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最前線  作者: TF
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Dead End ユ キ・サクラ (53)

そんな事をぼんやりと考えていたらすぐ傍に迄近づいてくる?あ、そうか、返事返してなかった。

「うん、取り合えず、これで、終わり、かな?」

息も絶え絶えな私の様子を見て大丈夫?っと声を掛けてくる

「っふ、運動不足のせいだね、これ、ばっかりは、私に、向いて、ない」

ぜぇはぁぜぇはぁっと心臓が悲鳴を上げ、肺が苦しいと叫び、腕も足も生まれたバンビみたいに震えている…

ドアにもたれ掛かるのが、もう精いっぱい!!

予定迄、後、1時間くらいは、時間があるけれど、地下に戻る体力はない!!調子に乗って何往復もしたのが失敗かな!!


どうせ、地下の実験もさー、今回も失敗だろうし、後1時間くらい、ここでノンビリとドアと一体化していてもいいんじゃない?

「本当に、大丈夫?ですか?」

大丈夫かと、問われたら色々と大丈夫じゃない!出来るなら横になりたい!後1時間でもいいから、回復に努めたいし、念のために実験結果も見ておきたいかな!

でも、そんな事をユキさんに話したところで、焼却炉まで、運んでくれただけでも感謝しきれないよ、特別手当出す様に伝えておかないとってくらい感謝している。

これ以上、迷惑をかけるわけにもいかないのと、年上という下らないプライドが私を動かす、作り笑顔で、だいじょぶだいじょぶっと言うと

「ん~、失礼じゃ無ければ、私も、ぉっと、僕も一緒に行動しますよ?何か手伝いますよ?」

私の状態がよっぽどなのか、心配そうな表情で此方の様子を伺ってくる。普通に考えたら明らかに正常ではない状態って伝わっちゃうよね~…表情も青ざめているかもしれない。


このまま、追い返すこともできるけれど、私としては利用できるものは何でも利用すればよし!っという、精神だし、地下の研究は見られても現状問題ないし…生命創造禁止法ってのは無いけど、倫理に触れる内容ではあるから、ユキさんが敬虔なる信徒だったらちょっと危ない気はする…どうなんだろう?今度、勇気くんに聞いてみようかな?

ユキさんならむやみやたらに誰かれかまわず言い触らすようなこともしないだろうし…これって踏み込む良いきっかけになるんじゃないかな?ユキさんに希望を持ってもらうきっかけとして、とっかかりとしては凄くタイミングいいのかも?それなら、尚更、これを好機と捉え研究内容を知っていてもらった方がいいかもしれない。

「その言葉に、二言、は、ない?」

はぁはぁっと声を出すだけで息が切れる…少しずつ、だけれど、呼吸は安定して…来ている気がしない事も無い。

「ないよ~?…まって、めちゃくちゃ大変だったりする?ますか?」

自分の軽率な判断によって前回、からかわれたことを思い出したのか、確認してくる。


む、警戒心が上がっておるの~。前回の女将との一件を根に持ってやがりますか?

「大変、だったりは、する」

私からすれば、ね、ユキさんからすれば大変じゃないかもね

とは、言ったものは良いが、軽率だったかもっと、警戒してしかめっ面をしているユキさんに手伝って欲しい内容を言葉にしないと、私からすれば大変でもユキさんからすれば大差ない事ってわかってもらえると思うから。

「足が震える、体力無き、小動物こと、私を」

コンコンっと手の甲で背にしているドアを叩き

「この先に連れて行って、くれる、こと、かな…」

必死に作り笑い、精一杯の踏ん張りを笑顔で表現すると、ニヒルな笑みとなり、ニヒルな笑みを浮かべると、ああ、その程度なら、っと手慣れた様子で私の前にしゃがみ、背を見せてくる。その意図をすぐに察せれない程、思考能力が低下しているわけじゃない、けれど~…ユキさんは自分の体が男性で私が女性っていうのを忘れてない?


目の前でしゃがむ人物がユキさんだからこそ、何も考えずに胸を押し付ける様にユキさんの背中に体重を預ける。

これが、ベテランさんとか、私に好意を抱いている人だったら…勇気くんだったら絶対にできない。だって、胸が…当たっちゃうもん。


よいしょっと掛け声を出すと、お尻から手のひらの感触が伝わってくる、お尻の下に手を置いてしっかりとおんぶされる…そっか、胸だけじゃなかったわ…あっぶねぇ…


ガチャっとドアを開けて先を見ると

「あ、階段?ぁぁ~、なるほどねー、そういうこと?確かに体力のない人だと大変だよね」

どうやら、ドアの先が地下に繋がっていると思っていなかったのだろう、あーだから、私がどうしてここ迄、疲弊しているのか理解できなかったんだろうな~

ドアの先が階段になってるなんて普通は思わないよね。

「大変、って、いったでしょ?」

君にできるのかな~っとほっぺをプニプニっと突くと

「確かに、大変かもしれないけれど、これくらいなら余裕だよ?姫様軽いし…軽いですから」

そういうと、スタスタと安定した動きで階段を下りていく、やっぱり、戦士としての訓練が彼女の体を鍛え上げているのだろうと感じる。

この街に来て初めて、見かけた…出会ったころに比べたら、筋肉が付いて来ているのがわかる、腕も太くなって肩幅も心なしか大きくなっている気がする…心は女性なのに、ね…自分の中にある理想像から強引にかけ離されていくのは、辛いだろうね。


