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最前線  作者: TF
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Dead End ユ キ・サクラ (70)

不思議な夢・・・直ぐに夢だった分かった・・・だって、あり得ない・・・絶対にありえないから・・・

夢だって直ぐにわかった・・・そんなのは・・・こんなことは・・・絶対にない夢・・・でも・・・

ううん・・・だから・・・覚めたくない夢・・・もっと・・・もっと・・・永遠に・・・みていたい夢・・・


夢だとわかっていても、見続ける、何処か遠い場所で、ぼんやりと劇場を見ている様な気分で見続ける


毎日の糧、明日を生きる賃金を得る為に、出勤する支度をもそもそとのそのそと眠たい眼を擦りながら朝の支度をするためにふわ~りふわりとふらつく足取りで化粧台に向かって進んでいく。

がっちりしっかりとした愛しの彼に会うための化粧ではなく、軽めの、身だしなみを整える程度、エチケットの範囲で薄く化粧をする。

着替える為に立ち鏡がある場所へと移動する、化粧が終わるころには目も覚め、足取りもしっかりとしている。

立ち鏡の直ぐ横には、直ぐに着替えれる様に服が用意されている。寝る前に用意しておいた仕事着、仕事着に着替え、変なところが無いか鏡に映して確認している。

鏡に映りだされた姿は、夢の外…現実の私とは違って…理想とする大人の姿…身長もお母さんほど高くないけれども、平均的にある、それだけじゃない年齢通り、お母様と同じように、出るところが出ている。私が理想としているプロポーション。


夢の外、生きる為に刻み込んだ呪い…封印術式によって成長を阻害させ寿命を引き延ばしている姿とは違って、夢の中の私は、実年齢通りの姿。

鏡に映りだされる長くて真っ白な髪の毛、忙しい日々を送っているのにも関わらず、手入れが行き届いていて、サラサラとしている…綺麗で自慢の髪の毛

ささっと、寝癖を整えた後は、壁にかけてある白衣を羽織って、部屋を出る。


部屋を出て、向かう先は、社食が提供されている食堂!ご機嫌な朝にする為にはお腹を満たさないといけない。私と違ってお腹が空くのは良い事だよね。

食堂に向かう途中で、同じ会社、だけど違う部署の色んな人たちと挨拶をする。

食堂に入って、真っすぐにカウンターに向かい、朝食のセットを何時もと同じでとおばちゃんに朝の挨拶と共にオーダーする。

今日もべっぴんさんだね!貴女もね!っと、何時もの挨拶と共に受け取った、朝の定番、ベーコンエッグとスープを私と言えばここ!っという勝手に決めた指定席で、ご機嫌な朝食を堪能する。食べ終わった後に、飲むオレンジジュースが最高だ


食べ終えた食器をおばちゃんに渡して、食堂を出る前に、何時もの様にノンビリと新聞を広げているカジカさんに挨拶をすると、慌てて新聞を置いて立ち上がって挨拶をしてくれる。カジカさんって人は、夜間警備を担当してくれている警備員さん。何時もの様に夜勤が終わって朝の楽しみである新聞を読んでから寝るのだろう。

カジカさんからしたら、退勤した後だから、畏まる必要なんて無いのに。律儀な人、別に気にしなくても良いよっと笑顔で手を振って食堂から出ていく。


ご機嫌な朝食を食べたら、自然とお腹の奥から幸せのメロディが湧き上がってきてしまい、ついつい喉を震わせてしまう。

幸せなメロディを奏でながら、廊下を鼻歌交じりに歩く…廊下から見える明るい空を見ながら、軽快な足取りで職場に向かって歩いていく。


寮を出て、自分が働いている研究室に向かっている途中で、いつもの二人組が歩いているのが見えたので、声を掛ける。


いつ見ても、いつお会いしてもすっごく綺麗!年齢不詳!美魔女!って、感じのドクター

身長が高くてスレンダー、だというのにグラマラスな磨きに磨かれた美を追求する美魔女。

もう一人が、美魔女ドクターの後輩さん

身長は、私よりも少し高くて、程よい肉付で健康的でスポーティな雰囲気!特徴的なのが、その美貌!この美貌に引き寄せられるように数多くの人達が彼女の美貌に脳みそを鷲掴みにされている…彼女の知らない場所で数多くの修羅場…罪を作ってしまった罪深く美しい天然な女性。


