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最前線  作者: TF
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Dead End ユ キ・サクラ (74)


タラレバを考えても仕方がない!気持ちを切り替えろ!過去を悔やんでも仕方がない!今できる対策を、策を考えろ!思考超加速はできない!

今、それをすると魔力欠乏症になって動けなくなる!


…どうして、私には魔力がないの!!

…どうして、すぐ傍に、お母さんや、勇気くんがいないの…


自分の弱さに反吐が出る!今はそんな事を考えるな!無いモノをねだるな!

勝ち取るために思考を逸らすな!今はそういう事を考える時じゃない!

考えろ!少ない敵の情報から対策を練ろ!!思考の頭脳だったら出来るでしょ!



未来、過去、現在!全ての私達!起きて!知恵を貸して!!!



呼び声に応えるように何かが弾けるような感覚が瞬時に広がる…脳内に複数の私達が議論を開始する。

だが、その感覚は失敗したかもしれない、思考超加速を使ったかのような感覚が全身を駆け巡る様に伝わってくる…

全身を駆け巡る衝撃、これに耐える為の術式を展開してない!これに耐えきれる状態を作っていないっ!?


これ、ほど、までに負担が凄いの!?


視界がぐるぐると回り、全ての音が遠くへと置き去りにされ、心臓がばくつき、三半規管が破裂しそうになる。呼吸すら苦しい…

湧き上がる衝撃によって胃が破裂しそう!!右手に力を籠め私を運んでいる戦士の鎧にある襟元を掴んだ手を絶対に離さないようにし、体を捻り前方を向いていた顔の向きを瞬時に変え後方へ向かって嘔吐する。


それを見た戦士が駆けつけてくるが、左手で制止する

「だ、大丈夫、酔ったわけじゃない、いま、計算をしてる…策を練ってる、から、だいじょうぶ」

この言葉の意味を戦士が理解することはできないとわかっていても、声に出して伝える。

戦士は青ざめた表情で此方を見た後、こくりを頷いて少し距離を取って、先ほどと同じように周囲を警戒しながら走る。


左手で口元を拭い、適当な服の場所で拭き、力強く戦士の襟元を握ると

『この策は、どう?』

我ながら…頼もしいことに、何処かの私が瞬時に策を練ってくれた。


『放たれた光源が着弾すると、周囲に爆発する様にエネルギーが解き放たれるのであれば、光源が放たれると同時に光源に向かって矢をいれないか?』


自画自賛になっちゃうけどさ!流石は私って!褒めたくなる!それってさ、ベストアンサーに近いかもしれない!!

何故なら、敵の近くで爆発を起こせば敵の魔道具を損傷させること狙える!

何よりも、敵自身も敵が放った攻撃によって敵自身へとダメージを与えれる可能性がある!

敵の驚異的な攻撃を防ぎつつ、敵にダメージを負わすことが出来るかもしれない!一石二鳥じゃん!!


練ってもらった、作戦をカジカさんに伝えると、困惑したような表情をしている

「光を矢で撃つ?…ひかりを?」

…伝えた作戦内容が、ピンと来ていない?カジカさん、もしかしなくても何か伝え忘れがあるとか、ない?念のために光の大きさを確認すると

「…吾輩が見たのは、物凄く小さな粒であるぞ?」

見えた光の粒の大きさは指でつまめるサイズっとジェスチャーで教えてくる。

そのサイズにまで、圧縮したエネルギーってことは、かなり集中しないと圧縮できない気がする。連発はできないとみて良いんじゃないかな?

