Dead End ユ キ・サクラ (92)
取引している間も甘ったれな私はさ、親の情は無いのかって、ずっと喉の奥に引っかかっていて真正面から文句を言いたかったけれど、取引の内容が信用問題に関わる内容だったから、そんな言葉を相手に投げかける事なんて出来るわけもない。
だって、鉄とかってさ、需要が高いわけじゃん?当然、普段から鉄を出荷しているわけで、倉庫に置いてある鉄とかの需要の高い鉱石は私以外の人に卸す予定だったわけじゃん?
それを横からかっさらったんだもん、そんな無茶な要求を呑んでくれたんだから、文句を言うのは違う。
お父様からしたら、普段から取引している相手がいるわけで、一定の鉄が用意出来たら納品しないといけない相手がいる。
その相手に、納品が遅れるのだと頭を下げてもらったのだから、情はあるのだろうって感じたりもした…
実際にその現場に居合わせたのかって?ううん、そんな時間が無いから、そうじゃないのかなって考察しただけだよ?
倉庫とかにさ、案内されている時に、そんな風なことを、口にしていたから…まさか、値段を吊り上げる為、恩を着せる為に言った出任せじゃないかって?
…残滓たちは、人を疑い過ぎだよー。お父様が、そんな…そん、な…
駄目だ、強かなあの人だったらやりそうだと、否定しきれない。
でもさぁ!私だって、商人としての心得として、教えてもらったからわかるんだもん!
稼げるときに稼げっていう考えが間違っていないって言うのは、経営者として、わかるけどぉ!!
親としてはどうなんだって、文句が消えない!!
うぎぎ…娘が相手だというのに容赦なく、需要のある鉱石を相場よりもやや高めで取引をねじ込んできやがってぇぇぇぇ!!
お前が無知ゆえに、扱い方がわからない、知らない金属、買い手がつかないから倉庫に積み重なっていくものに、言い値で値段をつけてもらったけれどさぁ…
提示された値段を見て困惑したよ!!二束三文増えるだけだろうって思ってたらさぁ!!どう考えてもふっかけてきた値段つけてさぁ!
その値段じゃないと売るつもりはないっとか、しれっと言いやがって!こちらとしても断りにくい状況だから、買うしかないわけで!もう少し下げろよ!価値わかってないんならさぁ!!コレクションを手放すのに最低限これくらいは欲しいって考えたのかもしれないけどさぁ!!高いわ!!
そりゃ、倉庫の状況を見て保存する為に必要な経費を清算するためにはそれくらい欲しいってのは、わかるけどなぁ。
後、私が強引にでも欲しいって言ったのが相手を増長させてしまった可能性も否定できない。
付加価値がついちゃったんだろうなぁ、私が直接まで、出向いて頭を下げて欲しがったっていう付加価値がね。
これで、仮に私が購入しなくても、あいつなら、あの魔道具の姫が欲しがった鉱石って名目で他の貴族共に捌く算段をつけていたんだろうなぁ…
そうなるとさ、後々、やっぱり必要だったから、親父に買わされた貴族達に取引を持ち掛けないといけなくなると、更に値段が上がって買わざるを得ない状況に陥るのが目に見えていたから、提示された値段で頷くしかなかった!!
かー!!あいつは人類の敵だ!まったく!私達が人類の敵と闘っているって言うのを理解してねぇのかって部分でも腹が立つ!!
だけれど、お陰様でー!良質な鉄は数多く手に入りましたー!
市場に出回らない珍しい鉱石も山ほど手に入れることができましたー!
おまけに、宝石の原石も手に入りましたー!!
流石、王都の東側、全てを牛耳るだけはある、多くの探鉱を抱えているだけあって、色んなものを保有していたよ。
倉庫もあんなに大きな倉庫が一つや二つなんて規模じゃなく複数あるなんて知らなかった。
そりゃ、側室が山ほどいるわけだ、それでいて、若い頃は王都で名をはせるほどの騎士だったって自慢をしていたけれど、もしかしたら、本当なのかもしれないなぁ…てっきり、お母様だけの騎士って意味だと思っていたけれど、本当に文武両道なのかもなぁ…お父様の事、本気で興味が無かったから、心底どうでも良かったから知ろうとしなかっただけで、本当は偉大な人物なのかもしれないね。どうでもいいけど、ね!!
多大なストレスを与えてくれた取引は勿論、結果は良好だよ?ストレスに見合っているのかと言われると、疑問が残るけどね!
倉庫から数多くの鉱石とかを購入した結果は、これは運が良かったとしか言えないまさに僥倖!!って叫びたくなるほどに、意外と結果は良好だった!
手に入らないだろうなって言う金属が手に入ってよかった。
地球の情報で特性は知っていたけれど、こっちでは手に入らないだろうなって半場諦めていた鉱石もあったし、古い書物に書かれていて、手に入るのなら手に入れたかった鉱石も混じってた!!
高く買ったんだから、どの鉱石がどのエリアで採掘出来たのか、しっかりと調査してもらったからね…
これで、”次に”活かせるだろう。って、冷静に思い返して死ぬことを考えてしまっている私にも苛立つ。腹が立つ!
そんなわけでさ、お父様の所で大量の金属を手に入れたけれども、この大陸でとれる鉱石だけだとまだまだ不安だから、貿易で、他の大陸でとれる希少な金属も大金をはたいて手に入れている。
お陰様で、今代の私は資金的な余裕は、あんまりない、遊びで適当に使えれるほど無いって感じ。
本当ならさ、術式の研究にまわす予定の予算もつぎ込むしかなかった!自分が稼いだお金くらい好きに使わせてよ!ムカつくなぁ!