私だって、今のスレンダーで…お母様みたいなプロポーションを理想としているけどさ、強引にお父様みたいな体型にされたら心狂う自信があるよ。


彼女の心情を想像するとつい、手のひらに力を込めてしまう。

「うん?安心してね!これくらい余裕だから!でも、安定性を考えると、しっかり、捕まっててね~、落とすなんてこと絶対にないけれどね!」

そう言い終わるころには、下り階段は終わりをつげ、軽やかな足取りで、地下の研究室へと入っていくと

「…うわ、なにここ?」

正直な感想が零れ出ているので「ついでに、ソファー迄運んでもらってもいいかな~?」耳元で指示を出すとはいはいっと軽快な返事と共に、足も軽快に進め、ソファーの前まで歩き、ゆっくりとしゃがむように私をソファーに座らせてくれる。

沈み込むソファーにうはぁっとだらしない声と共に身を任せていると、物珍しそうに周囲を見渡している人に声を掛ける

「すごいでしょ?」

「うん、凄い…」

この部屋にある魔道具たちは特注品、ここ以外には、絶対にない代物たち。研究者であれば、心躍る光景だよね。

ユキさんからすれば興味なんて

「何を研究してるの!?」

あるんだ?会話を繋ぐためにって感じじゃなく、純粋に興味心があるって感じ?食い気味に向こうから話を振ってくるってことは、そうだよね?

安全靴を脱いで、ソファーで横になって足をぐぐーっと伸ばしている間も、こっちをじっと見つめて答えを待っているのかな?大人が素直に問いかけに何でも応えると思うなよ~?守秘義務とかもあるんだぜぇ?って意地悪をしようかと考えちゃったけれど、助けてくれたことだし素直に教えても良いよね?ユキさんって敬虔なる信徒じゃないよね?

「新しい、医療の先を目指してっかな…」

この答えを聞いてもピンと来ていないみたいで目が点になって此方を見ている。そうだった、この子は回りくどい表現は苦手だったよね。

「細胞培養、組織培養?なんて呼んだらいいのかな?まだ、正式な名前って決まっていないんだけど」

こういう研究時につけるプロジェクト名って毎回なんて、言えばいいのかわからないんだよなぁ…名前のセンスは私には皆無だからなぁ…

そんな事を感じながらも、今何をしていて、何を目指しているのか、説明をしていく…




「ってなわけで、怪我をした戦士達、不慮の事故で無くしてしまった、先天性、後天性での臓器不全…そういったことへの新しい医療の形としてのアプローチって感じかな?」

説明を受けてこのプロジェクトがどういうモノなのか直ぐに理解したのか、目を輝かせながら食い気味で話を聞いてくるあたり、ユキさんってこういう研究とかに興味があるって感じかな?実は、研究職が向いてたりするのかも?

「…それじゃ、これが完成すれば、新しい体とかって」

…なるほど、此方が誘導する迄も無くその答えに辿り着くのか、小さく小声でつぶやいて…

事情を知っている私だからこそ、呟いた言葉の真意が理解できるってわけだね、何も知らない人だったら、そういう考えも出来るよねって、程度で聞き逃してたかもね。

「そうだよ、四肢を無くそうと、目を失おうと、明日を絶望することはない、明日を夢見ることが出来る。これが完成し、魂…記憶とかも完全に移す手段を確立させれば、体を変える事だってできる。自分が理想としている体へとボディチェンジ出来るんだよ」

特選的なカエルから人へだって、魂が記憶を持つことが出来るのなら、出来ちゃうかもね

ぶっちゃけると、全然、研究は進んでいないけどね!!一歩どころか、永遠と足踏み中だけどね!!

「ねぇ!それってもう…出来るの!?」

そーなるよねー、明確に目的をもって言うってことはさ、新しい発見があって、その発見をベースにして発展改良するために研究が開始されるって思うよね!残念ながら、貴重な資料を基に研究しているっていう模索段階なんですよね~…


その事を真っすぐストレートに伝えようと思ったけれど、目を輝かせて真っすぐに憧れの目で見てきてさ~、言いにくいじゃん?現状、ゴミしか生み出せていませんって…

大人が何もかもいともたやすく簡単に成し遂げていると思うなよ~…期待しているその表情を曇らせるのは少々、心に来るものがあるけれど、嘘は良くない

「ううん、まだまだ、研究をスタートしたところで、な~んも成果は無し、失敗続き…」

はぁ~~っと盛大な溜息をつく、このままため息を吐いた勢いでソファーの中に埋もれてしまいたくなる。

「そう、なんだ…」

だよにゃ~、失望するよな~…

私のことを何となく知ってる人が抱くイメージってさ、何でも出来そう、何でも用意してくれそう、何でも助けてくれそうってイメージを抱いていることが多いんだよなぁ…

取引先の貴族たちがほんっとそんな感じで無理難題を言いつけてきやがることが多かったもんな~…妥協案である程度は叶えてあげたのが良くなかったのかもなー、噂が尾ひれを大量に突けて広がっていた時は、暗部を使って情報操作したくらいだもん…


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