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最前線  作者: TF
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Dead End ユ キ・サクラ (52)

両手に持てるだけのゴミをもって、地上に出てドアのすぐ近くにゴミを置いて、また、地下に戻る…足が、足がだるい!!階段の登り降りを後、何回しないといけないんだっての!まだ2回目だっていうのに…これは、こうも、うぐぅ…つらいーー!なんで、お母さんの予定を確保しなかったんだよ私ー!


なら、幹部以外にも、大々的にプロジェクトを撃ち上げて人員を確保して!この実験を手伝わせればいいじゃんって思うでしょ?

ところがどっこい!これ以外の研究も同時進行で行っていて、他の研究員は仕事が山積みじゃい!!何処の部署も手が足りてないんじゃい!!ぶっちゃけると研究職全員、3倍に増やしても足りてないんじゃい!!かといって、徹夜なんて要求できるわけが無いんじゃい!危険な状況に直面してるからってわけでもなく!何処かに納品するために急いでいるわけでもない!だから、無理なんてさせれるわけがない!長期プロジェクトって感じで構えるしか、ないんじゃい!!


うわっはぁ~~ん!たっけてよー!マンパワーが、頭脳が、全てがたりなーーーい!!


ゴミを懸命に運びながら、昔から痛感している学者先生不足がここにきて極まったっというっと感じながらも必死にゴミを運び続ける。


そんな状況でも、脳裏に浮かぶのは…助けてくれそうな人物が脳裏に思い浮かぶ、でも、彼は新月の夜にしか現れない…

なら、新月の夜にここに来てもらってユキさんの心のケアをするための、結界を出してもらって、ここで新月の夜、ユキさんが起きてくるまで手伝って貰ったらいいじゃんって研究心に溢れる心が叫ぶと、直ぐに、ロマンティックな乙女心がダメに決まってんでしょ!っと研究心に殴りかかる…情熱的な右ストレートで研究心が一発でノックダウンする。


ロマンティック一撃ブレイク!その言葉は確かに刺さる!ロマンスも欠片も無い場所で逢引なんてするな!っかぁ、刺さるぜその一言!


せめて、私がやってる事業、表の仕事を全部!誰かに押し付けれることが出来たらいいんだけど、いないんだよなぁ…

私がこの街に来る前に必死にやりくりしてくれたさ、超絶優秀な人、心当たりがあるんだけどさ、通称元財務の人はさ~王都から絶対に離れることが出来ないんだよね~。1日や二日程度ならいんだけど、長期的なことは頼めない!


理由は単純明快!彼自身が離れたくないからなんだよね!打診は何回かして、良い返事は貰えたことが無い!だから、諦めたもん!


彼が今のポストを、何年も何年も血の涙を流しながらハンカチを真っ赤に染めて、悔しさでハンカチを食いちぎる程に欲していたから、その地位から動かすのは並大抵の事では出来ない…お金じゃないんですっと晴れやかな笑顔で首を横にしか振らないから、諦めたよ…


地下に降りてきて、撹拌している液体の中身を確認すると、変化はない…

少しの間、液体にねばりっけが出てないか、液体が分離していないか目視でチェックするが、うーん、今のところ変化なし

今回の実験も失敗に終わりそうな予感がする


魔女が遺したデータをベースに頑張ってそれに近い性質を持った物質を産み出そうと頑張っているんだけど…

そもそもが、ここに書かれている素材っていうのがさ!天然素材じゃないんだよね!用意されている素材が、魔女しか錬金できない特殊な素材っていうのが、もう辛い!!

必要な魔道具も何となく用意した!手順も書かれている!どんな物質なのかも詳しく書かれていた!性質も書いてある!それが正しく錬金出来たのかどうかのチェック方法もばっちり!でも、この星に同じ素材があるかはわからない!!


取り合えず、何となく、このペースで進んでいけたら、ゴールにどれ程で到着するのか、かるぅく、逆算したけれどさー、これ、何十年もかかりそうな気配がするんだけど?これ、私、自決しないといけないんじゃね?って考えちゃうほどに遠い…しかも、過去の私に全てのデータを飛ばそうと思ったら…考えるだけで駄目だと思う程の魔力量が必要な気がする…


…はぁ、って溜息が自然と漏れてしまう。

まぁ、まず!一歩目から躓いているのが良くないんだよね!!

まずは、全ての性質を持ち合わせたスライムを作るところからって素材のルーツを辿って行ってわかったのはいいんだけどさ!!

そもそもが!全ての性質を持ち合わせたってなんだよ!無限大の可能性ってか!?意味不明なんだけど!!取り合えず、生命のスープっていうのを作ろうと頑張ってるけどさ!欲しい物質が分離しないんだけど!!!不純物が混ざって性質変化しねぇし!不純物のせいで反応起こせないし!!分離してよ!!!


手順は理解している、似たような性質を持った素材はある程度用意できてる、問題があるとすれば用意した魔道具が代用素材から必要な性質を抽出しきる為に必要な条件を満たせていないのかもしれない、撹拌するスピードが足りてないとか、かなー?

っはぁ、っとため息をつきながらゴミをもって地上へ向かって足を持ち上げる。階段がつらいよー…


ドアを開けるとパチっと目が合う、会釈をしながらゴミをドアの隣に置くと

「ねぇ、それって何に使うの?」

声を掛けられる…時間帯はお昼過ぎた、くらいかな?鎧を着てない、作業するときや、普段着としても使ってよいと渡している隊服…もしや、暇なのか?