此方に気が付いたみたいで、二人は何時もの様に挨拶をしてくれる。

二人もこれから仕事。病院に出勤するみたい、二人が揃うといっつも医療のお話。

今回もそうだったみたいで、軽い打ち合わせをしながら二人だけの優雅な朝のひと時を楽しんでいる。


医療の話は二人ほど詳しくないからついていけない。

仕事の話っというか、二人の邪魔をしてはいけない、それに、出勤時間を考えると…

私を待っている職場に急ぎ足で向かわないといけないので、話を切り上げてお別れする。


小走りで職場についたらすぐに、鍵を開けて、私達が開発している研究が直ぐにでも始めれる様に、皆が出勤する前に準備を終わらしておきたい。

なので、急いで準備を開始する。


準備をしている最中に、職場にやってきた職員から朝の挨拶を受ける。皆、研究熱心で出勤が早い!

私も直ぐに研究を開始したいっていうのもあるので、本当はちゃんと相手の目を見て挨拶をするのが礼儀なんだろうけれど、研究所にくる人達とは長い付き合いだから、失礼にならないと思って、ついつい、作業しながら声だけで挨拶を返してしまう。


準備を続けていると、あちこちで色んな物音が聞こえてくる、音が増えてきたなぁっと呑気な感じで捉えていたら。

全員が集まったので、準備をしている手を一旦止めて、全員がディスカッションをするための席に集まると、朝礼が始まる。

朝礼内容は、確認するって感じで、今開発しているプロジェクトが、現状、どれ程進んでいるのか、それを確認するだけ。

確認が終わった後は、お決まりの挨拶”今日も事故無く!がんばろー!おー!”っという、何とも平和な掛け声をだしてから各々自分が担当している場所へ向かって行く。


研究に没頭していると、ふと、外から大きな音が聞こえてくる。この音が聞こえてくると集中力が途切れちゃう。

だって、この音が聞こえてくるってことは、夕暮れ時になるってこと、集中して時計を見るという行為を忘れがちな私達の為に”鐘”が鳴って…”知らせてくれる”…

鐘の音で、集中力が切れた、研究所の皆が持ち場から離れ、すれ違う人達が、今日もお疲れ~っと、疲れ果てたような力弱いへとへとな声を喉の奥から溢しながら、くたくたになって帰っていく。


お疲れさあ~っと声を出して、皆を見送る。

若い私がいっつも…最後まで…研究室に残ることが多い。

最後の役目として、安全確認と戸締りをして、ドアにカギをかけないといけないんだけど…


研究所のカギを握ったまま、ぼんやりと、何もしないで立ち尽くす。


ふと思い出す、次は何をするのか…一瞬、何かが目覚めそうな気がしたけれど、気のせいだ。

ああ、そうだよ、私も帰らなきゃっと、我に返って支度をする。

帰り支度を手早く済ませて、研究室に鍵をかけると、空は真っ暗…髪の毛がたなびいてしまう程の強い風が吹いている。

土埃が白衣を飛び込んでくるので、膝元についてしまった、土埃を手でぱぱんっと、払って、顔を上げると、優しくもあり柔らかくもあり、鋭くもある光が目に刺さる。

ついつい、光に誘われる様に、地面を照らす太陽が沈んでいくのを眺めてしまう…更に、顔を上げて後方を見る、薄っすらと顔を出し始めるお月様を見つめていると…


見えないはずの月の裏側を覗き込んでしまいたくなる衝動が湧き上がってくる。


突きを眺めていたら肩を叩かれたような?視線を感じるような?何も、誰も、いるわけがないのに…周りをぐるりと見回すと、やっぱり、誰もいない


何処にもいない…私の隣には誰もいない…


世界には私だけしかいないみたいに感じてしまう。

ぺちぺちと頬を叩く、そんな事ないでしょっと馬鹿な自分を怒りつける。

そんなことは無い、少し視線を上げて遠くを見れば…ほら、一人じゃない、あちこちの建物から光が零れている。

みんな いる みんな いきている みんな いるんだよ


わたしも かえらなきゃ


自分の部屋に?…何処に帰るの?…居場所…?