その結果、殺しつくしても恨みが晴れそうもない獣共と闘い続けるのに必要な武具が強化できました!この街にいる戦士達が扱う鎧はめっちゃ、頑丈になったよ!
火薬とか、手に入りやすかったら砲撃とかも作ってしまいたくなるけれど、火薬関連は、王家に見つかると危ないからなぁ。
この街で生きてきた…今はもう亡くなってしまった過去の知恵ある人は、そういった背景があるから、こっそりと地下に火薬を作る部屋を作ったんだろうなぁ。
…悪魔信仰していたっぽいから、何かの儀式に必要だっただけかもしれないけどね。
だからね、配備してある鎧や盾は、過去の鉄だけで作ったものとは耐久力が大幅に向上したよ。
特殊な合金によって衝撃に強く、特殊な液体を塗布することで多少熱にも強くなる、今まで鉄のみで作っていた時とは比べ物にならないくらい、新機軸の鎧に生まれ変わった。
合金は鎧とか盾専用にしてもらった、耐久力に優れているのなら、武器には転用してもいいんだけど、適していないっていうか…全てその素材で作っちゃうと予算が足らない。
だから、武器には使用していない、だって、武器は消耗品だから…
投擲したりするからさ、従来の鉄でもいいじゃんね?切れ味に大きな変化があるわけでもないし、耐久力に関しては向上するけれど、壊れる度に高い金属を用いるのは予算がたらない。全部隊分用意し続けるなんて無理!!
後はねー、私のデスクに起きる度に書かれ続けている警告文にイラっとしたけれど、要望通り採算度外視で作った盾がある。
たったの一つだけ、だけどね!あんなの量産できるかっての!そんな極上の逸品を一つだけ作ってある。
主な素材は、鎧と一緒の合金で、衝撃に強くて鉄に比べたら熱にも多少耐えられるってのは変わらない。
他の盾と違うのは厚みが分厚くて違うのと、表面に、加工する方法が分からない程の超絶かったい、これは本当に鉱石、なのか?って思う程に硬い、そんな素材を張り付けてある。
マリンさん事、剛腕女将の鉄槌、それも全力で壊すつもりで叩いてもらっても砕けない、それほどまでに強烈な衝撃にも耐え、鉄が真っ赤になるほどの高温にも耐えれるであろう物質、火山っと言う場所から取れる鉱石を盾の前面に張り付けたくっそ重たい盾が出来上がったってわけ!
表面に張り付けた鉱石?なのかな?素材は、地球で言うところのウルツァイトってやつ、だと思う、たぶん。
それっぽいのが、色んな商人に頼んで頼んで、探して探して!やっと、見つかった!
色々と試験をしてみると想定以上に硬くて丈夫だったから、きっと、ウルツァイトだと思う。
本物を見たことが無いから確証は無いけれど、特性が一致しているのでウルツァイトっと名付けました。
色々と実験してみたんだどさ、実験すればするほど、ここまで固くする必要性ある?ってくらい、硬すぎる!って印象しか受けなかった
っでさ!このウルツァイトってやつが、熱に強すぎて私達が持ちえる技術では自由自在に加工できないから、苦肉の策として盾に強引にはめ込んで作ったっていうね!
分厚くて表面がゴツゴツしてて、見栄えが悪い盾が出来上がったのさ!
…誰が扱うねんってくらい雑に作り上げてしまった極上の盾…めっちゃ不格好、王都の騎士達が見て、誉れなんてないって笑ってたよ。
確かにね、防戦しか出来ないもんなぁ、これ程までに重たいとさ。両手で持って運んで、敵の前に構えるだけ、機敏な相手だとさらっと後ろを取られかねない。
独りで戦うっという前提を完全に捨てた盾っていうかもう、これって国王を緊急時に保護するための地下シェルターとかに使うような頑丈なドアだよ。
お披露目会をしたときの幹部連中の反応が満場一致、その意見には私も大賛成。
これって必要なの?ってね!
かなりの予算をつぎ込んで作ったせいもあってさ、その後も、予算会議でいじられるし、防具を管理する部隊から整備が大変だっていう、随所でちくちく言葉で攻められ続けられてしまうきっかけを作った盾…
ガチでいらねぇ!本当にこんな敵がくるの?くるなら早く来てよ!!って苛立ちを募らせていたら
未来からの情報で理解しました、これから、恐らく一年後に現れるであろう特定の敵に対して作ったってことね。
敵の出現時期を事前に教えてくれれば、他にも対処のしようがあったんじゃないの?やりようがあったと思うんだけど?
まぁ、理由はわかるよ?貴重な戦士を失うわけにはいかないってのと、研究で身動きが取れなくなる予定の私が居なくても倒せれる様にってことでしょ?
作ってる最中もずっとずっと、何のためにいるのかと考察を巡らせ続けたよ、第一予想として王族の無茶ぶり、第二予想として大切な人を守る為。って、予想は建てていた、概ね正解じゃんね?被害を減らす為ってことね…
ってかさー、おおよその出現時期がわかっているなら、見つけて即殺す、嵌め殺すくらいでよかったんじゃないの?サーチ&デストロイでさー…まぁ現場に私がいないと難しいからその考えは捨てたんだろうな。
凡その時期はわかっているから、その時期が近づいてきたら、常にカジカさんにでも持たせればいいのか?絶対に文句言いそう。
…片手で扱えれる重さじゃないけど、まぁ、カジカさんなら何とかするでしょ?してくれるよね?
うん、こんな感じかな?戦士達を強化するためにしてきたことって?




