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最前線  作者: TF
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Dead End ユ キ・サクラ (81)

こうやって三人それぞれでの視点をすり合わせてみると、色んな事が見えてくる。反省点がね…

本来であれば、強敵との闘いを潜り抜けたら、次に活かす為にこういったディスカッションって程では無いけれども、報告会はするべきなんだけど…

人型を貴族サイドの人が仕留めたら、自慢したいだけの自慢大会に繋がることが多い、平民出自の方達からすると回りくどい表現ばっかりで3分で済むような報告内容が30分を超えるほどに誇張されるのが効くに耐えれないから…してないんだよなぁ…


思い出せる範囲で、報告できる内容はまとめ切ったと思うし、後はメイドちゃんがこれをベースに書類をブラッシュアップしてくれるだろうから。

その辺りは気にしなくてもいいかな?字が汚くて読めないのならカジカさんに音読させればいいし…こんな感じで大丈夫、かな?

「っとまぁ、こんな感じかな?何か、他に書きたいことある?弁明したい事とか?」

確認する為に、二人に声を掛けるが首を横に振る。三人が感じたことでおかしな部分は無さそうだね。

これ以上、この話を思い出す必要もない…かな…私が至らないってところばっかりで、苛立ちしか出てこないよ…

次の私にはこれらをどうやって対処すればいいのか、託すためにも、後である程度、対策と傾向をまとめておこう…


死にたくないけれど…今の現状を考えると…ね?

…はぁ…いやだなぁ…生きたかったなぁ…死にたくないなぁ…

まだまだ、したいこと、やりたこと、伝えたい事、叶えたい願いあったんだけどなぁ…


内に渦巻く生への執着を表に出さないようにしないと、察しのいいひとが近くにいるから気を付けないとね。

…念のために、もう一度、確認してっと…

「んじゃ、これで良し…かな?…」

軽く確認したけれど、何だろう?なんか引っかかるような?何か見落としがあるような?

…気のせいかな?死者の数、一人足りてない様な?ん?あれ?一人少なくない?


もう一度、死者の数と、死因を確認する

…ん?あれ?…ん?…ん?誰だろう?頭の中で死んだ人の数と、報告で上がっている人の数が合っていない気がするんだけど?


その誰か亡くなったであろう人物を思い出す為に、眉毛をぐっと中央に寄せて首を傾げていると

「どうしたのであるか?何か、気になることでも、あるので…あるか?」

考え込み始めた私の様子を見て、書類を書いていたカジカさんが不安を感じているので、ここは素直に相談しよう。

死者の数が合っていないんじゃないかっという、違和感を感じてることについて、カジカさんに聞いてみると、見落としが無いのか、カジカさんも、同じように報告書を確認すると何かに気が付いたのか、声をだす。


「ぁ、もしかしなくとも、あれであるか?ユキを救う為に殿を務めた戦士の事であるか?」

あ!!そうだ!そうじゃん!その人のこと忘れてる!

「だめじゃん!ちゃんと報告してよ!弔ってあげないと、ちゃんと合同墓地に名前をかかないとー!」

「いや、まてまて、姫様は勘違いをしているぞ、あやつは、生きて生還しているのである、多少の怪我をしているのであるが、吾輩の代わりに現場をまとめてくれているのであるぞ?」

…っは?…ぇ?…ん?

知らない報告が上がってきて、更に、混乱が加速する。


聞いてないよ?っというジト目でカジカさんを見つめていると、カジカさんが慌てて弁明を始める。

「わが、吾輩は、姫様の耳にとっくの届いていると思っていたのである!…実は、吾輩達が出撃してから、何食わぬ顔で街に徒歩で帰還したみたいである、多少、怪我をしているであるが、問題なく動ける程度の怪我なので任務に就いてもらっているのであるが…その、休ませるべきであるか?」

アー成程、すれ違っていたんだね…そして、怪我をしているであろう人物を直ぐに外の任務に出しているっていう後ろめたい部分があるんだね。その辺りは本人たちの判断だから咎めるつもりも、引き戻すつもりも無いからいいんだけど…


流石は…歴戦の戦士、まさか、あの状況で、軽度の怪我だけで済んでいるのが驚きだよ…

逃げ延びて帰還するなんて、そんな凄い事やってのけるなんて誰も想像しないよ。


歴戦の戦士っともなると、単独行動力が高く、生きることに関しては群を抜いていると、心の底から褒めてあげたくな…ん?

違和感が解決されると連続して謎に感じていた部分に唐突に突き刺さる閃きが生まれる。


…あ、そういうこと?


点と点が繋がる


どうして、人型が何もない場所に攻撃をしていたのかっていう、疑問、そっか…逃げた敵を探していたからって事!?


人型は、固執するから…執着するからなぁ…必死に探していたけれど、見つけることが出来ないから炙り出す為に攻撃を繰り返してたってことになる?

うっわ…その状況を知っていたら、もう少しやりようがあったかも?


