなにも慕われている人を好きになるのは当たり前、私も彼が傍にずっといたのなら釘付けになっていたのかもしれないですねっと微笑みながら、ジラさんを見ている…

そうだよ、あのお母さんの心をつかんで離さない罪づくりな人、あの人だったら、私は負けてもいいかな。


メイドちゃんから離れて、勇気くんに声を掛ける、俺はあの輪の中に入る資格はないっか…確かにね、それはそうだけど、それは、寂しくないの?

…ないんだ、勇気くんにとって父親は別の人だもんね。ん?でも、尊敬はしているんだ、どうして?一本気のある気高き魂を持っているから?

ん~、そう、なんだ?そうなんだ。ふ~ん、勇気くんが言うならそうなんだよね。

ふふ、意地張ってる様な感じだけどさ、目が笑っているし、口角は上がっているよ?嬉しいんだろうね。


ユキさんはどうなの?お父さんに会わなくていいの?

もう会ったからいいんだ、そういうものなの?そういうものなんだ。それよりも、弟にあえてうれしい?…おと、うと?…なんだろう、違和感がある。

まぁ、いいか。君は、弟で、いいのかな?う~んっと首を傾げ乍ら困った顔で笑っている。

本人もよくわかっていないのだろう、まぁいいや、ユキさんが弟って言うのだったら弟!それでいいよね?だよね?っと、勇気くんに同意を求めると。

勇気くんも頷いてくれる、なら、彼はユキさんの弟!うん、っとなると~。私の弟。君は私の弟だよ。よろしくね

頭を撫でると嬉しそうにしている。小さな子供の無垢な笑顔を見るだけで胸が締め付けられ、お腹の奥が切なくなる。

嗚呼、成長すると共に望んでしまった夢が苦しいなぁ…


名も無き弟と別れて、輪の中に入っていく。


カジカさんと女将に声を掛ける。

地面を眺めていたカジカさんが顔を上げる、今まで見たことのないすっきりとした顔。

ずっとずっと、戦士長に言いたかったことがいえたんだ、よかったじゃん。何を言えたの?

あの時、自分が弱くなかったら、戦士長が死ぬことは無かった?自分が敵の攻撃を避けれていれば戦士長が怪我を負うことは無かった、万全な状態だったらあの悪魔に俺たちは勝てていたんじゃないかっていう、一生ぬけない棘がぬけたの?何て返事をもらったの?

未来ある君を守れたのならそれでいい。老いていく自分よりも若くて強く成る戦士を残せれたのなら本望だよっか。うん、よかったね…カジカさんは、偉大なる戦士長からずっと、ずっと前から、認めてもらっていたんだね。


もし、次があれば、カジカさんが悩み、超えることが出来ない時があれば、その言葉を伝えてあげるね。

女将も、その事がずっとひっかかっていたんだ、あの時、あたいがもっと強かったら、敵に怖気づかなかったら、全員が万全な状態だったら、あの異形な二足歩行に勝てたんじゃないかって?なんて、返事をもらったの?

残念だけど、僕が、僕では…っか、尊敬する師匠がダメならあたい達がどうこうしたってダメだって?逆にあきらめがつく?次は後悔なんてしない、全力で挑む、負けるのが当然、挑む立場に成ってこそわかるものがある、あたいにも譲れないものがあるのがわかってきた、だから、次は死の一撃を、繰り出して見せるっか…大丈夫、女将は私が守るから、そんなことにはさせないからね。女将のおしりをぺちぺちと叩いてみるが音はしなかった。

そんな私に女将は微笑んで、大丈夫、あたいが守るからっと豪快な笑顔を見せてくれる。きっと、そんなときがきたら、女将はひかないだろうな~…頑固者だから。


さて、二人の美女を抱きしめている、モテモテの御仁に挨拶をするかなっと

初めましてでいいのかな?うん、そうだよね。どうして、ここにきたの?目的は?…特にない?…そ、そういうものなのかな?なのだろうか?

息子が来て欲しいっていうから、きたっていうと嘘になる?ずっと、見守っていた?会えるのなら会いたかった?そんなこと、いいの?王都に奥様いるんじゃないの?

奥様も見ているの?ふーん、本来なら、月の裏側にいかないといけないのだろうけれど、不可思議なことに、彼女から離れることが出来ない?…魂の束縛…下法の影響か。

離れたいと思う?…全てを見届けてからが良い?そっか…うん。わかった、下法を紐解く方法を研究するのは後回しにするね。


ってか、下手に刺激すると怒られそうだから、怖くてできないや。


私達の会話を冷静に聞いていた二人が、愛する人から離れて此方に向きを変えるんだけど…人って満たされるとこんなにも変わるんだね。

二人の顔が凄く穏やかだった…叔母様があんなにも…あんなにも満たされて穏やかな、まさに聖女そのものみたいな雰囲気をまとうことがあるなんて…

お母さんもお母さんで、憑き物が落ちたみたいに、晴れやかな表情をしている…


二人の姿を見て、もう一度、ゆっくりと、皆の姿を見る…なんて、穏やかで、おだやかで、くるしみのないせかいなのだろうか

嗚呼、私が求めているモノ全てがここにある…


完璧だと思う、最高だと思う、でも…幼い頃の私が睨んでくる。うん、そうだね。

全てじゃない…お母様に…あいたいなぁ…



資料の整理何て。もういいや、残された時間、最後の時間くらい、みんなと遊ぶ。遊ぶんだ。にへへ…



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