問題があるとすれば、それ程までに小さなサイズを射貫けるかってのが、大きな問題。このサイズを射貫けるのか、弓が得意な戦士達に確認する

「放たれたと分かった瞬間に射ることが出来れば当てれるの、か…再確認だ、その光とやらが飛ぶ速度によるが、小鳥程度であれば、百発百中だ、どうなんだベテラン?」

「残念なことに、吾輩が見た時は恐らくであるが、小鳥よりも小さいのである、速度は左程早くなかったのである、放たれる予兆は…じっくりと観察している余裕が無かったので、申し訳ないが、わからないのである」

弓が得意な戦士が黙ってしまうってことは、自信が無いってことになる…

流石に卓越した技術を持っていたとしても、ぶっつけ本番、失敗したら死を招く状況下で、点を点で射貫くのは、難しいってことか…

確実性が無い作戦は、今回と言わず選ぶのは危険が大きすぎる。


問題が的が小さいのに、ぶつけるものが点であるならば、点を大きくすればいい。

「拳程度の大きさ…投石なら当てれる?」

スリングショットを撃つための道具は、投擲が得意な戦士は常備している。投擲が得意な戦士を呼び、確認する

「タイミングが分かれば、蟻の大きさだろうが当ててみせるよ」

自信満々に答えてくれる、こういう状態でない限り作戦に組み込めないよね!うん!そうと決まれば!

まず、敵に注意を引き付ける為に、弓矢で牽制するべきだよね、敵は一番最初に攻撃してきたやつを執拗に狙う習性がある、それを狙おう。

敵が弓兵を攻撃するために意識をそちらに向けてくれれば、その前に立ちはだかる戦士に向かって魔道具での攻撃は控えてくる、それを狙ってベテランさんが前に出て、敵の注意を引きつつ、敵の集中力を削ぐように牽制してもらう。

敵が僅かでも集中することが出来て、一撃必殺の本命が来そうな気配がしたら、直ぐにでも引いてもらって衝撃に備えるべき。

弓兵を守るように他の戦士達と共に盾を構えて衝撃に対して待ち構える、集中が削がれた攻撃だったら威力も低くなるだろうから集団で衝撃に備えれば耐えきれるはず。

小競り合いになるけれど、魔力を削ぐ消耗戦も視野に入れつつ、投石による爆発を誘発させる作戦が嵌るかどうかって…形の作戦が今のところ無難だろう。


投石によって爆発を誘発させることが出来たら最良!

それが、難しい状況であれば、消耗戦!


だけど、これだけだと、想定外の事が起きると対処できなくなるから…二策、三策と、策を練るべきだろう。


敵の魔道具が、発動する前の前段階として光が杖の先端に集まっているっという情報をベースに考えれば、ある程度、光が集まらないと発動はしないっと想定するべき。

ある程度練れた作戦概要を投擲担当の戦士に伝える

「わかった、俺は、杖に光が集まり始めたら即座にスリングショットを一歩引いて、確実に当てれる場所を陣取り、いつでも撃てるように待機する、牽制は他のやつが担当するで…いいかな?」

コクリと頷き、周囲の戦士も作戦概要が伝わっているみたいで頷いてくれる。

カジカさんにも、敵の注意を引き付けたりする際に、光源が集まりだしたら離れて防御に徹してもらう様にしてもらう。

「姫ちゃん!あたいは!?何をすればいい!?」

ドスドスと地面を力強く踏む抜く様な足音を鳴らしながら必死に付いて来ている、歳の影響か、元来スタミナが少ないのか、息が切れそうになっているマリンさんにしてもらいたいことを伝える。

「たぶん、マリンさんの体力的に、少し後から…息が整ってから出てきて欲しいんだけどいいかな?」

こくこくと頷く…現役から退いているマリンさんが現役の戦士についてこれている事が既に凄いんだけどね…

きっと、私達が知らない場所でトレーニングを続けているのだろう。朝から晩まで働いているのに凄い人だよね、ほんっと…

「マリンさんの役目は、ベテランさんと共に敵を牽制しつつ、隙あらば敵の魔道具を奪う事を前提に敵の腕や肩を執拗に狙い続けて欲しい!魔道具は圧し折ってくれてもいいよ!欲はださない!死者を出さないことが第一優先!絶対に誰も死なさない!!死なせない!!」

大雑把な作戦内容を伝えると、作戦内容に不満はなく、ニカっと笑顔で、親指を立ててサムズアップの合図を出してくれる。

カジカさんも、その作戦で問題ないようで応!っと力強い返事が返ってくる。


大雑把だけど、最低限の策は練れた、だが、これだけでは、不安が残る。

他に、集中して、策を練るために内なる私達と会議するために、意識を落とそうとした瞬間

「光だ!」

その声と同時に、危険を察した戦士達が散開する!!