何を言っているの?あるじゃん、あるに…決まっている、お母様が居る場所が…私が帰る場所


還る場所を思い出したとたんに、強い風が吹いてくる。強い風に背中を押される様に還る場所に向かって駆け出していく。

何処かよくわからない道を進んで、どこをどういったのか思い出せない道を選んで、辿り着いた小さな一軒家、ドアノブに手をかけドアを開く

中に入ると、よくわからない、知らない料理の香りに誘われて部屋の奥へ進んでいく。だって…お母様は料理をしたことがない。

リビングの机に座る前に、白衣を壁にかけってっと、白衣のまま座ると皺になっちゃうから怒られちゃうからね。…白衣で行動する事って殆ど無いんだけどね。

キッチンにいるお母様にただいまーお腹すいたーっと、声を掛ける。…返ってくる声はない、だって、お母様はお帰りって言ってくれたことがない、から。

そのまま、気にすることなく今日の仕事がどんなのだったのか、話し続ける。…私には聞こえないけれど、夢の中の私にはお母様の声が聞こえているのだろう、会話が成立している様に見える。


…やめよう、これ以上…この先を見るのは私には耐えられない、夢とはいえ、お母様に会うのは違う。

私はまだ、何も成し遂げていない、まだ、終わるわけにはいかない。


お迎えはまだ、早いよ…お母様…行ってきます。お帰りは、また、今度…




目を開くと、見知った無機質な天井が見える。木のぬくもりなんて無く、無機質な壁。無機質で冷たいと感じてしまうのは、色合いがそう感じさせるから、だろうか?

そんなどうでもいい事を考えていないで体を起こそう。

体を起こそうとすると、自然と、ふわぁあっと欠伸が溢れてしまう。

上半身を起こしながら涙を拭い、起きてこない脳みそを叩き起こすために、ソファーから降りて上半身をぐぐっと伸ばす様に両腕を天井に向け、腕を上げてから腕を左右に傾けたり、腰を捻ったり、体を動かす。


ふぅっと、肺の中に溜まったガスでも抜くかのように息を吐き、壁にかかっている時計を見る。時計の針の位置に違和感を感じる。本当だろうか?壊れてたりしない?

私の記憶が定かなら、ソファーで横になってから経ったの3時間しか経過していないことになる。外に出て色々としていて疲れているはずなのに?経ったの三時間しか寝ていない?三時間しか寝ていないのに、自然と起きた?私が?この私が?


どうして、経ったの三時間しか寝ていないのか、疑問が湧き上がる。

…眠りが浅かったのだろうか?あれだけ動いて疲れているのならもう少し長く…深く…明日のお昼過ぎまで寝ていてもおかしくないのに?

…一瞬だけ背筋がぞわっとした…虫の知らせっという言葉がある、地球の言葉だけど。


ぞわっとした影響だろうか?何だろう、落ち着かない、何か嫌な予感がする?


耳を澄ませる…鐘の音は…きこ、える?聞こえる!?


血の気が一瞬で引く、夢の中で聞こえた鐘の音は実際に鳴っていたってこと!?

慌てて、服を着る、地下に来るのがメイドちゃんしか来ないから、ついつい、シャワーを浴びてから服を着ないで全裸で行動しちゃってた!


服を着終わると「緊急事態ですー!!」予想通りメイドちゃんが鐘の音が聞こえにくい私の為に、地下室の奥に向かって叫んでくれる。

返事を返す様に、急いで階段を駆け上がると…よっぽどの状況なのか、ある程度の事だったら冷静沈着であるように幼き頃より訓練を積んできているはずの、メイドちゃんの様子がおかしい?落ち着きが無い?人型が出たくらいじゃこんなに慌てない?


…いやな予感がする、耳を塞ぎたくなるような言葉が出てくる覚悟をする。


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