今回の一件は全てにおいて選んではいけない選択肢を選び続けた。

不運だと一笑すればいいのかもしれないが、笑って見過ごせる内容じゃないんだよなぁ…


はぁ…全てにおいて歯車が綺麗にかみ合わなかったって感じだ、小さなすれ違いが重なって重なって…この感じ、この真綿で〆られていて、逃げ道を無くされて、見つけたと思ったら、罠でしたっていう人の心理を突いてじわじわと確実に殺しに来る感じ…


まるで、世界から拒絶されてるかのように不幸が押し寄せてくるような感覚…

覚えがある…


今回の一件で、前々から確信をもっていたある事実…

実家に居た頃の幼い私に戦術のイロハを叩きこんでくれた先生がいる。

絶対に勝てなかった戦術の先生…


その魂が、敵に捕まって利用されているんだろうなぁ…

余りにも、この私が敵の策略にドツボに嵌り散らかしちゃったんだもん…

不運で片付けていい内容じゃない…完全に裏を突かれている。

私の思考が完全完璧に読まれて完封されている。


先生だったら、私がどう動くかなんて、知り尽くしてそうだもんね…


勇気くんと出会ったときに、さ…敵が魂を加工する、もしくは、利用する術を持っている、人が絶対にそちらの方に手を出さない禁術、下法中の下法を躊躇わず使いまくっている。利用できるものはどんなものでも利用する…それが獣共が選んだ私達を鏖にする為に選んだ道…

歴代の知恵者の魂が利用されている可能性があるんじゃないかなぁって…嫌な予感は感じては…いたんだよね…


敵は、人の魂を利用する術を持っているって知ったときに、ね…もしかして、ってね…はぁ…

幸いに、私達の魂が利用されていないのは、加護のおかげ…かな?始祖様はそこまで見据えて遺してくれたのかな?

自慢の槍を捧げてまで…用意してくれた加護、これが無かったら、私は存在意義を失う…だって…過去の私に何も伝えることが出来なくなってしまうから。


絶対に敵に知られてはいけない…敵が私の知らない技術を持っているのであれば、加護にアクセスされかねないから



この世界の未来は私達の敗北で終わるだろう…

先生なら、この先に、どう足掻いても、私達を殲滅する作戦を講じてくるだろうから…

一手遅い?はは、分岐点はとっくの前…一手どころじゃないんだろうなぁ…何年?どれくらい前から、敵は策を講じていたの?

時系列を思い返してみて、気が付いてしまう…先生が亡くなる前から策を講じているっと…

さっきもさ、気が付いたのはこういう部分なんだよね、きっと、先生が敵に囚われる前から他にも知恵者が死んだら魂を捕まえて利用されているんだろうな…


…嫌な考えが脳裏に浮かんでしまう、偉大なる戦士長も…はぁ、やめよう、考えると現実になる。




その後は、三人で現状について軽く話し合う。


マリンさんは、暫くの間は療養する予定。

その間は、お店をお休みにして、家で娘と旦那に甘えさせてもらいながらも、リハビリの一環として、左手で出来る仕事をこなす様にしている。

医療班の方針としては、診察のついでに、左指の作業訓練を医療班指導の下、行ってもらうみたい。

マリンさんが聞かされた内容としては、左手での文字書きとか、紙を掴んだりとか、食器を掴んだりとかって感じの訓練を今後も続けていくみたい、内容的に何も文句の付け所が無い、本人も、右腕を無くしたのだから、後は余生をノンビリと過ごすつもりでいるみたい。


戦士としての、悔いは消えたってさ…本当かどうかはわからないけれど、本人が納得しているのなら、何も言わない。

もし、可能であれば、違う世界では、違う形で戦士としての悔いを解消してあげたい、かな?なるべく危険が無く、圧倒的な状況下で蹂躙できるような状況っで、ね。


カジカさんは、左腕に負担が無いように、歩いたりって程度のリハビリ

左腕以外は特に問題なく元気いっぱいで、今回の教訓を伝えていく為に未熟な騎士達の訓練を担当していたりする。


二人の現状を確認して、今後の事について話し合おうかと思ったけれど…

未来を諦めている私が何を言っても…って感じで、暗い表情をしていると、今回の一件で私が相当凹んでいるのだと勘違いしたのか、二人が励ましてくれる。


回復の陣があってよかったと口を揃えて褒めてくれた、これ程の怪我をした場合、若い頃だったら、一年はベッドの上で過ごすことになっていた。

姫様が与えてくれた数々の技術によって、街は良い方向に進んでいる。どんな状況になろうが、どんな犠牲が出てしまったとしても


姫様が至らないなんて誰も思わない、姫様が居なかったら、この街はとっくに滅んでいた。


その事を胸に抱いて誇ってほしい、私達は、姫様が居るからこそ、明日を夢見ることが出来ている

だから、泣かないでっと優しく頭を二人に撫でられてしまった…




二人から分けてもらった明日を信じてもいい、望んでも良いっという願いを胸に宿し

明日を信じて、研究を進めていく…何があろうと、絶対に結果を残して見せる…


のこして…



死を選ぼう…犠牲になる覚悟は決まった。

明日を、未来を、皆が笑顔で笑える世界に辿り着くために…

この先の未来を捧げよう、この世界は…私の負けだと認めよう。


過去に…伝えよう…

それにね、この世界での私は、たぶん、もう長くない…敵の殺される前に…そんな予感がするんだ…

二人から分けてもらった明日を望む心を、過去の私に託そう、二人が地下から出ていく後ろ姿を記憶に焼け付けて、絶対に過去の私に伝えよう。


大切は人が増えたよって…

失いたくない人が増えたよって…




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