目の前が光り輝くと一瞬だけ視界が真っ白になる!?周囲をここまで!?


光の後を追いかけるように、衝撃波が体を通り抜けていく、更には、衝撃波と共に轟音が周囲を駆け抜けると、砕け散った木や、石か土かわからない何かの破片が飛んでくるっ!!

戦士が光という声と同時に、姿勢を低くするようにしゃがみ、前方からくる衝撃に備えて盾を構えてくれていた為、吹き飛んでくる物質が私にあたることは無かった。

私も、念のために背を低くして戦士の鎧に隠れるようにする、幸いに、飛んでくる物質が当たることはなかったのだが…遠い場所から飛んでくる衝撃波と音の激しさに背筋が凍り付きそう。


っていうか、それよりも!!的確過ぎない!?こっちの場所が漏れてる!?

…なんてね、漏れているのなら真っすぐ此方に向かって放ってきているはず、光が発生した箇所に、衝撃波が飛んでくる向きを考えると、私達を見つけているとは思えれない。大きく外している!

それよりも!目的地まで距離があるから油断していたってのが良くなかった!

敵はきっと、少しずつ人の匂いを見つけては匂いがする方向へと、近づき、ある程度進んだら、何か複数の物音が聞こえたから待ち構えてたって、そんな感じでしょ!!


…今回の敵は言われたこと以外もしっかりとこなすって感じがする!!敵の切り札は思考能力も高いって可能性があるってわけね!!尚更…敵の様子を伺う必要性がある。


この推測が当たっていたら、知恵あり、敵側の切り札って事になる…

噂に聞くデッドライン近くにいる、他の人型とは形状が異なるタイプかもしれない…

カジカさんがもう少し敵の情報を持ち帰ってきてくれればって考えるのは予想、人命救助最優先してくれたことに感謝だよ。

敵を観察するために、少しでも魔力を温存したいので、ポケットに入れている小さな望遠鏡を取り出す。


衝撃波が通り過ぎた後に、散開した戦士達が、ゆっくりと屈めた姿勢を戻し、ゆっくりと敵に見つからないように慎重に顔を出し、ゆっくりと動き出す。

私が掴まっている戦士は、まだ警戒を解くことなく盾を構えながら前方を注視している。

そっと望遠鏡を目に当て敵の様子を伺うと暗くてよっく見えないが、光の粒が、収束する様に集まっていく様子が見える。


此方が敵に近づくまでに決着をつけるつもりか!?この距離を駆けだしたところで、此方が攻撃できる範囲に近づく頃には魔道具に魔力を込め終わっているとみていいだろう…

なら、少しでも敵の情報を集めるのが正解!光が収束を始めてから次の攻撃を放つのに、何秒必要なのかカウントを開始!


戦士達も光が集まっていくのが見えているのか、盾を構え息を潜めながら、音を殺しながら散開していく。

こういう時に備えて、音を殺す術が仕込んでいる術譜を持たせている、直ぐにその術譜を起動させながら移動したのだろう。


散開していく戦士達を見失わないように、周囲を見渡し、戦士達の位置を確認する。

経ったの数秒で戦士達はかなりの距離を移動していた。

木々の隙間から鎧が月の光によって反射したのが一瞬だけ見える、確認できる位置だけで、戦士達が敵を四方から囲むように動いているのだと直ぐに理解する。


私が何も言わずに、四方を固めてくれるのが非常にありがたい。事前に大雑把な作戦しか練れていないのにある程度、此方の意図を汲んでくれるのが歴戦の戦士たるゆえんだよね!


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