「な~んにも使わない、失敗作~、後々、焼却炉に放り込む予定だよ~」

欲しい成分を抽出した絞りカスに、結合が上手くいかなくて性質変化に失敗した上に、放置している間に腐敗し始めて変な臭いがするゴミ…再利用なんて出来そうもない。

「へ~…」

チラチラとゴミを見て、次に、私を見てくる。その瞳から伝わってくる感情は失敗するんだぁって感じ?っぐぅの音もでねぇよ、、、

何だよその目はー!私は天才じゃないから失敗だって数多くするのー!失敗を一つ、また、一つと積んでいって、一つの真理に辿り着くのが学者なの!研究者なの!

「焼却炉に持って行くだけなら、僕でも出来るし、手伝おうか?ぁ、いや、手伝いましょうか?」

思い出したかのように敬語にならなくてもいいよ。年齢もそんなに離れていないし、その顔で敬語を使われるとムズムズしちゃう。

「お願いしてもいいの?ユキさんって、今日って非番じゃないの?」

「うん、今日はお休み!お休みだから横になったりしてたんだけどさ、寝れなくって、ゴロゴロしてても、何もやることなくて、暇だから散歩してただけだから」

腰をかがめてゴミが入っている箱を持ち上げると

「っわ、変な臭い?なにこれ?」

臭いが嫌なのか顔を背けて焼却炉でいいんだよね?っと確認されたのでお願いっと声を掛けると、はいは~いっと焼却炉に向かって軽やかに走っていく。

元気に駆けていくユキさんの背中を眺めているとアレが若さなのかっという感情よりもユキさんが特別なのだろうと感じる。


ユキさんって本当に体力凄いよね、この街に来て、もう、二か月?三か月?経過したとはいえさ、戦士としての訓練に、外での巡回任務、術式の座学とかにも参加しているって聞いたことがある。

殆どの新兵達が疲れ果てて休日は部屋から一歩も出ない程に動けなくなるって言うのに、ね…

しかもさ、ユキさんって確か、ベテランさんの厳しい訓練もプラスされているはずだよね?…彼が魔力だけに特化しているとは思えれない程にタフネス。


もしかしたら、魔力を蓄えれる才能が高い人は体力が凄いのかも?…ふと、脳裏に過る…魔力を毎日私に注いでも、ピンピンして動き回って仕事に追われている人物


もしも、戦士長こと、シヨウさんが健在で、ジラさんことお母さんが恋仲になっていて子供を授かっていたら、もっとすごい体力溢れる人物が生まれていた可能性もあるってことかな?…いや、まさか、ね~?戦士長こと、次代の王族筆頭騎士に選ばれるほどの才ある人と、王族の血筋が交わったから、だよ、ね?…でも、お母さんってさ、側室として代々生きてきたっていうから、血統は貴族のみってことだよね?もしやもしや?…


湧きたつ好奇心がお母さんの家系図を調べたくなるけれど、あの人は、貴族と言う後ろ盾を捨ててまで、戦士長を追いかけてきた人だから、下手な詮索はしたくない、かな~っと言いつつ、下調べしてそうな人物に心当たりがあるので手紙を送る準備に取り掛かる私でした。にしし。


太ももを摩って、足首をグルグル回し、ついでに腰もまわして…っぐ、変な痛みがある…一瞬だけ走った痛みを我慢しながらドアをあけ地下へ続く階段へと足を進める。

ごく普通の階段だというのに、今の私から見れば、剣山の上を転がり落ちるような気分だよ


地下に戻って、撹拌しているであろう魔道具の中身を様子を見て…変化なし。

ゴミを両手に持って、膝を持ち上げるだけで腰とかが悲鳴を上げながらも必死に階段を上って、ドアを開けると少し離れた場所で箱を持って焼却炉に向かって歩いていくユキさんの後姿が見える…なんなら、彼女に地下までゴミを取りに来てもらえばよかったのではないかと今更になって気が付いてしまう。


疲れている時の思考能力低下というデバフに弱いなぁっとため息をつきながら、ゴミをドアの横に置き、全身が悲鳴を上げながら、地下に戻る…無心になって繰り返す


足が…ううん、腕も腰も、全身が震えるほどに階段の上り下りを終わらせるとへばってしまってドアにもたれ掛かる様に空を見上げていると

「これでお終い?っとと、ですか?」

疲れた様子が一切見えないユキさんがハニカム笑顔で此方に向かってくる。


なるほど、あの笑顔は反則だよね、ちょっとドキっとしちゃった…色んな人が彼女に心惹かれるのは魔眼だけじゃないよ、その美貌も相乗効果うんじゃってるよね。


整った顔立ちに爽やかな清潔感のある雰囲気、物腰も柔らかで女性らしい優しさを併せ持つ人物で、始祖様そっくり、始祖様が描かれている絵画を見た人だと尚更、虜になるでしょうね。そりゃぁ、魅了の魔眼なんて関係なく、惚れる人、多いだろうなぁ…


勇気くんが表人格だったら、罪づくりな人だったんだろうなぁ…

っふ、ライバルが少なくて助かるぜ…

なぁ~んてね!私が?負けるわけなんて?ないし?いくらでもライバルが増えてもドンとこいだし?別に一夫多妻制?大歓迎だし?愛されてたら別にいいし?お父様もお母様もそんな感じだったし?


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